健さんの
プラモコラム

その163
 
HGUC ドム/
     リックドム
の巻

( HGUC 1/144 ドム/リックドム/ バンダイ/
MS−09 ドム/MS−09R リックドム
「機動戦士ガンダム」に登場)



 バリエーション展開こそガンプラの王道!てな雰囲気の今日この頃、シラヌイオオワシでさえ別発売と言うのに、ドムリックドム選択式キットでの発売となりました。どちらも待たされずに両方手に入るのは嬉しい事です。案外1/144でドムが発売されなかった事にちなんで、共用パッケージになっているのかも知れませんね。そう、リックドムを買えば済む話ではあったんですが、純粋にドムがドムとして発売されるのは、1/144では初の事なのです。

これはドム。トリプルドムセットの物です。色は写真の都合で色味が変わってしまっています。実際はもっと赤みが強いので、参考になさらないで下さい。

 そんな訳で、キットはほとんどの部分が共用です。ドムとリックドムの組立に違いがある部分については、その都度触れていきたいと思います。では、キットに目を通していきましょう。(ところでこのキット、1/100サイズ用のポリキャップが入ってますよ・・・。)

 頭部はモノアイシールドにクリアーパーツを採用、中のモノアイは可動式となっています。内部フレームは簡易的ながらMGに似せたデザイン。モノアイをハサミ込み式にせず、頭頂部からぶら下げる様な構成にして、フレームのパーツ点数を抑えています。モノアイはクリアーパーツではないものの、スライド金型を使ってレンズ部分にモールドを入れてあり、MGよりもメカっぽい感じです。



 頭部の外装は、ワンパーツ成形のヘルメットに赤い顔面パーツを前からハメ込む構成。モノアイを動かす時は、この赤い顔面だけを外してやれば良いでしょう。ヘルメット側面は、後ろに向かって垂れ下がる様なラインで造形。これは、MG発売時に改修を加えた作例記事を反映した物かも知れません。

 エリ(?)を通してボディに接続。上下左右に可動しますが、MGと違ってボディ側にポリキャップを仕込んであるので、上を向く時はエリごと上を向くようになっています。

これがリックドム。やはり写真の色味が変わってしまっています。実際はここまで青くありませんので、ご注意下さい。

 ボディです。は前後分割式。肩関節軸は前に引き出せる構造で、上下にも若干のスイングが可能です。胸とウエストは後ハメ可能。胸内部にはポリキャップを使った2軸式の関節が仕込んであって、ここで胸をスイング出来る・・・ハズなんですが、可動範囲が狭くて、ほとんど固定みたいな物ですね。ポリキャップよりも、後ハメ部分のツメのガタつきで動いてる感じです。どうせウエストのクリアランスが狭い訳ですから、いっそ前後どちらかへのスイングに特化させた方が良かったかも知れません。

 左胸の拡散ビーム砲は、目くらましに利用する装備。MGの方が別パーツ化・クリアーパーツ採用と仕様は豪華なんですが、今回はキッチリ正面を向く様に設計を改めてあり、より説得力のある造形になったと思います。どうせ拡散するんだから傾いていても構わないじゃないか、という考え方も有るとは思いますが、効果や精度が最大になるのは、やっぱり正面だと思うんですね。

リックドムの背面。スカート後部が長く垂れ下がり、背中のバーニアが大型化しているのが分かるでしょうか?ビームバズーカのグリップは、かなり大きく動かしてあります。

 です。フロントスカートは、ベルトに垂れ下がる形で左右独立して可動します。サイドスカートも可動式。脚を大きく開いてもほとんど干渉してこないんですが、大胆なポーズの時にはサイドスカートを必要以上に動かして、装甲の割れを演出してやると良いかも知れません。

 リアスカートは、フチの部分を折り曲げて厚みを表現。これは旧1/144キットでも行われた演出ですね。裏面にはディテールも入っています。リックドムはリアスカートが大型で、垂れ下がった形に変更。フチは折れ曲がり部分にギザギザの変化を持たせて、ディテールの点でもドムとの違いを演出しています。(MGでも同様です。)



 フンドシ下にはフタパーツが有り、取り外すと飾り台接続用のポリキャップが現れます。穴径はSEEDデスティニーシリーズの物と同じなので、飾り台を拝借すればホバー走行や宇宙戦のシーンも再現出来ますよ。

