健さんの
プラモコラム

その169
 
HG アカツキの巻

( HG 1/144 シラヌイアカツキガンダム/
 HGオオワシアカツキガンダム /バンダイ/
ORB−01 アカツキ
「機動戦士ガンダムSEEDデスティニー」に登場)



 攻防一体のビーム反射装甲「ヤタノカガミ」を備えた、あまりにも強力なMS「アカツキ」であります。前大戦時に完成していたと言う割にはハイテクの香りがプンプンしますが、その辺りに違和感を感じた人も多かったのではないでしょうか?なんだかセカンドステージのMSより進んでる気がするんですよね。

アカツキの演出小道具として、遺言を延々と喋るカガリパパのフィギュアなんか有ったら面白いと思うんですが、Voice I-dollシリーズなんかで発売してくれませんかねぇ。え?要らない?
それよりも、演説を収録したギレン閣下なんかの方が売れるかな〜。

 ふと思ったんですが・・・カガリパパは、遺言の中でアカツキの事を「剣」と呼んでいましたね。本当はどこかに名刀「暁」とかが置いてあって、「いざという時は剣で戦え」というつもりで遺言を録音しておいたら、エリカ・シモンズさんに最新MSとすり替えられてしまったのでは?あの人、マッドサイエンティストっぽいからなぁ(偏見?:笑)。国のピンチに遺言とセットで見せれば、どんな物騒なMSでも使ってもらえると、チャンスを伺っていたのかも(おいおい!)。

 ・・・と、冗談で言ってみたものの、冷静に考えればフェイズシフト装甲の方がよっぽどハイテクなのかも知れませんね。「相転移」というのが何なのかハッキリ分かりませんが、単純に強度をアップしてるのではなくて、衝撃をどこか(あなたの知らない世界)に飛ばしてる様な言葉でもあります。ビームの反射角を調整出来るのはスゴイ事ですが、ビームが消えて無くならない分、PS装甲よりも普通の科学に近い気もする今日この頃。



 では、本題に移りましょうか。先に発売されたシラヌイ付と、最近発売されたオオワシ付をまとめて紹介しますが、セット売りではありませんので、ご注意下さい。

 頭部は、大きなツノを付けて威厳を増したストライクといったデザインですね。マスクを前後分割のヘルメットでハサミ込み、ツノと一体になった、ほほガードを取り付け。アンテナの中央にはセンサーが無く、スリットがデザインされています。バスターの様に、カバーで覆われたセンサーという事なんでしょうね。アゴは周囲より濃いゴールドで塗装されています。なかなか芸コマというか、メーカー泣かせの色指定ですね。

他キットの飾り台を拝借して、飛行状態でディスプレイしたところ。このキットには飾り台が付属していません。ご注意下さい。

 ところで、放送中は「どうしてカガリはネオに機体を使わせるんだろう?」と思ってたんですが、カガリもネオもストライク(ルージュ含む)に乗ってたんでしたね。色は違いますが、前作のイメージを引き継いだMSに乗ってた訳です。ついでに、「エースがマスクを取ったら金ピカに乗る」のは、クワトロ大尉のイメージでしょうか?

 ボディは、胸とウエストが同色のため、一体になっています。コクピット左右のフレーム(三角の板)は、ボディ前後のパーツを貼り合わせる前に仕込んでおき、内側から突き出る構成。エリの内側は、胸上面の黒い三角形の部分と一体で、上から取り付けます。実機ではエリもフレーム色のグレーなんですが、エリが背中まで続いているデザインのため、色分けは難しかった様です。



 胸部ダクトは周囲よりも濃いゴールドに色分けしてあります。でもゴールドの濃淡の差よりも、光の反射や映り込みによる変化の方が大きくて、あまり目立たないですね。よりハッキリ見せたい人は、クリアーオレンジを塗り足してやると良いかも。(塗り方や濃度は、ランナーの切れ端で事前にテストしましょう。)

