健さんの
プラモコラム

その97
MGパーフェクトガンダムの巻

( MG 1/100 パーフェクトガンダム/ バンダイ/ パーフェクトガンダム
「プラモ狂四郎」に登場)


  「プラモ狂四郎」の大ファンが、模型誌で今回のMGの発売決定を知って、珍しく模型店に予約に行った時の事。
 「おじさん、パーフェクトガンダムを予約したいんだけど!」
 店のおじさんは、ニッコリと、妙に嬉しそうに微笑むと、
 「ああ、いいですよ。」と、メモを取りました。
 「○○様、パーフェクトグレードガンダム予約」
 「おじさん、それ違ってるよ!」
・・・友人から聞いた、実話であります。

危ないところだったぜ!

 その時は笑い話として聞いたんですけど、「ある年代のファン」にとって、パーフェクトガンダムがどれだけ特別な存在か、改めて(温度差で:泣)分かった様な気がしましたね。その店のおじさんだけでなく、世間一般にとっても、予約するほど別格なのはPGガンダムの方で、パーフェクトガンダムなんてMSVの1アイテムに過ぎないのかも知れません。「ガンダム」ファンとしては、そうかも知れないんですが、「ガンプラ」ファンには、特別なんですよね。

 プラモからキャラクターが誕生し、それがプラモになる。しかも、劇中でそれを作って操るのは、自分達と同じプラモ少年。「オレガン(オレのガンダム)って言葉が有りますけど、直撃世代にとっては、パーフェクトガンダムこそ、「オレたちのガンダム」と言えるのかも。では、まずはガンダム本体から見ていきましょう。



 頭部は、目と頭頂部のメインカメラにクリアーパーツを使用。形状はVer.1.5に近い印象を受けますが、メインカメラが小さく、奥まった配置になっています。ここは単純な形の割には、MG化される度に印象が代わってる感じ。並べて比べると面白いですね。

 ボディです。今回はTV版(と言うよりブーム当時?)のイメージで、シンプルで直線的な面構成。ダクトの周りに囲いが無く、大きなHGUCみたいな印象です。エリの部分には、Ver.Ka風のディテールが入ってます。胸前面(肩の付け根辺り)には、増加装甲用のジョイント穴が隠してあり、外装パーツの一部を反転させる事で露出します。使わない時には「謎のスジ彫り」みたいで、ビミョーにMSV当時の様な味わいを感じます(笑)。肩には関節の引き出し機構が有りますが、可動のためと言うより、増加装甲を着込む目的が大きいですね。

 ウエストは、ボールジョイントでグリグリ可動。コアファイターは内蔵されておらず、肩から腹まで一体の内部フレームが詰まってます。でも、ウエスト下のスキマ(A・Bパーツの連結部)には、チラリと見える赤いパーツをかましてあり、いかにもコアファイターが入っている様に見せています。ハッチは歴代MGガンダムの中でも、特に大きく開きますね。パイロットには顔のモールドも入っており、狂四郎の様ですね。じゃあ金型流用でフルアーマーが出たら、そのパイロットも狂四郎?



 です。フロントスカートは、左右独立して可動。リアスカートは、左右一体で可動します。4つの四角いブロックの取付けは、パーツ裏のピンを前後で変えてあり、間違える事がありません。(フロントは大小の丸ピン、リアは丸ピンと角ピン。)親切な設計ですね。サイドスカートには増加パーツ取り付け用のスリットを設けて有ります。増加パーツが密着する様、四角い出っ張りが小さく、薄めになっているのが、ちょぴり残念。股間には、胸同様の反転式ジョイントが仕込んであります。

 です。モモ内部フレームを再現。これに筒状になったモモの外装を、下から通します。HGUCの上腕みたいで、接着ラインが出ない、面白い構成ですね。ヒザは二重関節。モモ外装を通した後で組み付けます。下側はスネフレームにハサミ込むため、後ハメ出来ません。

 スネ内部フレームを再現していますが、後ろの装甲の下半分がフレームと一体で、白で成型されています。ガンダム4&5号機と似た構成・・・と言うより、あの頃からパーフェクトガンダムの仕様は決めてあったのかも。ヒザにも、増加装甲用の反転式ジョイントが仕込んであります。ところでこのジョイント、聖闘士聖矢などのクロス物に仕込んであれば、フィギュアの素肌に穴を開けずに済むんじゃないでしょうか・・・いや、サイボーグみたいで、余計に不自然かな(笑)。

 足首は、足裏パターンも含めてVer.1.5に近い形状。足首カバーは、平らな板をコの字に折り曲げた様な、HGUC以上にシンプルな形としてあります。足首メカ部は2重関節で、仕組みもディテールも4&5号機同様ですね。クルブシの丸パーツも、4&5号機に合わせた物になっています。