 フンドシ後部の3連バーニアはポリキャップで可動。3発のエンジンを一体成形するだけでなく、完成後は見えにくい上側の面に肉抜きを設けてモナカ割りも廃止。バーニア内部をスライド金型で再現する事で、バーニアも一体化。つまり完全にワンパーツです。石油価格が高騰したために編み出した、パーツ点数を減らす工夫だと思いますが、ハメ込みピンが外観を損ねる心配が無いため、かえって完成度が高くなってる気がします。こういった工夫は、どんどん採用して欲しいですね。

奴はガンダムの本放送を見てないと言っています!

SEEDデスティニーシリーズの飾り台を使ってディスプレイする事も出来ます。(このキットには含まれていません。)

 です。モモは、ヒザ関節をフレームパーツにハサミ込んでから、筒状の外装に通す様にハメ込む構成。フレームと言うより、芯と言った方が良いかも?モモの外装は筒状に成形するためにスライド金型を使用。型のパーティングラインを利用して、パネルラインを段差で表現する発想も面白いですね。

 スネも、ヒザ関節をハサミ込んでの左右貼り合わせ。ヒザアーマーを含めた前面は別パーツ化してあり、ヒザ下の黒い部分も色分けしてあります。内部には足首につながるL字の関節パーツが仕込んであり、関節を引き出したりスイングさせる事が可能。足裏の接地性向上に役立っています。スネ内部の3連バーニアも、スカート内の物と同じ様にワンパーツ成形。ポリキャップで可動します。こちらは肉抜きを埋めておくと、スソをのぞき込んだ時に見映えが良くなると思います。(のぞき込む人も少ないでしょうけど。)

足裏の違い。左がドム、右がリックドムです。背中のバーニアのサイズの違いも、ハッキリ分かりますね。

 足首は、クツに足の甲を重ねる構成。足裏はドムとリックドムで異なるパーツを使います。ドムの足裏は浮上用バーニアの周りをホバークラフトのスカートが取り囲んだ様なデザイン。リックドムの足裏は、奥行きのある大小のバーニアを複数配置したデザイン。デザインはMGに準じていますが、ドムのバーニアにはフィン状のディテールを追加して、リックドムとの違いをさらに強調してあります。

 肩アーマーは、黒い外装に赤い内側装甲をハメ込む構成。どちらもワンパーツ成形のため、外観を損ねるピンも有りません。MGではピンを内側装甲で上手く隠していましたが、隠した部分がフラットになるため装甲厚が一定になっていませんでした。今回は、そのわずかな欠点さえも解決してあり、とても上手い分割だと感心しました。ボディに接する側の仕切り板は球状になっていて、ボディ側に軽く埋没する様な配置です。丸い肩ブロックに形を合わせて、胴と腕が離れた印象にならない様、距離を詰めてあるのだと思います。

足首を引き出していたら、全部引き出せてしまいました。なんだかガブスレイみたいですね。右手首はMG旧ザクの可動指を拝借、HGUCドムトローペンのラテーケンバズを持たせています。

 です。肩ブロックは肩関節軸で肩アーマーと接続してあるので、肩アーマーから独立した動きが可能。上腕は恒例の筒状パーツです。前腕は、ヒジの丸モールドを含むフレームパーツでポリキャップをハサミ込み、それをさらに腕の甲と内側でハサミ込む構成。MGと同様の分割ですね。接着ラインがほとんど目立たない、上手い構成です。造形的には、腕内側のラインがMGに比べてより自然なカーブになった様に思います。

 手首は、左右のゲンコツ(サーベル用握り手)、バズーカ用の右手、開いた左手が付属します。リアルな代わりに指パーツが外れやすいので、両面テープ等を利用して工夫すると良いでしょう。1/144とは思えない大きな手なので、MGの可動手首を拝借してやるのも一つの方法ですね。試しにMG旧ザク(黒い三連星カラー)の物と交換してやったら、指が少し貧弱に見えるくらいでした。遊ぶ時にはMG旧ザクから拝借、飾る時には本来の手首、といった使い分けをしてみるのもいいかも。

