健さんの
プラモコラム

その73 MG EX-Sガンダムの巻

(1/100 MG EX-Sガンダム / バンダイ/ MSA−0011[Ext]
EX-Sガンダム モデルグラフィックス誌連載「ガンダムセンチネル」に登場)


 何年か前、ガレージキット(スクラッチ?)の1/100EX−Sガンダムを見た時、あまりの大きさに一瞬「スケール間違ってるのかな?」と思ったものです。「MGが1万円を越えるならコイツかな?」とも思いました。それが8000円で手に入るとは!デンドロよりも2万円も安く!・・・いや、改めて、デンドロって高いですね。しかし安いという実感は本当ですよ。Sガンダムからの増加パーツはMG1体分のボリューム。箱にはAからSまでのランナーがギッシリです。飾り台(支柱含まず)は部品注文すると、500円の大迫力。



 今回はSガンダムのバリエーションキットという事で、追加パーツを中心に紹介していきますので、「その59 MG Sガンダムの巻」も併せて読んで下さいね。では、本題へ。

 胸部増加ユニットは、変形時の補強を兼ねるという設定ですが、キットでは「コクピットに被さってるだけ」です。2箇所で折れ曲がりますが、胸側には接続されていません。Iフィールドジェネレーターは裏面まで再現してありますが、奥行きがなくて、意外にコンパクト。コクピット周辺を、短時間だけ保護するという設定にも納得です。

 腰部増加装甲は、やはり腰前面左右のパーツの代りに取り付ける構成でした。設定では、この増加装甲は可動式ですが、キットでは無可動。しかもBパーツコクピットと腰をロックする様に、ガッチリと接続しています。実機ではスムーズな脱出のためにも、コクピットをロックする様にはなっていないと思うんですが、スマートガンの重さで、増加装甲がダラリと動くのは避けたいですからね。妥当な判断ではないでしょうか。

 腰には、待望のビームキャノンが付きました。銃口やパイプを別パーツ化して色分けを再現、ABSの多重関節を仕込むと、予想外にパーツ点数が多くなってます。Sガンダムの時にも付属させてたら、6000円では収まらなかったかも。(でもやっぱり、もう1体分欲しいですよね。)「Gボマー単体でのドライブはほとんど想定されておらず・・・」と、Sに付属しなかった事を意識した(と思われる)解説に苦笑。毎度ながら、ウマイです。

 脚部増加ユニットは、元デザインから形状を変更してあり、HGUCとは違った外観になっています。足首付近をカバーするのをやめ、スネ側面前側のダクトを露出させてるんですよね。デザイン的にも脚がスマートに見えて良いですが、あのダクトはスラスターも兼ねているので、隠さない方が理にかなっていると言えるかも。デザインだけでなく、構造まで検証してリファインする、MGらしい処理ですね。

 ところで脚部増加ユニットは、HGUCではスネ後方のノズルの上に取付けていましたが、今回はノズルパーツは付属せず、いきなり増加ユニットを取り付ける構成になっています。説明書の図解では、ノズルを取り外したりは、してないんですが。ここは単なるスラスターではなく、ジェネレーターを兼ねているそうですから、ノズルを除外したのは、あくまでキットの都合であって、実機とは異なっていると考えた方が良いかも知れません。

 ヒザアーマーは、ヒザ関節と繋がった基部から、まるごと新規パーツになりました。着脱出来ないので、Sガンダムの物との交換も不可能です。裏面のビームサーベルは取り出し可能。リフレクター・インコムは、ホルダーを開閉しての着脱が可能になりました。(HGUCでは、ホルダーは開閉ではなく、取り外し。)もう少し大きければ、クローとしても使えそうです。このヒザアーマー、モモより長いですもんね。