 肩アーマーは、内側パーツと外装の二重構成。外装がワンパーツで、スッキリしたデザインという事もあって、HGUCに似た印象です。追加されたディテールは、増加装甲の固定に利用されています。

前面5箇所のジョイントを露出させた状態。肩関節を引き出して、肩増加アーマー取り付けプレートもセットしています。これ、Gアーマーとの合体にも使えそうですね。肩の引き出し機構は、MGザクF2に似ています。

 です。上腕が筒状なのは珍しくありませんが、今回は前腕も筒状で驚きました。ヒジ関節下で2分割してはいますが、ここに増加パーツを固定する凹みを設ける必要が無かったら、ワンパーツの前腕+手首カバーという構成もアリだったかも知れませんね。外装パーツに左右分割が存在しないため、フレーム完成前に一部の外装パーツも取り付けるという、面白い組立になっています。ムーバブルフレーム登場以前の機体なんで、あながちウソとも言えません。

 手首は、左右とも可動式の物が付属します。手の甲の形状や厚みは、Ver.Kaの物に近い印象ですね。

 ランドセルは、サーベルラックを引き込む事が可能です。これは旧1/100パーフェクト(&フルアーマー)ガンダムにも有った、増加装甲を被せるためのギミックですが、今回はサーベルラックを引き込むと、その陰に隠れていたジョイント穴が露出する仕組みになっています。

この機体は○年○月、狂四郎の自宅でロールアウトした時の物である。後に○○と交戦しこれを撃破している・・・なんて解説は載ってませんでした。

 続いて増加ユニットを。ボディアーマーは前後分割式。肩上の内側にABSのジョイントパーツを入れて連結します。ガンダム本体にも、胸の反転式ジョイントと、サーベルラック裏のジョイントで固定され、しっかり保持されます。胸側面は、スラスター再現のために一部が別パーツになっていますが、強度確保のためにも接着しておくと良いでしょう。表からハメ込むダクトの定位置が分かりにくい場合は、装甲内側を見ながら組むと良いですよ。

 コクピット上のハッチブラックフィルム(ステルスシート)用ポケット。キットでは開きませんが、ホビージャパン誌(04年2月号)の作例の様に、開閉式に改造するのは大変そう。差し替えで再現するか、開いたハッチとフィルムを一体にして、表面にマグネットで着脱させても良いかも。ブリッツとパーフェクトで、年末年始は、ちょっとしたステルス特集でしたね。

 腰アーマーは、股間の反転式ジョイントのみで固定。裏面には、それらしいディテールが入っています。フンドシ側面にも、胸側面と同じスラスター再現のために別パーツ化された部分が有るので、接着してやると良いと思います。サイドアーマーには、タンク状のパーツを増設します。

 スネアーマーは、左右と正面の3分割。ガンダム本体には、ヒザ正面のジョイントだけで固定されます。細いスネと、太いアーマーのスキマに、ラバーパーツが詰めてあるのが面白いですね。これでガタつきも無くフィットしています。側面のバーニアは、ボールジョイントで可動。内部ディテールを再現しながらもワンパーツというスグレモノで、遊んでいる時に外れにくくする効果が有りそう。内部ディテールが独特の物になるのは仕方無いのかな?好みに合わない人は、内側にディテールアップパーツを貼りましょう。

実は・・・左足のカカトは割れています・・・涙。

 足首アーマーは、ツマ先がちょっと上を向いた、今風のシルエットにアレンジされています。足裏には切り欠きが有って、ガンダム本体の足裏バーニアが露出する構成。足首カバーも露出していて、足の甲のラインにつながるデザインになっています。足が無駄に大きくならず、可動範囲も狭めない、良いアレンジじゃないでしょうか。

 足首アーマーの構成は、カカト部分を別パーツ化してありますが、ボクはうっかりパーツを割ってしまいました。カカトパーツは元々単純なコの字形で補強が無く、しかもコーナー付近にウェルド(金型に注入されたプラが合流した、弱い部分)が有った様です。カカトアーマーの着脱は、横から持つのを避け、足裏のスジ彫りを利用すると良さそうです。



足首アーマー着脱の注意点です。
上の写真で示したスジ彫り部分が、足裏カバーとカカトカバーの境い目です。このスジ彫りに、軽くツメを差し込んでやると、パーツがズレてカカトカバーを取り外しやすくなります。
下の写真の様に、カカトカバーを横から持つと、パーツに負荷がかかって良くありません。幅方向ではなく、高さ方向から持つと、より破損しにくくなると思います。

