健さんの
プラモコラム

その290
 HGUC
 ザク地上戦セット
の巻

 HGUC 1/144
 MS−06 ザク
 M61A5 61式戦車5型
 PVN.4/3 ワッパ 他/バンダイ
 「MSイグルー2 重力戦線」等に登場
2009年2月発売 税別初出価格2200円



 1/35で展開されてきたUCハードグラフが、1/144にスケールダウンして、ザクと共演であります。これまでもザクの頭とかジムの腕だとかを付属させて、1/35の世界にMSを持ち込んではいましたが、サイズ的な都合から、どうしても一部だけになり、ダメージモデル的扱いになりがちでしたが、今回は戦闘真っ只中のザクの足元で兵器や兵士が活躍します。緻密なディテールには惹かれるけど、従来のガンプラとはちょっと距離のある世界に感じてたハードグラフが、一気に身近になった様な。では早速、セット内容を紹介していきましょう。



キット内容一式。この他、HGUCザクに従来から含まれる左右の武器持ち手と、水転写デカールが付属します。

 キットは、すでに発売されている量産型ザクに、新規ランナー2種を2枚ずつセットした物となっています。このため、車両や武器、フィギュアも全て2個ずつ組み上がり、1パッケージでも部隊戦らしいシチュエーションが楽しめます。

 新規パーツは、連邦軍61式戦車、破損したキャタピラ、爆発エフェクト、ワッパ、ザクバズーカの弾、バズーカ発射エフェクト、シュツルムファウスト、クラッカー、連邦軍兵士2種、ジオン軍兵士1種、ジオン軍ワッパ操縦士1種、ザク用の左右新規手首が、それぞれ2個ずつ。この他に、マークング類を収録した水転写デカールが付属します。



 HGUCザクは従来の物と同等ですが、成形色が若干濃い色に変更されています。また、一般発売の量産型ザクには含まれなかったアンテナ(羽根飾り)と、それに対応した頭蓋パーツが付属。アンテナの付かない頭蓋も付属するので、アンテナの有無を選択出来ます。完成後も頭蓋ごと交換する事が出来るので、2通りのザクが楽しめますね。

 また、付属の水転写デカールを使えば、機体各部にSマイン(対人地雷の一種)発射口の表現が可能となっています。MSの足元をウロチョロするシーン(ギャグシーン含む)が登場する作品も有った様に思いますが、こんなディテールを見てしまったら、映像を見返すのが怖くなりそうです。ガクガクブルブル・・・。



 通常版のHGUCザク(左)との比較。成形色が若干濃いグリーンに変更されているのが分かるでしょうか?ザク本来の付属品は、ザクマシンガン、ザクバズーカ、ヒートホーク、ミサイルポッドが付属。手首は穴開きゲンコツと、武器持ち手が左右とも付属します。せっかくだから、HGUCガルマ専用ザクに付属するマゼラトップ砲も付けて欲しかったと思うんですが・・・。



 単品発売されているHGUC量産型ザクについても、簡単に紹介しておきましょう。キットは先に発売されたHGUCシャア専用ザクのカラーリングを変更、アンテナと、それに対応した頭蓋パーツを除外し、アンテナの付かない頭蓋パーツと、ミサイルポッドを新たにセットした物です。

 シャア専用ザクに付属するザクマシンガン・ザクバズーカ・ヒートホークも付属しています。変更無い箇所については、「その51 HGUCシャア専用ザクの巻」を参照下さい。

 

 ミサイルポッドは、箱型に成形された本体に、前面パーツを取り付ける構成。脚への固定には、C字形に成形されたリングを使い、本体パーツとフタパーツで、C字の両端のハメ込み部分をハサミ込んで固定します。ミサイルは1本ずつ成形してあるので、セットしなければ発射後の状態も再現可能。

 リングはスネ形状にフィットする様に作られていますが、ピン等で接続してある訳ではないので、遊んでいると簡単に位置がズレます。素立ちで飾るには問題有りませんが、大きなポーズを付ける場合は両面テープ等、何らかの方法でズレ止めを行ったほうが良いかも知れません。1/144武器セットの物を旧キットのザクに取り付ける場合は、リングを押し広げてセットしていましたが、HGUCでは後ハメ構造を利用して、ヒザを外して上からセットする事が可能。完成後の着脱も自在となっています。

