健さんの
プラモコラム

その362
 HG ビギニングガンダムの巻

 HG 1/144
 GPB−X80 ビギニングガンダム
 バンダイ
 「ガンプラビルダーズ ビギニングG」に登場
2010年9月発売 税別初出価格1600円



 「平成のプラモ狂四郎」が、ついに始動です。本家の公式企画という事で、ガンプラしか登場しないと思われますが、だからこそ出てくる広がりとか統一感も有るハズ。「ガンダム以上にガンプラ好き」な一人として、楽しみにしたいと思います。何しろ、作品数・アイテム数とも、当時とは比較にならないほどガンプラの世界は広がってますからね。第一報を見る限りでは、今のところ登場する機体はUCベースの物ばかりの様ですが、せっかくなので他の世界観のガンプラも出して欲しいですね。ボクはこの企画の可能性を広げるために、平成ガンダムのHG化に着手したんじゃないかな?と想像しています。

 原典のガンダムシリーズでは全ての作品を肯定するのに黒歴史という発明を必要としましたが、ガンプラを題材にするだけで、世界観を超えた夢の共演は可能なんですよね。世界観の違いも、プラモの上ではシリーズの違いでしかなく、今日も机の上で色んなガンダムが共演してる訳で。ようやく時代がブンドドに追いつい(略)。気になるのはスケール違いのモデルが登場するのかという事。一口にバーチャルと言っても、プラモ対決とMS戦、どちらのイメージを追求したいかで作品内容が大きく違って来ますから。出来れば非公式戦でも反則でも良いので、一度はスケール違いの戦いを見せて欲しいものです。あ、ラスボスは1/1ガンダムでどうですか?って言うか、物語の始まりが、刹那とオーガンダムの出会いにダブってます?

 てな勝手な事を、続報も配信映像もロクに見ないで書き連ねたところで、本題に行きたいと思います。



 頭部は、前後貼り合わせのヘルメットでマスクをハサミ込む構成。アゴは別パーツ化されていて、下からハメ込み。最近では内側に仕込まず、外側からハメ込むタイプのアゴパーツが増えて来ましたね。クマドリが別なら塗装後にハメられた方が良いだろうという判断かも知れませんが、パーツが小さくて向きの判別も難しく、持ちにくいので、ビギナーを対象にしたキットにしては敷居の高い部分かも。

 は後ろに伸びた形状で、張り出し部分を後ろからハメ込み。チョンマゲも後ろに伸びていて、耳とセットになったデザインの様です。アンテナはビームで形成されているという設定で、クリアーパーツが使われています。安全突起が透けて見えますが、説明書の完成見本では丁寧に削り取ってありますね。劇中では、アンテナのビームはビームバルカンとして攻撃にも使われるそうです。



 ボディは、2パーツ貼り合わせ式のウエストと肩関節を、胸パーツで前後からハサミ込み。肩関節は前後スイング式で、特に前に大きく引き出せる仕組みですが、軸位置を後ろ寄りにしてあるのは胸板が大きく斜めにカットされている都合でしょうか。そのためもあって、ボディと肩アーマーの間には常にスキマが開いた状態です。その一方で、厚みを抑えたボディの印象は人体に近く、引き出した肩が胸より前に出るのは画期的かも。

 エリは上からセット。内側のメカニック部分と周囲の囲いの間にスキマが有り、1/100でも発売されれば大きく動かせそうな感じのデザインですね。と言っても、このキットは実質1/1だと思うので、他のスケールでの展開が想定されてるかは謎ですが・・・1/100パーフェクトガンダムの前例に続けるかは、キミたちの応援しだいだぞ?!は二重関節ですが、ポリパーツを上下逆に仕込んであるのが珍しいですね。胸の張り出しは、白と赤のパーツを組み合わせて正面から取り付け。ダクト(?)も同様です。



 ウエストは、ボールジョイントで腰と接続。ダブルオークアンタ同様に脇下端がカットされたデザインで、引き出しの効果は高いですよ。前後貼り合わせ式ですが、側面の三角プレートをシャープに成形するには、左右貼り合わせにする選択肢も有ったかも?



 です。フンドシフレームは、縦方向にワンパーツ成形された本体の上面にフタをする、HGダブルオーに近い構成。ですが、フタがフレームと深く噛み合い、さらにフンドシ前後パーツでロックされ、外れ防止が確実になった事は大きな改善点ですね。フロント・リアのスカートは左右一体で可動。切り離せば独立してボール可動に出来ます。



 サイドスカートは、前後の三角プレートを別パーツ化してあり、クッキリ成形。腰には極小ボールジョイントで接続してあります。浮き上がらない様に押し込みながら動かせば自由度は高く、足を真横まで上げても干渉しません。

 です。股関節はフンドシ下から差し込んであり、左右スイングが可能。飾り台取付穴にフタは有りませんが、元がプラモだから恥ずかしくないのです。



 モモ上部はポリキャップをハサミ込んでの前後貼り合わせで、三軸可動。モモ本体は前後貼り合わせで、前面は脚を真っ直ぐ伸ばした時に、ヒザアーマーと一体化するデザイン。モモ後面は上が斜めにクボんでいて、リアスカート下の三角プレートと噛み合い段差を抑えるデザイン。ここも人体に印象を近づけると言うか、装甲を着込んだ感じを避けてあるのかも。

