健さんの
プラモコラム

その119 MG ウイングガンダムゼロ
      エンドレスワルツ版
の巻

( 1/100 MG ウイングガンダムゼロ(エンドレスワルツ版) /バンダイ/
XXXG−00W0 ウイングガンダムゼロ
「新機動戦記ガンダムWエンドレスワルツ」に登場)



 の続編製作にあたってガンダムのデザインがアレンジされた時は、ウハウハしながらも多少の戸惑いを覚えたものです。「確かにカッコイイけど、TV版のデザインを、無かった事にしちゃうのはどうかな?!」なんて。でも、MGカトキ版ウイングガンダム説明書のインタビューで語られた話には説得力が有りましたね。「画面ではすでに独特の様式美ができあがっており、あとはもう羽根が舞うのを待つばかり」だったと。

 TV版の否定ではなく、むしろ世界観を汲み取って推し進めたもの。意味の無いバージョン違いってのは、あまり好きではないんですが、このゼロ(ゼロカスタム)が美しいのは、TV版への理解と愛着からデザインされているからなのかな、なんて思うのです。・・・ってな話はさておき、プラモ的にはゼロGアーマーを連発して、「歴史的にはどっちがホントなのよ」キャンペーンを大々的に展開中なのであります。では、キットを見ていきましょう。



 頭部カトキ版ウイングガンダムの色替えです。今回は目の下が赤くない色指定なので、マスクは目の下まで一体の新規パーツ。目の下まで一体だったアゴパーツも、アゴだけのパーツに差し替えられました。(ほほガード)も青一色の指定のため、赤だったパーツは同形の新規パーツになりました。カトキ版ウイングの時はハメ込みがキツくなくて外れやすいパーツでしたが、今回はキツめに調整され、抜けにくくなっています。

 ボディも、カトキ版ウイングガンダムの色替えです。マシンキャノンのフタや胸部ダクトウエストの下半分、エリは配色を変えるために同形の新規パーツを用意。コクピットのパーツは変更されていませんが、TV版では他のガンダムと異なり、球体コクピットという設定です。この辺の設定は、OVAにも引き継がれているんでしょうかね?



 ホビージャパン発行「エンドレスワルツ・ビジュアルムック」のフィルムストーリーで確認すると、夜間や宇宙のためかゼロのコクピット内は常に暗く(え?それはパイロットが暗・・・以下略)、側面にディスプレイを持つ、他のガンダムのコクピットとは区別して描かれている様です。属性が球体コクピット萌えの人(?)は、ハッチ開閉に支障のない範囲で内壁を曲面に改造したり、真っ黒に塗ったりすると良いかも知れません。ヒイロのフィギュアは、やはり短パンのままでした。エンドレスワルツの時期を想定するなら、ジーパンとして塗装してやりましょう。

 も成形色の変更のみ。後部のスラスター(?)は同形の新規パーツです。サイドスカートリアスカートが単色の指定になると、形が同じでも印象が違って見えるもんですね。フンドシ(センターアーマー)の青とフロントスカートの青の間に、白いスカート取付け軸がチラリと見えて目立つので、この軸は青またはメカ色に塗ってやった方が良いと思います。ウエストは背中の重さで反り返りやすいので、翼を大胆にハネ上げたい場合は、関節周辺に適当なストッパーを接着してやっても良いでしょう。



 は、配色の変更点も有りません。仕組みも同じなので変形も可能です。スネフレームの後ろには転倒対策のストッパーが仕込んでありますが、足首関節が重さに負けてヘタる事は、今回も無さそうです。翼を後ろに伸ばしても、足首からコケたりはしません。(まぁ、足首ごとコケる事はありますが:笑)細身の割に安定の良いキットだと感心しますが、関節の保持力が高いだけでなく、フレームが詰まっててウェイトの役割を果たしているって事でしょうね。

 足首も変更ありません。ただし、カトキ版ウイングガンダムの時にグレーで成形されていたクルブシのパーツは、同形の白い新規パーツに変更され、カラーリングの再現度は向上しています。



 肩アーマーも、同形の新規パーツを用意してカラーリングの違いを再現。完成時の形は変わりませんが、正面の丸モールド内の色分けが無くなったので、ここはフチと内側を、一体のパーツに変更してあります。白いパーツが重なった構成は、折り重なった羽根のイメージなんでしょうね。(その上の青いパーツは、羽根の上に着込んだ鎧?)カトキ版ウイングガンダムでは、ここを1パーツごとに異なる色にする事で、羽根の様な印象を消しているのかな?3枚のパーツの比率は旧1/100(HG)の方が設定に近い気もしますが、白いパーツが薄く小さめなMGの方が、マッチョな印象がなく、機体のイメージに合っていると思います。