2003年9月発売 初出税別価格1000円



 61式戦車は、車体と砲塔にスライド金型を使ってあり、側面まで一体成形。少ないパーツ点数でディテールを再現してあります。と同時に、内部のハメ込みピンが少ないという事は、キャタピラなんかを完全再現するためにも重要なんでしょうね。車体上部と側面を別パーツ化して、ハメ合わせるためにキャタピラの上半分を省略してあったりすると、改造したりダメージモデルを作る上で大きな妨げになります。

 実際、砲塔上部のハッチや車体後部のハッチは、開閉選択式ではないものの別パーツ化してあり、最低限の加工で開いた状態を再現出来る様に配慮してあります。室内も、底面にある程度のディテールが入っていて、「それらしいゴチャメカを詰め込んで内部再現にチャレンジしてみませんか?」と誘っている様な。



 フェンダー(キャタピラの覆い)上部は別パーツになっていて、上から取り付け。ライトを成形するためでもありますが、ここを外すとスコップや斧など、戦車ならではの装備品がモールドしてあります。砲塔側面のギザギザは、スモークディスチャージャーを真上に向けた配置で再現したもの。ちょっと細かいですが、ここだけでも作り直してやると、よりリアルになると思います。別パーツ化も可能だったと思いますが、初心者にも組みやすい仕様で、リアルモデルの間口を広げようという企画意図だと思うので、妥当な判断ではないでしょうか。



左から、マゼラアタック、キット付属の連邦軍一般兵、61式戦車、、ドイツ自走砲フンメル、ワッパ。
ワールドタンクミュージアムにも61式戦車に近い全長の戦車がラインナップされていますが、車幅やボリューム感は圧倒的。にわか勉強してみたところ、現在の120mmを超える主砲を搭載するには車体を大型化する必要が有る様で、155mm滑腔砲を備えた61式戦車は、それ相応の妥当なサイズに設定されている様に思います。
もちろん重く大きくなれば「技術的に作れるのか」「不便ではないか」という問題が出てくるんですが。ガンダム世界でも、ガンタンクR44は、公道を走れる様に小型に設計されてましたね。

 連装式155mm滑腔砲は砲塔本体と底面パーツでハサミ込み、独立して上下可動。水平位置から仰角30度くらいまで動きます。砲塔上面には13.2mm重機関銃を取り付けますが、あまりにも余剰部分が大きいので、説明書の解説を見るまで、何のパーツなのか良く分かりませんでした(笑)。最近は1/144の戦車食玩等で色々手に入りますから、それらしい機銃を流用しても良いかも知れませんね。



 砲塔後部には手すりを再現。側面の手すりは砲塔と一体成形してあり、後部は砲塔の後ろからハメ込みます。空洞部分が埋まって壁の様に成形されていますが、手軽さを損なわないためにもベターな選択だったと思います。空洞部分を手すり部分よりも明るい色で塗る等の方法で、金網が張ってある様な表現にしてはどうだろう?と思ったら、重力戦線の劇中では、下半分は本当に金網が張ってある様です。もちろん、頑張って自作した手すりに置き換えれば見せ所になると思います。

 キャタピラです。転輪は、つながった状態でワンパーツ成形。履帯は上下2分割し、2パーツに抑えてあります。あっという間に足回りが組み上がるのが嬉しいですね。履帯の分割ラインが前後の一番出っ張った所に来るので、ズレが無い様にチェックしてやると、継ぎ目が目立たないと思います。スキマだけでなく、左右のズレも目を引きますからね。上下分割を利用して、履帯の下半分を破損状態のパーツに差し替える事も可能。このパーツは、HGUCガンタンクにも付けて欲(以下略)。



ボリューム満点!春の新メニュー、2倍のエフェクトパーツをサンドした「メガ61式戦車」はいかがですか?(笑)

 この他、爆発を表現したエフェクトパーツが付属。4パーツを組み合わせてあり、車体と砲塔の間に取り付ける事で、ディオラマ的な演出が可能です。破損状態のキャタピラパーツが下にカーブしているのも、これと組み合わせて車体がハネ上がった動きを演出するためですね。



