健さんの
プラモコラム

その92 HGUC Zガンダムの巻

( 1/144 HGUC Zガンダム / バンダイ/MSZ−006 Zガンダム
「機動戦士Zガンダム」に登場)


 ライバル機等を連続で発売してユーザーの関心を引くのは、HGUCではおなじみの演出ですが、こんなパターンもアリなんですね。ザクとZを連続で出して、Zザクの再現を可能にするとは!バンダイさんもツボを心得てるなぁ〜。あれ?首が交換しづらいんですけど、こんなハズでは?!ザクと連続したのは偶然なのかな。え?HGギャプランが出るの?・・・そう!Zのライバルはギャプランですよ。ボクも今、それを言おうと思ってたトコなんですよハハハ・・・(汗)では、キットを見ていきましょう。

クロスヘッドオン!

Zザク(左)は、「ガンダムZZ」の劇中で、応急的にザクの頭部を借用したZガンダムです。写真では、高いエリが邪魔して首と頭が繋がらず、乗せてるだけの不安定なモノ。ザクZ(右)は、今回勝手に作ってみた物です。こちらは、ちゃんと首が接続出来ました。

 頭部は、アゴの色分けが無い分、他のガンダムよりシンプルな構成。カメラカバーは、MGではサブアンテナと解説されてましたが、今回も斜め後方に伸びていて、カメラを保護する意図は無い様子です。ヘルメット側面の形状は、MGよりもアニメ設定に近くなった気がします。エリは高くて幅が広く、ちょっと大味な印象。変形の都合でエリ横がスカスカな事も影響してるかも知れませんが。エリ(と頭)は、WR(ウェーブライダー)時には外すパーツですが、エリ横も着脱パーツで塞げば良かったかも。

 ボディです。今回はスカスカなエリ横ですが、ここに変形用のアームを通すかどうかは、後頭部カバーの高さに関ってきます。MGでは胸と背中を密着させず、アームをかました分だけ、WR時のフタとして、後頭部カバーの長さを必要としました。旧HGも、アーム風の処理ではないですが位置関係はMGと同様ですね。今回はエリ横をスカスカにする事で、MGや旧HGとは軸位置を変え、背中と胸が密着する、アニメ同様の変形を実現しています。



 後頭部カバーが高いと、後頭部カメラの視界を塞ぐ事になるので、低い方がMSとしては説得力が有ります。旧HGやMGは、変形を優先してカバーを高くしてしまった訳ですが、旧1/100を見てビックリ!(組んでませんが持ってます。)エリ横(MGのアームに相当する部分)を背中に引き込む事で、設定同様のWR形態を実現しています。不格好なキットと思ってましたが、誠実な設計組んでみたくなりました。

 は、WR時には外してしまう部分です。変形ギミックの代りに、ウエスト回転ギミックが仕込まれました。これまでのZのキットよりも、躍動感あるポーズが取れる様になりました。

 です。フロントスカートは左右一体で可動。HGUCではスタンダードですが、Zの場合、スカートがモモ前面に接続されてるキットが多かったので、ちょっと感激しましたね。長い間、待ったなぁ・・・。サイドスカートリアスカートは、WR時には外して利用します。リアスカートとフンドシには、裏からスラスターのパーツを組み込んであります。特にフンドシのスラスターは、小さくて持ちにくいので、ギリギリまで大きくして欲しかったですね。裏側の面取りを無くすだけでも、かなり持ちやすくなったと思うんですが。

 は、ヒザの変形のため、ABSの可動フレームを外装で囲う構成。モモの後ろは、ちょっと外装を切り欠き過ぎかも知れません。WR時のスネの密着が、あと1ミリ程度甘くて構わないという人は、切り欠きを埋めてしまっても良いかも知れませんね。スネはプラ製ですが、ヒザ関節とつながる部分には、ABSの軸パーツを通してあります。



 スネのデザインは、アニメのイメージに近いシャープなライン。丸みのあるMGのラインに慣れると(もう発売から7年!)、なんだか新鮮です。足首カバーアキレス腱カバーは可動式。足首カバーは左右にもスイング出来るので、開脚ポーズの時に、足首になじんで自然です。スネの黄色いスラスターは、外側のみ色分け済み。旧HGでは色分けされてましたが、フチまで黄色くなってて、これも不正確。どちらも塗装が必要です。

 足首は、足首アーマーの奥に、RX−78の足首アーマーみたいな段差がチラリと見える加減が、設定イメージに近い印象。MGは、足首アーマーがずいぶん大きい感じでしたが、今回くらいのサイズが、せっかくのシャープなツマ先を隠さず、ちょうど良いでしょうか。足は、カカトが土踏まずに若干埋まる所まで閉じます。足裏は、アニメ設定では、ほとんどツルンとしていますが、MGに準じたパターンがモールドされています。