 です。フロントスカートは左右独立して可動。やや短めのデザインは、ビーム反射装甲「ヤタノカガミ」に守られているからでしょうか?良く動きますが、水平以上に起き上がらない様、ストッパーが設けてあります。サイドスカートサーベルホルダーが回転可能。ホルダーは両腰に付いていますが、ビームサーベルは左腰にのみ装備します。フンドシ下には、例によって飾り台取り付け用の穴が用意されています。



 センターアーマー(フンドシ正面)は下側が切り欠かれたデザインのため、スペースの都合でハメ込みピンが1本しか配置されていません。そこでフンドシの左右にミゾを用意して、幅方向でも噛み合う様に工夫してあります。

 です。モモは通常の左右分割に加え、前面の装甲を独立パーツ化。中央に接着ラインが通らないよう工夫されています。パテを使うとメッキが台無しになりますから、こういった配慮は嬉しいですね。モモの後ろには接着ラインが通っていますが、スカートに隠れて目立たないので、そんなに気にならないと思います。



 ヒザは後ハメ可能な二重関節。スネはグレーのフレームに各部の装甲を被せる構成で、メッキ部に接着ラインが気になる箇所は有りません。後部スラスター偏向板がハサミ込み式になっているのが、塗装派の人には厄介な部分かも。スネ側面のスラスターは、ノズルの周囲を濃いゴールドに色分けしてあります。

 足首関節は、ストライク等では左右貼り合わせだったメカ部を、前側からワンパーツ成形。センサーにディテールを追加してあります。設定にはディテールは入ってませんし、足首アーマーで隠れてしまう部分なんですけど、なかなか凝ってます。逆に後部は、ストライク等の特徴であるアキレス腱のメカを、カカトの一部として造形。再現度はイマイチですが、ツマ先を伸ばすポーズに有利な構成です。飛行状態で飾る時の見映えを優先したアレンジなのでしょうね。



 足首アーマーは左右貼り合わせで、スネの下端をハサミ込んで取付け。足首はストライクよりも細く小さめに造形されています。足裏はツマ先からカカトまで一体成形されており、例によって土踏まずの部分だけ塗装すれば良いパーツ構成になっています。

 背中は、上下一体成形のフィンを取り付け、その中にメインスラスターを仕込んであります。シラヌイやオオワシで隠れる事が多い部分ですが、フィンの内側までクリアーイエローが吹き付けられておらず、メッキの銀色がムキ出しになっているのが少々残念。メッキキットには有りがちな事ですけどね。



 オプション兵装(つまりストライカーパック)の取付け部はストライクガンダムと規格を統一してあるので、エール、ソード、ランチャー、IWSPの背部装備が装着可能。もちろん、オオワシやアカツキをストライクに装備させる事も出来ます。こうなると、1/100キットも欲しくなってきますね。え?1/60も?PGまで?ものすごいメッキキットになりそうですが(汗)。



 肩アーマーは、フレーム部の形状がわずかに異なっているものの、HGストライクとボリュームや前後幅を統一してあります。実機にもストライクと同じようなフックが付いていて、スラスターユニットを増設してあるんじゃないでしょうか。キットは肩ブロックと下面ノズルをハサミ込んでの前後分割のため、上面の中央に接着ラインが通っています。

 です。肩関節はポリキャップを使わず、ABS製のダブルボールジョイントを採用。肩アーマーが大きい割りに良く動きますし、怒り肩やヒネリを加えた様なポーズも可能で、かなり楽しめます。腕と肩の両側にABSの軸受けを仕込んであり、ワキの下や肩関節軸にはメカっぽいモールドが施してあるので、従来のキットより見映えも良いですね。今回一番のセールスポイントだと思います。



 上腕は恒例の筒状パーツ。ヒジは、関節カバー両端の面取りまで気を配った造形で、単調さを感じさせません。ゲートも完成後に切り取り跡が目立たない様、側面と後ろに配置。なかなか芸コマですね。前腕は左右分割で、前面は分割ラインを端に寄せて目立たなくしてあります。側面にはハードポイントが有りますが、ポリキャップは内蔵しておらず、単純な角穴となっています。