オッス!おら悟空(笑)!エフェクトパーツは安定が悪いので、指で支えています。文字通りの爆発ヘアーですね。

 続いてワッパです。前後のファンは本体フレームと一体成形。バンパーと一体になった半円のカバーを上から被せてやります。コンソールパネルと、上部フレーム・機銃まで一体になったシートを取り付け、パイロットフィギュアを座らせます。



 こちらの機銃は61式戦車の物より小型ながら、余剰パーツ無しでそのまま造形。上部フレームやバンパーといった、本来バーで構成されている部分のスキマが埋まった状態で造形されていますが、それでも細かい所まで作ってあります。アニメ用の設定に無いディテールを足してあるので、61式戦車もそうですが、1/35UCハードグラフシリーズの完成見本を参考にすると、どこがどうなっているのか分かりやすいと思います。



1/144マイクロアーマーのドイツ自走砲フンメル(左)とワッパの比較。ワッパは意外と大きいのです。

 UCハードグラフの完成品は何人もの方に見せてもらた事がありますが、改めてMSのキットと並べられる1/144スケールで手にとってみると、かなり大型の乗り物なんですね。全長5.5m、ちょっと大きいバイク程度かと思ってましたが、占有面積は戦車に近い物があります。何台ものワッパでガンダムの周りを飛び回る時は、叩き落される前に味方と衝突しない様、上手く連携しないといけませんね。



左から、武器セットのクラッカー、本キットのクラッカー、武器セットのザクバズーカの弾、本キットのザクバズーカの弾、連邦軍一般兵。

 クラッカーは、T字形に成形した3発一体のパーツを2つ組み合わせてシャープに再現。1/144武器セットに付属していた物は、ワンパーツ成形の都合で2発の根元がクビれてませんでしたからね。MGでは4発を十字形に一体成形し、その両面に1発ずつ取り付ける3パーツ構成でしたが、今回の方式はスペースの都合からも、ピンと穴の組み合わせより適していると思います。



 シュツルムファウストは、弾頭部分が貼り合わせになった2パーツ構成。手に持たせたり、ホルダーを使ってサイドスカートにマウントする事が可能です。



 ザクバズーカの弾はワンパーツ成形。1/144武器セットに付属していた物に比べて、太く短く造形されています。後部には差し込み穴が有り、発射の瞬間をイメージしたエフェクトパーツを取付可能。バズーカに差し込んで使うんですが、HGガンダムのバズーカには、残念ながらフィットしませんでした。2本付属していても同時に使わないだろうと思う人は、1本残してガンダム用(あるいは他のMS用)に加工しても良いかも知れませんね。



兵士フィギュア。中央の二人は、アスランとカガリですね(違)。

 フィギュアは、マシンガンを抱えた連邦軍兵士、マシンガンを構えた連邦軍兵士、拳銃を構えたジオン軍兵士が付属。この他にワッパに操縦士が乗っていますから、両軍とも2種2体ずつで合計8体ですね。立ちポーズの物にはベースが付いていて、マシンガン等にも細かなモールドが入っています。



 ザクの新規手首です。左の平手は、手の甲と親指を別パーツ化してあるリアルな物。HGUCザクに従来から付属するゲンコツよりも指が細く、指と指の間にかなりのスキマが有ります。これは繊細さを表現しただけではなく、指のポーズを変えたい時に加工しやすい様にという配慮も有るのでしょう。親指も、根元のふくらみがクッキリ独立した感じになっているので、切り離して角度を変えて再接着といった作業も、比較的簡単に出来そうです。



「ジオン公国軍奥義、笑いのツボ!」
「あははははは!あはははははははは!」

 右手は、指2本を伸ばしたビミョーなポーズで造形。武器持ち手にも指差すシーンにも使える様にという意図でしょうか。あるいは、何かの決めポーズなのかも知れません。パーツ構成は、伸ばした2本の指と一体の手の平、薬指と小指、親指、手の甲の4パーツ。人差し指と中指の間は余剰パーツでつながっています。



