健さんの
プラモコラム

その99 HGUC ガンキャノン量産型の巻

(1/144 HGUC ガンキャノン量産型 /
バンダイ/ RX−77D ガンキャノン量産型
「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」に登場)



 一年戦争モノが、かなり出揃った頃にポケ戦特集が始まった事もあって、HGUCシリーズの中でも「新旧比較やってます」みたいな感じになってきましたね。特にガンキャノンは、シリーズ第1弾でしたから、量産型と並べてみると、「2周目に突入してるのかな〜」なんて思えてきます。ポケ戦MSが続いているのは、同系MSを避けてバリエーション豊富なシリーズにするため、今まで取っておいたのかも知れませんね。



 では、頭部から見ていきましょう。カメラアイは、残念ながらクリアーパーツでは有りませんでした。GM系でも実現してるのに、初代に遠慮したんでしょうか?とは言っても、カメラ部分は別パーツになっていて、しかも正面からハメる(ヒサシのパーツで押さえる)事が出来るので、塗装は楽です。ピカピカ塗装してやれば、それなりの質感が出せるかも知れませんし、そのままヒートプレスの型に使えるかも。ウチのサークルのメンバーには、グフのモノアイシールドに、サランラップを貼り込んで光沢を表現した人もいますよ。

 ボディは、ウエスト(ハッチ含む)を、前後からハサミ込む構成。胸パーツのハメ込みピンの軸受けが、ウエストパーツの穴を貫通し、頑丈に固定されています。つまり軸受けの外径を、太めのピンとして使ってるんですね。胸を分解してたら、ウエストも分解してしまった、なんて事が起きません。ウエストは、今回も360度回転が可能です。肩がエグれている分、上下にツブれた印象で、デザイン的にも面白いボディですね。



 です。フロントスカートは、左右一体で可動式。サイドスカートは無く、前後のスカートがコの字形になってて、側面までカバーしてる感じですね。それでも90度以上の開脚が出来るのには驚きます。後部フンドシの側面にはくぼんだ丸モールドが有るんですが、フンドシ内側からパーツを差し込む執念の構成で、クッキリ再現。腰とウエストをつなぐ回転軸は、先端が斜めに面取りしてあり、差し込みやすくなっています。

 腰の後部には、スタビライズド・ギア(射撃時に伸びて機体を安定させる支柱)が装備されていますが、これが伸びないのは残念!今回の、唯一最大の不満点かも。(あ、クリアーパーツの件も有るから唯一じゃないか。)差替えで再現する事は出来たと思うんですけどね。自作しようという人も多いと思いますが、資料本を見返しても、伸びた状態の絵は、なかなか載ってません。元々描かれていないのかな?



 です。股関節メカ部は、軸受けの周辺がしっかり切り欠いてあり、モモを大きくヒネる事が出来ます。これとは別に、ヒザ関節上でも脚を360度ヒネる事が出来ます。スネ下部(ズボンのスソ)が、すぼまっている関係で、足首は大きくヒネれませんが。スネ後部のスラスターは、フレームパーツの一部を露出させて再現しています。

 足首は、3色に色分けされていて、各パーツを縦に重ねる構成です。足首本体のピンを、クツパーツを貫通させて足底パーツにハメる組立は、ウエストと胸の組立に、発想が似てますね。「そのうち塗装する派」の人は、ハメ込みピンを短く切り過ぎないように、注意しましょう。足の甲パーツは、足首本体パーツに密着させない目的なのか、見えない部分にスキマを設けてあります。スキマにマイナスドライバーを突っ込んで、こじ開ければ分解しやすいよ、という事なのかも?狙ってやってるなら、すごい親切ですね。


足首パーツを外してみた所。矢印で示した部分、赤いパーツとグレーのパーツの間に、スキマが出来る様になっています。再分解したい時には役立ちそうですね。(ピンを切って短くしておいた方が良いとは思いますが。)

 ランドセルは、本体に、斜めになったダクト、側面等を組み合わせて丁寧に再現。全ての方向からディテールが入っているのに、キャノン砲収納のために、中は空洞にしなくてはいけない部分。上部カバーや側面は、ピンではなくツメで接続して、厚みを抑えて内部スペースを確保しています。

 240mmキャノン砲は可動式で、伸縮と収納まで再現してあります。塗膜の厚みを意識して、伸縮部分はキツくなり過ぎない様に注意してある様です。(まぁ、絶対安心という訳にもいかないでしょうけど。)こういった、人間的な関節以外に、メカ的なギミックが入っているMSは、面白いですね。解説によると、収納機構によって射撃以外の時の視界が改善し、慣性モーメントも軽減出来るとの事。良く考えられたデザインなんですね。



 肩アーマーは、球状の肩を前後からサンドする構成。肩アーマーのフチの厚みに、肩の球が囲まれた感じになっています。着脱の都合を考えると、実機では肩の横からハメられる様に、ボディに接する面が筒抜けになっているんでしょうか。ちょっと加工して、ボディに接する縦壁部分を、別パーツの様に塗ってやっても良いかも知れませんね。

 です。肩や上腕は、元デザインでは水中MSのジャバラみたいなデザイン(アレックスみたいに、関節カバーなのかな?)でしたが、初代ガンキャノンに似た構成に改められています。前腕は、手首用ポリキャップ(PC・H)の取付け位置が、なぜか2箇所から選べる様になっています。説明書では触れていませんが、PC・Hの回り止めを逆向きにすれば、手首が一段突き出た位置に変更出来ます。手首カバーが邪魔になった場合の、用心した設計なのか、それともサービスなんでしょうか?

