健さんの
プラモコラム


その211
 HGUC アッガイの巻

(HGUC 1/144 アッガイ/
 MSM−04 アッガイ/バンダイ
 「機動戦士ガンダム」に登場)



 同じパーツを分けた兄弟機という事で、MGザク2.0と同時にHGUCアッガイが発売であります。価格はHGUCズゴックの2倍、さすがに大きいですね。ボディのボリュームがMGザク2.0と同じくらい有るんですけど。発売時期を同じにしたのは「1/100ザクと比べてみてくれ!アッガイの設定身長はこんなに大きくていいのか?!」という企画担当者の心の叫びでありましょうか?

 そんな話は置いといて、早速キットに目を通していきましょう。



 頭部は、右・左・下の3パーツ構成のフレームのスキマを、クリアー成形のモノアイがスライド移動。ハメ込み強度を確保するために斜め後ろのレールは埋まっていますが、頭頂部を通って真後ろにモノアイを移動させる事は可能です。モノアイを動かす時には、頭蓋パーツとクリアー成形のモノアイシールドを一端外してやります。

 頭部バルカンはMG同様別パーツ化。外装の穴から銃口がのぞく様になっています。クチバシは正面から成形。根元パーツにクチバシを被せた途端に、ガッチリと噛み合って安定するのが面白いです。



 は左右分割で、ハサミ込んだポリキャップで前後スイングが可能。左右の可動には、HGUCの首用ポリパーツを使ってありますが、ハマリ込み深さが不十分で、やや抜けやすくなっています。手に持つ時は頭部ではなく、ボディを持つ様にすると良いでしょう。

 ボディは前後貼り合わせておいてから、ヨダレかけを貼り込んでいきます。肩関節軸と股関節軸はABS製で、先にボディにハサミ込んでおきます。ボディ正面のジャバラ部分は、MGの様なスジ彫りではなく、厚みのあるプレートを貼り込んだ様な解釈に変更。08小隊版のディテールという訳でもなく、今回加えられたアレンジの様です。



 ハッチはスジ彫りで表現されています。旧キットでは接着時に開/閉状態を選択出来ましたし、MGでは開閉ギミックが採用されていました。開いた状態に出来ない初のキットですね。差し替えで昇降リフトまで再現してあっても良かったんじゃないかと思うんですが、欲張りでしょうか?



 股間のフタパーツを取り外すと、HG SEEDデスティニーシリーズ等の飾り台に対応した取付け穴が露出します。ボクは、他のMSの様にスカートに隠れたフタパーツは外しっ放しにしているんですが、アッガイの場合は丸見えになっているのでフタパーツを紛失する訳にもいきません。外したフタパーツは、首の中にでも収納出来ると良かったかも。バックパックの中に隠す事も出来ましたが、うっかり開かなくなると面倒なのでオススメ出来ません。



 は、モモとスネにフレームを内蔵。メカっぽいディテールも施されており、準MGといった感じです。股関節は2軸可動し、そのすぐ下でヒネリ可動も出来る様になっています。ヒザは二重関節。下側はハサミ込みですが、上は後ハメ可能です。外装はモモ・スネとも筒状にワンパーツ成形。ヒザの後ろはMGの様に外装を貼り込んでないので、大きく切り欠いてある様に見えます。

 足首は、ボールジョイント+カカトが浮き上がる引き出し関節の組み合わせ。足裏パターンはスクリューの配置が似ているだけで、MGとは別物となっています。08小隊版アッガイとも異なるパターンですね。曲線的なツマ先の形状は08小隊版に似せてありますが、ツマ先が可動する様にもなっておらず、あくまでTV版をベースに、08小隊版の要素を部分的にプラスしたデザインと言えそうです。



 です。肩関節カバーは、球状になった肩の付け根に被せる様にセット。固定式になっている股関節カバーと異なりグルグル回るので、ポーズを付ける時には向きに気をつけてやりましょう。上腕は2軸可動。前後貼り合わせの内部フレームに筒状の外装を取り付ける仕組みです。ヒジは、上側がボール可動、下側が軸可動の二重関節となっています。

 ジャバラ状の伸縮部分は、MGの様に可動ギミックを仕込むのではなく、差し替え式で再現。1関節ごとにボールジョイントで連結してあり、左右それぞれ節が3つ付属します。大中小を使い分けて、先に行くほど細くなるように取付け。片腕に6節全部使って大きく伸ばす事も可能で、その時は大大中中小小の順に組み替えて取り付けます。キットをたくさん買って、たくさん連結するのも楽しそうですね。曲げる時には、関節を少し引き出す様にしてやります。



 ジャバラのハメ込みはキツめで、保持力に問題は有りませんが、分解する時は少々大変。ABSとプラの二重構造ですが、関節保持力がしっかりしているため、単純に関節を引っ張っただけでは、内側のABSフレームが先に抜けてしまいます。一部内部フレームが露出して「曲がる方向はこっち」みたいなデザインになっていますが、ここを押さえながら外せばフレームパーツが抜けるのを防げる仕組みになっています。



 前腕は、やはり貼り合わせ式の内部フレームと筒状の外装の組み合わせ。ヒジ関節は前腕側にハサミ込んであります。

 手首は、可動ツメ・引っ込んだツメ・6連ミサイルランチャー・6連ミサイルランチャー+メガ粒子砲と多彩な交換パーツが付属。シチュエーションに応じて交換してやりますが、着脱部分には上腕側・手首側とも、それらしいディテールが入っています。気の効いた演出ですが、手首との境い目はミサイルやツメが通っているので、実際は仕切られているハズはありません。アタッチメントの交換シーンをディオラマで再現したい人は、前腕ごと交換(あるいは前腕の中身ごと交換)する仕組みになっていると思われるので、その様に再現すると良いでしょう。



