健さんの
プラモコラム

その80
HGフリーダムガンダムの巻

( 1/144 HGフリーダムガンダム/ バンダイ/
ZGMF−X10A フリーダムガンダム
「機動戦士ガンダムSEED」に登場)


 フリー「ダム」ガン「ダム」・・・最初にその名前を聞いた時には、ずいぶん響きの悪いネーミングだと思ったもんです。でも実は、「何々ガンダム」という、ガンダムの派生っぽい名前を付けざるを得ない中で、これほどニュートラルな名前、派生でなさそうな、唯一無二のガンダムらしい名前は無いのも事実ですね。元々「ガンダム」という番組名は、ガンフリーダム(銃と自由)をミックスして名付けたと聞きました。初登場の回を見た限りでは敵を殺しませんでした。「ガンダムのガンを取ったらフリーダム」(ポケモン川柳風?)。この機体には、ふさわしい名前かも。では、各部を見ていきましょう。



 頭部は、ほほガードが2重になった様なデザイン。フェイスUPの設定画を見ると、内側(グレー)のほほガードは、全身画の物ほど大きくない印象ですね。キットでは全身画のフェイスを参考にしているのか、内ほほガードが長めで、それに合わせてヘルメットのほほ部分も、縦長になってる気もします。小さいマスクに対して、ヘルメットが長いと言うか。普段なら「こんなもんかな」と思ってしまうんですが、良い子は400円フリーダムを3個持ってるハズなので(泣)、試しにヘルメット下端を削ってみるのも面白いかも。うーむ、ユーザー泣かせのキャンペーンだ。

 正面顔の設定では、縦のアンテナと斜めのアンテナは、長さがほぼ同じ印象ですが、キットでは「伝統のV字アンテナと補助アンテナ」といった感じで、斜めのアンテナの方が長くなってます。普段は削り加工に自信のない人も、今回だけは400円キットを3個持ってるハズなので(以下略しますが、やっぱり泣)。

 ボディは、胸部ダクトを内側からハメ込む構成。しかも左右のダクトパーツは、ボディ内部で繋がり、ワンパーツになっています。このテのパーツは、時々ポロッと外れる場合がありますが、内側から仕込んであれば、その心配はありませんね。ダクトパーツの後ろはウエストパーツに支えられているので、うっかり押し込んでしまう事もありません。ところで胸上面に付いてるのは、バルカンじゃないんでしょうか?武装のリストに数えられていませんね。

 は、フロントスカートが左右一体で可動する、おなじみの構成。サイドスカートは展開してレールガンになります。ところでリアスカート中央の四角い穴は、ビームライフルのマウントラッチじゃないでしょうか?キットではライフルをマウント出来るキツさにはなっていませんけど。(ガタつきは有りますが、そのまま接着は可能です。)

 ライフルをマウントさせるにはサーベルが邪魔なんですが、設定画ではサーベルはリアスカート表面よりも突き出しておらず、マウントの妨げになりそうに有りません。サーベルの取付け位置は、もっと前寄りが正しいんじゃないでしょうか。サーベル保持用の突起を移設する改造は、強度の関係で難しいかも知れませんが、差替え用サイドスカートを作ってしまうテも有ります。こんな時のために400円フリーダムを3個買ってあるハズなので・・・(大泣)。

 です。軽快に飛びそうな印象を与える目的なのか、ストライク等よりもスラリとした印象のデザインですね。モモはストレートな形状で入り組んでませんし、足首カバーも密着してます。キットでは、足首関節の上にカバーを被せては太くなってしまうと判断したのか、スネと足首を直結せず、スネ・足首カバー・足首と重ねる構成を採用しています。

 結果としてストライク等と同じ2重関節になってますが、ツマ先を伸ばした時にカカト(と言うかアキレス腱)が出っ張り過ぎず、より自然な飛行ポーズが取れそうです。塗装後の後ハメも可能だし、強度は見えない部分で確保されているので、足首アーマーのフチも薄く仕上がっていて、実に良い感じです。

HGストライクの脚(上)と、HGフリーダムの脚(中央)の、ツマ先をいっぱいまで伸ばした状態の比較。フリーダムのシルエットは、まるで人間の脚の様な自然な印象。

下はHGフリーダムの脚を分解した状態。くるぶしに大きな段差の無いデザインのため、人間の素足の様な印象です。足首アーマーの構造と、薄さに注目!


