健さんの
プラモコラム

その360
 HGUC ボールの巻

 HGUC 1/144
 RB−79 ボール ツインセット/バンダイ
 「機動戦士ガンダム」に登場
2010年9月発売 税別初出価格1300円



 HGUCゾックが発売されて3年、ついにファーストガンダム関連のアイテムがHGUCでコンプリートです。あまり長く待たされるんで、もう出ないのかと思ったりもしましたよ。30年前の大ブームとは違いますし、メーカーとしても小物アイテムでは商売が難しいのかな?なんて。発売を可能にしたのは、ロトで試した2機セットという商品形態が上手くいった事が大きいのかも知れません。あるいはガンプラ30周年の今年にコンプしないでどうする!という熱い思いだったのか。

 もう一つ思い当たるのが、「ゲゲゲの女房」のヒットですね。ちょうど今朝、最終回を迎えたんですが、とても素晴らしいドラマで、毎朝楽しませてもらいました。寝坊のマンガ家のドラマを見たくて早起きしましたよ(苦笑)。で、その大ヒットドラマの終了間際に、目玉おやじみたいなメカが発売されたのは、偶然なのかな?と(笑)。

 キットはHGUCロトでも採用された、装備違いで飾って楽しい、2機セットとなっています。早速目玉メカに目を通していきましょう。



 ボディは、前後貼り合わせ。側面カメラの赤いパーツはボディにハサミ込んであり、前後外装パーツのジョイントを兼ねると同時に、側面バーニアの取り付け基部にもなっています。レンズはピン状に成形されたクリアーパーツで、赤パーツの裏からハメ込み。いっそジョイント機能をクリアーパーツの方に持たせて、赤パーツを後ハメ出来る様にしてあると嬉しかったかも。

 コクピットは、前部外装パーツと一体で成形。壁面とシートのみの再現で、パネルは有りませんが、このスケールなら十分でしょう。ただ、正面から丸見えなので、パイロットのフィギュアは欲しかったですね。シールで再現するという方法でも良かったかな・・・ペラモデルよりも薄いですけど(笑)。



 ハッチは正面から取り付け。パーツを2枚重ねにして、キャノピー周辺のリング部分を裏面パーツに含める事で、シャープな仕上りになっています。周囲と別色で塗装したい時にも重宝しますね。残念ながら開閉ギミックは有りませんが。キャノピーはクリアーグリーンで成形され、塗装しなくても劇中のイメージに近い印象。今見ると00のメカみたいですけれども(笑)。キャノピーはハッチ裏ではなくコクピット外周にハメ込み。実機の仕組みとは違いますが、ハメ込みの都合からか円形に造形されたコクピットは、MGよりも機密性が高そうに見えて、悪くありません。

おい、鬼太郎!

 ハッチ周辺の外装は別パーツ化してあり、08小隊に登場したK型等、バリエーション機の発売も想定されている様です。

 機体下面のバーニアユニットは、円盤状の本体を前後貼り合わせで再現。左右はアーム基部に隠れますし、底面に別パーツを貼り付けるため、接着ラインはほとんど目立ちません。下部の赤いバーニアは、設定では埋没した印象が有りますが、今回は完全に露出したデザインで造形。内側にも細かいモールドが入っています。



 周囲にグルリと配置されたノズルは、バーニアユニット本体と一体で成形。旧1/144キットでは12基でしたが、今回は数を減らして、8基としてあります。密度感から受ける印象では旧1/144の方が設定に近い感じですが、アーム基部にほとんど密着している真横に、本当にバーニアが配置してあるのかは、良く分かりませんね。本体側面にも大きなバーニアが有る訳ですし。



1/144ボール(左)との比較。大きさだけでなく、バランスにも違いが見られます。

 側面バーニアは、3基一体で成形してあり、横からハメ込み。本体外装には穴が開けてあり、上2基のバーニアは本体に埋没する様な格好になります。その下には、アーム基部を取り付け。筒状の本体を2パーツ貼り合わせ、前部のボール軸受けと後部のフタパーツをセット。設定ではタルの様な形をしているんですが、キットでは0083に登場したC型に準じた、前後に長い円柱形としてあります。腕の長さに大きな違いは無くても、付け根が前に突き出した配置のため、ずいぶん印象が違って見えますね。

