健さんの
プラモコラム

その98 HGUC リックドムツヴァイの巻

(1/144 HGUC リックドムツヴァイ /
バンダイ/ MS−09R−2 リックドムツヴァイ
「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」に登場)


 HGUCドムが発売されないから気付きませんでしたけど、ドム系MSって、けっこうキット化に恵まれていますよね。MGでドムリックドム、HGUCでトローペンと今回のツヴァイ、1/60ではHY2Mグロリアスシリーズ、ついでにラジコンまで。色替えキットも充実してますし。ドワッジドライセンも期待していいのかなー?これまでのドム系キットが売れてるのかどうか知りませんが、「売れたら続きを出してもらえる」と言う、見本なのかも知れませんね。なんだか急に、キットごとの販売数を知りたくなってきましたが。では、キットを見ていきましょう




 頭部は、モノアイシールドにクリアーパーツを使用。スケールの割に豪華ですね。内部再現は無く、モノアイシールドの奥は塞いであり、シールを貼るようになっています。旧1/144キットでは、アゴの所に動力パイプパーツを取り付ける構成でしたが、今回はパイプと首の軸受け(頭の基部)が一体になったパーツの上からヘルメットを被せる構成になっています。新旧キットとも、パイプはほとんど水平の配置ですが、設定画の様に、斜め上に伸びた配置のキットも見てみたいですね。MG化される事があれば、期待したい部分です。

 ボディは、紺のボディの上に、グレーのアーマーを着込んでいる様な構成。ワキの下やエリの内側が、クッキリして良いですね。左胸の拡散ビーム砲は別パーツ化してあり、ボディにアーマーを着せるよりも先に、取り付けておきます。ウエスト回転用のポリキャップは、HGUCドムトローペンでは腰側に仕込んでありましたが、今回はウエスト側に仕込んであります。ポケ戦MSらしく(?)なんとウエストは360度の回転が可能です。(ちょっと引き出した方が良いですが。)



 です。フロントスカートは、ベルトに吊り下げた構成で、左右独立して可動。サイドスカートも可動しますが、元のデザインでは、サイドスカートとリアスカートは一体で、可動しない様です。サイドスカートが動かなくても開脚に問題ありませんが、モモが前に上げにくくなるので、設定重視の人も、手を加えない方が良いかも。リアスカート上のスラスターは、別パーツで再現。旧キットよりもリアルになりました。その周りにメカっぽいディテールが入ってると、もっと嬉しかったんですが。

 です。ヒザの後ろの装甲が切り欠いてありますが、切り欠かなくても可動には問題無かったようですね。この切り欠きはカトキさんのデザイン画にも有りますが、設計段階で不要と分かったら、元デザインの様に戻してしまっても良かったと思います。ヒザ横の丸モールドがスネから離れてるのが、ちょっと違和感ありますね。丸モールドとスネを、HGUCドムトローペンの様に一体にして、丸モールドとモモの間に1関節設ける事も、出来たと思うんですが。

 足首は、最近主流の、縦に積み重ねる構成です。ツマ先は、足裏パーツと一体なので、足の甲との境目がクッキリ成形されてて良いのですが、裏はディテールっぽい肉抜きになっています。ツマ先はサザビーの様に可動するんじゃないかと思うので、ここだけ別パーツのフタにしてやったら、いかにもツマ先が動きそうな、リアルな足裏になったかも。足首カバーは可動します。ハサミ込み式なのが、ちょっと残念。

 スネ内部のバーニアは3基一体で可動式。ゲルググマリーネの物に似ています。スカート内部のバーニアは5基。こちらはディテールの施された底板と一体になっていて、ほぼ固定式。目立ち過ぎず、中身が詰まった感じもして、良い処理じゃないでしょうか。

 バックパックは、バーニアが左右一体で可動します。いつものフロントスカートと同じ仕組みなので、真ん中で切断すれば、独立可動させる事も出来そう。プロペラントタンクは、設定よりも短めの印象。旧キットでは根元の方がすぼまった形になっていましたが、今回は太さが一定の円柱形。この方が製造も取扱いも容易な気がするので、良いんじゃないでしょうか。設定画のタンクがすぼまっているのは、だったという解釈ですね。



 肩アーマーは、HGUCドムトローペンと同じ、肩関節軸に上から被せる接続法。手に持って遊んでいると、ポロッと外れる事が有るんですが、取付けのキツさが、ちょっとユルめなのかも。逆さに持つ時は注意しましょう。肩内部のハメ込みピンが丸見えですが、ここはスラスター(?)裏でもあるので、何らかの方法で塞いでおいて欲しかった様な。は旧キットよりも、格段に良くなったと思います。前後の面にもカーブが入って単調にならず、上面のボディ側の丸み(垂れ下がっていた)が消えた事で、ボディとの密着感が増しました。