上から、オオワシのビーム砲展開状態、ビーム砲収納状態、シラヌイの誘導機動ビーム砲塔、銃剣状態のビームライフル、ビームサーベル連結状態、ビームサーベル分離状態、右上はシールド。
ビーム刃は、シラヌイ付属の物はクリアーブルー、オオワシ付属の物はクリアーピンクとなっています。

 手首は、左右とも穴開きゲンコツが付属。やはり手の甲の裏側はメッキ色の銀色のままになっていますから、あまりのぞき込まないようにしましょう(笑)。指の内側には突起が付いていて、ライフルを持たせた時にトリガーの先端が凸凹にハマッて、ライフルのガタつきを防ぐ様になっています。細かい所ですが、これは良いアイデアですね。

HG ストライクルージュ付属のIWSPを装備した状態。シールド用のジョイントは、アカツキの物を使用しています。

 飾り台は付属しませんが、SEEDデスティニーシリーズ共通の飾り台を、他のキットから拝借して使う事が可能です。これ、ガザCの時と逆のアダプターが有ったら面白いんじゃないですかね?ガザCがSEEDデスティニーの飾り台を流用した様に、Zシリーズの飾り台とSEEDデスティニーのキットをつなぐアダプターパーツを用意すれば、自在に傾けてディスプレイ出来る様になって、もっと楽しめると思うんですが、どうでしょう?

 武装です。72D5式ビームライフル「ヒャクライ(百雷)は、左右分割・銃口・フックの4パーツ構成。右腰にマウント出来る点はムラサメと同じですね。エリカさん、やっぱり開発時期をごまかしてる!と思ったら、アカツキ計画が凍結された後で開発された武装だそうです。下部にビームサーベルを装着して、銃剣として使う事も可能。逆に言えば、Ζガンダムの様に銃口からサーベルを発生したりしないって事なんでしょうね。

ストライクの装備を拝借した、ランチャーアカツキ(左)とソードアカツキ(右)。

 試製71式防盾(シールド)は2枚貼り合わせのパーツ構成で、裏面まで金ピカです。グリップは裏面パーツと一体で、モールドのみの再現。前腕のハードポイントにはジョイントを使って接続しますが、肩との干渉を避けるため、ピンに角度を付けてあります。ジョイントには肉抜きが有りますが、これは取り外す時に便利なため、埋めない方が良いかも知れません。

 先端は尖っていて、打突武器としても使用可能。アーマーシュナイダーを持ってないからと油断して近づくと、痛い目に遭いそうです。

 オオワシストライクルージュ(左)と、エールアカツキ(右)

 73J2式試製双刀型ビームサーベルは、左腰に1本装備。2本に分離しても使えるという設定ですが、キットでは連結状態・分離状態の物をそれぞれ用意。クリアーのビーム刃が付属しますが、シラヌイアカツキの物はエフェクトパーツに合わせたクリアーブルーで成形されているため、劇中のカラーを再現するには塗装が必要です。いっその事、色の薄さを活かしてグラデーションをかけても面白いかも知れませんね。オオワシアカツキの物は、劇中イメージのクリアーピンクで成形されています。

 宇宙戦闘装備「シラヌイ(不知火)は、左右のスラスターユニットがポリキャップで可動、ウイングの様な横の砲塔基部が、ABSパーツで2軸可動。テールスタビライザーの様な中央の砲塔基部は通常のプラ製ですが、メッキのお陰で(?)なめらかに可動します。M531R誘導機動ビーム砲塔システムは、全7基が分離可能。デザインは共通ですが、スラスターユニット上面にセットする2基だけは、専用の取付け穴が開いています。



 クリアーブルーで成形されたエフェクトパーツを使えば、7機のうち4基のビーム砲塔の射出状態を再現できます。欲を言うなら、全てのビーム砲塔が射出状態になれば嬉しいんですけど、放射状に展開出来る最低限の数は揃っていると言えるでしょう。射出状態にしなくても、全ての砲塔が可動する様に配置されたデザインなので、いろいろ動かして変化を楽しむと良いと思います。