 は、前腕のクローカナードに置き換わりました。腕本体の変更無しに流用できるように、最初から考えてあったんですね。手首関節カバーだけは、カラーリングの変更に対応して同形の新規パーツとなっています。

 手首は、左右とも可動指タイプの物が付属します。今回は白い成形色のパーツを新規でセット。グレーの従来パーツも、未使用パーツとして除外されずに付属しています。ゼロカスタムの手首は、設定では指も手の甲も白なんですけど、劇中では指がグレーに塗られているんですね。説明書に指示は有りませんが、劇中イメージで作りたい人はグレーのパーツを使えばいいよ、というサービスパーツになっている訳です。さすがバンダイさん!細かいニーズを分かってらっしゃる!で、あると嬉しい平手なんかは・・・やっぱり付属してないのでした。(泣)

大気圏突入モード。「完全には被えないハズだが、あえて描かない」扱いだった脚ですが、カトキ版ウイングガンダムで採用された変形によって、気にならない程度まで被えます。翼は正面の部分にロックが付いています。若干のスキマが出来ますが、これは旧1/100よりも表情豊かな曲面形状を採用したため。(どうせ顔面も露出してるんですし、何らかの冷却装置を使ってるんでしょうから、問題無いと思います。)

 バックパックは、全てABSで可動。ポリキャップの露出の多かった旧1/100に比べ、かなり見栄えが良くなりました。主翼の支持アームは、ポリキャップの収納スペースに影響されないためフラットで、それらしい形に仕上がってます。バックパック下中央のフタパーツを外すと、飾り台取付け用の穴になるんですが、穴の奥には丁度、カトキ版ウイングガンダムの時に、バックパック移動用に使ったシャフトがあります。このシャフトに支柱の先を噛み合わせて飾るアイデアがナイス。シャフトなんで、MS本体の重みで適度に振れ、ジョイント部に妙な負荷をかけません。外したフタは、飾り台の下に収納出来るようになっています。

 主翼は、本体上部が3つに割れて翼面積が広がるギミックが追加されました。設定に無いギミックではありますが、もともと有るディテールに意味を持たせた物であり、違和感は有りません。割れたスキマからは、さらに羽根を模したパーツが現れます。裏面に仕込まれた展開機構も、折り重なった羽根の様なパーツで隠してあります。くどい様な印象も有りますが、機械的な形状が見えてはイカンという事なんでしょうね。(ロボットと言うより、すでにヒイロの分身ですから。)展開部分は前後の2枚が連動。閉じた状態では形状が噛み合って、ストッパーの役目を果たしています。



 14枚の小羽根は合成ゴムパーツ。基部はボールジョイントで可動します。形が似ていて見分けがつかなくなりそうですが、根元のスジの有無とゲート位置で見分けられます。前側の6枚(片側3枚)は、大気圏突入モード(別名ミノムシガンダム:笑)時に翼を閉じるために、ボール軸自体が移動します。このギミックは旧1/100にも有りましたが、裏面の軸押さえパーツを羽根の様な外観にまとめて、違和感の無いよう処理してあります。

 副翼は、支持アームと翼の間で1軸可動、支持アームの基部で2軸可動します。と言うと旧1/100と同じ内容だと思われそうですが、軸の取り付け順序が変わりました。旧1/100の支持アーム基部は、根元で横スイングしてからヒネリ、MGは、根元でヒネってから横スイング。設定に忠実なのは旧1/100の方なんですが、生き物の羽根としては不自然な、あらぬ方向へヒネるのが得意な構造でした。(クランクの様な機械的な動きにも見えます。)MGでは常に翼のラインが背中から広がり、動きが自然です。翼を上げ下げ(すぼめる、怒らせる動作?)する可動を得意とするので、筋肉で動く生物に、より近い表現に思えます。

HG1/100ウイングゼロカスタム(右)との比較。副翼の上下可動はHGには不可能。(模型誌で機構を見る限りでは、PGでも可能と思います。)HGは設定通りの仕組みなんですが、写真の様な可動は、あまりポージングに役立ちそうにありませんね。

 副翼に内蔵された補助翼は、差し替え無しで展開可能。差し替え式だった旧1/100に比べて展開面積は小さくなり、補助翼カバーの付き方もアレンジされましたが、気になるほど面積が小さい訳でもありません。むしろ展開部分をコンパクトにまとめた事で、鋭角的でスピード感のあるシルエットになりました。旧1/100の副翼は直線的なラインが多用され、ディテールもメカニカルでしたが、今回はディテールを少なめに、曲線と曲面で表情をつけてあります。欲を言えば、後ろのフチが薄くすぼまっていれば、空力的な説得力が増したかも知れません。



