健さんの
プラモコラム

その84 HGUC ジム寒冷地仕様の巻

(1/144 HGUC ジム寒冷地仕様 / バンダイ/ RGM−79D ジム寒冷地仕様
「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」に登場)


 「ポケットの中の戦争」冒頭部分って、ホントに良いですよね。いきなり宇宙から物語をスタートする事も出来たと思うんですが、サイクロプス隊の欠員補充でバーニィが転属するきっかけを作り、隊にとってはアレックスに仇敵の意味合いを持たせる、わずか数分の戦闘シーン。すごく短いのに、水中MSのイメージも一変しましたよね。ヤラれっぷりも爽快な名脇役。天敵のハイゴッグ君を飾って、気分を盛り上げて組むとますます楽しいのであります。では、各部を紹介していきましょう。



 頭部は、目と頭頂部カメラをクリアーパーツで再現。HGUCジムの時は、クリアーパーツの裏側に内部メカのモールドが入ってましたが、今回はモールド無しです。内部カメラを自分のイメージで作り込みたい改造派の人や、あっさりディテールが好みの人には嬉しい仕様ですね。アンテナは、抜けて紛失しないよう注意しましょう。先端には安全突起が付いています。

 ボディは、ワンパーツのウエストを、前後分割の胸でサンドする構成。胸と肩のダクトは、胸の内側から仕込む一体パーツです。ポロッと外れる事も無いし、組み立てやすいのが良いですね。ダクト部分の色分け目的だけでなく、ダクトパーツを入れ替えて、バリエーション展開でジムコマンドも発売する意図ですね。ダクトは凍結等、寒冷地特有の問題に対応した仕様みたいですよ。(アンテナが特別なのは、吹雪で遭難しないため。切実ですね・・・。)

 です。ジムコマンドと似てる部分なんですが、正面の赤い部分、V字のエンブレムが付いているのは寒冷地ジムだけみたいですね。ランナーの切替えの配置から見て、エンブレムの無い腰正面パーツが、別に用意されてるみたいですよ。(軍隊なんだから、みんなエンブレム付けなさい!)

 スカートの構成は、HGUCのスタンダードですね。左右一体可動のフロントスカート、ポリキャップで可動するサイドスカート、フンドシと一体で固定のリアスカート。今回は、股下にスラスターが有り、これがリアスカートよりも出っ張っているため、スカートとの境目が、ややクッキリしないと言えるかも。フンドシが、スラスターの途中で分割してあるのが、ちょっと残念です。

 モモは、微妙なカーブは保ちながらも、ボリューム感はHGUCジムに近づけてあります。HGUCジムのモモには、MGの様な前後分割のパネルラインがスジ彫りされていましたが、今回はOVA版のデザインを尊重してか、スジ彫りの追加は有りません。


左から、HGUCジム、HGUCジム寒冷地仕様、(OVA当時の)ジムコマンド。足の短い順に並んで頂きました(笑)。足の長さはジムコマンドが一番長いんですね。近年のリニューアルキットのプロポーションの良さって、足の長さよりもむしろ、上半身の形が良くなった事が効果を上げてる感じですね。

 ヒザ関節筒状のワンパーツですが、スライド金型を使って動力パイプを再現してあります。動力パイプが2本通してあるヒザの場合、HGUCガンダムMK−2の様に、ヒザメカ部が貼り合せ式になり、スネかモモにハサミ込む構成になる場合が多かった様に思うんですが、今回の構成は良いですね。筒構造は後ハメに向いてますから。(今回も後ハメ式です。)今後、Z以降の機体が発売される機会が増えると思うので、動力パイプの再現と後ハメの両立は欠かせませんからね。

 この筒構造の「動力パイプ付ヒザ関節」が、今回初めて採用されたのかどうかはイマイチ記憶に自信が無いんですけど、GM系って、何か新しい試み(しかも応用が効く機構)が投入される事が多い気がします。ガンプラは、シンプルな機体ほど要注意!なのかも。

