健さんの その304 ( HGUC 1/144/ ジェガンの発売も決まってコンプリートも目前の「逆襲のシャア」シリーズですが、勢揃いを待たずしてHi−νガンダムがHGUCに登場です。先日HWS装備のνガンダムでCCA−MSVにキット展開を広げたばかりですが、さらに「ベルトーチカ・チルドレン」も。どの映像作品のMSもなかなかコンプリートしてくれないHGUCですが、ジェガンの前に発売対象を広げる事で、「逆シャア」関連が揃ったという一瞬の達成感も避けてみせた、という事でしょうか。この「まだまだ続くよ」感の演出は、なかなか上手いのではないかと思います。 それにしても最近、アムロの乗機(アムロっぽい人含む:笑)のキット化が集中してますね。もうすぐVer.G30も発売ですし。ともかく本題に参りましょう。 頭部は、首の軸受パーツの表面にスライド金型でマスクを一体成形、ヘルメットの下端まで含めてワンパーツとしてあります。これにヘルメット本体を上から被せ、アゴはマスクの下から差し込むように取り付け。アンテナはチョンマゲと一体成形で、小さなアンテナとオデコセンサーを組み合わせて頭の上からセット。HGUCνガンダムの流れを汲むパーツ構成ですが、上手く考えてありますね。オデコセンサーには、機体名とアナハイムのロゴがモールドしてあります。 首はボディにハサミ込んであり、前後スイングします。逆シャア関連キットでは恒例のギミックですね。水平飛行ポーズでも顔を前に向けられる可動範囲の広さには感心しますが、顔を持ち上げる時に、うっかりオデコセンサーを引き剥がしそうになってしまいます。パーツが浮き上がったら、定位置に戻してやりましょう。ボディは、ウエストからエリ内側までを一体成形。首と腰のポリキャップ、肩関節をハサミ込んで前後を貼り合せた後、胸の外装を貼り込んでいきます。側面から青と白、上から青、前から白、後ろからバックパック下部といった感じで、芯パーツを生かした二重構造はMG的ですね。 背中の中には、ファンネルラックやテールスラスターのポリキャップをハサミ込むための底板も仕込んであります。胸部ダクトやコクピットハッチは別パーツ化。背中のメインバーニアは、板状突起でハメ込む固定式みですが、根元が一段埋没した表現になっているので、少し上下に傾けて可動式の様に見せてやる事も出来そうです。 ウエストは、ボールジョイントで腰と接続。珍しいギミックでは有りませんが、ボールジョイントの首の部分が、前側だけクビレを無くしてあるのが面白いですね。体を横や後ろに反らせる可動に特化させ、前屈みになる必要は少ないだろうと判断し、全周均等なクビレを作るのをやめてある訳です。クビレた形は破損しやすいですからね。これでボール部分の強度を上げてあるんですね。 腰です。フロントスカートは左右一体で可動、切り離せば独立してボール可動に出来るタイプです。フンドシ側に突起を付けてストッパーとし、スカートが定位置からモモ側に動かない様にしてあるのが面白いですね。スカート裏がストッパーに当たるため、ハネ上げる方向にしか回らない仕組みです。長いスカートなので今回だけ位置調整の助けとして採用したのか、今後のスタンダードになるのか、注目ですね。 サイドスカートは、青と白の2パーツの組み合わせ。腰フレームのポリキャップに接続し、2軸可動します。リアスカートは、フンドシ後部と一体成形、裏面ディテールをモールドで表現してあります。厚みは再現されていませんが、バーニア裏付近はリブを配置して立体的に感じさせようとしてある様です。 フンドシ後部は、一体成形でフックを再現。フック中央の穴は成形方向の都合で再現出来ないため、凸モールドで表現してあります。その下のクボミは、MGよりも大きく造形。MGではクボミの下端をビームライフルのマウントに使っていましたが、今回はその様な機能は有りません。 