 肩アーマーは、側面スラスターというか、上のユニットがまるごと可動式。これでサイドアーマーの可動範囲が確保され、腕が真横まで上がります。ボディに接する面以外は、パテ埋めの必要は有りません。

 です。上腕は複雑な形状が付いていますが、毎度おなじみの筒構造でワンパーツ前腕は、旧HGではシステムインジェクションで色分けされてた部分ですが、今回はパーツ分割で色分けされています。フレームパーツを外装で覆う、MGに近い構成ですね。シールド取付け部には、ポリキャップを内蔵しています。残念なのは肩関節。腕を横に上げる可動がユルいので、上級者はキツめに調整してやると良いでしょう。

 手首は、左右とも穴開きゲンコツが付属。完全とは言えませんが、この時期のMSの特徴である、手袋の様なイメージで造形してあります。

 テールスタビライザーは、旧HGでは基部が1軸可動でしたが、今回はMGと同じ2軸可動。WR時に、背中とキレイなラインでつながります。スラスター部分は肉抜きで表現。スラスター内の仕切りまで再現してありますが、先端の方に、もう一つ仕切りが有れば、より正確でしたね。スラスターのフチを、ちょっと整えてやれば、けっこうリアルになってくれるかも。

 フライングアーマーは、MGでは面積を大きく広げる変形にアレンジされてましたが、今回は設定通りに、扇形に少しだけ広がります。引出し式のウイングも、設定に近い印象。変形用のアームは完全に固定式で、WR時には、フライングアーマーだけを外して組み替え変形させます。アームとの着脱部にはポリキャップを使用。MS時には、左右のアーマーに角度を付けて背負わせてあり、MGよりも設定に近いイメージになっています。

グレネードランチャー発射ポーズ。腰の回転、右肩アーマーの展開に注目!



 ところで旧1/100の説明書を見ると、フライングアーマーについては「装備交換が可能」などと書いてあります。旧HGで変形の代案「ウェーブシューター」が登場する以前から、背面装備のバリエーションが有り得るという発想は有ったんですね。「地上戦では切り離して使う事も設計段階から考慮され」てたそうです。宇宙で活躍してたイメージが強かったんですが、言われてみれば地上に投入するための大気圏突入能力なんですよね。背中を身軽にして、軽快に走る姿を再現しても良いかも。

 武装です。ビームライフルは、旧HGでは差替えで再現していた伸縮機能を、可動で再現しています。旧HGよりも厚みが増して迫力が有りますが、伸縮ギミックを仕込むための幅増しだったのかも。グリップは折り畳み可能ですが、全長を縮めない状態でグリップを畳むと、スキマから銃身の中まで入ってしまって、引き出せなくなりそうです。指示とは異なりますが、後ろに畳むと安心です。(こう言う点は、対策が欲しいですね。)WR時には、機体上部にマウント出来ますが、MS時には意外とピンが目立ちます。

 ハイパーメガランチャーも、伸縮とグリップ収納を再現。左右のサブグリップも展開します。MGの物は、相当にアレンジしてありましたが、今回はかなり設定に忠実です。センサーが折れやすいという判断なのか、本体との間に補強が追加してあります。グリップの収納は、完全に倒してしまうと引出しにくいので、グリップカバーで押さえて倒すと良いかも知れません。引出し用のツメは付いていますが、あまりにも回転軸に近い位置なので、アテにしない方が良さそうです。(自分のツメが負けそう・・・)



 ビームサーベルは、右手首と一体になった物が付属します。今回は刃の部分も一体で、クリアーのビーム刃は付属しません。ビームライフルも、サーベルに転用出来る設定ですが、こちらは再現されていません。

 シールドは、設定よりもスリムな印象。ただでさえ細いデザインなので、少しでも幅広にして欲しかったですね。あと2ミリ広げても、問題なくWRになれそうです。それに元々、組み替え変形なんだから、フライングアーマーの取付け幅も、自由に設計出来たハズなんですが・・・。

 腕部グレネードランチャーは、さすがに開閉ギミックは有りませんが、オプションのマガジンが2個付属。裏は空洞ですが、ほとんど見えないので気にならないと思います。このマガジン、シールドと同時に装備する事は出来ない(同じマウントラッチを使うため)んですが・・・逆に、厚みの中にグレネードを満載したシールド兼用マガジンなんてのを、デッチ上げるのも面白いかも。乱射出来ますよー。



下の写真は、MGのウェーブライダーです。後頭部カバーが長めなのが、分かるでしょうか?