 背中のブースターパックは、ガンタンクR44と同じサイズ!いかにデカイか、改めて理解出来ました。ビームキャノンも付いてるし、火力的にも負けてないと思います。バーニアはグリグリ可動しますが、可動範囲は小さめですね。その代わり、推力偏向プレートが、すごく良く動きます。ビームキャノンは、Sガンダムと同じパーツが、追加ランナーにも含まれていて、本数が増えました。基部がグリグリ可動する事で、折れ曲がる構造は廃止されました。スネもそうですが、今回は「足す」アレンジよりも、「省く」アレンジが多い気がしますね。

 ブースターパックの取付け軸は、設定通り中央に配置。HGUCでは背中寄りに軸を設けていましたが、左右のユニットの共通性が、より高くなったと言えます。本体とブースターパックを繋ぐアームはABSパーツで、関節はビス止め構造。キチンと変形する上に、MS時にはハの字に開く事も可能です。

 プロペラントタンクは、フタが引き込まれる様に開いて、サイドジャケットとの接続スペースが出来上がるギミックが面白いですね。サイドジャケットのハードポイントと連結するジョイントは、小さい上に、2箇所で折れ曲がるため、ちょっと扱いにくい部分です。「動く物を押し込む」事になりますから、じっとしてくれない訳で。サイドジャケット基部で支えるには、ちょっとタンクが重たいのも難点。関節が小さすぎて、ビスも入らなかったのかな?I33パーツ(サイドジャケット裏面)の小さな突起がロックされるまで、キッチリ起こすのがミソです。



 ところでプロペラントタンクは、MSに変形する際には廃棄される(事が多い)という、Gクルーザーのための装備。という事からか、無変形のHGUCには付属しなかった装備ですが、MGの体形はガッシリしてるため、GP02の様な、重たそうなシルエットになってます。比較的細身のHGUCにこそ、似合う装備かも知れませんね。(って言うか、さらに細身のガンダムフィックスフィギュレーション版は、かなり軽快な印象でした。)

 ビームスマートガンは、今回も付属しました。腰部ビームキャノンを省略された前例から、ちょっと信じきれてなかった部分でした。疑ってゴメンナサイ。(と、言いつつ以後も監視を続行!/笑)今回ディスクレドームが追加される事は、スマートガン上面に「謎のフタ」が有る事から予想してた通り。基部は可動式で、ビームライフルのスコープの様に、ポジションを変更出来ます。完成後もディスクレドームの着脱が可能。「謎のフタ」(J2パーツ)は余りパーツ扱いですが、捨てずに取っておきましょう。

 スマートガンの取付け位置は、腰部増加ユニットのジョイントに変更。ハメてヒネる、ABSパーツの寄せ集めみたいな部分です。不慣れなうちは「コキャッ!」とイカしてしまいそうで、変形の時なんか、ちょっとドキドキしますね。筒状のジョイントパーツ(P5パーツ)は、穴が目立ちますが、これはGクルーザー時のスマートガン取付穴です。うっかり塞いじゃダメなので、ご用心。

 とまあ、追加パーツを中心に見てきましたが、HGUCのEX−Sの価格差がGM1体分なら、MGのからの追加パーツもMG1体分になるのは、考えてみれば当然ですね。で、「これだけ追加しておいて自立するのか?」という件ですが、ちます。しかも、かなりしっかりと。でも万一の事を考えると、普段は飾り台に固定しておく方が無難でしょう。


飾り台に固定し、展示した状態。3段カラーボックス(横置き)の1マスに、ようやく収まるビッグサイズです。しかも、飾り台は、カラーボックスに収まりきらず、前にハミ出してます。


 飾り台は、18センチ×28センチのビッグサイズ。「1/60ストライクが寝てる」程度の面積と思うと、スゴイですね。半透明の成形色がオシャレ。支柱の角度は3段階に変更出来ます。EX−Sのフンドシ下面にある「謎の穴」(Gボマー時の、スマートガン取付穴)に、支柱のピンを差し込んで固定しますが、腰後部と、腰部増加装甲とも噛み合う様になってます。Sガンダムにも使えるかも知れませんが、前側のロックが効かないため、オススメしません。(残念!)