 ヒザは、ハサミ込み式の二重関節。パーツ構成が上下対象になっているのが面白いですね。組み間違いも防げますし。ヒザアーマーは関節正面に固定。側面には青い三角パーツを貼り付けます。



 スネは、ヒザ関節を前後からハサミ込み。ヒザ側面の白い三角プレートは、スネ後側とモモ前側のパーツをスライド成形する事で、クッキリ再現してあります。スネ上部は、ヒザアーマーに隠れる部分にも装甲が有り、ヒザを曲げてもすぐにはスキマが出来ない構造になっています。スネとモモが密着するまでヒザを曲げても、関節の曲げ角にはまだ余力が有ります。上下どちらの関節を優先的に曲げるか、考えながらポーズを決めてやると良いでしょう。

 足首関節は、HGUCザクの様にL字に折れ曲がった状態で仕込んであり、引き出す事で可動範囲を拡大出来ます。下側はボール可動で、十分に引き出せば360度のヒネリも可能。スネではなく足の甲に接続された足首アーマーは、関節可動を妨げないための判断なのでしょう。クルブシの三角プレートは3枚一体で、スネ側面に固定してあります。



 足首は、クツとフレームパーツで足首関節のポリキャップをハサミ込み。甲パーツは上から被せ、カカトは後ろと横から三角プレートを貼り込みます。ダンバインエルガイムの時期の3本ツメの足を思い出させますね。

 肩アーマーは、肩の球体を前後からハサミ込み。ある程度上面を塞いでありますが、ほぼ上下・前後対象のデザイン。怒り肩に描かれにくく、劇中で過度に勇ましくならない効果が有るかも知れませんね。・・・もっとも、今回の作画はプラモに似てる事が第一義なんで、極端なアレンジは行われないと思いますが。



別売のアクションベースを使用しています。
このキットにはアクションベースは付属していません。

 です。肩の球体は、ポリキャップをハサミ込んでの2パーツ貼り合わせ。このキットでは00セカンドシーズン用のポリランナーを採用していますが、肩関節のフォーマットは踏襲していません。肩アーマーを貫通して、肩の球体へピン接続。肩関節軸と、それを通すための丸穴は、それなりにメカニカルに見え、目新しさも感じますね。

 上腕は、筒パーツ・外側半周のカバー・三角プレートでコマ切れに覆われているデザイン。あんまりバラバラなので、ヒジ上腕フレームに個別に貼り付けていきます。ヒジ側面にも青い三角プレートが有って、一見するとどこで曲がるのか分からない、面白いデザインですね。



 ヒジは、ABSの関節パーツ(上腕フレーム)を左右からハサミ込み。関節内側のコーナーが飛び出したデザインは、曲げるに従って引き込まれ、入り込んで行く様子がメカニカルで面白いですね。同時に、パーツの向きを判別しやすくしている気もします。

 前腕は、ヒジ関節をハサミ込み、ヒジアーマーと手首アーマーを取り付ける構成。ハサミ込み部は固定式なので、ヒジは二重関節にはなっていません。ヒジアーマーは丸みを帯び、腕を伸ばした時には上腕に密着するデザイン。手首アーマーは可動を妨げないギリギリまで手首に近づけてあり、密着感が良い感じです。



 手首は、右の穴開きゲンコツと右の武器持ち手、左の穴なしゲンコツが付属します。この他、指にはさんでサーベルを3本同時持ちした右手が付属。これはビームまで一体でクリアー成形されています。左手は完全に握っていてリアルなのは嬉しいんですが、せっかくのライフルを両手持ち出来ないのが残念ですね。



同時発売された対戦相手、HG Hi−νガンダムGPBカラー(左)との比較。恐らくどんなガンプラと並べても異質な、プラモそのものに見える事を狙ってデザインしてあるんでしょうね。ライダーで言えばディケイドみたいな。

 バックパックは、フラットなデザインに三角プレートを貼り込んだ物。下側のグレーの三角は、3基一体で成形されています。下端左右には、張り出したジョイントの先端にボール可動式の三角プレートを配置。ここを含めた全身の三角プレートはフィールド発生装置で、飛行時のスラスターとしても使えるという設定です。コーン、レンズ、丸一モールドに作品独自の意味を持たせた00のアイデアを、今度は三角形に当てはめようという事ですね。突起として人型のシルエットを崩す事なく全身に配置出来る意味でも優れていると思います。



 サーベルラックは、白い芯パーツに青い外装を被せ、後ろから取り付けてあります。階段状に左右各3本のサーベルを配置。肩の上にはラックに被さるカバーが付いています。

 武装です。ビームライフルは、グリップを左右分割の銃身でハサミ込み、銃口と三角モールドを貼り付けます。フォアグリップはC字形ヒンジで後ハメし、可動式。デザインも色使いも、従来のガンダムと比べて良い意味で異質ですね。細くて弱い部分がどこにも無いって、とてもビギナーフレンドリーな事だと思うのです。



