健さんの その298 HGUC 1/144 HGUCシリーズ93作目にして、偶然なのか狙っているのか、制式ナンバー93の機体が発売です。もうこんなに長いシリーズになってたんですね。そして、「そういえば100作突破も近いんだなぁ」と、ついシリーズナンバーを意識してしまいます。100作目は何だろう?と考えた時、宇宙世紀100年目前の時代が舞台で、アニメ化も決まった「ガンダムUC」のキット化を期待してしまう訳ですが。RMS−99Bシュツルムディアスが99作目を待たずして発売されましたから、ユニコーンモードとデストロイモードを連続リリースというのも良いかも知れませんね。 さて本題のνガンダムHWSですが、こちらもユニコーンがトレードマークですね。キットは、先に発売されているνガンダムに、増加パーツ分のランナー2枚を追加した、バリエーションキットです。共通部分については「その244 HGUC νガンダムの巻」を参照下さい。 胸部アーマーは、本体と正面部分をパネルラインで分割し、前後に重ねてあります。肩のミサイルランチャー下でも分割してあり、合計4パーツの構成ですね。肩関節軸が上面装甲ごと持ち上がるギミックは、増加アーマーが被さるためほとんど機能しなくなりますが、どのみち肩上にはミサイルランチャーが追加されているため、動かす事も無いハズですね。MS本体への固定には、胸部ダクトパーツを取り付けず、その取付穴を利用しています。 胸部アーマーは左右を一体で成形してあり扱いやすいんですが、コクピットハッチを開く時、胸の張り出し全体が持ち上がる事を考えると、中央部分に増加装甲が有るのは厄介かも知れません。Bクラブ27号に元デザインが掲載されていますが、横から見たアングルで描かれているため、エリ正面が影になっていて良く分かりません。Bクラブ29号で立体化された際には、エリ正面は増加アーマーで覆われず、劇中同様のハッチ展開が可能な解釈で造形されています。 肩部ミサイルランチャーは前後貼り合わせ。胸アーマー上面のヒンジをハサミ込んであり、上下に可動します。後部にはダクトの表現も有りますね。説明書によると、グリプス戦役以降の標準的な各種弾頭を射出可能だそうです。射出後の軌道コントロールが可能なサイコミュグレネードの搭載も検討され、後のファンネルミサイルの実用化に繋がった説もある、との事で、これは「閃光のハサウェイ」に登場するクスィーガンダムの事の様ですね。説明書で匂わせたという事は・・・今後キット化を期待して良いんでしょうか? 肩部ミサイルランチャーは、Bクラブ27号ではミノフスキー粒子除去のためのパウダー噴出器と解説されていて、設定の変遷に興味を引かれます。どちらの解釈もアリだと思いますし、パウダー噴出器も弾頭の一種なのだと解釈しても良いのかも。ミノフスキー粒子がセンサーに与える影響を問題としているのは、後のケルディムガンダムに通じていて面白いですね。せっかくセンサー機能を向上させるなら、パウダー噴出器の配置は思い切って後ろ寄りにしても良かったかも。顔を圧迫しては、センサー有効範囲を狭めてしまいそうですからね。 フロントスカートは、従来のパーツを使わず、増加アーマーと一体になった物と差し替え。裏には本来のフロントスカートもモールドで表現されており、裏面ディテールもほぼ同一となっています。ここはスカートの可動を利用したスラスターユニットになっているという設定。キットでもボールジョイントで左右独立可動します。
リアスカートは、従来パーツを取り付けた上に、増加アーマーを被せてあります。スカート上部の赤いパーツを取り付けずに、その取付穴を増加アーマーの接続に利用。ここもスラスターユニットになっているんですが、大型ノズルのすぐ奥には、本来のスカートのノズルが隠れていて、増加した厚みもプラ1枚分のみ。あまり大型化した印象になっていません。
Bクラブ29号の作例ではヒザ関節が隠れるほどの大きさで造形され、元デザインでもその程度のサイズに見えますね。過去の立体作品に似せれば良いとは思っていませんが、ライバル機であるサザビーに近いボリュームを獲得する意味でも、大きい方がより説得力が出たかも知れません。もっとも、リアスカートは元キットでも固定式であり、これが大型化すると脚の動きを妨げると思いますから、その影響も有っての判断かも知れません。もし改造して大型化したい人がおられたら、同時に可動を仕込んでおくと良いと思います。 スネ側面のスラスターユニットは、フクラハギの黒いパーツの代わりに取り付ける仕組みです。何だか今回は元キットのパーツ構成を巧みに利用してあって、増加パーツの取付に無理が有りませんね。