健さんのプラモコラム　その３６７・ＨＧ　ベアッガイの巻

健さんの
プラモコラム

その３６７
　ＨＧ　ベアッガイの巻

　ＨＧ　1/144
　ＧＰＢ－０４Ｂ　ベアッガイ
　バンダイ
　「ガンプラビルダーズ　ビギニングＧ」に登場
２０１０年１２月発売　税別初出価格１８００円

　ついにアッガイが、ガンプラ売り場で一番かわいいキットの座を明け渡す日がやって来ました。見る者への心理的効果も考慮したと思われる、この愛くるしいデザイン！製作者（？）のリナが、枕元に置いて毎晩一緒に寝ているというのも納得ですね。まあ、実際にクマに出会ったらかなりコワイと思いますし、なにぶんローカルなもんで先日も「地元にクマ出没事案が多発」なんて記事が（略）えー、説明書もかわいらしく、丸っこい活字が使われたりしてますよ。

　さて、このベアッガイは、ＨＧＵＣアッガイをベースに改造して作られたガンプラという設定のため、プラモも多くのランナーを共有しています。変更ない箇所については「その２１１　ＨＧＵＣアッガイの巻」を参照下さい。

　頭部は、前後貼り合わせの内部フレームに、前後から外装を被せてあります。耳は前後＋内側の３パーツ構成で、根元がピンになった後ハメ式。左右に回転させてやると、表情に変化が付いて面白いですよ。

　目は、フチと黒目の２パーツを組み合わせ、正面から差し込みます。頭部フレームにはポリキャップを埋め込んであり、目の差し込みピンをしっかりと保持。可動する耳はともかく、目までポリキャップを使わなくても・・・という気もしましたが、余らせても仕方ないですからね。いやむしろ、せっかくポリキャップを仕込んであるのだから、何パターンかの目を用意して、差し替え出来る様にしてあっても良かったかも。黒目の表情だけは、付属のシールを使ってキラキラ目や半目にしてやる事も出来ますよ。

　ちなみに、この目はメガ粒子砲になっているという設定。ガンダムの世界観を良く知らないリナが、「目が粒子砲」なのだろうと勝手に解釈して設置した様です。スタッフが楽しんで作ってる様で、このシリ－ズの設定はどれも面白いですね。目の造形を顔のカーブに沿わせず、キッチリ正面に向けてあるために少し表情が硬い気がするんですが、メガ粒子砲なら仕方ないかな、と思います。頭のシルエットがややツブれた円になっていれば、もっと目と馴染んだかも知れませんね。

　クマの目とは別に、ＭＳ本来のモノアイも装備しています。顔の中心を通る縦のラインがモノアイスリットで、キットではミゾに丸パーツを差し込む事でモノアイを表現し、位置も自在に移動出来る様になっています。実際は三つ目、あるいはクマに擬態した一つ目かと思うと、ちょっとコワイ考えになってしまうのであります。クリアーのモノアイシールドで覆ったりしていないムキ出し状態なので、モノアイが外れて紛失しない様に注意しましょう。腕の延長パーツの着脱等で衝撃が加わる時は、特に気をつけると良いでしょう。

　張り出した口は、ポリキャップを仕込んで正面から取り付けます。鼻を表面に貼り付け、開閉式の下アゴをポリキャップに差し込んでセット。口の中にはキバがモールドしてあります。頬は、ヒゲを連想させる３本スリットの前で膨らんでいるのが正しい様です。こだわりたい人は、パテを盛って強調してやると良いかも。

　首は、ジャバラ風になったアッガイの物をそのまま使ってありますが、ポリパーツの代わりにプラパーツのピンを取り付けてあります。頭と首の接続が浅く、外れやすいのがＨＧＵＣアッガイの難点でしたが、今回はピンを深い位置まで差し込む事で安定感のある関節に生まれ変わりました。また、ピンの下で前後スイング、上でボール可動する事で、首が上下する従来の動きに加えて、前後ズラシも可能となっています。頭を持ち上げれば、首をかしげる事も出来ますよ。

　ボディは、股の間のパーツが新規の物となり、丸い尻尾が付いたデザインに変更されました。かわいらしいだけでなく、座りポーズでの安定感が良くなり、後ろに倒れにくくなっています。ぜひテディベア座りで飾ってみましょう。アクションベース用の取り付け穴やフタパーツは、今回も採用されています。ボディの他の箇所に変更は有りませんが、肩のラインが頭に隠れ、より優しいイメージのシルエットに見えますね。この頭の比率は、なかなか良いと思います。

　脚も、アッガイの物をそのまま使用。ＨＧアッガイの脚はＴＶ版のデザインを基本としながらも、ツマ先の形状や丸みを帯びたモモ・スネのシルエットに０８小隊版のイメージを採り入れてありました。アップデートは評価して良いと思うんですが、どちらか片方に思い入れの有る人にとってはどっち付かずの印象、両方欲しい人にとっては「０８小隊版は出ないのかな」と思わせる、少し残念な気持ちが有った事も事実でしょう。しかし、この脚はベアッガイに良く似合います。エッジが立っていても、ディテール過多でも、有機的なラインでも、この可愛さは出せなかったんじゃないですかね。