 スネは、ポケ戦シリーズのジムコマンドに比べて、ヒザアーマーの幅が広くなりました。モモの幅が広くなったのに合わせての事で、解釈が変わったのでは無い気がします。それにしても、ヒザアーマーの幅が広がると、俄然ジムらしさが増した様な印象ですね。フクラハギのふくらみ周辺には、パネルラインらしいスジ彫りが、クッキリと入れてあります。フクラハギは、ジムコマンドとの相違点です。MGの様に、「ここは用途に合わせて交換されるユニットだよ」という表現なんでしょうね。

 足首です。ジムコマンドの時は、アキレス腱あたりのメカ部が、まるごとポリ成形でした。このキットの頃から、塗料の乗らないポリパーツをプラ板で囲んだりする加工が盛んになりましたっけ。今回のアキレス腱パーツはプラ製です。カカト側とのスキマも出来ず、ジムコマンドよりも見栄えが良くなっています。足裏は、土踏まずを控え目にして(って言うか分割ラインのみ)、ノーマルジムに近い印象になってます。足裏スラスターに奥行きが無いのが惜しいです。ところで、もしMGを出すなら、冬用タイヤみたいな足裏パターンをデッチ上げても面白いかも?!

 バックパックは、サーベルを左にだけ装備。ラックの内側は、背中表面にも突起を付けて、サーベルを保持しています。このボディパーツは、ジムコマンドに金型流用した場合の事も考えてあるのか、サーベル押さえの突起を、左右両側に付けてあります。サーベルラックの無い(腰に装備する)ジムコマンドでは、左右とも突起が露出して、ディテールの様に見えるという訳ですね。多分。


リアビューです。ヒザ裏は、この動力パイプがワンパーツ!関節メカ部と密着してますが、スカスカ感が無くて、このサイズなら妥当なリアリティと言えるんじゃないでしょうか?それから背面、バックパック横のわずかな突起が見えるでしょうか?隠れればサーベル押さえの突起、露出すればディテール。上手い処理だと思います。

 肩アーマーは、上面と前後だけを囲った、ワキの下が無いタイプ。寒冷地ジムに限らず、ノーマルジムもガンダムも、トロピカルドムまでも、肩アーマーは同様の構造みたいです。腕と肩を後ハメするにはツライんですけどね。今回は、上面と後面の境目で割ってあり、パテ埋め不要です。側面スラスターも別パーツ化されています。

 です。肩ブロックとヒジ関節はABS製で、筒状の上腕を通して連結します。つまり上腕途中のヒネリとヒジには、ポリキャップを使っていません。HGUCジムの様に、ヒジ横の丸モールドが本体色なら、おなじみの関節カバー式で良いのですが、寒冷地ジムでは、丸モールドは関節の一部です。これまでとは違ったパーツ構成にする必要が有った訳ですね。この関節、いいですよ。単品で売って欲しいなぁ

 前腕には、シールド装備用のポリキャップが、左右両腕とも仕込んであります。丸い穴がクッキリ目立つので、その周囲の四角いモールドを、メカ色で塗ってやれば、オモチャっぽく見えないと思います。前腕は接着ラインを消す必要が有りますが、塗装後にヒジ関節を連結する事が可能です。抜け止めが付いているので、分解は難しそうですが。

 このヒジ関節の差し込み口、着脱しやすいキツさにして、タテとヨコの幅を統一しておけば、前腕をヒネった様な動きを、差替え式で再現出来るかも知れませんね。寒冷地ジムって、前腕が角柱形のデザインですから実現出来たと思うんですが、今回のキットでは、ヒジ側が斜めにアレンジされてて差替えに適しません。残念。カトキさんの画稿では斜めになっていないんですが、関節の露出度や、上腕とのクリアランスの都合で、設計段階でアレンジされたんじゃないかと思います。

