健さんの
プラモコラム

その433
 MG トールギスEWの巻

 MG 1/100 OZ−00MS トールギス
 バンダイ
 「ガンダムWエンドレスワルツ 敗者たちの栄光」に登場
2013年1月発売 税別初出価格3800円



 連邦の白い奴(連合ですが)、トールギスです。ガンダムが5機登場する事以上に、宇宙陣営側にガンダムを配置したWの物語に戸惑っていたところ、本来のガンダムのポジションに置かれた白いMS、しかも乗るのはシャアもどき。そんな構図の面白さに気付いた頃から、ストーリーにもグイグイと引き込まれていった様に思います。

 ガンダムが日本の甲冑をモチーフにしているのに対して西洋の甲冑をモチーフにしてみせたのも面白いですね。別の世紀(アナザーセンチュリー)を舞台にしたガンダムであると同時に、ヨーロッパかどこか別の国でガンダムが作られたら、こんな主役メカになるんじゃないのかな?なんていうIF遊びにも思えます。てな事を思いつつ本題に参りましょう。



 頭部は、リーオー風の内部メカというか顔本体にカメラ表面のクリアパーツをハメ込んで、左右からハサミ込み。頭蓋の下に吊り下げる様にマスクを取り付け、上から被せてリーオー顔を覆います。トサカはズレやすいので接着しても良いかも。うちのヨメは知らないロボットを見ると「これダンボール戦機?」と聞いてくるんですが、今回はトサカの辺りがソレっぽいかな?(頭身の違いに気付けよと小一時間。)

 マスクは一段後ろに下がった取付位置を選ぶ事も出来、よりガンダムに近いマスク位置を好みで再現する事が可能ですが、後退スペースを確保するためにはリーオー顔のセンサー表面に貼るクリアーパーツを不使用にする必要があります。つまりプラ一枚分の厚みだけの微調整って感じですね。トールギスTの劇中イメージ再現というよりも、通販で発売されるトールギスUのガンダム顔を、よりカッコ良く見せるためではないかと予想しています。



 は二重関節ではありませんが、首ブロックと言うかネックガードの部分を前後に長い箱状に成形、長い首の軸に通す事で、ボール可動する頭部の上下可動に追従する仕組みになっています。首が埋没したリーオーと、ボディを上手く共用出来そうな予感がします。

 ボディです。は、ゼクスのフィギュアを座らせたシートとハッチ、前後スイングするウエスト関節をハサミ込んで、内部フレームを左右から貼り合わせ。首の軸は、後ろから組み合わせる背中フレームと一体になっています。エリのセンサー胸部ダクトは、内部フレームに取り付けておき表面に露出。外装は背中と胸左右という分割です。



顔は前寄りの配置で組み立ててあります。説明書的には本来の位置はこちらという扱いの様ですし、仮面が顔より前に出てるのは当然だと思いますし。

 肩関節軸は、MGガンダムAGEシリーズのポリキャップを使用してあり、引き出した後でほぼ全方位にスイング可能となっています。

 ハッチは裏面パーツのヒンジで開閉。搭乗フィギュアが小さめなのは毎度の事なんですが、あえてスケール違いのフィギュアを乗せる事で奥行きを感じさせる効果が有るんじゃないか?!もしかして演出として、わざとそうしてるんじゃないか?!なんて事を今回に限って感じたのは、長身のゼクスだからこそなんでしょうか。このフィギュア、せっかく小さいのだから1/144キットに移植してみるのも面白いかも。



 ウエストです。上部は筒状に成形してあり、胸フレームに下からセット。下部はダブルボールジョイントを兼ねた底面フレームに、前部と残り全周に分割された外装をセット。前傾姿勢に対応して、前のスキマは大きめに取ってあります。

 です。股関節軸は左右一体ストレートのパーツで、貼り合わせのフンドシフレームにハサミ込み。HGUCマラサイを作っててうっかり股関節を折ってしまった直後だけに、この破損しにくい構造の有り難さがよく分かります(泣)。バーニアとフンドシ外装は正面からセット。フンドシ下には、別売のアクションベースに対応したジョイントを取付可能です。