 背中は、2基のバーニアが連動して可動。バーニアと外装パーツはドムとリックドムそれぞれに専用のパーツが用意されていて、リックドムの方が大型のバーニアを装備しています。デザインはMGに準じていますが、バーニアのサイズの違いでバリエーションを表現するアイデア自体は、旧1/144リックドムの時に採用された物。今ほどハッキリした違いではなく、ほぼ同じ形のままで背中の縦幅いっぱいまで拡大しただけだったので、MGの時には、ふくらみ具合バーニアの形を全く別物にして、違いを強調したのだろうと思います。



旧1/144リックドム。ジャイアントバズは右手首と一体で、穴開きゲンコツと交換して装備させる方式です。マガジンとヒジが干渉して、持たせにくいのが難点。股関節軸は左右に開脚できるタイプ。精密感はイマイチながら、足裏のバーニアまで再現してありまう。

 武装です。ジャイアントバズフォアグリップが可動。メインのグリップも可動しますが、これは例によって手首の可動を補うためのもので、実機のグリップは頑丈に固定してあるのだと思います。スコープの内側にはクリアーパーツを使用。HGサイズとしては、ちょっぴりゼータクな仕様かも。

 バズーカ先端の突起はフロントサイトに相当する物だと思いますが、今回はキチンとスコープ中央の直線上に配置されている様です。(フロントサイトについては、その155 HGレジェンドガンダムの巻で触れています。参考まで。)この突起は別パーツ化された砲口と一体成形されています。パーツ点数を抑えられますし、根元の強度確保の点でも優れていますね。

旧1/144リックドム(右)との比較。MGとHGUCのイメージがとても近いので、旧1/144キットが巨大化してMGと並んでいる様な、不思議な感じがしますね。今度MGと旧1/100も並べてみたいですね。

 ビームバズーカリックドム専用の武装。TV本編には登場してませんが、今ではすっかりメジャーにな装備になってますね。左右分割の本体に砲口とグリップをハサミ込み、センサー類を取り付ける構成。やはりグリップは可動します。センサーはクリアーパーツの奥にディテールが入っているので、傾かない様、正確な向きで取り付けてやりましょう。回り止めが付いていると言っても若干のガタが有りますからね。

 ヒートサーベルは、スライド金型で成形されたグリップを取り付ける構成。刃のパーツは1本のみ付属しますが、もう1本あれば塗り分けて発熱状態を再現出来たのに、惜しいですね。背中のサーベルホルダーに装備します。

上からビームバズーカ、ジャイアントバズ、ヒートサーベル、使用状態のヒートサーベル(トリプルドムセットに付属)、ジャイアントバズの弾(トリプルドムセットに付属)。

 組立時間は1時間20分でした。すでに出来の良いMGが出てるので完成度の高いキットになるだろうとは思っていましたが、パーツ構成はさらに進んだ印象を受けました。

 外観がMGとほぼ同じというのも嬉しいですね。各サイズのデザインにバラつきが少なければ、MG・HGUC・ハイコンプロを使って遠近感を利用したディオラマ作品を作り、ジェットストリームアタックを再現するといった楽しみも可能です。例えばMGジムHGUCジムなんて、同じベースの上には飾りにくいですからね。単品での出来の良さはもちろん、そんな点も一種の財産と言えるんじゃないでしょうか。量産メカの場合は、特にそう思います。


 おまけ

 こっちが本題の様な気もしますが、とにかくトリプルドムセットであります。これ以前にも「V作戦セット」としてガンダム・ガンタンク・ガンキャノンのセット商品が発売されていますが、今回はリックドム用のパーツとビームバズーカを除外する代わりに一体当り1333円に値下げ、しかも飾り台やおまけパーツまで付いてくるというサービスぶり。この飾り台とおまけパーツを使えば、劇中の「ジェットストリームアタック」を再現出来る様になっています。



 リーダーのガイア機用には、発熱状態の青色で成形されたヒートサーベルの刃が付属。これは新規パーツではなく、従来パーツの成形色を変更した物です。これを背負わせると自分の背中がヤバイので、出来れば余分にもう1本、黄色で成形した物も欲しかった所ですが、プレイセットではなくディオラマセットとしての性格が強いキットなので、大きな問題では無いと思います。形が単純なので適当な太さのプラ棒から、もう1本自作しても良いでしょうし、片面を黄色、裏面を青で塗るという最終手段もあります(無茶)。