 手首は、左右の穴開きゲンコツと、武器持ち用の右手が付属します。初代ガンキャノンと比べてみると、初代の手は小さくてカワイイですね。この時は可動がボールジョイントにもなっておらず、HGUCのスタンダードが、最初から決まっていた訳ではない事を、改めて思い出させてくれます。

 武装は、90mmマシンガンが付属します。HGUCガンダムGP01に付属していたのと同じデザインの物で、形は合わせてありますが、ディテールは、今回の方が精密になっています。

 組立時間は、1時間でした。とても丁寧に作られている感じがする、好キットだと思います。キャノン砲の可動は、初代と同じ上下可動なんですけど、初代の場合は真上に向ける事は、ほとんど無い訳ですよね。量産型の方が、フルに動かせて、しかもシチュエーションの変化を伴っている分、予想以上にギミックを楽しめます。各部の関節も、良く動きます。ウエストが大胆にヒネれると、ポーズが決まりますね。

似た様なポーズを取らせてみましたが、初代ガンキャノンのウエストは、最大限にヒネっても、この程度です。(ウエスト下にコアファイターっぽい段差を設けて、腰ブロック内にハマリ込ませているので、見栄えは良いです。)

 負けている点が有るとすれば、メモリアルアクション。いや、正しくは出番が少なくて、「印象が薄い」って事ですかね。説明書のストーリー解説でも、あらすじを紹介してあるんですけど、6行の文章の中の、2行少々で撃墜されちゃってて、思わず涙。ケンプファーに出会う以前や、あるいは別の戦場での活躍を想像して、楽しみたいもんです。

 何しろ量産型と言っても、説明書の解説によると量産検討モデル機との事ですから、少ない機体を優秀なパイロットに回していたんじゃないかと想像する事も出来そうです。それから、関連してジムキャノンの事にも(妙に詳しく)触れていますが・・・そのうち発売されるって解釈で、いいのかな?(草加君風に)

パペットコネクト!(笑)前腕が丸いので、指人形がピッタリはまります。


おまけ

 SDガンダムフォースキャプテンガンダムザッパーザクを組んでみました。SEEDコレクションシリーズの経験を活かし・・・って言うか、コレクションシリーズで、簡易キット分野での自信を深めた結果、スタートしたシリーズじゃないかな?と思います。パーツの減らし方が、とても効果的なんですね。



 頭部は、後頭部が背中と一体のため、首の可動は省略。それでも胸と顔が別パーツなので、正面から見た印象は、アゴの周辺がクッキリして、首が可動するキットと比べて遜色ありません。可動のための分割は省いても、ディテールに関る分割は極力省かないって事でしょうか。



 は、前後貼り合せ。コレクションシリーズでお馴染みの、ボールジョイントでグリグリ可動。ヒジと手首は固定です。ザッパーザクの左肩にはスパイクアーマーが付きます。実際は、カーブしたスパイクらしいんですが、成形の都合で、ストレートになっています。



 です。足裏が空洞なのは想像がついていましたが、なんとモモまで一体成形。でも側面のディテールもシャープです。スライド金型で足裏から空洞を作る事で、「足裏が空洞」イコール「縦に積み重ねる」というパターンを破り、側面ディテールの再現を可能としてあるんですね。モモには肉抜きが有りますが、スカートに隠れる部分なので、あまり問題無いと思います。(むしろ脚の左右を判別する手掛かりになってくれます:笑)スライド金型の使い方は大胆で、ザッパーザクのフェイスも、内側をスライド金型でくり抜き、左右のディテールを再現しています。



 この他に、キャプテンガンダムにはアンテナ、ランドセル、ライフル、シールドが付いて13パーツ。ザッパーザクには可動式バイザー、ライフル2丁、ヒートホークが付いて14パーツ。ヒートホークは、シールド裏に収納可能です。



 どちらのキットも組立時間は、ほんの数分でした。コレクションシリーズ同様、箱の内側が説明書になっていますが、これとは別にマンガが一枚入っています。裏面にはキャラクター紹介、そして、マンガの横を切り取ってホッチキスで止めると、全12コマのパラパラマンガが楽しめるようになっています。これで、放送予定の無い地域や、まだ放送が始まっていない地域の人にも、どんなアニメなのか、様子が伝わって良いですね。ええ、どうせウチの地方もそうですよ。(泣)

 ゲート(パーツとランナーがつながっている部分)は、ランナーをギリギリまでパーツに接近させて、ニッパーを使わずにもぎ取った場合に、パーツに残るキズが最小限になるよう配慮してあります。TOYでは普通に行われている事ですが、低年齢ユーザーに配慮している事がうかがえます。丸ボールジョイントのゲートも、これに合わせて変更されました。

上が従来のポリキャップ、下がゲート改修後のポリキャップです。こういうのって、なんとなく保存しておきたくなるのは、ボクだけでしょうか?


 てな感じで、見所の多い商品仕様でした。これまでと、ちょっと違う頭身も意外と似合っている感じ。特にザッパーザクなんか、かわいい中にも迫力が有ったりとか。ぜひ、ジオン系MSを多く発売して欲しいです。
  


2004.2.22 健 竹史

[HOME]

inserted by FC2 system