 肩アーマーは、側面がシャッターの様に引き込まれ、腕の可動を妨げない仕組み。スキが無く、可動もスムーズで感心します。上面には分割ラインが残りますが、接着・パテ埋めしても着脱に支障が無いよう、肩の横から被せる構成になっています。一旦腕を引き出して、ワキの下(肩と胸の間)に板状のパーツをハメ込み、そこにアーマーを連結します。

 右腕の2連ビーム砲は、動力パイプラバーパーツで再現。発売前は、筒パーツを1つずつ通すタイプではないかとビビってましたが、一体成形でひと安心。旧1/100キットよりも節が長めで、今風のパイプですね。ガンダム本体への取り付けは、ベルト部分に腕を通して装着します。

 左腕には、シールドを装備。円形のベルト基部は回転し、シールドの向きを変える事が出来ます。基部はモロに腕時計ですね(笑)。ベルト基部は別ランナーに配置されているので、ガンダム単品で(あるいはバリエーション機を)発売する事があれば、通常のグリップかジョイントが追加されるんじゃないでしょうか。裏面には機雷4基を装備。うち1基は着脱可能です。

シールド裏と、スネアーマー裏。スネアーマー裏の黒い部分が、ラバーパーツです。

 サーベルは3本付属。これもシールド裏に装備しますが、ノーマルガンダムに戻す時は、うち2本を背中のラックに差し替えてやります。着脱時に塗装もハゲそうですし、どうせなら5本付属させて欲しかった様な。クリアーのビーム刃まで5本欲しいとは言いませんから。(キットには2本付属します。)

 バックパックは、なんだかターボザックの様な趣ですね。外観は割とシンプルですが、裏面にはディテールが追加されています。3基の丸バーニアは、スネアーマーの物と同じ仕組みのワンパーツ型。四角いスラスターも可動します。アンテナは伸縮を再現。ショルダーキャノンは、上下だけでなく左右にも若干可動し、頭部アンテナへの干渉を避けています。・・・と、ギミック満載の部分ですね。ショルダーキャノンは360ミリロケット砲だと聞いていましたが、砲口には、まるで水鉄砲の様なディテールが!(笑)。センサーのレンズには、クリアーパーツが使われています。

今回のバーニアは、底面の無い部分を2箇所作って、そこにボールジョイントを保持するコブを成形する方法で、ワンパーツ化されています。外側も、根元の方に小さな切り欠きが有り、ボールジョイントをハサミ込む仕組みになっています。

 オマケに、狂四郎(京田四郎)のフィギュアが付属します。アニメ作品のフィギュアよりも足裏が大きく、安定感が有るので、ぜひガンダムの足元に置いてやりたいですね。ライバルのランバ・ラル黒い三連星のフィギュアも出てる事だし(泣)、いずれはマスターや、みどりちゃんも欲しいですね。

このキットに悪役商会は付いていません。

 組立時間は、ガンダム本体が2時間、増加ユニットが1時間15分でした。パーフェクトと言えば、今も昔もガンダム本体のリニューアルの口実になってる感じですが、そんな点も含めて、MSV当時を思い出させてくれるキットですね。説明書には作品の解説、当時の模型記事の再録に加え、現在の四郎が登場する書き下ろしマンガも収録。プラモは本や雑誌よりも息の長い商品ですから、当時を知る資料がプラモに封入されるという事は、あの熱い時代を後世に伝える上で、とても有効だと思うのです。

 ブックレットで理解を深め、立体物を手に取り想いを馳せる、2Dと3Dのコラボレーション。そう!まるで週刊わたしのおに(略)。



おまけ

 今後の展開ですが、パーフェクト用パーツの含まれないランナーには、「ガンダム(素体)」(!)と刻印してあり、ランナーのあちこちに切り替えが設けてあるので、色々と期待出来そうです。特にスネ後部には、胸等と同じ仕組みの反転式のジョイントが仕込まれていますが、今回は未使用。フルアーマーガンダムのスネアーマーが前後分割になるのか、あるいはゲームに登場する高機動型ガンダム等まで予定されているのか・・・「素体」ランナーとは、これから何度も組み立てる、長い付き合いになるかも知れませんね。

 それから、パーフェクトジオングへの流用を意識した様なMGジオングのパーツ配列ですが・・・ベルト部分のパーツが除外可能なのは、腰に剣を装備するため、新規のベルトが付くんでしょうね。MSVではなく、狂四郎シリーズとしてのパーフェクトジオングが期待出来そう。ファンは今後の動向に注目!しつつ、同封のアンケートに答える事もお忘れなく。目指せキット化!MGジェットモグラ!なのであります。(おいおい!)

2004.1.5 健 竹史

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