 ところで、翼のABS可動パーツを集めたLランナーの中に、可動手首パーツも含まれているんですが、ランナーの流れを切り替えて「マニピュレーター3」という、手首だけのランナーとして使える様になっています。今後、いろんなキットに使われるかも知れませんね。いや、これだけで発売して欲しいって人も、少なくないかも知れません。手の甲パーツが含まれていませんが、1/100エンドレスワルツシリーズ等の手首と、ボールジョイントの径も共通ですし。(ポリキャップの深さが若干異なりますけど。)



 ついでに、Eランナー(脚フレームパーツ)の先端にも、今のところ未使用の切り替えが有る様に見えますね。Wに登場した他のガンダムの発売も予定されているなら嬉しいんですが。特にゼロカスタム唯一の対戦相手、アルトロン(商品名ガンダムナタク)のMG化を期待したい所です。TV版1/100キットのパーツを流用したためにプロポーションが他のガンダムと違っているという事もありますが、保持力の高まったドラゴンハングを展開し、飾り台で宙に浮かせたりしたら(どんなに伸ばしても倒れませんから)、さぞカッコイイ対決シーンが出来上がるのではないかと。他のガンダム達も、MG化で足首が二重関節になったら、現行の1/100キット以上に大胆なポーズが取れる様になると思います。

 ツインバスターライフルは、設定通りに2丁を合体させる事が可能。合体時に移動するライフル側面のユニットは、旧キットに比べてヒンジが目立ちにくく、スキマも少なくなりました。ユニット裏の見えない部分にもディテールが入ってます。(旧キットでは肉抜きでした。)マズル、センサー、エネルギーケーブルは別パーツ化してあります。側面のユニット裏には合体用のジョイントがあり、銃身後部にも引出し式のジョイントが有ります。合体させる場合は、左側のグリップを収納します。製品ごとのバラつきだとは思いますが、パーツが若干反り返っていた様で、銃身がハの字に開いて平行になってくれませんでした。仮組み時に、歪みのチェックをしておくと良いかも知れません。



 合体させたツインバスターライフルを構える時には、肩関節を前に引き出して右手で持たせ、左手を添えてやります。ライフルの重さで安定しにくい気がしますが、ライフル後端に、さりげなく追加された突起がミソ。これを胸のサーチアイ(説明書ではゼロシステムインジケーターと呼ばれています)のフチに引っ掛けて安定させる仕組みです。突起の幅もサーチアイの幅に合わせてあるので左右にも安定しますし、必ず顔の正面で構えられますよね。(ま、サーチアイの視界を塞いでしまう訳ですが。)



 ビームサーベルは、副翼を支えるアームの中に収納可能。クリアーグリーンのビーム刃が付属します。旧1/100では、逆さにするとすぐに落ちる、紛失しやすいサーベルでしたが、今回は取り出し時の角度に簡単に動くのに、根元は抜けにくい、適度なキツさに調整してあります。これで安心して遊べますね。主翼支持アームのさらに後方という事で、実は手の届きにくい位置だったりします。取出すポーズは取れそうにありません、残念。



 飾り台です。滞空状態でディスプレイ出来るというのは、実に優れたプレイバリューですよね。良く考えてみると、ゼロカスタムが地面に立ってる姿というのは劇中に登場してない様な。(海底ぐらい?)劇中のポーズで飾るには飾り台が必要不可欠という訳ですね。今回付属の物は、支柱の角度を75度くらいと60度くらいの2段階に調整可能。ついでにゼロカスタムを上下逆にセットすれば、落下しながらリーブラを狙撃する、OVA冒頭のシーンも再現できますよ。

滅殺!!

レイダーガンダム風のポーズを取らせてみました。腕はカトキ版ウイングガンダムから拝借した物です。ところでネオバードモードって言いますけど、ゼロカスタムの方がご先祖様ですから〜!残念〜!!