 大気圏内航空戦闘装備「オオワシ(大鷲)は、エールユニットとF91のヴェスバーを組み合わせた様な装備です。このキットのメッキパーツは、銀メッキを施したパーツに片面だけクリアーイエローを吹いた物ですが、主翼・尾翼・ビーム砲のグリップのランナーだけは、両面にクリアーイエローを吹いてあります。



 主翼はABS製のヒンジで折り畳み可能。尾翼は固定式で、根元は設定にあるパネルラインを活かした分割となっています。本体は単純な金ピカの箱ではなく、後部メインスラスターの周囲にメカを露出させているのが良いですね。こういう所で、「金色の部分が装甲である」事が強調される気がします。

 73F式改高エネルギービーム砲は、ABSのアームで可動します。使用時に伸びるのもヴェスバーと同じ仕組みですね。伸ばせばグリップが自動で展開し、縮めればグリップが収納される連動ギミックは、面白いし有りがたいですね。メッキの事を考えると、ツメで引っ掛けて引っ張り出すのは気がひけますからね。

ビーム砲の発射姿勢。ただし劇中では、グリップを握らずビームライフルと同時に発射するシーンも有りました。

 MSから分離した状態では、上に畳んでいた機首が可動アームで正面に移動、戦闘機の様な形態になります。この状態での単独無人飛行も可能だそうです。インテイクには濃いゴールドのパーツ、ノズルには赤いパーツを使用。白や黒の部分にはシールが用意されています。

 組立時間は、シラヌイアカツキの場合で1時間50分程度でした。オオワシアカツキは、もう少し時間がかかったかな?組み上がったら、「暁」「大鷲」「不知火」等のガンダムデカールを貼ってやりましょう。



 1機しか存在しない機体を2体組み立てるのもなんですけど、2機存在したらどうだろう?なんて妄想しながら並べて飾るのも良し、ですね。何たってアカツキがアカツキを撃ったら、2機の間を永遠にビームが行き交うんですよ?(笑)


 おまけ

 先月、岡山県倉敷市で開かれた「第6回 中国AFVの会」に行ってきました 毎年この時期に開催される春の恒例行事なんですが、参加するのは初めてです。岡山や近隣の模型サークルばかりでなく、もっと遠方からの参加者も来ておられました。

 たくさんの見ごたえある完成作品が展示されるだけでも楽しいのですが、参加者(出品者)全員の投票によって入賞者を決め表彰するシステムが、連帯感を高めるのに一役買ってる様に思えました。

 プロモデラーや編集者をゲストに招いて、お話を直接聞けるのもこのイベントの魅力です。やはりというか、メインの話題は近年充実しつつある1/48スケールについて、でした。戦車模型は1/35スケールが圧倒的に充実していたため、1/48への関心(逆になぜ今後も1/35にこだわるのか、まで含めて)は高いようでした。

 ガンプラで言えば、1/100しか無かった状態に、いきなり1/144シリーズがスタートした様なものです。しかも後発のため1/100と変わらないディテール密度と可動を備えていて、ラインナップがまだ充実していなかったとしたら?これはもう、スタート時から複数スケールのガンプラに慣れ親しんできたボクの想像を、はるかに越える出来事なのかも知れません。それこそ取り組み方、関わり方、メーカーに何を期待するかに、趣味嗜好や模型に対する各人の考えの違いが反映してくるみたいで面白かったです。

 他にも有意義な話がいっぱい聞けたんですが、年1回の開催ペースは、模型界の動きを振り返り、今後の展望について考えるには、丁度良いペースなのかも知れません。テクニックやキット単品の話題だけでなく、模型全体の話が出来る場というのは、とても刺激的でした。機会があれば、また参加してみたいと思います。

2006.5.13 健 竹史


   
   
   
 

  

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