 マッシュのドム用には、ジャイアントバズのと、発射の瞬間を再現するエフェクトパーツが付属。弾はドム本体のグレーのランナー3体分のうち、1体分のランナーの切り替えを開いて成形。ケチケチせずに、残り2体分のランナーにも付けてくれればいいのに・・・と思わない事もないですが。弾は前後2分割で、安定翼が開いた状態を再現してあります。



 エフェクトパーツは、ややスモークががったクリアー成形で、飾り台と同じランナーに含まれます。噴煙の先端を弾の後端に差し込んで、バズーカの砲口に取付けて使用。砲口の出口付近にはテーパーが付いていて、もっと奥まった部分でエフェクトパーツのピンを保持するので、砲口の塗装がハゲる心配は有りません。



 オルテガのドム用には、両手を組んだ状態のゲンコツが付属。必殺技ヘルアンドヘブンで、ミデアゾンダーの核にされてしまったマチルダさんを救出した、有名なシーンを再現出来ます。(間違ってるぞオイ!)最近ではこのゲンコツはオルテガハンマーと呼ばれ、彼は肉弾的な近接戦闘を得意としていたとか、そんな風に解説されている様です。このゲンコツパーツは紫のランナー3体分のうち、やはり1体分にのみ付属しています。

 飾り台は、3体のドムを縦一列に並べて飾る事が可能。1体目のドムは単独の支柱ですが、2・3体目のドムは、取付ピンが2箇所用意された1本の支柱にセットします。ベースには支柱の根元をセットする溝が3列用意されているので、好みの配置に左右調整出来ます。あまりに直線的で単純な配置になると不自然ですから、バラつきを持たせられる配慮は実に嬉しいですね。



 支柱の先端は角度調整が可能。後ろの支柱は2体一緒に動く事になりますが、大きく角度を付ければ最後尾のオルテガ機がジャンプした様なイメージになる訳です。角度調整部分は歯車の様な、ギザギザの付いた丸い形状。動くのではなく、好みの角度で横から差し込んでやります。ちょっと抜けやすいので、ドム3体をセットしたまま持ち運ぶ時には、この角度調整部分を支柱2本とも持つ様にします。さらに用心するなら、角度調整部分を取り外して運んだ方が良いでしょう。落として破損するのはショックですからね。

 この他、ドム自体の成形色にも変更が加えられ、単品発売の物よりも赤みの強いパープルとなっています。劇中ではグレーがかったパープルでしたが、あまり彩度を落とすとフェイズシフトダウンしたみたいになってしまいますから(他の部分も黒とグレーですし)、商品的には妥当なカラーではないでしょうか。



 機体ナンバー等のマーキングシールも付属。いつの間に設定が出来上がっていたのか、ガイアが25、マッシュが60、オルテガが12となっています。MGの頃から決まってたのかなー?と思ってMGドムの説明書を見てみると・・・3機とも25でした(泣)。1体だけ製作して合成で増やしたのかな?ウルトラ世代のボクは、実は黒い三連星は1人しかいなくて、ナンバーを変えて3人のフリをしていたのでは・・・などと思ってしまう訳ですが。

 ランナーには切り替えが何箇所も用意され、リックドム用のパーツを除外したり、トリプルドム用のパーツを追加するのに使われています。逆にドム用のパーツも除外出来るみたいですね。今のカラーでのリックドム単品発売が有るかどうかは疑問ですが、シャア専用リックドムが欲しいという人は少なくないでしょうね。また、ランナー数枚を兼用して ドワッジの発売も可能かも。ぜひ実現して欲しい所です。

 てな感じで、ただ3体分をセットにしたのとは一味違う、まるごとメモリアルアクションの様なキットです。納得いく造形解釈がとっくに出来上がっているのに、ずいぶん待たされたHGUC化ですが、飾り台とエフェクトパーツの成熟を待ったと思えば、無駄では無かったというか、むしろ待って良かったんじゃないでしょうか。ぜひ手に取って欲しいセットです。

 2006.2.8  健 竹史



HGUC ドム/ リック・ドム
HGUC 黒い三連星トリプル・ドムセット

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