 手首は、トリガーに指をかけたポーズの、マシンガン用の右手と、左ゲンコツ左平手が付属します。設定資料には、よく「連邦軍共通MSマニュピレーター」の拡大図が添えてありますが、これは「逆襲のシャア」の物と、兼用されてるのか混同されてるのか、良く分からない所です。アップの絵には有りませんが、寒冷地ジムの全身図では、人差指の付け根に突起が付いています。キットでは、この突起を再現してあります。ジムコマンドにも付いてます。

 武装です。ブルパップ・マシンガンは、左右貼り合せの本体とマガジンという、3パーツ構成。銃口は別パーツになってませんが、スライド金型で開口してあるという親切設計。マガジンは着脱可能。フォアグリップを兼ねているという設定の様です。デザインの都合で、前腕に干渉して、持たせにくいのがツライ所です。



 シールドは、HGUCジムの物と、幅も長さもピッタリ一致。でも、六角形のバランスが、ごく僅か変更してあります。データを使いまわしても良かったと思うんですが、エンブレム無しでは、下半分が間延びするとか、そんな都合で調整されたのかも。腕への接続は、アダプターを介して行います。アダプターとシールドの接続はボールジョイントを採用。取付け方向を選べない代りに、余分なピンの無いアダプターです。背中への取付けも不可。今回は外観重視なんでしょうか?アダプターを交換すれば、ノーマルジムの背中には取付け可能です。

 サーベルは、右手首と一体になった物を持たせます。背中に装備してるサーベルを抜いても、ビーム発生部分には「謎の穴」が有りません。いや、謎が無いのを不思議がるのは変ですね。

 それよりなのは、サーベルは左肩にしか装備してないのに、なぜ右手に持つのか?という事です。マシンガンを手放さずに、左手でサーベルを持つってのもアリだと思います。HGUCジムは、穴開きゲンコツにサーベルを持たせるので左右の制約は無いんですけどね。まあ、左肩に装備してる設定自体が謎めいているんですが、これを機会に「サーベルと一体の左手」も出して欲しいなぁ。



 組立時間は、45分でした。やはりHGUCは、安いキット、シンプルなキットほど見どころ満載で、面白い気がしますね。今後の展開ですが、宇宙用とコロニー用のジムコマンドに対応したランナー構成になってますから、期待出来るんじゃないでしょうか。ジムスナイパー2まで、ぜひ出してもらいたいですね。



おまけ

 寒冷地ジムやハイゴッグ、MGアレックスの説明書では、12月9日と紹介されているサイクロプス隊の北極基地襲撃なんですが、エンタテイメントバイブル「戦略戦術大図鑑〜1年戦争全記録」を読み返していたら、12月14となっていました。この本が発行されたのは91年12月だったんですが、その後、ファーストガンダムとの関連を見直す等して、年表が改定されたんでしょうか。

 さらにエンタテイメントバイブル「MS大図鑑PART.1 一年戦争編」(89年2月発行)を読み返していたら、12月21日に、「北極基地襲撃」という、それらしい出来事があった事になっています。この日付だと、ポケ戦の作品中で描かれていない日は、ほとんど無いくらいの、短期間のドラマという事になりそうです。クリスがアレックスのテストに何日かを要しただろうとか、ザクFZの修理部品が、簡単には揃わなかっただろうとか想像すると、北極基地襲撃は早い日付の方が、説得力がありそうですね。


2003.8.3 健 竹史

HGUC ジム寒冷地仕様
HGUC ジムコマンド
HGUC ジムコマンド(宇宙仕様)
HGUC ジム

HGUC ハイゴッグ
HGUC ズゴックE

1/144 金属部隊 ドイツ戦車 IV号突撃砲
  寒冷地塗装 (塗装済完成品)

1/144 金属部隊 レオポルド列車砲 ジオラマモデル
  寒冷地塗装(塗装済完成品)


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