この他、フンドシは普段スカートに隠れて見えない部分まで、可能な範囲でモールドを入れてあります。サイドスカート用ポリキャップの位置に合わせて丸モールドを入れてあったりして、なかなか気が利いてますね。フンドシ下面には、飾り台接続用のポリキャップを内蔵。フタパーツは有りません。 脚です。モモは、股関節とヒザのポリキャップをハサミ込んでの2パーツ貼り合せ。分割ラインはモモ正面の外寄りの位置に通っています。本当はスカートのスキマから露出する位置よりも、より確実にスカートに保護されている内寄りの位置で分割する方が、防弾の点では安心だと思うんですが(笑)。メカデザインはディテールを目立たせてナンボという面があるので、なかなか難しい所です。股関節の球体は、今回はモモと一体で成形、ヒネリは股関節のボールジョイントに任せてあります。
ヒザは、関節メカパーツ本体と底面パーツで、ポリキャップを上下からハサミ込む2パーツ構成。ヤスリの入りにくいケーブルの間に接着ラインが通らない、上手いパーツ構成だと思います。ケーブルはカマボコ形になってしまっていますが、スライド金型を使えば、外側だけでも円形に成形出来るんじゃないかと思います。ぜひ今後のキットで発展させていって欲しいですね。 スネは、このキットの中でも、パーツ構成が特に面白い部分だと思います。スネ後部は、足首関節をハサミ込んでの左右貼り合せ。その斜め上から、C字形にワンパーツ成形された青いパーツを被せます。関節をハサミ込んだ角柱形のヒザフレームは上から差し込み、前から取り付ける前部アーマーと噛み合ってロックされる仕組み。ピンを切れば、スネ完成後の後ハメも可能になりますよ。
スネ後部のスラスターカバーは、MGと異なり固定式。ノズルはカバー内壁に貼り付けてあります。スネは、前部アーマーのエッジが強調されたり、フクラハギの盛り上がりが力強い造形になっていたり、MGとは印象が大きく異なります。スソの内部は、普段以上にモールドが入れてありますよ。 足首関節は、上が二軸可動、下がボール可動の二重関節。足首は、クツと足裏、カカトを縦に重ねてあります。土踏まずのバーニアは黒の指定ですが、カカトと一体で成形してあり、塗装後に組み付けられる親切な構成。クルブシのメカ部分と甲パーツは、斜め上から取り付けます。斜めに成形した事がモールドからも伝わってくるため、MGとは若干違った印象を受けますね。 肩アーマーは、肩の球体を前後からハサミ込み、青い上面パーツを被せる3パーツ構成。内部はハメ込みピンが見えてしまっていますが、上面パーツ取り付けのための段差やピンの補強が組み合わさって、何だかそれっぽくも見えますね。側面の角スラスターは、分割ラインを端に通すのではなく、中央に幅広の段差を作って、その端を通してあります。
腕です。肩関節は、ポリキャップによる二軸関節で上下前後にスイング可能。上へはボディ上面の装甲ごと持ち上がります。両手で構える武器も装備していないので、怒り肩にする等、ポーズの調整にどんどん使ってやりましょう。 肩の球体は、ポリキャップをハサミ込んでの2パーツ貼り合せ。上腕は筒状にワンパーツ成形、ギザギザに噛み合った側面のパネルラインは、MGに比べて変化を付けてあります。芯として角柱形のポリキャップを内蔵し、上腕とヒジの両方からピンを差し込んで接続します。 ヒジは、ハサミ込み式のABS関節。丸モールドの部分のみで可動し、二重関節にはなっていません。ヒジの外側に、チョコッと張り出しが付けてあるのが上手いですね。MGザクVer.2.0等で見られる、引き出し式のガードみたいな印象になってます。 前腕は、白と青のパーツを前後から貼り合せ。組み上がったヒジ関節をハサミ込むんですが、一部が表面に露出する事で、側面スラスターを再現しています。手首付近は外装を別パーツ化、色分けしてあります。 前腕は左右で異なる武装を内蔵しています。右腕はマシンガンを装備。銃口はMGに比べて周囲にスキが無く、よりスッキリした印象。