 です。上腕は筒状に成形。根元はボール可動し、旧1/144では出来なかった、腕全体でのポージングが可能となりました。ここから先の腕関連パーツはどれも可動に関わって来るので、全てABSを採用してあります。



 ヒジは、関節パーツで左右から前腕をハサミ込み。上下各90度動かせます。旧1/144はもっと曲がるんですが、今回はピッタリ90度までとした事で、関節付近にスキマの無い造形となりました。

 前腕は、筒状にワンパーツ成形。先端はそのまま手首関節の取り付け穴になっていて、旧1/144では出来なかったヒネリ可動が可能です。従来は大きな荷物を運ぶ様なポーズしか取れませんでしたが、目の正面で細かな作業をしている様なポーズが取れるので、遊びの幅がグッと広がりましたね。

 逆に、手首の前後スイングや、ツメの開閉は出来なくなりました。手首はコの字形に上下一体成形されたツメパーツを、左右のプレートでハサミ込む構成で、根元は手首の回転軸と一体成形。旧1/144の、拳法の技でも繰り出しそうな可動が大好きだったんですが。一見すると可動の楽しみが1つ減った様にも思えますが、コの字のツメは軸一箇所で可動するため180度の回転も可能で、手首スイングの代用になるどころか、作業的には自由度が増すという判断が有ったのかも。可動部の取捨選択なのか、新解釈なのか、興味ありますね。



 また、ツメが常に並行で固定されているという事は、幅さえ一致すれば握力を必要とする動作も楽しめるという事になりますね。ちょうど2機セットなので取っ組み合いをさせてみたんですが、腕を掴めば相手を抱える事も可能で、なかなか面白いですよ。途中のどの関節も保持力は十分ですから、アイデア次第で色々遊べそうですね。

 後部バーニアは、背中中央の外装でつながった状態で、左右一体で成形。後ろからハメ込み、下面にノズルを貼り付けます。

 武装は、180mm低反動砲と、2連装キャノン砲から選択。2つずつ付属するので、2機とも同じ装備で飾る事が可能。完成後も自由に交換出来ますよ。余った武装をセット出来る台座パーツなんかが付いていれば、砲台として飾れたんじゃないですかね。(実は飾り台の支柱取付穴がフィットするんですが。)

 180mm低反動砲は、MGボールVer.Ka(またはC型)にほぼ準じたデザインですが、若干の違いがある様です。上下可動の軸位置が、ターレットの真上でなく斜め後ろになっている点なんかは、ファースト登場版のイメージを意識した物かも知れませんね。左右貼り合わせの砲身に、砲口・ダクト・フック等を取り付け、上下可動部は左右からハサミ込み式で、中にはABSの軸受けを閉じ込めてあります。本体は旧1/144に比べて小型になっていますが、砲身の長さは同等で、迫力が増しています。



 2連装キャノン砲は、2パーツ貼り合わせの砲身にマズルブレーキを取り付け。砲塔本体は、軸受けをハサミ込んで上下を貼り合わせ、正面にセンサーを取り付けます。左右のキャノン砲は横から差し込んであり、上下に可動。LMモデルの08小隊版ボールよりも格段にボリュームアップしていて、スコープが大型化する等、メリハリの効いた造形になりました。センサーは小型になり、従来の方が好みという人も少なくないかも。

 設定では、どちらの武装を選択した場合でも全高は12.8mで同じです。キットでも同じ高さになるよう配慮して設計してあり、装備違いの2機を並べて飾った時のバランスも良好。もっとも、(劇中イメージに拠らずに)設定全高の数字から割り出した場合のサイズとしては正確ではなく、1/180スケール程度といった所ですね。