 ところで、ヒザの後ろジン等に近い関節形状になった様ですね。ジャスティスは全くジンと同じ関節形状です。やはり開発番号通り、フリーダムの方が遅れて開発され、より地球側ガンダムの影響を受けているのかな?(2機のフレームが共通じゃなさそうという事は・・・今度も変形するんでしょうか?ジャスティスは。)

 足首は、イージスの様にツマ先とカカトが分かれたデザインですが、ツマ先の可動等は特にありません。土踏まずが有るのに足裏がワンパーツのキットって、あまり前例が無い気がします。接着ラインは入り組んでますが、うまく噛み合ってますね。

 肩アーマーは、前後分割とスラスターの3パーツ構成。塗装する人は、スラスターのピンを全部切り落として、塗装後に接着しても良さそうです。スラスターの上も奥も、天井やピンに密着しているので、簡単に位置が決まると思います。

 です。上腕にコブのあるデザインですが、肩ブロックと筒パーツをコブの部分で分割し、ヒネリが可能です。こんなに角ばった上腕でも、コブの内側をエグってあれば、干渉せずにヒネれるんですね。MGのGガンダムの構造と似ていますが、このサイズで実現した意義は大きいかも。F90以降に良く見られる形状だと思いますが、これならほとんどのMSは、腕をヒネる事が出来そう。リニューアルに期待!です。(あー、F91の腕、縦にスジ彫りが通ってます・・・

 前腕はシンプルな2分割。設定では側面のフタを外すとシールド保持用のジョイントが出てくるらしいですが、フタの奥にはヒジ関節が有るので、よほど大きなサイズでないと再現は困難かも。今回はHGストライクの様に、ヒジのフック(?)に、ジョイントを介してシールドを取付けます。残念ながらストライクのヒジフックとは微妙に幅が異なり、シールドの交換は不可能です。組み替え遊びや流用の自由度が高いほど、良く売れると思うんですけどね。

 手首は、左右の穴開きゲンコツと、サーベルと一体化した右手が付属。地球製ガンダムとはデザインが異なるあたり、芸が細かいですね。

 バックパックは、箱型の本体と、バーニア&フィンの2パーツ構成。HGの方がクッキリ成形してあるとは言え、400円キットでも、ワンパーツでそれなりに再現出来てしまってるのが面白いですね。もしかして制作当初に、「今回は低価格シリーズを発売したいので、別パーツ化しないと見栄えが悪い丸バーニアは、極力避けてデザインして欲しい」なーんて打ち合わせが有ったのかな?なんて想像してみたり。



 今回の目玉、ウイングです。どうやって展開するのかと思ったら、ビーム砲の左右に、2枚一体の翼が付き、1本の軸で繋いでいるんですね。それとは別に小さな翼が有りますが、これは根元のアームと一体。つまり10枚に見えますが実際は6枚という事ですね。しかも2枚一体で展開するため、一見入り組んだ形状に見えますし。

 構成は単純と言っても、1つの軸で翼とビーム砲、2つの物を動かす必要が有り、ちょっと難しそうです。キットではポリキャップの内側で翼を保持して、ポリキャップの突起両端で、ビーム砲軸穴を内側から保持しています。言葉で言うと難しいですが、丸くない部分を直径として利用する発想は、すごく面白いと思います。




下の補足写真は、矢印部分のUPです。ポリキャップの突起両端が、ビーム砲(白いパーツ)の穴の内側に密着しているのが分かるでしょうか?


 武装です。MA−M20ルプスビームライフルは、ストライクのライフルにカバーを被せた様な形状です。本当にその様な構成なら、上面後方の突起位置が低すぎるのか、あるいはストライクの物の突起が高すぎるのか。番組が終了した後でMG化されるなら、後から出た情報も加味して設計出来るんですけどね。ストライクの物より長くなってますが、これもビーム砲やレールガンに見劣りしないためと、カバーが付いた分、太く見えないための配慮でしょうか。特に先端部分を延長してあり、ストライクの物の形状を、出来るだけ尊重してある様子です。

