健さんの
プラモコラム

その85
1/60 フリーダムガンダムの巻

( 1/60 フリーダムガンダム/ バンダイ/
ZGMF−X10A フリーダムガンダム
「機動戦士ガンダムSEED」に登場)



 本編での登場が遅いから、どうなる事かと思ってましたが、フリーダム、ちゃんと1/60まで出してくれましたね。スケールが上がる度に、どんどん見栄えが良くなっていく様な気がします。色分けが細かくなっただけではなく、ビッグスケール映えするデザインなんですかね?



 さて今回も、いきなり組み始めたりせずに、親切丁寧な説明書がどうなってるかをチェックする事から。表紙は正面写真、裏表紙は背面写真、中央に機体解説。組立図はフルカラーで、何色のパーツを使うのかが一目で分かります。開いておけばいつでも参照出来るパーツリストも健在です。

 組み立て方の解説マンガは、なんとバンちゃんとダイ君(勝手に命名)に代わり、新キャラクターになっています。こんな物にまで主役交代の風潮が・・・いやいや、ストライクの時より、さらに親しみやすく、マンガ的なキャラクターに変更された様です。セリフも吹き出し式になりました。発売時期を考慮して、今回のキャラクターは半袖の服装になってますね。やはりプラモは、出たらすぐに買わないと・・・(気にしすぎ。)

 では、説明書はこのくらいにして、頭部から。目とメインカメラは、1/60ストライク同様にクリアーパーツ。グレーのほほガードは1/100同様、左右一体でした。マスクは正面から取り付けます。黄色いアンテナのディテールや、メインカメラ周辺の装甲の薄さ、ヘルメット横のダクトの三角フィンのシャープさ等、このサイズならではの充実ぶりが嬉しいですね。(せっかくだから、リアカメラもクッキリしてくれたらなぁ。)首にも色分けが入ってます。

 ボディは、コクピットハッチ開閉ギミックを再現。「ここにいたのか、キラ・ヤマト!」(笑)ギミックは単純なスライド式で、胸上面という、奥まっていない位置なのも嬉しいですね。ストライクに比べて開きやすく、気軽に楽しめます。コクピットはエリと一体で、ボディ上方から仕込みます。シート位置は、もう少し下(奥)でも良かったかも。キラ君をしっかり奥まで押し込んでおかないと、首チョンパしてしまいそう。「トールの所に行くのか・・」(おいおい!)



 胸左右のバルカン(の様な何か)は別パーツ化されました。解説マンガでは、細かいパーツはピンセットで組み立てる様に説明されていますが、良く考えたら、それは接着式キットの場合ですよね。ピンセットの様なデリケートな工具で押し込むと、工具を傷めてしまいそうです。(何より、丸くてツマミにくい。)ガンプラの場合は、指や棒に両面テープを貼って持つと、扱いやすいですよ。

 は、1/100同様に、フロントスカートを上げると腰フレームパーツに干渉します。上級者は、干渉部分を削っておくのも良いかも知れません。今回はさらに、サイドスカートが前後に振れなくなっています。接続用のポリキャップを隠してあるのは嬉しいんですが、可動重視派の人は、ポリキャップの露出を承知で、カバー部分(突起)を切り取ってしまって構わないでしょう。(案外、わざと切り取り易いような設計にしてあるのかな?)

 何しろ、第42話「ラクス出撃」で、レールガンにはスラスターが仕込んである事が判明しましたからね。(スラスターらしいディテールも表現してあります。)前述の使用シーンでは、レールガンだけを前に向けた様に見えましたが、構造上、サイドスカートごと振ったと考えた方が自然な気がします。それにサイドスカートが動けば、レールガンで斜め上の敵を狙うポーズも取れますから、動かないのはもったいないですよね。


レールガンのスラスター使用状態(の、活躍想像図)。1/60ではサイドスカートが前後回転出来ないので、1/100キットに登場願いました。サイドスカートの前後回転が出来ないのは、1/60ストライクも同様です。

 です。ヒザは2重関節ですが、モモとスネでサンドする構成で、後ハメ式にはなっていません。ストライクも同様でしたが、このサイズになると、ヒザメカ内部が広いので、モモやスネにポリキャップを仕込むよりも、頑丈な物が仕込めるという事なんでしょうかね?重量級キットならではの構成と言えるかも知れませんね。

