健さんの
プラモコラム

その81
MGゴッグの巻

( 1/100 MGゴッグ/ バンダイ/
MSM−03 ゴッグ
「機動戦士ガンダム」に登場)


 個人的な話なんですが、こんなに発売日を楽しみに待ったキットは初めてです。今回の目玉、「腕の収納ギミック」は、ホビージャパン99年7月号で、GEXのコーナーに載せて頂いたボクの投稿にソックリなんですよ。参考にして頂けたなら嬉しいですし、偶然似たなら、それも嬉しい事です。当時はHGUCがスタートしたばかりで、HGUCゴッグに採用されなかった時は「やっぱり無理が有ったのかなぁ」なんて思ってましたが、ボクは4年間待ったのですハイ。それでは各部を見ていきましょう。



 頭部は、首関節が自在に可動する頭部フレームに、ワンパーツの外装を被せる構成。モノアイシールド(クリアーのカメラカバー)は、外装の内側に貼り付けてあります。面積が広いので、顔を近づけて覗きこむと、内部が見えてしまいます。見える範囲だけでも接着ラインを消しておくと良いでしょう。解説書内のBEE−CRAFTさんのイラストでは、頭部メカにザクのダクト(口)みたいな物が描かれてます。これを真似て作り込むのも面白そう。

 モノアイはボールジョイントで可動。頭頂部のマルチプルランチャー(フリージーヤード発射口)は、内部メカが穴から露出する形で再現。三角形のエリの様な部分は、スプリングで上下します。頭部の可動に合わせて、スキマを塞ぐパーツなんでしょうけど、実際はエリを押し込むまで頭部を動かす事は無いので、固定でも良かったかも。いや、「実物はこうなっている」という主張をするのもMGの仕事ですよね。

 ボディは、フレームの状態でも、なかなかの迫力。せっかく丁寧にデザインされたフレームも、ハメ込みピンが配置されると興ざめしてしまいますが、最近では、デザインにも見えるスリットに、板状の突起をハメる構成で外装を被せる様に変わってきていますね。このゴッグはボディだけでなく、全身の装甲着脱部に気を配ってあり、ピンはずいぶん少なくなってる気がします。

 ボディの外装は、肩と首が大きく切り欠いてあるので、肩の上部分が極端に細くなっています。前後のアーマーが接している部分は、肩上で4ミリ、ワキの下で7ミリ程度しかないんですが、特に肩上は、ピン等で接続していないので、ちょっとベロベロします。ピンとは言わないまでも、パーツ裏にツメでも付けて、補強してあれば良かったかも。(まあ、中も狭そうなんですけど。)コクピットハッチは上に開くんですが、ブラブラしませんね。開いたまま飾っておく事も出来そうです。


ボディ上部には、こんなツメが付いていれば、多少は噛み合わせが安定したかも。もっとも、パーツの内側は、1ミリでも惜しいくらいに肩アーマーのジョイントが迫ってまるんですが。

 ウエストは、内部フレームとしては胸と一体のユニットになっています。拡散メガ粒子砲魚雷発射管も色分け済み。(拡散メガ粒子砲は、中央部を塗装する必要が有りますが。)赤パーツがカラフルな事もあって、組立て中、ここがライダーベルトみたいに見えました。MSM−01から技を、MSM−02から力を受け継いで実用化に至ったんじゃないかな?なんて勝手に想像するボクはライダー世代です。

 です。オムツ(いや、海パンと呼びましょうか、水陸両用だし)の様なアーマーは、内側パーツも付いていて、装甲の厚みを再現。MGドムのスカートの組立てを思い出しました。内部フレームは前後対称で、ゾックへの繋がりを連想してしまいました。腰部フロントに張り出しが有るという事は、アーマー内部にも内部メカが詰まっているという解釈でしょうか?有り得る事ですよね、この時代のMSなら。