ヒジに張り出したマガジンは筒状にワンパーツ成形され、着脱が可能。MGの様な腕側内部の再現は有りませんが、その分プラの肉厚の制約を受けず大きめに造形してあり、迫力が有りますね。 左腕は、ヒジの張り出しにシールド用のハードポイントを内蔵。角穴の奥にあるヒジ関節パーツの一部が、接続パーツになっていて保持力は十分です。張り出しの裏側もパーツで塞いであり、外観も良好。下半分の白いカバーの中には予備のサーベルが内蔵されているという設定。キットでは取り出す事は出来ませんが、モールドで収納状態を再現してあります。カバーは板状の突起で接続してあるので、開いて取り出すシーンも何とか再現出来ますよ。もうちょっと突起が長ければ、大きく開けるんでしょうけどね。 手首は、左右のリアルな穴あきゲンコツと、右の武器持ち手が付属。人差し指の付け根にセンサーが有るのが特徴的ですね。キットの手首には、MGの様な張り手に対応したスイング機構は有りませんが、デザイン段階で手の甲に切り欠きが描かれているため、ディテールの一つとして再現してあります。 バックパックは、背中と半ば一体のデザインとなっています。テールスラスターは、縦に2パーツ重ねる構成。背中の組立途中で上から差し込み、ポリキャップで上下に可動。完成後は胸上面パーツに上を覆われ、閉じ込められた格好になります。 ファンネルラックは、背中のポリキャップで左右に、ジョイントパーツのポリキャップで上下に可動。MGに無かった上下可動が加わった代わりに、ヒネリ可動が廃止されています。ポリキャップカバーの様なジョイント形状で回らなくなっているだけで内部に軸自体は存在するので、可動派の人は、気にならない程度にジョイントパーツを削ってヒネリを追求してみるのも面白いかも。
ファンネルラックは、左右貼り合わせた本体の上に、青い上面パーツと開閉式のフタを取り付ける構成。フタは後ハメが可能、上面パーツはワンパーツ成形されているので、接着ラインがほとんど出ない分割となっています。一番上のフィンファンネルは着脱部にポリキャップが使ってあり、設定には無い回転が可能。射出しないままファンネルを展開し、発射ポーズにしてみるのも面白いですね。6基全てを展開出来れば、全方位攻撃も出来そうなデザインなんですが(笑)。 プロペラントタンクは、2パーツ貼り合わせの本体に、バーニアを含めた先端パーツを被せる構成。MGでは根元はピン接続になっていましたが、今回はボール接続に変更。角度調節が効くのは、フィンファンネルとの干渉をかわす上でも、躍動感を演出する上でも嬉しいですね。ボールジョイントをしっかり押し込めば根元のスキも無くなり、外観も損ないません。 武装です。ビームライフルは、左右貼り合わせの本体に銃口を取り付ける、3パーツ構成。ランナー面積の都合からか、ガンメタルで成形されていますが、色指定は白とシルバーです。出来れば白で成形して欲しかったところ。グリップの突起は、右の武器持ち手にのみ対応しています。 ビームサーベルは、筒状にワンパーツ成形。グリップエンドからも小さなビーム刃を出せるという設定のため、両端に穴が開いています。クリアーのビーム刃は、長短2種が、各1本ずつ付属。サーベル自体は2本付属しているので、ビーム刃はもう1セット欲しかったですね。 ビームサーベルは、背中のサーベルホルダーに収納可能ですが、フタが邪魔して取り出しにくい印象ですね。スキマに手を突っ込んで取り出すのだろうと思いますが、スキマからサーベルが横に出てきて掴むイメージでポージングすると、それらしい取り出しシーンが作れると思います。 シールドは、ギザギザの塗装パターンをパーツ分割で再現。全体を覆う青い表面パーツに、部分的に白い表面パーツを重ねる構成になっています。ダクト部分は、裏面パーツの一部が表面に露出する形で色分けしてあります。