健さんの
プラモコラム

その76
HGジンの巻

( 1/144 HGモビルジン/ バンダイ/
ZGMF−1017 ジン
「機動戦士ガンダムSEED」に登場)


 影の主役と言うか、話題独占のザフト兵、ミゲルの乗機が満を待しての発売です!いいなぁ西川君。まるまる1本ナレーションやっちゃうし。第26話「モーメント」を総集編と位置付けるのではなく、むしろそれまでの25話分は西川君の語りのバックに流すためのフィルムの蓄積作業であったと・・・イカン、少々冷静さを失っているようですから、聞き流して下さい。残念ながら西川君のフィギュアは付いていませんので、ジン本体に目を通していきましょう。(コラコラ)



 頭部は、トサカとヘルメットのフチまでが一体成形。後頭部のグレーは、その表面に張り付ける構成です。強度的には理にかなった設計じゃないでしょうか。顔面パーツを、前から張り付けてあるのが、まる分かりなのが、ちょっと残念な所です。本当はマラサイの様に、ヘルメットが後頭部に被さる様な感じまで再現して欲しい所ですが、スキが少なくて1/100でもツライかな?思い切って出しましょう、1/60を!(無茶。)

 額のカメラまで色分けしてありますが、これはトサカ(センサー)のオレンジパーツの先端です。スキが目立つので、トサカから切り離して接着するのも良いかも知れません。上級者は、代りにパテを詰めても良いかも。モノアイシールド(黒い部分)とモノアイ(ピンクの目)は、シールの重ね貼りで、表情を自由に調整出来ます。400円キットのシールはモノアイが中央に印刷されてましたが、今回はシールまで可動重視ってカンジです(笑)。

 ボディは、ウエストを胸パーツでサンドする、シンプルな構成。肩上の黒い部分(スラスター?)は別パーツです。コクピットハッチは、400円キットでは単純な出っ張りでしたが、装甲との噛み合わせの様なスジ彫り表現が加わり、実感が増しました。エリが立ってるデザインなので、1/100が出るなら、首パーツを別にするだけでも見栄えが良くなりそう。Zガンダムを思わせるワキのプレートは、可動すると解釈しても面白そうです。

 です。フロントスカートは左右一体で可動。フチの白い部分は色分けされてます。白パーツをハメ込む都合から、スカート裏の下端は肉抜きが有りません。ピンの部分だけ整形して塗装してやれば、後ろから見える部分はスカスカ感も無く、すごく良い感じになるでしょう。(まあ、覗き込まなきゃ見えませんけどね。)サイドスカートにはハードポイントが有り、重斬刀を装備可能です。リアスカートの窪みにはライフルを装備出来ます。こちらはハードポイントと言うよりマウントラッチと言うべきかも知れませんが、ハードポイントと規格を統一してあります。

 です。ヒザは、メカパーツの上下をポリキャップで受ける、毎度おなじみの2重関節です。でもデザインを見ると、メカパーツの後ろに関節が有る様に見えますね。これは2重関節の軸位置が近く、装甲に干渉しないデザインという事でしょうか。このキットも良く動きますが、可動軸がデザイン通りの位置に仕込まれていたら、さらに良く動いて、正座も可能かも。スペースさえ有れば実現しそうなのに!やっぱり、1/100が欲しいですね。

 スネのデザインは、ウチのサークル内では「レイズナーみたいだ」という感想も聞かれましたが、ボクにはATの様にも見えますね。キットの身長は、1/35ヘビー級ATとして通用しそうなサイズです。ジンをベースに、オリジナルATをデッチ上げるのも面白そうです。(第2回オラタコ選手権、やってくれないかなぁ。)スネ側面にもハードポイントが有り、ミサイルポッドを装備出来ます。

 足首は、HGUCザクほどでは有りませんが多重関節になっていて、自由度の高い可動を実現しています。少し引き出せばヒネる事も可能です。足首アーマーと後ろのスラスターも可動するので、足首の可動を妨げません。なんだか今月は、ジンといいブリッツといい、足首可動のサービス月間みたいですね。他のガンダムよりも遅れて発売となったのは、「どんどん凄くなってる」感の演出だったりして?(考えすぎ。)足側面の台形の突起は足裏パーツ側に付いています。この分割だと、台形部分がクッキリ成形されて良い感じですね。



 肩アーマーは、400円キットではワンパーツでしたが、今回は前後分割。意外にも、モールドのシャープさでは400円キットも負けていない様です。スジ彫りの溝が、上方向から彫ってあるのがモロ分かりなのが気になりますけどね。でも、コレはコレで、上面中央部分が別パーツと解釈すればリアルとも言えるかな。取付け軸も見えませんし。HGが優っているのは、側面スラスターの再現と、厚み部分のクッキリ感。固定ポーズで作る場合は、400円キットの肩アーマーにHGのスラスターを接着して使うのもアリだと思いますよ。

 です。上腕はヒジの上で分割されていて、ここで回転が可能です。分割位置は普段よりも低めですが、やっぱり回転部分は筒構造なんですね。前腕はシンプルに2分割。ヒジは、十分にヒジアーマーにカバーされたデザインのためか、曲げても伸ばしても、中のポリキャップは見えません

 手首は、ガンダム同様の穴あきゲンコツと、ライフル用の右手が付属します。ライフル用の方が、わずかに人差指を開いていますが、あまり大きな違いは有りません。MSVの頃なんかは、もっとハッキリと、カギの様な人差指だったもんですが、今度はちょっと、微妙すぎるかも。

