健さんの
プラモコラム

その94 HGUC ギャプランの巻

( 1/144 HGUC ギャプラン / バンダイ/ORX−005 ギャプラン
「機動戦士Zガンダム」に登場)


 に続いての可変MS、しかも今度は差替え無しです。ギミック好きにはたまりませんね。模型誌に紹介された写真はMS・MAともカッコ良く、発売前から楽しみにしてたんですが、MAのパーツ配置が、旧キットと微妙に違うような。
「君、変形パターンが違うんじゃないのかね?」
「いいえ、これでいいんですよ。フフフ・・・」
みたいな気分(何だそりゃ)であります。どの辺が違うのか、早速見ていきましょう。



 頭部は、旧キットでは左右分割されていたバイザーがワンパーツになり、正面の角穴が再現されました。バイザー下にモノアイが固定されているのは旧キットと同じですが、マスクと、ほほガードの位置関係が改善したり、後頭部を別パーツにする事でサブコクピットハッチ(後方脱出ハッチとする資料もアリ)をクッキリ再現したりと、外観はずいぶん良くなってます。接着ラインも残らないのが嬉しいですね。

 ボディです。MA形態での上下幅を詰めるため、各ブロックが巧みに移動するんだろうなー、と思ってたら、予想通りでした。胸と腰をコクピット(腹の中央)で連結した構造で、ウエストを外して他所に移動する事で、胸と腰が密着出来るようになるという、大胆な設計。実機はこうなっていない(ウエストは空洞?)と思いますが、パズルの様なアイデアが、とても面白い部分です。

ボディの構造は、こんな感じです。(左腕は、取り外しています。)リアスカート、ボディ、コクピット、アーマーコーン、腰の順で連結してあり、胸はボディとだけ繋がっています。

 は、変形のためにキツキツの構成で、ポリキャップだらけ。飾り台を接続する部分でもあるので、股関節軸の間にもABSのジョイント受けパーツを仕込んであります。設定では前後のスカートが一体なんですが、リアスカートを移動させてMA時の上下幅を詰めるため、1枚1枚がバラバラのスカートにアレンジしてあります。フロントスカートは左右独立可動しますが後ハメ不可で、腰の組立の前に、内側からハメておく構成。リアスカートは、左右一体で可動します。

 は、変形の要素が無いので、このキットの中で一番ノーマルな印象の部分でしょうね。(設定では、ヒザ関節が縮みます。)スネは、ヒザ側面の青い部分を別パーツ化して色分け。側面のふくらみを大型化し、旧キットよりも大きなバーニアを仕込んであります。大出力で強引に飛んでいるイメージが、良く表現されてるんじゃないでしょうか。スネ内部には、フレームパーツと言うか、固まりの様なパーツが詰まっていて、バーニアの奥を覗きこんでも、スカスカ感が有りません。

 足首は、ツマ先足の甲のカバーが可動します。これとは別に、足首カバーも付いていて、これも可動しますね。変形すると足裏が丸見えなんですが、今回は足裏が別パーツになっていません。元々のディテールが少なめなので、別パーツ化しなくても再現出来たんですね。フチに分割ラインが出ないので、分割しなくて済むなら、その方が良いと言えるかも。

増加ブースターを連結した状態。ブースターとMSの角度は変更出来るので、前傾気味に飾る事も出来ます。後ろには小さな飾り台が付くんですが、このように、無くても飾れます。飾り台なんて飾りです。偉い人には・・・あれ?(笑)フィン先端の保護のために、ちゃんと飾り台を使いましょう。特に塗装後は。

 肩アーマーは、旧キットと同様に前後分割。分割ラインが側面スラスターの中央を通ってしまっていますが、シールドで隠れるので、思ったよりは目立たないかも。サイドアーマーは可動します。肩関節は、旧キットよりも格段にメカっぽくなりました。動力パイプは、節の無いデザインにアレンジされてます。