裏面パーツは、MGでは表面パーツの裏にスキマ無く詰め込まれた感じでしたが、今回は表面パーツよりも一段小さくなり、表面装甲の厚みを感じさせる造形に変更されています。 腕への固定は、L字形のアダプターを介して行います。MGではヒジの先端にシールドを直接マウントしていたため取付方向を選べませんでしたが、今回は2箇所のピンから選択して取付可能。保持力も高まっています。しかもピンにもディテールが入れてあり、使わずムキ出しになったピンも、従来ほど気にならなくなっています。 ニューハイパーバズーカは、左右貼り合わせの本体に、可動グリップを後ハメする構成。マガジンどころか砲口やノズルも左右分割されています。カラーリングは白の指定ですが、残念ながらガンメタルで成形。アニメに登場しない機体でもありますし、武器のためにランナーを増やして高額化するのは厳しいのかも?グリップの突起は、右手にのみ対応しています。 フィンファンネルは左右各3基装備していますが、上の1基だけ変形可能。下の2基は、V字形に2基一体成形された本体パーツに、青いパーツを取り付けた固定式の物。価格を抑える狙いもあるでしょうが、同じパーツを6組組み立てる負担を考えての事かも知れませんし、少しでも背中を軽量化して安定させる狙いも有るのかも知れません。青いパーツは、固定式・可動式とも同じパーツを使用しています。 可動式のフィンファンネルは、3つのユニットとも2パーツ貼り合せ。ヒンジはABS製で、後ハメが可能です。射出形態ではコの字形に変形、直角位置でロックが効いて安定してくれます。収納形態では2枚のプレートが密着しますが、射出状態では目立たなかったヒンジパーツの突起が露出、プレート側のミゾと噛み合ってポジションが決まります。ファンネルラックへの接続は、片方のヒンジパーツにのみ設けられたピンを利用して、差し込みます。 固定式のフィンファンネルは、ファンネルラック側のスリットを使って、2基まとめての着脱が可能。6基全てを展開したい気持ちは変わりませんが、目が慣れてくると、V字形に連結した高出力モードに見えてきますよ。組み合わせ武器の多かったダブルオーを見た影響かなあ・・・(まさか、それを狙ってこの時期に発売?!)。スリットは他に2箇所用意してあり、キット3個分のパーツを使えば、6基全て可動式フィンファンネルを取り付ける事も可能です。もしナイチンゲールとの対決セットなんかを発売する機会があれば、その時だけでも追加の可動式フィンファンネルをセットして欲しいものです。
組立時間は1時間55分でした。MGと比べて、細かい造形の違いが面白いですね。フロントスカートの各辺の比率とか、ウエストの形とか、色んな所が少しずつ、より今風のガンダムらしい物というか、黄金比みたいな物に置き換わっている気がします。 また、パネルラインでパーツ分割してあるのがMGとHGUCの決定的差だと思っていましたが、そうでない事を教えられた様な気がする、そんなキットでもあります。小スケールの制約よりむしろ、内部にメカを詰め込まない分、MGよりも合理化が進んでいてスッキリ仕上がってる所も少なくないんじゃないでしょうか。機会があればぜひ手にとって、設計センスの良さを実感して下さい。 おまけ 何だこのツメ切り、上手く切れないなあ・・・と思ったらフィンファンネルだったって事、ありますよね。(ないない!)バンダイさん、けっこう似てると思うんですけど、こんなツメ切り、発売してみませんか?コンビニの一番くじの景品でもいいかな? そういえば先日、輸入キットを買ったら、説明書に「パーツはツメ切りを使って切り離しましょう」と図入りで書いてあって、ちょっと嬉しかったです。中学の頃までは、ニッパーの代わりにツメ切りを使ってましたから。誰に教わったのか忘れましたが、万国共通なのかも知れません。頻繁にプラを切ってると切れ味が落ちでくるので、あまりオススメは出来ませんが・・・。 関連記事 2009.7.4 健 竹史 |