 スネは、ヒザアーマーが別パーツ化され、1/100よりもパテ埋めが容易になりました。ヒザのスラスターは、正面から成形され、奥まで色分けされてます。ヒザ上の紺色の部分は単純な色分けではなく、白い部分と噛み合った形状にアレンジされています。実機でも別パーツという解釈ですね。スネ後部のスラスター偏向板は可動しますが、後ハメにはなっていません。適当なポリパーツが無くてもABSのジョイントパーツを採用出来たと思うんですが、パーツを増やさない事を優先したのかな?後ハメには、外れやすい欠点も有りますしね。

 足首です。メカ部のセンサーは健在ですが、足の甲の奥に埋没した配置になってますね。チラリズムというより、なかなか見えない、こんな控え目な配置も良いですね。1/100で堂々とメカパーツを仕込んである部分には、内部装甲(?)が組み込まれていて、それでセンサー位置が低くなっている様です。スネ単体を作り、足首内部装甲に足首カバーを被せた物を連結する構成です。装甲の重なりも楽しめ、後ハメにもなってるんですね。足首カバーは、キットごとに構成が違っていて、色んな工夫の仕方が有るなぁ、と感心しますね。足首メカ部と足裏の関係は、1/100よりも設定に忠実です。



 肩カバーは、胴体側の面が存在しないタイプ。1/100同様の色分けに加えて、スラスターの奥にグレーのメカパーツが仕込んであります。赤パーツの裏側が見えにくくなっているのも良いですね。肩カバーの回転軸にもポリキャップを使用しています。

 肩関節前後スイングが可能。1/60ストライクでは、「ライフル両手持ち」ポーズに有利な、前に大きく可動する仕組みでしたが、今回は、関節とボディ内部パーツの干渉を無くして、後ろにも多少可動する様になりました。肩を反らして、胸を張ったポーズが取れてカッコイイですよ。また、ポリキャップの前後にスキマを持たせて、若干の前後スライドも可能になっています。


右がストライク、左がフリーダムのボディ内部。ストライクでは、肩関節が赤いパーツに干渉(ストッパー?)して、肩を反らす事が出来ませんが、フリーダムでは若干肩を反らせる様になりました。ストライクでも、干渉範囲を削ってみると良いかも知れません。

 です。上腕のコブに有る平面は、スラスター(?)の様な解釈になりました。露骨にノズルを追加するのでは無く、普段は閉じていて、遠目には平面にも見えるのかな?なんてカンジでしょうか。設定画を否定する程にはイジらない、奥ゆかしさが良いですね。(解像度を上げるってヤツですか?)

 前腕は、シールド用ジョイントのギミックを両腕とも再現。カバーは簡単に取り外せます。ピンは、最初は起こしにくかったんですが、何度か動かしているとスムーズに動くようになりました。すぐ奥にヒジ関節が詰まってるのに、良く再現出来たと感心します。ピンを起こすと、空洞から関節がチラリと見えます。このサイズでも、ギリギリ収まってる感じ。強度は十分です。

 手首は、可動指タイプです。可動はストライクと同等ですが、目立ったディテールの無いスタンダードな指です。安ければ流用したいのになぁ。各指の長さの違いは、1/60ストライクの時にも説明書で図解されていましたが、今回の説明書はさらに丁寧で、図と言葉で分かりやすく説明されています。これも改善点と言えるでしょうね。パーツがバラバラになっても組めると思いますよ。



 バックパックは、スラスター内部の赤い部分まで色分けされてます。スラスター本体は、1つが紺、もう一つがグレーという妙な構成。これは後ろのスラスターが、バックパックと一体のためです。重量級キットなので、持たれる可能性の高い部分の分割を避けたのかなぁ?塗装しておきたい部分ですね。ウイングの回転軸には、ポリキャップならぬポリ突起を埋め込んで、保持力を高めてあります。ツマミにくいし、分かりにくい向きの指定も有ったりして。ボクはデザインナイフで軽く刺して組み立てました。向きを間違った時に、引き抜くのにも有効ですよ。