 は、旧キットには無かった上腕のヒネリ可動が追加され、ポーズの自由度が増しました。シールドのビームライフルを構える時など、ヒネってやると迫力のあるポーズになります。動力パイプが別パーツ化されたのも嬉しいですね。成形方向の制約を受ける、スジ彫り(節)を無くした事で、カーブしていても不自然さが有りません。設定とは違いますが、「節の無い機体も存在した」なんて解説が、いつの間にか広まっていったりして(笑)。

 前腕は、内側の青い部分が色分けされてます。ヒジ横のモールドは、スラスターなのかセンサーなのか、良く分からない部分ですね。どちらでも良いと思いますが、ブースターパックやシールドの角にあるモールドはスラスターの様な気がするので、ヒジの方はセンサーのつもりで塗ろうかなー?

 手首は、左右とも穴開きゲンコツが付属します。しっかりと、この時代風の「手袋ゲンコツ」になっています。

 背中のブースターパックは、上下に可動。3連バーニアは、基部ごと一体で可動します。ここの可動にはポリキャップが使われていて、後ハメ可能になっています。頭の後ろの、緑の部分も別パーツ化。それらしいディテールが追加されています。すごく組みやすい構成ですが・・・ブースターパック自体は、ボディパーツにハサミ込みます。ボディは変形のために複雑な構造になっているので、仕方ありませんが。ブースターパック下の、カバーの様な部分は別パーツで、ここも上下可動します。



 シールドは、伸縮ギミックを再現。旧キットよりも厚くなっていて、スネと同様、大きなバーニアを仕込んであります。支持アームもゴツく、より力強い印象になっています。2つのバーニアが一体成形されているのは残念ですが、奥まった所に押し込むパーツなので、扱いやすさを優先してあるんでしょうね。2個に切り離して接着しても良いですが、つなぎ(余剰)部分が、ディテールにも見える様に配慮してあるので、そのままでも悪くない感じです。

 ところでシールドは、前半部分と後半部分を組み立てた後で、ハメ合わせる事が出来そうです。アームの接続部(C1パーツ)をハメると、初めてロックされる様です。・・・まぁ、説明書の手順と違うので、各自確認の上で参考にして下さい。特にシールド後半部分は、分割ラインが、パネルラインに見えなくもないですし。

劇中に登場した中間形態(ガウォーク)。フロントスカートが可動する分、旧キットよりもそれらしく再現できます。

 武装です。シールド先端のビームライフルは、先端が旧キットよりも大きく作ってあり、迫力が増しています。グリップが起き上がるギミックも再現。設定の絵だけを掲載してる資料本も多いんですが、絵の周りの書き込みまで掲載してある資料で確認できるギミックですね。キットでは、グリップと手首の位置がイマイチ合ってない感じで、グリップも手首も、かなり斜めになってしまいます。惜しいですね。

 ビームサーベルは、発光状態の物が2本付属。旧キットにも2本付属していますが、説明書に「1本予備です」と書かれています。「ニュータイプ100%コレクション」のメカ設定本では、左サイドアーマー裏にのみ内蔵している様な説明になっています。(でも、ウエストがヒネれないと、右手で取り出しにくい様な・・・)

 今回の目玉、ブースターです。MS本体に負けないボリュームが有るのに、まさか付けてもらえるとは!しかも、思ったほど高額でもありませんし。(欲しいなぁ〜、惑星間航行用ブースター付きウイングゼロカスタム・・・。)ブースターは、左右分割の本体に、バーニアやフィンを貼り付ける構成。ロック部が可動する設定になっていますが、キットでは強度的に安心な、差し込み式になっています。飾り台用の穴の他、腰後部のバーニア裏にも接続します。

ブースター装備状態。ブースターとMSのパーツは、ある程度ランナー分けされていますが完全ではないため、分売の予定は無さそうです。

 飾り台は、大小2つ付属します。大きい方は、MA形態はもちろん、MS形態でも宙に浮かせてのディスプレイが可能。ブースター装着時には、ブースターの前側に大きな台、後ろ側に小さな台を取付けて、斜めに飾ります。上昇中のイメージですね。ギャプランはブースター先端に連結。MS時・MA時を問わず連結出来ます。