 フンドシ正面のセンサーは、表面からハメ込むのではなく、もっと大きなパーツを内側に仕込む事で、センサーユニットの感知面だけが露出している事を感じさせます。色分け再現だけでなく内部再現を兼ね、左右独立して軸可動するフロントスカートを中から押さるユルミ止めにもなっています。



 サイドスカートは表裏2パーツ構成で、腰側面の後ろ寄りにボール接続。今回はモモ側面のユニットと連結してあるという面白い解釈で設計してあり、脚を上げた時でも成立する丁度良い接続位置を割り出したら、後ろ寄りだったという事なのでしょう。

 リアスカートは、開閉式の外装の裏にバーニアを仕込んであり、展開するとバーニアが露出する仕組み。アニメではこんなギミック有りましたっけ?ともあれ背中のバーニアユニットと同じ開閉式で、統一感が有りますね。当時からここが何なのか理解してませんでしたが、リーオーに準じるならバーニアとするのが自然ですよね。フィン状の裏面ディテールは設定画には見当たりませんが、ニュータイプ100%コレクションのイラストに同様の描写が見られます。



 リアスカート自体は腰後部に固定してありますが、シリーズ恒例になっている腰骨フレームのボールジョイントを、スラスターカバーの接続・開閉に利用しています。バーニアはカバー裏に取り付けてあるので、ヒネリや振りで演技を付けてやると良いでしょう。

 です。股関節は、前後貼り合わせたモモ上部でポリキャップをハサミ込んだ軸可動式。ひねり部分はモモフレームに差し込んでありますが、前後貼り合わせの外装が関節を覆うようにすぼまった形になっているので、外装を被せるより先に差し込む必要があります。実機では先にフレームを完全に組み立てしまうと思うので支障は無さそうですし、たまにこんなキットに出会うと新鮮ですね。股関節軸への接続は、間接側の穴に差し込むだけでなく、軸の周囲を覆う様に支えて保持力を高めてあります。



 モモ側面のスラスターユニット(?)は表裏とフチの3パーツ構成で、ダブルボールジョイントでモモの奥深くに接続。さらに上端をサイドスカートに接続してあります。脚を上げても開脚しても、スカートにつながったまま自然に追従し邪魔にもならないのは、ダブルボールジョイントがピン状の長い形状にしてあり、基点に自由度を持たせてあるため。余談ですが、人生ゲームのコマがこんな感じのピンだったかなあ、なんて思い出しました。今も変わってないのかな?

 ヒザは、モモとスネのフレームをハサミ込む二重関節。ヒザアーマー本体は左右と前面の3パーツ構成で、ヒザ関節横に丸ピン接続されていますが、モモ・スネ両方からステーで引っ張られたの部分は曲げに連動してアーマーから分離します。ヒザアーマー自体がスネから分離し、そこから皿も分離していく二段式の連動。曲げたヒザをより広範囲に保護した感じになる上手いギミックですし、アーマー本体がフリーで若干の調節が効く点も良いですね。



 スネは前後貼り合わせ。これ以上無いくらいのシンプルなデザインですが、側面のパネルラインが段落ちではなくスリットとして処理されており、スミ入れしなくれも同様の効果を与えています。AGシリーズからのフィードバックかな?

 足首アーマーは、リング状にワンパーツ成形してあり、スネ下端に被せて固定。スネの一部、と言った方が良いのかな?ポージングの際にうっかり触ってしまう、ズレやすいパーツです。軽く接着しておくのも良いでしょう。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースは付属していません。

 足首関節は、左右貼り合わせのクルブシパーツの上と、中にハサミ込んだポリキャップにボール可動を仕込んだ二重関節。横に丸パーツを貼り付けてあります。普段だとアキレス腱が担当している事が多い可動の役割をクルブシ自体にさせてる感じですね。下側関節が足の底に近いので動きが人間に近く、引き締まったデザインの制約がある中で可動クリアランスを確保出来てる点でも上手い構成です。