 は、旧キットよりもモールドが格段にシャープになり、装甲が組み合わさっている感じが伝わってきます。ヒジアーマーは前腕に対して、出っ張っているのか引っ込んでいるのか、旧キットと解釈が逆になってるのが興味深いですね。(今回は引っ込んでます。)旧キットで凸だった丸モールド(リベット?)も、今回は凹。スミ入れしやすい分、凹の方が嬉しいかな。全体の出来が良い分、ヒジアーマーのフチの装甲厚が一定になってたりしたら、ますますリアルに見えたと思います。

 手首は、左右とも人差指が可動するタイプが付属します。手の甲は、手首付近のディテールが単調なスジ彫りになってて、ちょっぴり残念。HGUCゲルググマリーネの様な、変化のある段差が良かったと思います。手の甲のサイズ自体、ちょっと大きすぎる様な。先端が、握った指よりも出っ張ってます。人差指の関節保護のため・・・とか?

 ところでこのキット、ちょっと身長が高めの様です。リックドムツヴァイの全高は18.6m、ドムトローペンは18.5mで、ほとんど同じなんですが、キットはおよそ134mmと126mmで、8mm(1.15m)も違うんですね。設定通りなら、リックドムツヴァイが129.2mm、ドムトローペンは128.5mmになります。

HGUC(左)と、旧1/144(右)との比較。身長の違いに注目です。

 こうして見ると、HGUCリックドムツヴァイが大きいだけではなく、HGUCドムトローペンも若干小さい様ですね。リックドムツヴァイは宇宙戦闘中で足のショックアブソーバーが伸びきっていて、トローペンは戦後3年間で足裏や関節が磨耗してしまったとか・・・な訳ないか。チョンマゲの付いてるトローペンの方が、元々低めに設定されてるのは面白いですね。脚の構造が別物という、意志表示だったりして。

 武装です。ジャイアントバズは、グリップが可動式。砲口に穴が無いのが残念ですが、ハメ込みピンを配置しておきたかったのかなー?サイズは旧キットに比べて、ずいぶん大きくなりました。MGケンプファーの物と、数ミリしか違いません。(ついついモールドのシャープさや、パーツ分割の充実ぶりをを比較してしまいますね・・・もちろんMGの方が良く出来てます。)

ジャイアントバズの比較。上からMGケンプファー、HGUCリックドムツヴァイ、1/144(旧)リックドムツヴァイの物です。
MGの物と、ほぼ同じサイズだったのには驚きましたね。いっそグリップのパーツだけ新造して、あとは金型を共用すれば良かった様な・・・。

 旧キットのコンパクトなバズも悪くないと思ってますが、大きい方がドムらしさは出ますね。グリップとマガジンの間が伸びたので、肩に担ぐ事が出来ますし。旧キットは、マガジンが干渉して肩に担ぐ事が出来なかったので、脇に抱える以外ありませんでした。HGUCの方が色んなポーズが楽しめる訳ですね。で、いずれ発売されるであろうHGUCケンプファーのバズが、これと同じサイズになるのかどうかは、もう結論が出てるんでしょうね。

 MMP−80 90ミリマシンガンは、今回はマガジンの着脱は不可。ドムトローペンサンドブラウンやゲルググマリーネ付属の物とは、型式番号は同じでも、形はちょっと違うんですね。本体サイズは合わせてありますが、マガジンのサイズは、今回の物の方が長くなっています。このマシンガン、先端にグレネードランチャーを追加する事も有る様です。ザクFZには、そっちが付属するんじゃないでしょうか。ザクとドムでは、ずいぶん手首のサイズが違いますが、マシンガンのグリップは、どちらの手首にもフィットします。


HGUCザクと、それぞれのマシンガンを交換してみました。ザクマシンガンの設計時には、ドムの手首サイズにも合う様に配慮してあった様です。MGの教訓からの、フィードバックですね。

 シュツルムファウストは3パーツ構成で、先端部分は色分けされてます。1/144ケンプファーの物には四角いディテールが有りましたが、今回は無し。これは注意書きの様なので、塗装で表現したり、良く似たデカールを貼っても良いでしょうね。

 ヒートサーベルは、ポケ戦当時の設定には無い様ですが、0083で使われていたとの事で、付属しています。バックパックの左側面スラスターにホルダーを差し込んで装備させます。実機ではスラスターを廃止して交換してあるのか、本当に兼用してあるのか、どうなんでしょう?(1号のバーニアの中に3号のコクピットが合体していた、ガッチャスパルタンを思えば、兼用出来なくもない様な:笑。あれ、再販して欲しいなぁ。)

 ところで今回も、サーベルは1本しか付属しません白熱化する武器なんだから、2本欲しかったですね。塗装見本では2本用意して、塗り分けてある訳ですし。・・・いや、サーベルは丸いので、半分だけグレーに塗り、裏側半分は白に塗れば、どちらの色も楽しめますね。(もうヤケクソ!)

