健さんの
プラモコラム

その349
 1/100 ウイングガンダムの巻

 1/100
 XXXG−01W ウイングガンダム
 バンダイ
 「新機動戦記ガンダムW」に登場
1995年4月発売 税別初出価格1500円



 MGが発売されたこの機会に、旧1/100ウイングガンダムも紹介しておきましょう。MG第一弾であるガンダム(Ver.1.0)が発売された年の主役ガンダムです。それが今またMGに加わるという事で、ガンプラの歴史も長いというか、MGも長いシリーズになったというか、時代の流れを感じますね。予算的な制約の違いも大きいでしょうけど、初期のMGってつまり、このキットと同じ時代の技術で作られてる訳ですよ。そう考えると、なんだかスゴイですね。では、早速本題に参りましょう。



 頭部は前後貼り合わせ。目と頭頂部カメラにはクリアーパーツを使用してあり、、アゴと一緒に内側から取り付けてあります。アンテナは、オデコセンサーと一体で金メッキパーツが使われています。MGでは省略されましたが、チョンマゲの横には丸モールドが有るんですね。頬ダクトはMGの様にシャープな造形も良いですが、このキットの様にあまり尖らせない方が、胸部ダクトと意匠の統一感は有りますね。実は劇中で使われなかっただけで、ガンダムヘッドに変形出来るのではないかと(略)



 ボディは、2パーツ貼り合わせのウエストを、前後から胸でハサミ込み。ダクト等にメッキパーツ、サーチアイにはジュエルシールを使ってあります。この時期の1/100キットは安価で豪華ですね。前年のGガンダムがSDガンダム(特に武者)的な発想の企画であり、しかも低年齢層の取り込みに一定の成果を挙げていた様ですから、キットの仕様も自然と近い物になったのかも。



 余談ですが、各国の意匠を取り込んだデザインも前年を引き継いでいて、新機動戦記ガンダムW設定記録集 (Part-1)によると、その地域の甲冑のデザインを取り込んであるとか。どおりで肩ヒモに相当するパーツが多いのかも。サーチアイなんか日の丸のイメージですよね。ウイングガンダムの準備稿段階の名前は(仮称でしょうけど)ジャパンガンダムらしく、企画書ではネオジャパンコロニー出身とあり、本編でも降下地点はJAPポイント(ジャパンの略)でした。



 本題に戻りましょう。ウエストは360度回転可能。フロントスカートはボールジョイントで左右独立可動します。サイドスカートは二軸可動し、MGよりも自由度が高いですね。MGの場合はロック機構に利用してあるので、前後に動かない事が大事なんですけども。リアスカートは固定式ですが、バードモード時に下端がランディングクローと同じ高さで接地し、水平に飾れるのは見事ですね。MGと比べて初めて意識した事ですが、細かい気配りです。



 股関節はボールジョイント。ヒザは二重関節なんですが、スラスターユニットまで含めた関節部を、スネに後ろから後ハメ出来る様になっています。ここが第三の関節になっていて、普段はC字のハメ込みでロックされていますが、バードモード時にはロックを解除してヒザを大きく曲げ、スネをコンパクトに折り畳みます。MS時にもこの関節を使ってやれば、ちょっと不自然ですが立てヒザも可能ですよ。

 足首関節はカカトに接続してあり、ツマ先は閉じる様に変形。足の甲はクツ上面から貼り付けてありますが、先端のスラスター部にプラの厚みが出ない様、クツに埋没する配置としてあります。足裏パターンは凹凸を使って再現。左右貼り合わせのパーツ構成でも再現可能なデザインに留めてあります。ついでに言えば、バードモードで足裏が下を向く変形自体が、プラモ化の都合に配慮した物なのかも知れません。もし再現されなかった場合でも目立ちませんからね。



 肩アーマーは、上腕を白いパーツで前後からハサミ込み、その表面に青いパーツを貼り込んであります。変形はシンプルな一軸回転ですが、結構しっかり閉じてくれます。前腕にブツからなければ、もっとしっかり閉じるんですけど、こういうケースを見るとMGの様にスリムな方がギミック面で有利な事も有るんだな、なんて気付かされますね。

 面白いのは、クリアーパーツが軟質素材である事を利用し、ポリキャップの代用として、クリアーグリーンの保持パーツを仕込んである事。肩アーマーの回転部もその一つです。規格品のポリキャップ以上の薄さを求めた結果でもあるのでしょう。完成後も見えてしまって気になるんですが、この輝きはユニコーンガンダムのサイコフレームを先取りした物として、あえて隠さずに仕上げるのも良いでしょう(笑)。



 ヒジは、上腕と前腕にハサミ込んだポリパーツ同士を連結、途中でヒネれるタイプです。代わりに上腕はヒネる事が出来ませんが、側面にスラスターが配置してある事を考えると、常にスラスターを外に向けておくという意味では、ヒジでヒネリを行うというのも意味のある事かも知れませんね。