 ボディ上面のターレット基部は、ファースト登場版では台形(円錐形)に一段盛り上がったデザインですが、今回はC型以降の特徴である、球形のボディラインと一体感のあるデザインで造形。周囲の縦線はスジ彫りと言うより切れ込みと言った感じでです。300円ボールのイメージに合わせたのかも知れませんが、ギザギザに見えて、かえって唐突で浮いた印象になっている気がしますね。うーむ、目玉おやじファンだけでなく、河童の三平ファンにもアピールする狙いなのか・・・。ジオン本国に侵攻した際には、この円盤部分を分離突入させ、コロニー内の住民を襲撃させる予定だったのかも(ウソ)。

 飾り台は、ストレートな支柱の上にリング状の受けを配置した物。下面バーニアユニットをリングにハメ込んで保持するため、モデル本体に取付穴は有りません。ABS製ですが、ランナー面積が許すならクリアー成形でも良かったかも。シルエットの印象は変わりませんが、リンブ周辺に市販のバーニアパーツを貼り付けてみるのも面白いかも?飾り台からリングだけを外して、別売のアクションベースに組み合わせれば、傾いて飛んでいる様なディスプレイも可能ですよ。



別売のアクションベースを使用しています。

 また、読者の一人、Fumohさんに教えて頂いたんですが、LMモデルの08小隊版ボールにもフィットします。置いてるだけで保持力は有りませんが、机に直接置いていた08小隊版ボールが、ちょっと浮いただけで急に活き活きして見えてくるんですよ。持ってる方にはオススメです。他の丸っこいプラモも、いろいろ試してみると良いでしょう。Fumohさんは、こんな小さい飾り台が手軽に買えたらいいのに、とも仰ってました。確かに、最近市販されている飾り台は、角度調節を目的としているために大きく、脚のあるロボットに合わせてあるため支柱も長いですからね。メーカーの方、検討頂けると嬉しいです。支柱の先端がちょっとだけ動いて、ピン径が従来と同じなら、結構使えると思うんですが。



左から、旧1/144ボール、LMモデル1/144第08MS小隊版ボール、HGUCボール(ここまで同スケール:!)、旧1/144おまけの1/250ボール、ガンプラコレクション1/288ボール、ガンプラコレクションおまけの1/500ボール。1/500ボールは1/250ボールの半分よりも若干小さく感じられ、1/550のMAと絡ませて丁度良いサイズを狙った物ではないかと思われます。

 組立時間は、1個目が30分、2個目が15分でした。ずいぶん差がありますが、1つ完成させると説明書を見なくても作れてしまえそうで、最初にパーツを全部切り出してから組んでみたんですよ。紛失してもいけないのでオススメはしませんが、それくらい手軽だという事で。

 今後の展開ですが、ランナーには切り替えが多数用意されていて、前後上下左右といった機種ごとの違いを踏まえたバリエーション展開に対応してある様です・・・って、本当に全体に渡って形が違うんですね(汗)。ABSランナーから主砲用のABSキャップと飾り台を除外し、腕パーツだけを成形出来る配置になっている点から、同一ランナーの枚数を増やして、4本腕タイプに対応する予定みたいです。

 それにしても、発売される度に、こうもサイズが変わる機体も珍しいですね。しかもだんだん小さくなってます。ブラックジャックに「縮む!」というエピソードが有ったのを思い出すんですが・・・もしFGやRGで発売される事があれば、また一回り小さくなっているのかな?所詮妖怪ですから、個体差なのだと考えても良いのかも知れません(おい!)