 股関節には、脚部の引き込み機構を仕込んであります。「股関節軸が奥へ移動して、モモと胴が密着する」程度ではありますが、航行時の抵抗が軽減しそうな印象は十分でしょう。股間のスラスターを引き出すとロックが解除され、通常形態/航行形態に変形させた後で、スラスターを戻せばロックされます。ギミック自体も良いですが、ガタつきの無い確実なロック機構に嬉しくなります。



 です。モモはMGと言うよりPGに近い太さが有るので、ポリキャップを内蔵するだけでは無く、ガンダムMK−2の様な球体ジョイントを仕込んであります。モモの頂点まで装甲でカバーしてあるのは、スカートアーマーの代わりなのかな?なんて気にもなってきます。ファーストガンダムの旧キットは、どれもこんなモモでしたけど、リニューアルキットでは、モモのスカートに隠れた部分までは装甲でカバーされてませんからね。

 ヒザアーマーは、下の部分がダクトの表現になっています。これは旧キットでもそうなっていましたが、今回のダクトは内部フレームの一部のため、左右分割の接着ラインが通ってしまっています。目立つ部分ではありませんが、ヒザとダクトが一体のHGUCや、ダクトがワンパーツだった旧1/100の方が、仕上げるのは楽だったかも。



 スネは、外装がワンパーツ構成。末広がりなので、スネフレームに上から被せ、その後でモモを接続します。ヒザと足首には、MGズゴック同様に、合成ゴムの関節カバーパーツが付いています。ペーパーがけの効かないゴムパーツなので、見える部分にゲート跡が残るのが残念。パーティングラインも残ってますが、余り目立たないので、気にならないと思います。

 足首は、足裏が別パーツで、さらにスクリュー部分も別パーツ。スクリューは、手で回せる程度の、キツくないハメ込みになっています。塗装したらキツくなってしまうかな?足裏パターンは、HGUCとほぼ共通。外周部分に肉抜きが無いのと、スクリューの羽根が曲面の表現になった事で、さらにカッコ良くなりました。

 肩アーマーは、ボディフレームの上端にボールジョイントで固定。前後と上下に若干のスイングが可能ですが、回転は出来なくなっています。腕の引き込みギミックの制約のためでしょうが、腕の可動の自由度が高いので、あまり問題無いと思います。むしろ今回は、ちゃんとボディと噛み合っているゴム製のジャバラ式カバーを楽しむのが吉でしょうね。



 は、1関節ごとにボールジョイントで可動。受け側のポリキャップは筒型なので、大きく曲げる時には、関節が自然と引き出されます。フレームと外装の2重構造ですが、外装(筒)のパーツのハメ込みには、抜け止めのツメが付いているので、分解するのはちょっとツライかも。関節の内側には、それらしいモールドが入っています。流体センサーの表現はズゴックと共通で、並べた時にも説得力が有ると思います。

 手首は、HGUCでは手のひらに人間の様な凹みが有りましたが、今回はフラットで機械的な表現。親指の付け根に段差が有るのは、なぜか理由が良く分からない部分です。カトキさんの画稿にも段差は無い様ですが。ツメ(アイアンネイル)は、付け根しか動きませんが2重関節になっています。HGUCよりも、凶悪そうな表情付けが出来ますね。ツメは2パーツ貼り合わせで、これだけでランナー1枚。関節はABS、手のひらも別ランナーです。パーツ点数をケチってませんねぇ。指可動の充実ぶりは、水中MSのウリですもんね。

 バックパックは、設定通りのシンプルな箱型。バーニアはボールジョイントで可動します。内部メカも再現されていますが、収納した腕を押し出すために、内部メカごと背中から外せる様になっています。



