健さんの
プラモコラム

その79 HGUC ハイゴッグの巻

(1/144 HGUC ハイゴッグ / バンダイ/ MSM−03C ハイゴッグ
「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」に登場)


 水中MS特集かな?なんて雰囲気の今日この頃、新製品を並べるだけで、ホントに特集記事が出来てしまいそうですね。水中MSからポケ戦につなげて、ウハウハしてる所に4号機(後のアレックス)なんか出てしまったら、そのまま買ってしまいそうですね。こうやってマイナーだったハズの4号機が、GMクウェルみたいにメジャー機の仲間入り。てな感じで発売スケジュールの見事さに感心しつつ、撒き餌第2弾ハイゴッグ君を見ていきましょう。



 頭部と一体のボディは、上・下・背中の3パーツ構成。さらにクリアーのモノアイが仕込んであります。モノアイがクリアーなのはHGUCとしては例外的な処理ですが、「旧キットより見劣りしない様に」って事でしょうか?ボクは他のHGUCと同じ、パーツ再現しない方が、統一感が出て良かったかな?と思いますが。旧キットのボディは前後分割でしたが、今回の分割変更で上面のモールドがクッキリしました。背中下面もクッキリさせるには、さらに1分割必要だったかな?

 フェイス部分は、くり抜かれた穴の奥から、ボディ下側パーツの一部が露出する構成で再現。実はアゴの部分がUPしてヒサシに密着、モノアイカバーになる(つまり顔が閉じる)そうです。顔がくり抜いてある分、開閉ギミックを仕込む改造は旧キットよりも簡単そうですね。顔面も切り取りやすいので、差替え式の改造も良いかも。閉じた状態を考えると、アゴのラインは旧キットの方が正確ですが、他はずいぶんカッコ良くなりました。

 ウエストはグレーに色分けされました。旧キットに比べて、腹部マシンキャノンコクピットハッチがクッキリとした形状になっています。下端が腰ブロックに埋まってるのも良いですね。

 は、前面ユニットとフンドシに段差が有って、別パーツになるのが正しい様ですが、分割ラインを半端に再現してある旧キットよりも、スッキリして良い感じ。せっかく全身の出来が良いので、上級者は手を加えてみるのも良いかも。(しかし、良く考えたら予算内で中途半端にでも再現するのは当然で、当時はアレンジしちゃイケナかったんですよね。今思えば、かえって大変そう・・・)前面ユニットを、ちょっぴり前すぼみにして、側面ディテールを再現してあるのには感心しました。執念の処理かも。



 は、旧キットでは丸見えだった股関節軸が、全く見えなくなったのが嬉しいですね。ヒザを曲げ可動だけにして形状を重視、ヒネリはモモの部分で可動させています。装甲は筒状のワンパーツでリアルです。ただし、伸縮の再現(旧キットでは差替え)は省略されました。スネは、ヒザとのスキマが少なく、奥も塞いであるので、上から覗いてもスカスカしてません。スソのラインや装甲の厚み部分、下端の丸モールドの再現も丁寧です。

 足首は、関節位置を前寄りに設定して、しゃがみ方向の可動を充実させています。その場合、後ろに大きなスキが出来ますが、アキレス腱付近は内部メカが再現してあり、ちょっとした見せ場になっています。足のヒレは開閉可能。ヒレの裏は、厚みが詰まっていなくてスカスカなんですが、ディテールだけは再現してます。旧キットも同様でしたが、よりクッキリしていて吸盤みたい。内側の小さなヒレまで可動する分、ギミックは充実したと言えます。足裏中央の熱核ハイドロジェット(?)もリアルです。

足裏の比較。左がHGUC、右が旧キットです。上はHGUCの足首(左側が前)。関節が前寄りになっていて、内部メカが再現されています。


 肩アーマーは、やはり前後2分割。下辺なんかもメリハリのある形状で良いんですが、ボディ側の辺がクッキリとしたラインになって、「肩に被さってる」印象が高まった気がします。上面のスラスター(?)は、分割ラインが中央を通らないよう配慮されてます。肩関節は、設定ではボディのエグレに球体が埋まった感じに見えるので、前後にもスイング出来るのかも知れませんね。MGが出るなら、グリグリ可動に期待!です。