 ビームサーベルは、スライド金型を使ってビーム取付穴を開けた物が6本、サーベル裏に装備する3本一体成形の物が3本、合計9本付属します。背中の物も含めて、3本まとめて取り出しやすい配置になっていますね。これだけ本数が有るのに右手にしか対応しておらず、ビーム刃も1本しか付属しないのが惜しいですね。



 シールドは、白い本体の表面に青いパーツを貼り込む構成。表面の三角はシールで色分けに対応。赤い三角の方は穴まで開いてるので、パーツの組み付け忘れかと思いましたよ。ここには今後パワーアップした時に、何かを取り付けるのかも知れませんね。シールド裏も謎の穴だらけで拡張性が高そうです。



 腕への取付は、アダプターを介して前腕の角穴に接続。角穴は両腕に有りますが、シールドは左腕専用との事です。アダプターは回転しない固定式で、ちょっと珍しい気もしますが打突武器としては正しい姿かも。腕を曲げる時は、横向きのハメ込み突起に負担がかからない様、シールドに触らず腕だけを持ってポーズを付けると良いでしょう。

 組立時間は1時間20分でした。実物がプラモというだけあって、プラモの出来が良くないと始まりません。その点このキットは実に良く動き、ガンプラバトルでの活躍シーンを十分にイメージさせてくれます。無改造でも「おまえの弱点は○○の関節が動かないことだ!」「うわぁ〜!」みたいな事にはなりませんよ。多分。



 今後の展開ですが、説明書では主人公のスキルアップと共にビギニングも進化していくであろう事が触れられています。進化するならおそらく外観の変化を伴うと思いますが、全身にある三角プレート用の取付穴を使えば、色替えでもユニット増設でもフルアーマー化でも何でも出来てしまえそうで、どうなるか予想もつきませんね。なかなか上手い素体を考えたものです。凶悪な一例としては、額みたいに全身からビームのトゲが出るとか(ヒーッ!)。

 もっとも、デザインは変わらずにHGからRGにアップグレードするとか、そんな進化がある意味一番ガンプラらしいのかも知れませんけども(笑)。


 おまけ

 あわせて、HG Hi−νガンダムGPBカラーも紹介しておきましょう。HGUCではないのがミソですね。カラーリング以外は元キットと変わりませんので、詳細は「その304 HGUC Hi−νガンダムの巻」を参照下さい。



 最初に登場(発売)されるライバル機を何にしようかというのは、企画がスタートする段階で色んな検討がなされたと思うんですが、映像作品に登場していない機体を選んだというのは面白いですね。「ベルトーチカ・チルドレン」をまるごとアニメ化するのは大変な事ですが、ガンプラビルダーズは登場機体にだけでも、映像で活躍するチャンスを広げた訳です。しかも、このHi−νは公式化にあたって近年デザインが改められた事もあり、さらなるイメージの定着化を図りたいという狙いも有ったのかも。



 また、「狂四郎」では作品オリジナルの機体が登場するまである程度の期間が有ったと思いますが、この作品ではいきなりオリジナルカラーの機体を登場させました。プラモを自由に塗って良いのだという、メッセージでも有り、作例でも有りますね。まあ劇中では個人作品のハズが、発売された途端にこれも公式になってしまうんですけれども。ともかく改造機体は後に登場させるとして、まずはオリジナル塗装からと言うのは、ガンプラのステップアップとしても順を追っていますよね。



 実はこの機体(モデル)も無改造ではなく、金に物を言わせた改造を施しているそうなんですが、そこも含めて商品化して欲しかった様な気が。いやいや劇中と同じ様に、このキットを金に物を言わせて改造してこそ追体験?この作品ゆえのジレンマですね。ところで金に物を言わせて改造した箇所って、どこなんでしょう?例えばフィンファ(略)・・・えー、ともかく作品の早い時期でお金持ちとお知り合いに(出来れば友達に)なっておくと、ドラマの展開で何かと融通が効くのであります。



 この企画が映像作品としてどのくらいの期間展開されるのか分かりませんが、コミックやゲーム(相性は良いのでは?)に引き継がれ、ある程度継続すれば、今回の様にバリエーションの存在しない機体にも繰り返し発売の機会を作る事が出来、キット化の敷居も低くなるかも知れませんね。既存金型を転用した一過性のシリーズに終わらず、ガンプラの可能性を一気に広げる一大事件になってくれればと思っています。

 ところで、ユニコーンに対するバンシィみたいな2番機やら同型対決を近年良く見かけますけど、もしビギニングガンダムでそれをやるなら、テストショットを登場させてみてはどうでしょう?ただの色替えでなく、いかにもプラモらしいと思うんですけれども。敢えてどんな色だったかは聞かずにおきますが(笑)。

2010年9月発売 税別初出価格2200円

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 2010.10.6 健 竹史

  

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