 水中巡航形態へ変形させる時は、曲げてポーズを付けるうちに伸びた関節を、押し込んで縮めておきます。肩関節をボディ内部の空洞に押し込み、腕を肩カバー内壁に添うようにカーブさせます。手首は2箇所で曲がるので、目いっぱい折り畳みます。ツメの先が、ボディ内部に入り込むようにすると、安定して良いようです。股関節を縮めて完成です。この状態で足を動かすと、モモと腰がスレるので、塗装した人は動かさない様にしましょう。



 ボクがギミック案を投稿した当時は、腕の収納にはスライド式を想定していましたが、キットではパンタグラフの様な、複雑な軸可動になっています。この4年間、MGシリーズでずいぶん軸可動が進歩しましたからね。スライド式では、ここまでの保持力、確実性は実現しなかったでしょうね。ワキの変形部分はメカ的に処理され、内部フレームの露出の少ないこのキットの、見せ場の一つになってると思います。

 組立時間は1時間50分でした。全てのパーツがデカくて、フレームが詰まってて、「安くて組みやすいPG」みたいなMGです。ズゴックよりも派手さが無いゴッグを手にとって見てると、「なんで今頃発売するんだろう?」という事を、改めて考えてしまいます。マイナーなMSだから順番が回ってこなかったとかいう消極的な理由だけじゃなく、「小手先のゴマかしでリファイン出来ない、手強いアイテム」だったのかなぁ?」とか。MG初期に出てたら、面積の広いボディに、謎のスジ彫りを追加されまくってたかも。変にイジられてない所が、実に堂々として、良いキットじゃないでしょうか。



おまけ

 MGゴッグを開封して驚いたのは、茶色パーツがランナー1枚分で、旧キットと同じ分量だった事。頭、ボディ、肩ですから、パーツ分割も変えようが無い訳ですが。懐かしくなって、旧1/100キットを引っ張り出してきたので、軽くご紹介しましょう。



 元のデザインが可動に向いてなさそうなのに、ほぼ全身の関節にラチェット機構が仕込まれた意欲作。ポリキャップ導入前だと言うのに、「関節専門のパーツ」が多数使われてるんですよね。ムキ出しのレールがイメージを損ねるという意見もあるでしょうが、モノアイ可動を実現してます。目の奥が丸見えになる事が、設計後(もしやトライ後?)に問題になったのか、後から追加された様な仕切りパーツが印象的。(全52パーツ中、52番ですし。)

 腕の伸縮は適度なキツさで、勝手に伸縮しません。手のひらが薄いですが、1軸で折り畳むため、仕方のない部分でしょうね。ツメは平たいんですが外側は尖っていて、シャープには見えます。無可動のモナカ手首が、MGになると、あんなにパーツを必要とするとは!



 は、上に上げると開脚してしまう事ばかりが有名ですが、ヒザに回転機構が仕込んであって、開いた印象を少し解消出来ますから、旧1/144よりは気にならないハズ。(最近知人から、「テディベアだと思えば良いんだよ」という意見を聞いて、ミョーに納得!)バックパックを接着する前に、背中の取付け穴を、股関節組立て時の確認窓に利用するなんて、発想がMGに似てる気もしますね。(MGでは腕の押し出しに利用。)


テディベア座りをさせると脚が回転して開いてしまうんですが、ヒザ関節をヒネる事が出来るので、あまり不自然ではありません。曲げ可動も良く動く、良く出来たヒザなのです。

 当時ホビージャパン別冊「ハウトゥ・ビルド・ガンダム2」で作例を見て、上半身のボリュームに圧倒され、「思い切りの良い設計者だな。手強い!」などと魅了されました。その代わり短足なんですが、そんなの問題無し。今でも大好きなキットの1つです。踏ん張り気味に改造すれば印象が良くなる気がしますが、踏ん張っていない所が、逆に静かな殺気を漂わせてる様で、また魅力。MGゴッグを割引で買ったら、浮いたお金で手に取ってみてはどうでしょうか?

2003.6.29 健 竹史

MG ゴッグ
MG ガンダム Ver1.5
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HGUC Gアーマー
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