 武装です。MA−M20ルプスビームライフルは、やはりストライクのライフルよりも大きくなっています。カバーは青と白のパーツの2枚重ねで、フチのラインまで色分け。クリアーパーツを使ったスコープ、フォアグリップの可動、手首とのジョイントも健在。リアスカートにマウントする事も可能です。



 MA−M01ラケルタビームサーベルは、サイドスカート上に固定可能。固定用のミゾは1/100では1対でしたが、今回は2対に増えました。黒いライン部分まで色分けしてある徹底ぶりがスゴイですね。しかもこのパーツ分割を利用して、サーベルの先端を外して筒状の連結パーツと交換スピアー(ランサーとも呼ばれてますね)状態も再現出来ます。ジョイント部に段差が無いため、1/100よりも自然です。ジョイント中央の連結部にはディテールが入ってますが、サーベル端からツメが起き上がって、ロックしてるという解釈でしょうか?(芸コマ!)ビーム刃を付けて連結すると、56センチにも達します。



 M100バラエーナプラズマ収束ビーム砲は、1/100では白と紺の2色でしたが、さらに赤のライン、グレーのダクト、基部の青を色分け。側面にはクリアーパーツも埋め込まれています。ウイングも2色に色分けされましたが、青パーツの表裏に紺のパーツを貼るのではなく、厚み方向がコの字形の断面になった紺パーツを、ハメる構成。接着ラインは発生しない、嬉しい分割です。1/100同様、ハイマットモード時のウイング展開位置は、ストッパー機構でピタリと決まります。



 MM1−M15クスィフィアスレール砲(レールガン)は、スカート内の軸部分にポリキャップを使用。砲身途中の折り畳み部分(って言うかレールガン全体)はABS製です。HGでは貧弱な印象も有りましたが、このサイズになると、丈夫そうで安心して遊べますね。グリップは、やっぱり引出しにくいんですが、下の穴にサーベルの刃を突っ込むと、簡単に展開出来ますよ。サイドスカート側面の紺部分と、後部ダクト(ここもスラスター?!)の赤が色分けされ、1/100よりもさらに充実しました。



 シールドは、ダクトの奥まで色分けされました。腕側のジョイントが再現されたため、アダプター無しで装備させる事が出来ます。グリップは、取付け位置を選べる方式ではなく、本当にレール上をスライド移動します。裏面の追加ディテールもカッコ良く、今回特に充実した箇所の1つかも。



 組立時間は2時間45分でした。飾って良し、遊んで良しの、満足度の高いキットだと思います。ウイングを展開すると凄まじいボリュームですが、安定性は良いです。HG−EX(V、G、Wの1/60シリーズ)よりも頑丈な関節で、PGほどの重量は無く、SEEDの1/60は、本当に遊び勝手が良いシリーズですよ。



 欲を言えば、コクピットのシート上下してくれると嬉しかったんですけど、初心者(って言うかプラモ初めての人)まで対象にしたキットには複雑すぎるかも。1/60を2つ持っている人は、キラのフィギュアを拝借して来て、上昇した状態のシートをコクピットの天井ごと作って、コクピットの上に置くだけでも、雰囲気は楽しめるかも知れませんね。


おまけ

 先日、ウチの掲示板で、キットのハメ込みキツさが話題になった事が有りました。キットが頑丈なのは良い事ですが、メーカーのスタッフは全員大人で、しかもプラモに慣れてる人ばかりな訳ですから、子供にとってハメ込みがキツ過ぎないか?という点は、ぜひ気を配って頂きたい所ですね。ハサミ込み忘れたら、二度と分解出来ない様では、「ボクには難し過ぎた」と思って、投げ出してしまう子もいるかも知れません。(部品注文も出来ますけどね。)

 とか言ってるボクも、レールガンにポリキャップをハサミ忘れて、分解するのに苦戦しました。ピンを短く切っていたんですが、それでも力と時間が必要でしたね。今回思ったんですが、貼り合せ式のパーツでも、ポリキャップを内蔵するのではなく、外側に窪みを作って、後からハメる様にしておけば、ハサミ忘れのトラブルが、多少でも減らせるんじゃないでしょうか?目新しい構成では無いと思いますが、新規ユーザーにも組みやすい気がします。


2003.8.21 健 竹史

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