 今回の目玉、ウェーブライダー形態は、組替え変形で再現可能となっています。一旦バラバラに分解した上で、頭、腹、フンドシ、フロントスカート、腕以外の部分(多いなぁ:笑)、WR用ボディパーツに取り付けます。胸部やコクピットの移動、フライングアーマーの展開、テールスタビライザーの展開、脚の変形は、ギミックで再現されています。

左がWRモードで使わない、余りパーツ。これだけでも戦えそうなカンジですね。(ジェネレーターはスネに内蔵されてるので、実際には動けないと思いますが。)
右がWRの芯になる、フレームパーツ。聖闘士星矢の聖衣ハンガーみたいですね。欲を言えば、ランディングギアやマガジンの収納パーツを兼ねてたら嬉しかったかも。(強引?)

 スネ後部のカバーは、一旦外して位置を変える事でスライドを表現。これでバーニアが露出しますが、内部スペースの都合で、最近のキットとしては簡易的な再現となっています。カバー裏のC字形のピン受けを、逆向きにしてたら、再現スペースに、もう1ミリ程度の余裕が出来たんじゃないでしょうか。

 ライフルは縮めて、テールスタビライザー上にマウント出来ます。機体下面(シールド)には、ハイパーメガランチャーをマウント可能です。ランディングギアは、WR単体用の物は付属しませんが、ハイパーメガランチャー用の物が付属するので、装備させれば着陸状態でのディスプレイも可能です。



 WRモードは、発売してもらえてもEXモデルかなぁ?と思っていたので、すごく嬉しいですね。安いというだけじゃなく、パーツ形状が共通になる点も喜ぶべきでしょう。MSとWR、どちらも十分にカッコ良く仕上がってますしね。ただサイズは、キュベレイを乗せられるほど大きくはないですけど。

乗用ウェーブライダー 対象年齢6歳未満

強引にHGUCキュベレイを乗せてみました。実際には、黒いキュベレイMK−2を乗せて、大気圏突入を行っています。(買ってないので、白キュベレイで代用なのです。)キュベレイって、デカいんですね。Zの方が値段は上なんですけど・・・。


 組立時間は、1時間35分でした。カッコイイと言うか、美しいデザインですね。そして、前々から欲しかった「ちゃんと動く」Zのキットでもあります。これからもHGUCは、変形よりも可動優先劇中ギミックよりも劇中シーンを大切にしたキットを出し続けて欲しいな、と思いました。いずれはZZも、こいつの隣に、こんな仕様で立ってくれる・・・ハズですよね!



 おまけ

 せっかくなので、(旧)HGゼータについても触れておきましょう。1/144Zプラスのノウハウを活かし、頭と腹を取り外した上で、プラモ独自のモード「ウェーブシューター」への変形が可能です。ビームライフルは差替え式で伸縮を再現。リアスカートにはマウントラッチが有り、MS状態でもライフルを背負わせる事が可能。この辺はHGUCでも採用して欲しかったですね。非戦闘状態の立ち姿とか、好きなんですよ。



 ただ、立ち姿がカッコイイかと言うのは別問題でして。すでに前年のポケ戦シリーズで、ボールジョイントの股関節がスタンダードになってましたが、このキットでは変形のために採用されず、あまり大胆なポーズは取れません。足首はボールジョイントなので、ツマ先をハの字に開いて立たせると見栄えが良くなると思います。股関節がスカスカなのが残念ですが、このサイズで変形させる事を、外観やポージングよりも優先したキットですね。また、今以上にギミックを歓迎する時代でも有ったと思います。このキットが変形を実現していたからこそ、「今度はプロポーション重視で」と、HGUCが変形ギミックをパス出来たという面も、有るかも知れません。



 デザインのリニューアル、機体解説付きの豪華説明書、再キット化等、後のMGに通じるコンセプトにも注目したいですね。WR再現の難しさから、ウェーブシューターという新設定を起して解説でフォローする等、プラモ独自の解釈やバリエーションを提案する、今日のスタイルに大きな影響を与えていると思います。初期4体のHGの中でも、Zは特にMG的な商品に思えます。いや、説明書について言えば、改造した完成見本を掲載する等、MG以上の暴走ぶりが楽しめる必見の内容となっています。(サーベルパーツの事を書き忘れているのはナイショね!今は加筆されてるのかなぁ?)



 上腕と肩サイドアーマーが一体だったり、ツマ先が閉じなかったり、首が上下に振れなかったりと、惜しい部分も多いんですが、ウェーブシューターを再現出来る(今のところ)唯一のキットですし、歴史的なキットなので、ぜひ手に取って欲しいですね。また、これを参考にHGUC版のウェーブシューターをデッチ上げるのも面白いかも知れませんよ。

2003.10.30  健 竹史

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