逆シャアシリーズは、初めていろプラが本格的に導入されたシリーズでしたから、当時からキットのパーツ分けを利用出来るよう、意識して増加パーツをデザインしてあるのかも知れません。胸部ダクト、リアスカート、フクラハギ、全て旧キットでもパーツ分けしてある部分です。 スネスラスターユニットは、黒パーツの表面がツヤ消しになっていて、MS本体との質感の違いを感じさせて面白いと思います。ノズルは別パーツ化。裏面もパーツを貼り込んであり、前後のスキから適度にディテールがのぞいて、程良い見せ場になっています。フクラハギの黒い部分は、ユニット裏面の一部として造形してあるので、黒で塗ってやるとチラリと見えた時に構造が伝わって良いでしょう。 ハイパーメガライフルは、左右貼り合わせた本体にケーブル類の黒パーツを取り付け、上部カバー・銃口・バイポッド(二脚)を取り付ける構成。バイポッドは差し替え式で展開状態を再現可能。収納状態の位置決めに、放熱穴の一つを使ってあるので、ここだけ穴の深さが違っているのはナイショです。上部カバー側面に3個並んだ穴(いわゆるブチ穴)は、成形方向の都合で浅い楕円になっています。こだわりたい人は、ここを彫り直すと、よりシャープな印象になるでしょう。
ハイパーメガライフルは、角柱形のスッキリしたデザインにまとめられていますが、元デザインでは後部の盛り上がりがもっと強調されていて、フルアーマーZZのハイパーメガキャノンに似た印象を受けます。元デザインの発表当時はメガハンドキャノンと呼ばれていて、名前から見ても、ZZが背負っっていた物を意識し、これを手持ち武器としてコンパクトにアレンジした物ではないかと想像します。角柱部分の断面も真四角でなく台形に見え、色々と違いが有る様子。当時のデザインの物も欲しくなりますね。 ハイメガシールドは、従来のシールドの表面にマウントする方式の増加ユニット。過去にGアーマーの余りシールドを2枚重ねにした、アムロの乗機らしいアイデアですね。裏面のジョイントで、従来シールドの横と上をホールドして取り付けます。ジョイントパーツのピン径がもう少し大きかったら、従来シールド用のアダプターが直接取り付けられそうなんですが、ちょっと残念です。 裏面には大口径のメガ粒子砲を装備。2パーツ貼り合わせの砲身に砲口を取り付ける構成となっています。従来シールドは元々ビームガン用にジェネレーターを内蔵していて、それを転用しているという設定です。元デザインが発表された当時はメガ粒子砲ではなく、対艦ロケットランチャーと解説されていました。従来シールドを介さずに装備出来たら良いなぁ、と思ったのは、こういう理由からです。対艦ロケットランチャーなら、ジェネレーターは要りませんからね。設定には無いですが、そういう弾力的な運用も有って良いのではないかなと。
もっとも、ボクが設定を知ったのは組んだ後の事で、説明書やBクラブを読むまでは「シールドが重たくなったから、大型スラスターが付いているのかな?」と思ったんですけどね。フィンファンネルもハイメガシールドも左側なので、アクションベースでディスプレイすると、支柱が傾くほどのアンバランスとなっています。この遠慮の無い非対称ぶりが魅力では有るんですけども。発表当時にウィングシールドと表記されていた事を考えると、スラスターでも良かったかも。
ハイメガシールド本体はV字形に開いたシルエットになっていますが、キット状態では、途中に補強ランナーが入ってAの字の様な状態になっています。これを切り取ると、途端にビロンビロンと弾力で曲がる様になり、補強って大事なんだな、と実感出来ると思います。あるいはPS装甲の様に、弾力で攻撃の威力を吸収しようという優れた設計なのだろうかと思ってみたり(笑)。
組立時間は2時間でした。元々フル装備で出撃出来るνガンダムの強化案であるためか、バズーカやフィンファンネル、従来のシールドまでそのまま使える様に気を配ったデザインを楽しめると思います。さすがにビームライフルだけは重複してしまいますけれども。(左手で持てたら一切装備が余らないのに・・・)オプションの手首やビーム刃も、従来の物がそのまま付属するので、プレイバリューは高いですよ。 ところで、νガンダムはウエストが寸詰まりのデザインなんですが、HGUCでは意識的にウエストを上下に伸ばし、他のガンダムに近いプロポーション比率としてあります。このキットと同様の構成で、MGでもHWSを発売してもらえれば嬉しいんですが、胸の下まで覆うボディアーマーがスカートに近くなり、腹部の印象が変わるのではないかと予想されます。旧キットをベースにした過去の作例もカッコイイので問題は無いと思いますが、HGUC発売時に、当初からHWS装着時のバランスまで検討してあったんでしょうね。 おまけ |