 前腕は、左右と後部の3分割。変形時には、ヒジ付近にポリキャップで接続してある後部のフタが開いて手首基部が回転、手首は外す事なく収納可能です。ランディングクローは前腕前面ごとメッキ仕上げで、手首基部とは独立して可動します。ヒジを曲げる時に干渉するので、ヒジを少しヒネってかわし、上手くポーズを付けてやりましょう。



 手首は、親指が固定で、人指し指と残り3本の指が可動する、この時期のスタンダードなタイプ。収納スペースの都合で、同シリーズのシェンロンやデスサイズよりも小さめの造形です。また、回転収納のため手首関節がボールタイプではなく、ピンタイプになっている事も特徴です。



イメージアップパーツを取り付けた状態。当時は科学忍法にしか見えませんでしたが、今見るとほとんどGN粒子ですね。

 ウイングは、基部が二軸で可動し、羽根がそれぞれ可動します。白い羽根の回転部にはクリアー成形の保持パーツを内蔵、前縁は被せたメッキパーツで分割ラインを隠してあります。実は、設定に有るラインを活かして独自の可動を追加したMGよりも、スジ彫りに変更を加えたこのキットの方が、より大きくイメージに関わるアレンジだったかも知れません。

 羽根のスラスターは開孔してあり、イメージアップパーツと称したクリアーのエフェクトパーツを差し込める様になっています。同様のパーツは赤い羽根にも垂直に取り付け。噴射というよりマンガの効果線の様な、スピード感の表現だろうと思います。これがMGにも付属するか楽しみだったんですが、さすがに採用されませんでしたね。発想としては、目にクリアーパーツを使うなら、あちこちにクリアーパーツを使ってシリーズのセールスポイントにしてしまおうという、00シリーズに近いものを感じます。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースは付属していません。

 武装です。バスターライフルは、グリップをハサミ込んでの左右貼り合わせ。クチバシにはメッキパーツが使われています。シールドに接続するためにグリップが引き込み可動しますが、シールド接続用の突起も一緒に可動するので、分離時にヒンジに負荷をかけてるみたいで心落ち着かないものがありますね。カートリッジは一体成形され、着脱ギミックは有りません。

 シールドは赤い本体に白いパーツを貼り付ける組み立て。MGとは逆に、白い部分が2枚重ねで強固な印象に見えるかも知れませんね。腕への取付は裏面の丸穴を使用。このため左腕からピンが突き出しています。ビームサーベルは、グリップごとクリアー成形された物が1本付属。収納ギミックは有りません。

 この時期は謎のスジ彫りの全盛期だったと思うんですが、スッキリサッパリと造形されたMGと並べると、コレはコレでなかなか魅力的だなあ、なんて今更ながらに思ったりします。MGの充実を心待ちにする一方で、体形・ディテールとも、こんなゴツゴツしたサンドロックヘビーアームズを見てみたかったなと、少し寂しい気がしてるのはボクだけでしょうか。


 おまけ

 最近手に入れたので、マシーネンクリーガーのナイトストーカーを簡単に紹介しておきたいと思います。基本的な仕様は「その196 1/20ルナポーンの巻」「その269おまけ記事 AFS Mk−T」を参照下さい。



 この機体は傭兵軍の装甲戦闘スーツ・AFSの派生タイプで、夜間用のセンサーや廃熱コンバーターを増設した、夜間偵察タイプです。ガンプラだと大きなランナーに何箇所かバリエーションごとの切り替えが有ったりしますが、AFSの場合は違いのある部分ごとに別ランナーに分かれていて、1枚まるごと入れ替えてあります。夜間用という事で、成形色は黒。スナップフィットキットですが、後頭部の丸パーツだけは、接着剤を使います。



 パイロットのフィギュアも、暗視用と思われるゴーグルを装着した新規の物が付属。アニメ関連を中心に付属フィギュアのワンパーツ化が進む中、上下分割されたオジサンの頭というのは、なかなかシュールな物があります。目が隠れているので、顔の塗装が苦手という人には、少し敷居が低くなってるんじゃないでしょうか。



 今回の目玉は、左手用のマニュピレーターが付属する事ですね。レーザーで武装していないというだけでなく、工兵任務としても使われたという設定です。改造して両手持ちの武器を持たせたいと思っても右手パーツしか付属しておらず、昔から欲しかったパーツです。ガンダム00を見た今だから思うんですが、マシーネンにも左利きのエースパイロットでも登場してくれたら(略)他のAFSバリエーションにも言える事ですが、手首関節用ポリキャップの角を少しカットすると、前腕の合いが良くなる様です。



 レーザーガンの腕パーツも付属していて、選択して作る事が出来るんですが、マニュピレーター腕と両方作るには、あと1パーツ、ヒジのボールジョイントだけが足りません。せっかく手首軸受1パーツだけのために、ポリランナーが1枚余分に付属してほぼ全部余るという豪快なキット構成なのに、惜しいですね。ちょっと工作に慣れた人なら、市販のボールジョイントの径を盛るか削るかして、組み込む事も出来るでしょう。2種類とも作って、差し替えを楽しんでみてはどうでしょうか。

 2009年9月発売 税別初出価格2400円

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 2010.5.15 健 竹史

  

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