 MA−M01ラケルタビームサーベルは、なぜかスライド金型でビーム取付け穴が開いています。良い子のみんなは、クリアービーム刃の付属したHGデュエルを山の様に買い込んでいる事でしょうから・・・ううー!(涙で言葉が続かない)



 ぐすん。M100バラエーナプラズマ収束ビーム砲は、シンプルに2パーツ貼り合わせ。ウイングのアームの可動範囲に余裕が有るので、ハの字に開いた発射ポーズが取れます。MM1−M15クスィフィアスレール砲(レールガン)は、サイドスカートから展開が可能。折り畳んだ時の位置がピッタリ決まるよう、見えない所に位置決めピンを設けてありますし、デザイン段階でもロック機構を意識してありますね。さすがにグリップの展開は無理でした。これもハの字に開いて構えさせたい武器ですが、ちょっと難しかった様で。1/60では重たいかも知れないので、1/100で実現すると嬉しいんですが。

 シールドは、無可動のグリップをモールドで再現、2色構成、ジョイントで腕に接続と、HGストライクと同等の内容・・・かと思ったら、ジョイント部分にポリキャップが使われていません。おそらくこれは、ジョイント位置をのぞき窓ギリギリまで高く配置したかったんじゃないでしょうか。シールドと肩が干渉するデザインのため、設定とはジョイント位置を変えてあるんですが、1ミリでも上に配置するため、ポリキャップのスペースさえ惜しかったのかも。



 組立て時間は1時間15分でした。翼を広げた高機動空戦モード(ハイマットモード)は、幅20センチも有って大迫力。やはり変形の要素が有るキットは楽しいんですが・・・ストライクよりも、ちょっぴり背が低い気がするのが残念かも。アンテナを加えると勝ってるんですが、並べた時に、ちょっとでも強そうに見えた方がイメージに合うと思うので。もっとも、ボリュームでは圧倒的に勝ってるんですけどね。


おまけ

 例によって、400円フリーダムにも軽く触れておきましょう。白、黄、紺、青、グレーと、HGに劣らない色数で成形され、なかなかカラフル。ランナー面積の都合なのか、シールドがグレーなのは余計だった気がします。サイドスカートやライフルにも白い部分は有るのだから、いっそグレーは無くして白でも良かった気もします。もっとも色数が何色かという事自体よりも、装備品が本体色と同じで目立たない事が問題だったのかも。再現度を優先しすぎて子供の視点をないがしろにしたら、バンダイらしくないという物です。

(このモデルはアンテナの安全突起を切り取ってシャープにしてあります。)


 アンテナは、取付部のサイズがHGと同じなので、黄色アンテナが好みという人はHGに移植しても良いでしょう。(逆にHGの物は400円キットにフィットしません。ピンがムクのため加工が必要です。)良い子は3個買ってるハズなので(まだ言ってる)、予備パーツが有ると思ってオデコに書き文字を入れても良いでしょう。

 サイドスカート(レールガン)は後ハメ式。裏に肉抜きが有りますが、あまり目立ちません。ウイングは展開出来ませんが2軸で可動。ポーズ付けはHGに負けない自由度です。ビーム砲の展開(アンテナとの干渉)を考えなくて良いため、ウイングの取付け幅は、HGよりも設定に忠実だったりします。

ビーム砲のギミックが省略されたため、ウイングの取り付け幅がHGよりも設定に忠実なリアビュー。見比べないと気にならない程度の事ですが、シルエットはHGよりも美しいです。

コレクションシリーズが簡易可動である事に不満を感じる方もおられる様ですが、「プロポーションを追求するなら固定モデルでないと」という意見(全く逆の主張!)は、ガレージキットでは度々耳にする意見ですよね。

この調子でいけば、HGで遊びまくり、コレクションシリーズに見惚れるという楽しみ方も出来るかも。


 スネと足首カバーに極端な段差が無い分、コレクションのストライク等よりもパーツ点数の制約を感じさせません。ウイング、シールド等もHGと同じサイズですし、プロポーションもHGとの共通性が高い気がします。ライフルだけは薄くなってますけどね。(ボクは厚いよりも好みだったりします。)こんなにHGとの差が少ないならば、いつか塗ってみたいと思ってたディアクティブモード、今こそこのキットで試してみては?


2003.6.22 健 竹史

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