 は、ABSのフレームパーツに筒状のカバーを被せる構成で、節ごとに後ハメが可能です。組み合わせる前は「あれ?カバーがグラつくなぁ」なんて思いましたが、連結するとグラつきが無くなる絶妙の設計。フレームとの噛み合わせが最低限って事は、スペースいっぱいのフレームを仕込めて保持力が高いし、内側の突起が最低限でヒケも最低限って事かな。実際、保持力は高いです。良く曲がるし、全関節ボールジョイントなので、旧キットでは出来なかったヒネリが可能。すごく遊べる様になりました。

 完成後の分解も可能なので、商店街加盟店がハイゴッグを持ち寄って、アーケードいっぱいに腕を連結する、そんな夏祭りイベントも可能なのです。(のり巻かよ!)個人でも、片腕を収納状態にして、全部の節パーツを連結する様な遊びは可能ですね。

 手首(前腕と呼ぶべき?)は、長く、途中のクビレが大きくなりました。形状が設定に近いのは旧キットかも知れませんが、腕が長い方がイメージには合いそう。設定画では、ツマ先のはるか向こうに手をついており、「パースが付いてる」のではなく、本当に腕が長いのだと思うので。

 ツメは、旧キットでは、角度違いのツメが何種類も付属していて、差し替えて表情を付けてましたが、今回は根元がボールジョイントで可動式。ツメを揃えて閉じると、南斗聖拳の構えみたいです。あ、こいつブチメカ(出渕さんデザインのメカ)でしたね。劇場版パトレイバーを思い出すなぁ。

ボディパーツ(背中)の比較。左がHGUC、右が旧キットです。HGUCは、頭頂部の中心線が強調され、後頭部はパネルラインで分割。全体的に、より変化に富んだラインで構成されています。


 背中のバーニアは、旧キットよりも奥まった位置に、下向きに取り付ける様になり、より設定に近くなりました。バーニアを覆うコブも、カーブ具合に緩急の変化が付き、単調さが有りません。ボディ自体も変化のある曲面になっているので、見ていて面白いですね。ジェットパックの取付け穴は、丸ピンから角ピンに変更され、オモチャっぽさが解消されました。

 ジェットパックは、旧キットではタマゴの様な形でしたが、よりストレートな円柱形になりました。前面はカメラになってるのかな?深海艇っぽいカーブが良い感じ。バーニアもリアルになりましたが、中央付近のディテールは、スクリューも兼ねてるという解釈でしょうか?

左は、ミサイルカバーの内部構造。ツメとビームキャノンを外してから取り付けます。

中央は、腕の最大可動範囲の比較。上が旧キット、下がHGUCです。HGUCが、いかに良く動くか分かると思います。これに加えて、関節ごとにヒネる事も可能になったので、うねる様な複雑なカーブを描く事も出来ます。

右はジェットパックの比較。上が旧キット、下がHGUCです。旧キットは、今見ると全体的に丸くて、かわいらしい感じですね。


 武装は、ハンドミサイルが付属します。完成見本では黒一色で塗装されていますが、設定では白のラインがペイントされていたり、「KILL!」なんて落書き(?)されてる場合もある様です。腕部ビームキャノンに差し込んで、発射シーンを再現出来ます・・・が、排煙の噴流でカバーが吹き飛ぶという事は、カバー無しでの発射シーンでは再現が不十分って事ですかね。

 そのミサイルカバーは、残念ながら3分割ではなく、2分割。発射寸前の、開いたシーンは再現出来ません。基部も別になってませんし。ハイゴッグのメモリアルアクションって、コレだと思うのになぁ。カバーに凝って値段が上がっても、ユーザーは喜んだと思うんですが。300円UPしても、まだキュベレイと同額ですもんね。ミサイルカバーの出来自体は、良い感じだと思います。先端のディテールは成形の都合で省略されてますが。ああ!ここも3分割なら再現出来たろうに。惜しい!