「ジオン公国軍奥義、二指真空把!」

 ところで、アンテナ付きの隊長機と言うと、「めぐりあい宇宙」で部下のザクを突撃させ、自分は退避壕に身を隠すも弾が飛んできて大破してしまったザクを思い出しますね。あれがシャアザク以外の隊長ザクの初映像化だったでしょうか。この指を少し加工すれば、あのザクを再現出来るかも。

 ザクを除く新規パーツの組立時間は、50分でした。これまでのパターンだとEXモデルでの発売になりそうなアイテムですが、ザクとセットにする事で安価に発売出来たのかも知れないなぁ、と思います。同一ランナーを2セット入れるのも、派手さに欠ける商品で良く見られる手法ですね。ただし今回は、それによって数をクリアしようというだけでなく、情景模型的な意味合いが強まり、ザクとの相性がさらに良くなっている気がします。ベースこそ付いてませんし武器セット的な性格も併せ持ってますが、これ、情景セットの子孫と思っていいんじゃないですかね。

 こういうキットをきっかけに、ミリタリー物情景の再現に興味を持つ人が増えたらいいなと思いますし、他社の戦車モノ等にも、これくらいの難易度の入門キットが登場しても良いかな?なんて思います。・・・と同時に、ハードディテールの1/144ザクも欲しくなってきたんですが、どんなもんでしょう?


 おまけ

 比較用に引っ張り出して来たので、この機会に1/144 マゼラアタックを紹介しておきましょう。




 マゼラトップは、主砲が上下可動。砲身は2パーツ貼り合わせで、前から差し込んであります。ザクに持たせられる様にするため、完成後も着脱可能。コクピットは尾翼ごと左右貼り合わせで、キャノピーにクリアーパーツは使われていません。8基のバーニアノズルは1つずつ単独パーツ化。最近ではこういう部分が4基一体成形される場合が多くて「一体にしないで欲しいなあ」なんて思う事も有りますが、逆に接着式のキットでは、ズレや傾きを気にしながら1基ずつ接着するのは大変でした。ピンで確実にパーツのポジションが決まるスナップフィットって、有り難いですね。



 マゼラベースは、上下貼り合せの車体に、細部パーツを取り付けていく構成。転輪は1個ずつ軸に取り付け、ポリ製の履帯を履かせます。ミリタリーキットの履帯は、焼きドライバー等で接続部を焼きツブして輪にする事が多いですが、このキットではハメ込みだけで輪にする事が出来ます。フェンダー側面は別パーツですがここを接着した後で車体上下を合わせる事も可能です。履帯がキツいと感じたら、見えない箇所の転輪を削ったり外したりして調整するのも良いでしょうし、底面を見せるつもりが無ければ、いっそ車体上下を接着しないでおけばメンテが簡単だろうと思います。

 30mm3連装機関砲は上下左右に可動。本体完成後に取り付ける事が出来ます。排気管やライトは、左右が同じ位置に来る様に注意して接着しましょう。後部のフックは接着面が少ないので、本体側にピンバイスで軽くクボミを付けると安定が良くなるかも。自信がある人は、金属線で作り直すのも一つの方法です。



ジョイントパーツはプラパイプとプラ棒で自作した物です。キットには付属しません。

 マゼラトップとマゼラベースは、劇中同様の分離・合体が可能。接続のため、マゼラトップの下面スラスターフィンに穴が開けてあります。また、マゼラトップの砲身を取り外して機関部パーツに接続すれば、同スケールのザクに持たせる事も可能です。



 今回、61式戦車のエフェクトパーツに触発されて(?)、3mmのプラパイプと2mmのプラ棒を使って、分離シーンを再現出来るジョイントパーツを作ってみました。クリアーのアクリル棒が手に入る人は、プラ棒の代わりに使うと、より目立たないジョイントパーツが出来上がると思います。

 EXモデルでも発売されたマゼラアタックですが、プロポーション的には旧キットも良く出来ていると思いますし、リベット表現が施される等、当時としてはリアルな作りのキットです。何より安いですから、機会があれば、ぜひ組んでみて下さい。転輪が全て再現されているので、クラッシュモデルにも向いていると思いますよ。

 1982年5月発売 初出税別価格400円

 2009.3.22 健 竹史


  

HGUC ザク地上戦セット
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