 足首は、左右貼り合わせの本体に、甲とカカトの外装を被せる構成。ツマ先は、フレームを兼ねた足裏パーツに外装を被せ、ポリキャップで本体に接続してあります。



 肩アーマーは、肩の球体をフチ取りを兼ねた黄色のトラスフレームで前後からハサミ込み、縦にワンパーツ成形した外装を被せる構成。さらに上部にU字形の内壁パーツをハメ込む事で、色分けだけでなく厚みと多層構造の表現も充実しています。本来は後ろにスラスターユニットが付いているんですが、デザインアレンジされなかったら、どんな分割になってたんでしょうね。見てみたかった気もします。

 側面には展開式のジョイントを装備していますが、今回は開閉するフタとして処理されています。ドーバーガンやシールドの接続は、内蔵ポリキャップに下からピン接続。荷重をフタのヒンジで支えるよりも頑丈ですし、遊びやすさの点でも優れていますね。



旧1/100キット(左)との比較。旧1/100キットはトールギスVとして発売された物で、トールギスT、Uとして組む事も出来る選択式キットでした。カラーリングが一部異なっているのは、トールギスV準拠の成形色となっているためです。

 従来のキットではドーバーガンの動きが制限されてポーズが付けにくかったのですが、今回は自由度の高いアームを用意する事で解決しています。発売前は、肩アーマーのカーブに沿ってジョイントユニットの張り出しが前後移動するギミックはどうだろう?とか考えていたんですが、心配無用だった様です。スイング式の肩関節が標準になってるので、この点も武器の自由度に貢献してくれますね。

 です。肩の球体は、前後貼り合わせの内部フレームに上下分割の外装を組み合わせる構成。内部フレームは、外装に沿った丸を基本としながらも角ばった形状を組み込んであるのが、ガンダムのご先祖様らしくて面白いと思いました。肩関節の軸位置は内側上寄りに配置。腕を上げると怒り肩の印象になります。関節スキマのカバーも、軸位置に合わせて歪めた形の物としてあり、関節軸に通します。



 上腕は、フレームにポリキャップをセットし、筒状の外装を被せる構成。フレームはコンパクトで、ほとんどポリキャップカバーという感じですね。ポリキャップは上腕からのピンを通すための物で、ヒジからのピンはフレーム底面のプラ厚に通すだけの、短い物となっています。

 ヒジは、ポリキャップを仕込んだハサミ込み式の二重関節。コの字形のヒジアーマーは、左右貼り合わせの本体から、曲げに連動して上下のパーツが分離していくスライドギミックを内蔵。ステーで引っ張る様な複雑な機構でなく、上下パーツを関節パーツに固定し、コの字形のアーマーを自由度の高い丸軸接続としてあります。ヒザよりコンパクトですが動きは面白く、パーツ同士を重ねておく事で、スライド時に保護範囲だけでなく保護面積も拡張させる効果を狙った説得力の高さも注目に値すると思います。



 前腕は、フレームパーツを芯にして、筒状の外装を連結していく構成。センサーらしい後部のスリットは旧1/100キットにも入っている表現ですが、パーツの継ぎ目に配置されてるのは筒状成形の都合も考えての事でしょう。

 手首は、EWシリーズではお馴染みの、4本指を差し替えて表情を付けるタイプ。左右とも平手、ゲンコツ、銃持ち手、サーベル持ち手が付属しています。



 バックパックは、側面が左右に開いてバーニアが展開するギミックを再現。カバー裏面のパーツがユルめに噛み合っており連動して開閉、ついでに後面の小さなパネルもハネ上がり、ユニット下部の外装がスライドして全長が伸びるという凝ったギミックが仕込まれています。内部フレームは開閉ギミックをハサミ込むためモナカ割りですが、外装は上部先端を筒状に成形する等してあり、分割ラインが露出するのは下部だけとなっています。

 開閉する側面カバーは表裏2パーツ構成。説明書では内部パーツを組み終えてから外装を被せる手順になっていますが、これは便宜上の話。表面パーツを先に貼り付けておいた方が楽だと感じたら、手順を入れ替えてしまうのも良いですね。