水中航行形態です。こうして見ると、肩カバーは複雑な形状ではありますが、意外とミサイルカバーにフィットするデザインなんですね。


 水中航行形態への変形です。腕のジャバラ部分を外して手首と肩を直結、肩カバーを閉じます。背中にジェットパックを背負わせ、足のヒレを閉じます。モモの収納は、キットでは省略されてます。手首にはミサイルカバーを被せますが、ミサイルどころかツメも収まりません。手の甲を外し、ツメをビームキャノンごと取り出してからカバーで覆います。腕ごと交換していた旧キットを思えば、外観だけでもリアルになりましたけどね。MG化されても、パーツ差替えは免れないかも。

 組立時間は、1時間20分でした。出来が良いと思っていた旧キットなのに、比べてみると全身にわたって形状が良くなってます。ガンプラの完成度が、いかに高くなったか、って事ですかね。一見しても、値段と比べても、すごく満足度の高いキットだと思います。



 機体解説を読むと、ゴッグからの大幅な変更にも納得。ズゴックとの連携を考えて、目的のある再設計だったんですね。・・・てな事よりも、あまりのカワイさに、カプールの親分みたいに見えてきました。カプル隊の隊長機として、ターンエー世界でも活躍して欲しかった。などと妄想しつつ、腕組みなんかさせてカプルを添えてみたりして。うーむ、ホントはカプール(カプルじゃなく)の方が背が高いんですけどね。



おまけ

 こちらも水中MS、グーンのコレクションキットを、軽くご紹介。箱を開けると、そのサイズに驚きます。これで400円とは!コレクションシリーズ仕様でなければ多分、ファーストガンダム当時でも、400円では収まらなかったでしょうね。量産メカ好きの人には、かなりお得感が有ると思います。(ボクもその一人:笑)

フフフ・・・愚かな人間どもめ!

 腰サイドアーマーは別パーツ、ウエスト回転可能と、この辺は同シリーズのガンダム系より充実してます。肩カバーは、実機では可動するのかな?キットでは固定ですが、腕は前にも横にも良く上がり、ヒネりも可能。手持ち武器も無いMSでこれだけ動けば、あまり不満は出ないかも。でも手首の穴は、同シリーズのライフルに対応していて、持ち換え遊びが可能です。水中用のオリジナル武装を自作しても良いでしょう。

行け!カニ怪人。ガンダムの息の根を止めるのだ!!

 足首の自由度が高いので、ウエスト回転と併用すれば、歩いている様なポーズ付けも可能で、ヒザが動かない事も、あまり気になりません。ウエストのみ後ハメ不可ですが、ポリキャップを仕込むなんて今風な改造をしなくても、旧ゲルググの様に穴とピンを切り欠いて、ハメてヒネる方式にすれば十分でしょう。

おのれガンダム!またしても・・・!

 グーンバクゥアストレイと、HGで発売されてないキットは今のところ「当たり」ばかり。シリーズの役目を果たしつつ、上級者にも十分に貢献してると言えるんじゃないでしょうか。ところでコイツの腹、なんだか顔の様にも見えるんですが・・・。ザコのフリして、最終回にはザフトの戦艦にヘッドオン!巨大ロボにトランスフォームするとかしないとか。この人相、ぜったい人類支配を企んでいますって。監視のためにも、ぜひゾノの発売を!


2003.6.18 健 竹史

HGUC ハイゴッグ
HGUC ズゴックE
HGUC シャア専用ズゴック
HGUC ジム寒冷地仕様


1/144 モビルグーン

野田 知佑 ユーコン漂流 文春文庫
野田 知佑 ゆらゆらとユーコン
野田 知佑 北極海へ―あめんぼ号マッケンジーを下る

[HOME]

inserted by FC2 system