別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースは付属していません。

　腕も、アッガイの物をそのまま使用。手首はツメを装備していないデザインに変更されたため、可動式の物・収納状態の物ともに、今回は付属しません。左右ともミサイルランチャータイプで、劇中ではミサイルを指に見立てて使っている様です。右手のみ中央にメガ粒子砲を内蔵していますが、この機体に限っては、テガ粒子砲という呼称を提案したいと思います（笑）。

　腕の伸縮パーツは、ＨＧＵＣアッガイ同様に３サイズ各２個が付属します。クマらしからぬ攻撃手段ですが、意外にもコミカルに見えて、アッガイ以上に似合っている印象。あクマの実の能力者が水中戦を得意としているのは如何な物かと思うんですが、かわいいから良いのです。

　ところで実機では伸縮ですが、プラモでは差し替えによる表現ですね。劇中のガンプラバトルでは、どちらの表現になっているのか・・・多分伸縮するんでしょうけど、興味のある所です。こういうギミックの扱いはキットごとに違ってても良いのかも知れませんけれど。ジャバラビットＡ・Ｂ・Ｃが飛んできて空中で組み替わるとか、そんなのでも良いかな。（えー？）

ＨＧＵＣアッガイ（左）との比較。より生物的なフォルムが強調され・・・いや、生物的なのかなコレは？（笑）

　ランドセルは、ミサイルポッドになっています。そのまま通学用ランドセルのデザインになってて可愛らしいんですが、元々が軍隊の装備ですから、これまでのＭＳよりもミリタリー色が強く、通好みなデザインとも言えます。同様の理由で、水兵服の女学生につい見とれてしまうという人は、ボクだけではないハズ（笑）。キットでは、左右貼り合わせの本体でミサイルパーツをハサミ込み、底面を貼り付ける構成。フタはポリキャップで接続してあり、金具を留めてない時の様にブラブラとした動きを再現出来ます。完全に開く事は出来ないので、ミサイルを見たい時にはフタを外す必要が有ります。

　フタの裏には、強度を確保するために止むを得ずラインが入っています。説明書には劇中のミサイル発射シーンが掲載してあるんですが、どうやら本物のランドセル同様に開いたフタが後頭部に被さり、金具の穴からモノアイがのぞいて正面を見て（狙いを定めて？）いる様です。良く見えませんが、ひょっとしてフタの裏に「ＷＡＲＮＩＮＧ」とか書いてありません？これは本編で見るのが楽しみですね。

　ランドセルの取付面積はＨＧＵＣアッガイと同じなので、拝借してくればノーマルのランドセルと交換が可能です。これでアッガイにも背負い物のオプションが出来た訳で、ゲルググの様な換装システムを妄想するのも楽しそうです。・・・まさか、ノーマルアッガイはＡ型で、Ｂ型装備に換装した物がＢ－アッガイ、ドイツ風の発音でベアッガイなんていうオチとか（笑）。頭部オプションが用意されてるのもゲルググに似てますし、開いたランドセルのフタに馴染む後頭部のラインや、縦笛と連動する口は、ランドセルとセットで運用するための物と思って良さそうです。（あまり本気にしないように。）

ビーム縦笛をＲＧシャア専用ザクに持たせてみたところ。各種可動フィギュアに持たせてみるのも面白いかも。

　武装は、ランドセルの左横にビーム縦笛を装備。学校で使うリコーダーそのままのデザインです。サーベルなのかと思ったら、両手の指（ミサイル）で器用に持って、口で吹いてビームを発射してるみたいですね。てっきり丸ピンで右手のテガ粒子砲に接続出来るのかと思ってましたが、肉抜きを兼ねたスリットに、ランドセルから出た板状突起を接続出来るのみ。手には対応していません、残念。

　「粛清！」
　「ハラショー！」
　「フン、シベリア送りだ。」
（注：本物のベアッガイはこんな事言いません。）

　組立時間は５５分でした。過去に前例の無いカワイイ系のＭＳですが、コンテスト等ではこうしたネタ物を見かける事も多く、ガンプラの魅力、自由な楽しみ方をＰＲする作品に登場した意義は大きいと思います。色替えのＨｉ－ν、重武装化のＦ２０００、アイデア勝負のベアッガイと、少ない話数の中で毎回違った手法のオリジナルガンプラを登場させている点も良いですね。

　気になるのが、ＭＧでは発売されないのかな？という事ですね。元がＨＧＵＣベースの改造ガンプラなので、１／１００サイズは実在しないとは言え、同じ境遇のパーフェクトガンダムは、１／１００とＭＧで二度キット化されています。やっぱり見たいですよね？体育座りするベアッガイ。

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　2010.12.5　健　竹史