 小さな飾り台は、取り付けると言うよりも、下に添えてある程度。ブースター下のフィンが床に当たらない、ギリギリの高さにしてあります。ところで、ギャプランから分離したブースターは、どうやって飾ったら良いんでしょうかね?ギャプラン単体を飾り台に乗せたら、ブースター用の飾り台が足りないんですが。ロケットみたいに、垂直に立てておくのも心配だし。(立ちますけど。)フィンは接着しない方が、収納が楽かも知れませんね。

高機動で空戦するんだから、これもハイマットモード?

 MAへの変形プロセスです。まず、背中のカバーとブースターパックを倒します。次に、Zガンダムの様に胸板を90度起こします。(マサルさん風に言えば、チャームポイント)以外の物が全て移動する事で、結局肩パーツが90度回転したのと同じ配置になり、ワキの下にスペースが出来るんですね。そして、ウエストとのロックを外して腰を前に移動させると、胸板パーツのすぐ下にサイドスカートが位置するような、上下幅のスリムなボディが出来上がります。



 リアスカートは前に移動せず、ブースターパック下に残ります。設定とは違いますが、胸板の下に移動しない事で、スカートの厚み分だけ、さらに上下幅がスリムになってます。後はバイザーを閉じ、肩関節を動かして肩アーマーをボディに密着させ、手足を後ろへ向けて、シールドを正面に向ければ出来上がりです。小さな工夫を組み合わせた甲斐あってものすごくスリムで、スピード感のあるMA形態になってます。旧キットと比べると、厚みの違いに驚きますよ。

MA形態を側面から。左腕は取り外してあります。リアスカートが、サイドスカートと分離して、スネの上に移動している事と、肩のリング(チャームポイント:笑)が横向きになっている事に注目。

 組立時間は、1時間45分でした。細かいギミックを仕込んでありますが、各部にロックが効いているので、安心して遊べます。ロックの方法のバリエーションも、見ていて面白いですね。前垂れ(アーマーコーン)や胸、ツマ先が尖り過ぎてるのが、好き嫌いの分かれる所かも。ボクとしては、ほとんど顔の横まで上がって来ている肩関節が、もう少し低ければ良かったかと。でも、各部は尖った分だけMA形態がカッコ良くなってますし、MA主体の運用をするなら、人間離れしたプロポーションもアリかなー?という気もしますね。



 おまけ



 せっかくなので、旧1/144ギャプランも紹介しておきましょう。当時から好きなキットでしたが、今見ても結構良く出来てる気がします。MA形態の上下幅はHGよりもブ厚くなっていますが、2つのキットを比べると、いかにHGのボディの変形が効果的な物なのか、良く分かります。手足は後ろに回すだけで、ギミックに大きな違いは無い訳ですから。



 プロポーションは、胸の幅、胸の尖り具合、アーマーコーンの形状などは、アレンジされてない分、HGよりも設定に近い物になっています。大型な割には700円と手頃なので、コレクションキットのつもりで丁寧に塗装してやって、HGと並べても良いでしょう。背中のカバー部分(17、18パーツ)は、接着面積が少なく、変形の時に引っ張られる部分なので、裏にプラ板を貼って補強しておくと安心だと思います。ほほガードの接着角度が決まりにくいのと、接着ラインが残るのがツライところ。足首は3軸使って、ボールジョイント並に可動します。



 それから、このキットの時期の説明書は、設定資料をたっぷり紹介してあるのが良いですね。可動グリップの話題は先にも触れましたが、この説明書も、絵の周りの説明文まで併せて収録してある、貴重な資料の一つです。捨てずに取っておくと良いですよ。他のMSの場合でも、HGを作る前に、当時のキットの説明書を読んでみれば、資料本では省かれてしまった細かな設定を見つけて、参考に出来るかも知れませんね。

2003.11.21  健 竹史

HGUC ギャプラン
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