 組立時間は3時間でした。惚れ惚れする様な美しいキットですが、この機体が欲しいという熱心なファンは、すでにカトキ版ウイングガンダムを購入している場合が多いと思われます。ボクの周りでも、「すごく欲しいけど、同じ形のボディをもう1回組み立てると思うと・・・」といった意見を耳にします。なぁに、とりあえず買ってきて、胸と翼だけ組み立てて、他の部分は兼用してしまうってのもテですよ。カラフルな鳥は、世の中にいくらでもいる訳でして(意味不明)。ついでにレイダーガンダムっぽく変形させてしまったりとか。「ネオバードモードも忘れないで!」という変形ファンにはオススメ・・・できないか。これで羽ばたく姿は、見たくないですね。(笑)



 おまけ

 ずいぶん遅くなってしまいましたが、ライバルのドレッドノートも発売された所で、HGハイペリオンガンダムを軽く紹介しておきましょう。頭部はマスクとヘルメットが一体成形。目とアゴが一体になったパーツを裏から組み込む構成です。ヘルメット横にもアンテナが有るデザインのため、他のガンダムよりも安全突起が目立つ感じです。逆に言えば、削り落としてやれば効果が高いって事ですね。



 ボディは、胸部ダクトのフィンの角度が成形の都合でアレンジされています。設定では、もっと急な傾斜なんですが、このサイズではパーツ分割を細かくして再現するのも難しそうで、止むを得ない所でしょうか。背面装備が目を引く割には、MS本体があっさりしたデザインです。アクセントになり得る、特徴的な部分だけに惜しい気がしますね。腰はフロントスカートが左右一体で可動、抜け止めの突起も付いているので左右独立可動化も容易です。

 サイドスカートとリアスカートには、ドレッドノートと同様のハードポイントが有るんですが、ドレッドノートのスリットとは幅が異なり、装備の互換性が有りません。敵同士だから規格が違っても当然ではありますが、ダガー系も含めて、今後は全て統一して欲しいなぁ、と思います。互換性が有れば、数を揃えたくなったり、改造したくなったりして商品の魅力は増しますから。丸モールドの大きさが異なっていても、せめて幅だけでも統一を。



 脚にはビームナイフを装備。(解説によると腕にも装備しているそうです。)着脱が可能ですが、手に持たせる時には、ビーム発生状態の別のパーツを持たせます。ナイフホルダーがスネと一体で成形されているのは意外でした。盛り上がったフクラハギの頂点にスジ彫りが施してあるので、スミ入れするとシャープさを強調出来ると思います。スネ前後のスラスターは別パーツ化して色分け。後部スラスターは、足首フレームを兼ねています。足首カバーは、スネをハサミ込む形で組立て。正面装甲の端で分割してあるので、接着ラインが目立ちません。足首は、クルブシ付近のメカパーツをワンパーツで成形、ポリキャップを閉じ込めておいて上からセットする構成です。なかなか合理的ですね。

 肩アーマーはオーソドックスな前後分割ですが、側面のスラスターが内側を隠してくれるので、ハメ込みピンが目立つ事もありません。腕は、赤い手首関節カバーを差し替える事でアルミューレ・リュミエール(光波防御帯)展開状態を再現可能。シールド面にはクリアーパーツを使用しています。ところでこれ、UC世界のビームシールドとは違う物なんでしょうかね?詳しい設定は把握していないんですが、コミックの中には三角の基部を半開きの状態で作動させ、ソードの様に使っている描写がありました。武器に転用出来るならビームナイフの立場が(略)



 背中のフォルファントリーはポリキャップで可動。5基のアルミューレ・リュミエールで全身を覆う光波防御帯を形成し、内側からビーム攻撃を行うという設定です。(説明書には、作動状態のイラストを載せて欲しかったですね。組んだ時には活躍が想像出来ず、感情移入しにくかったです。)各部の三角形をワイヤーで射出、腕のシールド中央と同じ様に開いて作動させます。後ろの1基が小さく作られていますが、設定では同じサイズにも見えますね。無敵の装備かと思っていただけに、ストーリー中で敗北した事で、かえって機体の魅力が増した様に思います。

 武装はビームサブマシンガンが付属。センサーの下にビームナイフが仕込んであるという設定ですが、残念ながら取り外しは不可能です。フォアグリップは可動します。

 成形色は1号機を再現した物になっていますが、機体ナンバーのシールは2・3号機の物も付属します。先日ドレッドノートを購入した時に、店員さんに「ご一緒にライバル機もいかがですか?」と言われて2個目を購入したんですが、せっかくだからもう1個購入して、3機並べてやりたい所ですね。「まてよ、2号機と3号機は同じカラーだから、ナンバーのシールを左肩の前と右肩の後ろに貼れば・・・」なんて悪い考えを起こさせないためなのか、2号機の胸には荒鷲のマークが付いています(泣)。あと、シンプルな手足を見ていると、このキットをベースにユーラシア連邦の量産MSをデッチ上げても面白いかな?なんて思ったりもします。こう言う事はやった者勝ちですよ。名前は「ジムウォーリア」で。(笑)

2004.11.7  健 竹史


MG ウィングガンダムゼロEW版
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