 バックパックは、ポリキャップ2個を使って、頑丈に背中に固定されていますが、着脱は可能です。背中側にはピンが付いていますが、それでも周辺には、丁寧に窪みを彫ってあります。ピンで台無しになってるんですが、バックパックを外した状態を再現したい人には、加工のための良いガイドになりそうです。この窪みの通りに、穴を開ければ良いんじゃないでしょうか。



 ウイングは横にハネ上がる他、前後スイングも可能。下のウイングも可動します。バックパック全体を、多少上下にスイングさせる事も出来ます。下ウイング内部の黒いパーツは偏向プレートなんでしょうか?このパーツはジャバラ風のスラスターにハサミ込む組立てですが、上下のウイングは後ハメが可能です。

 頂点のグレー部分先端の黄色部分は別パーツです。黄色パーツのハメ込みは、裏から丸見えになってしまいますが、ハメ板と周辺の形がピッタリ一致する様になっているため、あまり見苦しくありません。裏から押せば分解も自在だし、安価な範囲では良い処理じゃないでしょうか。もっとも、ここ以外にはスキの無いキットなので、裏まで作り込んであれば文句無しでしたけど。

 武装です。ライフル(MMI−M8A3 76mm重突撃機銃)は、左右分割と銃口の3パーツ構成。側面の突起を使って、リアスカートの窪みに装着が可能です。この突起、実は元デザインにも付いてるので、不要部分とカン違いして削り落とさない様にしましょう。後方上面に付いているのは持ち手だと思うんですが、ライフルに厚みが有るため、ゲンコツの穴に通しても持てませんでした。残念。



 MA−M3重斬刀はワンパーツ構成。400円キットと形もサイズも似ていますが、ずいぶんディテールがシャープになりました。腰にマウントするためのピンが斜めになって、しかも周辺が肉抜きされてるのが残念ではありますけど。本当は重斬刀のピンではなく、腰のハードポイント自体が回転するんでしょうけどね。

 ミサイルポッド(M68バルデュス3連装短距離誘導弾発射管)は、本体、発射口、ミサイル先端(3基一体)の片側3パーツ構成。本体を箱形に成形する都合で、裏面のディテールは多少設定と違っていますが、見えにくい部分なので問題ないでしょう。ハードポイントとのハメ込みキツさは十分で、しっかり保持できます。

 組立時間は1時間程度でした。この価格でこれだけ動いて、これだけ装備が付いていれば、十分に満足できる内容だと思います。腰とスネのハードポイントのサイズが一致してないのは残念ですが、全体のプロポーションは良いと思いますし。ガンダム系ばかりが目立って、量産メカのキット化が激減してる昨今、ここまで大河原テイストが前面に押し出されたザコは貴重です。応援の意味も込めて、ぜひ手にとって欲しいですね。

 今後の展開としては、トサカ、肩、スカートの変更(ランナーの都合上、追加になりそう)で、「長距離強行偵察複座型ジン」を、ぜひ出して欲しい所です。Bクラブの改造パーツとかではなく、プラキットで。交換可能な部分なら、ソードやランチャーの様に400円キットベースで出す事も可能なんでしょうけどね。良い子のみんなに「MSV]の概念を広めるために、キャンペーンだと思って奮発を!今回付属しなかった武器も有るので、武器セットを兼ねても良いでしょう。



 ところで、完成させて眺めていると、どうもATに似てるのは脚だけでは無い様ですね。バックパックの着脱部分なんかもスコープドッグを連想させます。バックパックのバリエーションを想像で作ったり、逆にバックパック無しで活躍出来たと仮説を立ててディオラマを作ったりしても楽しそうです。そう言えばコンテストで決まったザフト側新MSは、バックパックが外れない様な印象ですが、汎用性の高いSPTから、特化型のマルチフォームが主流になっていった、レイズナーを(勝手に)連想してみたり。並べられる日が、今から楽しみです。



おまけ

 グーンや新型ガンダムの発売も決定し、今後も続きそうなコレクションシリーズですが、SEEDが終了した後はどうなるんでしょうね?HGUCに加えるには知名度がイマイチ、なんてマイナーMSを、このシリーズでリリースするのも1つの案かも。人気MSが入っていないラインナップでは、子供へのアピール度が下がってしまうかな?ボクはOZのMSなんか、今でも欲しいですけど。

 ボクが提案したいのは、昔のベストメカコレクションの様に、懐ロボ・スーパーロボットを続々発売する案です。マジンガーZ等、よほどメジャーなロボットは、トイやプラモが時々企画されますが、アイテム数が、なかなか増えませんよね。最低限の可動で300円程度なら、ゲームで知った人にも、手を出しやすいと思うんですよ。小さなSDモデルが付属しても良いかも。

 300円の組立てキットは、数年前に食玩で買いましたが、塗料が乗らない素材では、なかなか作る気になりませんでした。(普段から塗装しないクセに、なんでだろう?)プラスチックにこだわる人、多いと思うんですよ。成形の都合で多少の省略が有っても、プロポーションが良ければ、値段的に文句は無いと思いますし、上級者は関節を追加したり、ポーズ変更しても良いですね、LMモデルの様に。欲しくないですか?300円ダンクーガ

 それから、ライネック以降、新しい動きが無いオーラバトラーなんかも、プロポーションさえ良ければ動かなくて良い、と思ってるモデラー、少なくないんじゃないでしょうか。1/100程度で300円なら、新シリーズを立ち上げられないもんですかね?安さと言うのは、何よりも強力なセールスポイントです。HGとアイテムがダブりがちなガンダムでは廉価版と思われがちですが、安くなきゃ出来ない商品展開、他作品で、いくらでも可能ではないでしょうか?コレクションシリーズの続行を、強く希望します!


2003.5.15 健 竹史

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