 可動ツメは、根元がC字形に切り欠かれたツメを、基部のヒンジに1本ずつハメ込んでいく組立て。メガ粒子砲は、穴から基部パーツが露出する方式で砲口部分を色分け。ちなみにここはバルカン砲とも言われていて、説明書でも併記されています。両方存在したと考えて良いでしょう。



 引っ込んだツメは、ツメと外装を同じ色で成形するため、メガ粒子砲を単独パーツ化して色の違いを再現。その一方で、6連ミサイルランチャー+メガ粒子砲の場合は砲口が外装と一体成形で、色分けされてなかったりするんですが。ミサイル自体は内側パーツが穴から露出する構成となっています。



 この他、08小隊に登場した「片腕アッガイ」を再現できるフタパーツが付属。前腕を取り外して取付けてやります。劇中と同じ装備とするには、右腕が前腕無し、左腕がツメ付きタイプを使用します。



 バックパックはインテーク(?)の部分を、内側パーツの一部が露出する様にして別パーツ化。ユニット表面にふくらみが追加され、バーニアが釣鐘状の物に変更されています。箱のシルエットはTV版をベースとしながら、08小隊版のディテールを加えたデザインの様ですね。

 バーニアは他キットのフロントスカートの様に2基が一体で可動。背中の取付け面はシンプルなクボミですが、バックパックの裏面にはディテールが施されています。



MGアッガイ(左)との比較・・・と言うより、親子アッガイですね。「うちの子、かわいいでしょう?まだ首が座ってないんですけど」なんて声が聞こえてきそうです。(笑)
この状態を再現するコツは、MGのヒザにツマ先を乗せ、MGのハッチに股下を乗せる事です。

 組立時間は55分でした。MG内蔵ギミックを追及した傑作キットであるのに対して、今回はパーツ交換によって多彩なシチュエーションを再現した傑作キットと言えるでしょう。08小隊版のディテールを一部に採用しながらも全体としてはTV版を基本にしています。脚を角張らせる等すれば、よりTV版に近づいてくれると思います。



旧1/144アッガイ(右)との比較。身長設定は後になって確定したもので、旧キットの様な小さめのアッガイも当時としては間違いでは有りません。

 まぁ、ボクの脳内では、アッガイアッグシリーズ宇宙から来た謎の生物という事になってますんで、キットごとに形や身長に違いが有っても、個体差という事で気にならないんですけども。そのうちスピルバーグあたりが、アッガイを主役にして映画を撮ってくれるんじゃないかと期待してるんですが、そういうオファーは来てませんか?(来てません!)


 おまけ

 この機会に、旧1/144アッガイを紹介しておきましょう。キットは旧1/144シリーズの中でも特に「難あり」の部類に入る物の一つではないかと思いますが、これは股関節カバーをスカート式に処理した影響が大きいでしょう。後発の1/100キットでは股関節カバーごと脚をスイングする事が可能となっており、可動・外観とも向上しています。1/100発売以前に「HOW TO BUILD GUNDAM 2」で小田さんが股下前後幅を切り詰める工作を紹介しておられますが、見違えるほどカッコ良くなっていましたね。あの工作を行うと股関節の可動が制限されそうですが、どうせキットでも大きく動く訳ではないのですし、最初からゴッグの様な一軸可動でも良かったかも知れません。



 とは言っても、当時標準だった横棒式の股関節軸の下にボールジョイントを取り付けた脚の可動は画期的で、開脚・ヒネリどころか、左右の脚の長さを変える「休め」の様なポーズも可能となっていて、注目すべきポイントと言えます。ボールジョイントのパーツ構成も、球をハサミ込む2パーツを接着するだけでは弱いと判断して、ロック専用のパーツやモモパーツで頑丈に固定、テンションをかけるという保持力への配慮がなされています。ボールジョイントを採用した最初期のガンプラなんですが、良く出来ていると思います。



 腕の付け根にも、股関節と同様のボールジョイントを採用。ヒジは曲がらず、伸縮もしませんが、右腕のツメが6本とも可動し、しかも伸縮可能となっています。直径2センチの手首の中に20パーツが密集する組立ては細かくて大変ですが、1/144ズゴックのツメが開閉選択式だった当時、たいへん高く評価されました。左腕はミサイルではなくツメの様なモールドとなっていて、ボク自身も当時「ツメの代わりにミサイルが仕込んである」という認識が有りませんでしたから、両手ツメを再現しようとキットを2つ買いました。このキットで初めてニコイチを実行した人も多かったのではないでしょうか。



 頭部はボディと一体成形のため無可動。クチバシがずいぶん上を向いていますが、これは上下逆に接着すると垂れ気味になって改善します。と言うか、説明書でもどちらが上か分かりにくく、ホントはもともと垂れ気味に接着する事を想定して設計してあるのでは?とも思うんですけど。

 「難あり」とは書きましたが、これは難易度の高い機体であったためとみるべきで、股下前後幅以外の比率は概ね適切だと思いますし、300円とは思えない意欲作だと思います。ギミック以外の面でもハッチを開閉選択式にするなど、ちょっとした事ですが愛を感じますね。こんな良いキットが、ガンプラコレクション程度の値段で買えるなんて、良い時代になったものです。(順番が逆だよ、逆!)

 実はバックパックのサイズがHGUCとほとんど同じだったりするんですけど、これは流用しろという事なんでしょうか?複雑な形ではありませんけど、よりTV版に忠実なアッガイが欲しいという方は、検討してみても良いかも知れませんよ。


2007.5.27 健 竹史


  

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