 2010.9.25 健 竹史


 おまけ

 この機会に、過去に発売された1/144キットも簡単に紹介しておきましょう。1/144ボールは、前後貼り合わせのボディをはじめ、ほとんどの部分をモナカ割りしたパーツ構成。腕の関節は全てハサミ込みによる物です。主砲(低反動砲)の上下可動部も左右からハサミ込み。ターレットは、回転軸のピンに基部の裏から抜け止めを接着、その後で本体に接着出切る様になっています。



 腕の可動は、ヒジで曲げとヒネリ、手首が前後スイング。ツメは上側だけが開閉し、下側は固定式となっています。可動を充実させたい方は、手首にヒネリ可動を仕込むより、前腕の途中にヒネリ可動を仕込む方が簡単ではないかと思います。腕の付け根は設定画で見ると角度が付けてあり、当時からボール可動が想定されている様です。ちょっとスキマを設ければ、市販の関節パーツも仕込めるんじゃないかと思います。



 全高は75mm程度。蹴飛ばされる印象的なシーンも有りますし、MSよりも大きなボディには大出力のジェネレーターも収まりそうで弱そうに見えないためか、キット化の度に小柄になっていきますが、設定の数字と比べると、これでも13mm程度小さ目に作ってあるんですね。単機の出撃や格闘戦は想定しておらず、また射撃が命中しさえすればザクでもドムでも倒せる訳で、やたらザコ扱いするのは当時からいかがなものかと思ってましたが、近年ではMSイグルーで大きく扱われ、印象も変わってきたかも知れませんね。

 オマケに,1/250のボールも付属。主砲が可動し、腕の付け根が(接着しなければ)ヒネれるという簡単な物ですが、情景模型と同スケールな上、遠近感を付けて集団戦をイメージする助けにもなったと思います。ある意味、当時からツインセットだったと言って良いでしょう。1/144モデルにのみ飾り台が付属、底面に丸ピンを差し込んで取り付けます。



 HGUCが近年のデザインに準じて発売された今になって見直してみると、改めてそのデザインの魅力に気付かされますね。アーム基部の膨らみであるとか、ヒジ横の丸モールドの張り出しとか。無機質なデザインになるのを避けようと、ちょっとした所にナマっぽいラインを入れてある様な。ボディの3本線も、最近は無駄の出ないパネルラインとしてハッチ上下の高さに揃えてありますが、元のデザインでは、眉やクマドリの様な表情を付ける狙いが有りそうです。新旧デザインでそれぞれ、工業製品的・キャラクター的な、別の魅力を持っている気がします。サイズも味わいも異なっているため、今後も傑作キットとして需要は高いのでは?末永く生産され、組み続けられると嬉しい、愛すべきキットですね。

 1981年9月発売 税別初出価格300円



HGUCボールの飾り台に乗せてディスプレイした例。このキットに飾り台は付属しません。

 LMの08小隊版ボールは、長期使用を想定しない簡易金型によるキット。LMはリミテッドモデルの略で、開発費を抑える事でマイナーメカにも発売の可能性を広げた一定の功績のあるシリーズですが、魅力的なデザインなだけに、末永く生産されない事が最初に確定していたのは惜しいですね。

 ボディは前後貼り合わせ。釣鐘状のバーニアやウィンチ、ロールバーと一体のライトといった、特徴的なパーツは別パーツ化され、表面から貼り付ける構成です。腕はワンパーツ成形で、根元のみボール可動します。設定と比べると上腕が細いんですが、これがまた機械っぽくて、予想外のカッコ良さを引き出した様にも思います。単に肉厚を抑える狙いだったのかも知れませんが、前腕はしっかり太めに造形してありますし、やっぱりアレンジセンスが良かったのかな?



 2連装キャノン砲は上下に可動、ターレットは左右に旋回します。砲身は1門ずつムクで成形。さすがに砲塔本体は左右分割してありますが、この肉厚成形はLMモデルの特徴です。ムクの多用から来るパーツの少なさと完成後のズッシリとした重みは、結果的に似ただけでしょうが、当時加熱していたガレージキットを思わせるものがありますね。ガンダム関連ではW、Xのメカも数点発売されましたが、関節が少なく、荷重も問題にならず、逆に固まりとしての魅力を引き出していた感のある好キット。LMの中でも、特に商品仕様がマッチした成功例と言えるんじゃないでしょうか。

 1996年7月発売 税別初出価格700円

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 2010.9.25 健 竹史


   

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