 組立時間は、1時間5分でした。旧キットに比べてボディが直線的なためか、ノーマルドムとリックディアスの間に立たせて、ちょうど良い感じのツヴァイに仕上がってる様に思います。ノーマルドムの発売が、待ち遠しいですね。それから、スネやスカートの中が見えてもスカスカしない点に好感が持てます。この辺は、ゲルググマリーネやドムトローペンよりも、進歩してると思います。飛行ポーズで飾ってもカッコイイと思いますよ。



 今後の展開ですが、ヒザアーマーの紺色のパーツが除外可能になっている事から、コロニー戦仕様の、緑の機体の発売が期待出来そうです。コロニー戦仕様機では、なぜかこの部分がボディカラーではなく、メカグレーなんですよね。シールで済ませれば楽なのに、丁寧な設計ですね。

 ついでに今後のラインナップですが、ケンプファーアレックスを連続で出したい気持ちをグッと抑えてですね、アレックスザクFZを、クリスマスに同時発売するってのは、どうでしょう?劇中の対決時期に、発売時期を合わせる訳ですよ。ケンプファーは人気機種だし、単独発売も可能ではないかと。いや、前月にケンプファーを発売しておくか、ポケ戦シリーズのラストに残して、いっそ3体連続させますか。どうでしょう?



おまけ

 やはり今回も、旧1/144キットに軽く触れておきましょう。モノアイにクリアパーツを使用しているのは、この時期のキットの特徴の一つ。レンズ状の形も含めて、ボクは余り好きではありませんでしたが、今だにポケ戦MSをリファインする時には、当時のキットに見劣りしない様、何らかの形でクリアーパーツが使われますね。



 プロポーションは、ポケ戦シリーズの中でも特に高く評価されています。設定画の特徴を、やや盛り込み足りない設計のキットが多い(と思う)中、このキットは凹凸のメリハリを設定以上にオーバーに盛り込んであって、ドムらしさが、しっかり出ている所が良かったのかな。ただ、今の目で見ると、強調された胸や腕のメリハリは、ユニットや装甲の重なりと言うよりも、筋肉的なたくましさに見えてしまいます。もっとも、MSは擬人化されたメカキャラクターな訳ですから、このキットの力強いスタイルに魅力を感じる人は、今後も少なくないと思います。メカ好きな人の中からは、「この長いタンクがイイ!」という声も聞かれますね。

注:バックパックのスラスターは、1個紛失してしまっています。また今度、部品注文しとかなくては。

 フロントスカートが開き気味ですが、その奥には股関節パーツだけが仕込んであり、フンドシが存在しないという構成が珍しいですね。股関節はボディの組立後に接続でき、ついでにウエスト回転の代りに股関節をヒネる事が可能です。HGUCに比べて、ツマ先が前に突き出ていて、足首カバーも長めですが、このキットの方が設定に近い感じです。ついでに、全高も設定に近いですね。

 武装は、ジャイアントバズのみ付属。1/144ケンプファーの物と同じサイズになっていて、シリーズ内での統一感が良かったですね。(ポケ戦というOVA自体、リファイン企画としての面が有りましたし。)そのために、えらくコンパクトなバズーカになってしまっていますが、このサイズでも構わなかったと、今でも思っています。「地上用ドムのバズーカは、宇宙艦艇で運用するにはサイズが大きすぎ、後にザクバズーカ並にコンパクト化された」とか、統合整備計画っぽい理由は、いくらでも付けられますからね。(もちろんHGUCの、長いバズーカも好きなんですけど。)


2004.2.1 健 竹史

HGUC リックドムII

MG ドム
MG リックドム
MG シャア専用リックドム
MG ドム(ゲームカラー)

MIA リック・ドム
MIA ドムセカンドバージョン
HCM-Pro リックドム
ジオノグラフィ プロトタイプドム
ジオノグラフィ ドム・トロピカルテストタイプ
ジオノグラフィ シャア専用リックドム
ジオノグラフィ ペズンドワッジ
R/Cドム バンド3

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