 カバー裏にはバーニアが固定されていますが、外側のバーニアはウイングの展開に連動してせり出してくる仕組みになっています。スライド部の噛み合わせが少なく若干デリケートでもあり、ここまでしなくても・・・と最初は思ったんですが、これ、中と外のバーニアの高低差を縮めて自然な配置に近づける狙いなんでしょうね。ギミックが多ければ楽しいだろうという、それだけの理由では無い様です。



 バックパックの取付は、肩アーマー後部にヒンジ接続されていた構造を改め、脇から伸びるアームで保持される方式に変更。従来のデザインも好きだったんですが、腕を動かすとバックパックも移動してしまうのでポージングが思う様にいかないもどかしさが有りましたからね。

 アームは胸フレームに直結しているので、外装を外した状態でもバックパックを装着可能。途中で可動するのでバックパック位置を上下に調整出来ます。ウイングゼロカスタムに近い保持方式となった事で、展開状態のバックパックがウイングにも見え、ガンダムの基礎構造はこの時点で確立してたんだなぁなどと、新設定である事も忘れて納得してみたり。案外、当時はウイングに見えない様に意図的に背中と無縁のポジションに配置してあったのでは?なんて思いました。



ドーバーガンのブローバックギミック。代わりに、旧1/100キットで採用されていたマガジンの着脱ギミックは廃止されています。

 武装です。ドーバーガンは左右貼り合わせの機関部に上から外装を被せる構成。この分割、上面に合わせ目を露出させない方式として、すっかり定着して来ましたね。内部のロッドにはスプリングが仕込んであり、砲身を前後させる事でブローバックを表現。砲身を押し込むとブリーチ部(後部を覆うコの字形のパーツ)が下がってボルトが後退、廃莢をイメージ・・・イメージ?今度本編を見返す時には注目したいと思います。調べた所によると、ブリーチとは砲尾の事だそうです。

 砲身は2分割ですが、モナカ割りではなく底面だけフタをする構成。後部のハメ込みピンを一体化せずハサミ込んであり、スプリングの力がかかる事に十分配慮してあります。マズルブレーキ(砲口制退器:砲口のアレ)はスライド金型で成形してあります。



シールド裏面の比較。左がMGトールギス、右が旧1/100トールギス。

 グリップはハサミ込み式で前にスイング可能、フォアグリップは二軸可動で前後にも左右にも傾けられる自由度の高い構造です。センサーユニットは別パーツ化してあり、レンズにはクリアーパーツを使用しています。

 トールギスUが地面に立てたドーバーガンに両手を添えるシーンが有りましたが、これを再現するにはキットや設定よりも短めでないと厳しそうですね。MGトールギスUでは、砲身を縮めて再現する様です。あれはショートタイプだったという様な解釈は・・・まあいいか。

 シールドは、表面とフチ取り、裏面パーツを重ねる組み立て。裏面は全面を覆わないフレーム状の物で、フチ取りパーツもその一部を構成しています。本来の設定では2本並んだ配置だったサーベルラックは1本ずつ左右に分散、中央にはグリップが位置する様にアレンジされました。グリップにはスリットが設けられ、武器持ち手の突起に対応。狭くて扱いにくいですが、握って持たせられるのは嬉しいですね。根元がC字形ヒンジなので、一度外しておいて、持たせた後でシールド裏にセットしても良いかも。



 ビームサーベルは、シールド裏に2本装備。ツバとグリップの2パーツ構成で、クリアーのビーム刃が2本付属します。

 組立時間は2時間50分でした。白と明るいグレーを使い分ける手法はPGストライク等でも見られましたが、配置を分散させない事でマダラな印象にならず、適度なアクセントになっていると思います。TV版とはカラーリングの相違点も多く、また当時発表されたイラストにも魅力的な物が有りますから、ムック本を引っ張り出してきて参考にしつつ、好みの塗装を施しても良いかも。トールギスVは当然として、体格の近いOZのMSにもバリエーション展開を広げて欲しいと願っています。

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