 ところで、この太い支柱は、HGメカニクスのオマケMSの飾り台と似てますね。あれ、太すぎて好きじゃない人が多いようで、切り落として立ちポーズで飾ってる人や、細い支柱に作り直した人も多いと思います。でも、このEX−Sを見てると、「あの小さな飾り台も、支柱を可動させてみようかな?」なんて思ったりして。それから今回、コアファイター用の支柱も1本付属してるんですが、支柱の取付け穴は2箇所あります。支柱が2本あれば、Sガンダム付属のコアファイターも、一緒に飾れるんですけどね。(ほら、脱出モードも有るし、何より車輪無いし。)


Gクルーザーの状態から腕を外し、ボディ内部の配置をご紹介。背中が開いて前に展開し、頭部が逆向きになってます。ここを隠すように覆い被さっているブースターパックは、腰のアームと背中のアームに連結され、A・Bパーツの橋渡しをしてる感じです。


 Gクルーザーへの変形は、Sガンダム発売時に予想した通り。合体用コアブロックの、カナードの代りに付いているジョイントでAパーツを支える構成でした。実機では、胸部増加ユニットが頑張ってくれてるハズです。(正しくは、腰の増加ユニットとも噛み合ってるんでしょうね。)あと、アームで閉じる様に移動したブースターパックからはジョイントがせり出し、腰から伸びた支柱と連結。ブースターパックとアームもロックされ、予想してたよりも頑丈な印象ですね。


変形途中の様子。背中のアームが一旦外れ、胸部増加ユニットとコクピット周辺だけで前後をつないでいる状態です。空中分解しそうな危うさに注目!


 変形が済んだには、サイドジャケットが運んできたプロペラントタンクが連結します。一度外してハメ直す構成で、変形が済んだらサイドジャケットはタンクを離して戻って行ってしまうんですが、位置関係は守られた設計になってます。(これに加えて、ヒネリ可動が必要かも知れませんが。)タンク内側のジョイントパーツが、肩のフックを受け止めて、ロックする仕組みです。肩と胸とは、肩後部のジョイントを起してきて、ロックします。



 変形後の全長は43.63メートルという事で、MS時の2倍に達する大迫力。隣を飛んでるGコア(コアファイター)が、良い比較対象になってくれます。しかし慣れとは恐ろしいもので、いくら圧倒されてても、一度目が慣れてしまうと「そうか、MGサイコガンダムはこんなものか」などと思ってしまいます。(落ち着け!)


Gクルーザーの裏面です。ぜひとも、車輪が欲しかったところ。


 それから、説明書では、変形と言うより、一度バラして組み直す様な説明がされてます。バラさず強引に変形させるのは大変な労力なので、説明書に従う事をオススメします。何しろ、全身が動いたり、外れたりするので、どこを持ってイジったら良いのか、(飾り台から外す時ですら!)迷う程なのです。

 もっとも、チャレンジしてこそ変形のシビアさが分かるのも事実でして。例えばブースターパックはコアブロックを隠すため、必ず胴体幅以上のサイズが必要なんですが、これがテールスタビライザーと分離して閉じてからでないと、肩の回転すら不可能(つまり腕の変形も始められない)とか。この辺を考えると、実機では関節の伸縮等、さらに可動を追加した方が確実かも知れません。それにしても、電車やトラック並みのサイズのユニットが、ニアミスしながらブンブン移動する光景は、かなりコワそうです。


Gアタッカーもどき。肩ブロックの上にサイドジャケットが被さってます。サイドジャケットのフィンが1枚省略された理由は、ビームキャノンとフィンが、干渉する位置になるため。(干渉する位置まで、密着感を高めたかったとも言えますかね?)


 せっかくなので、Gアタッカー&Gボマー(モドキ)にも変形させてみました。Gアタッカーはブースターパックがボディと固定されずにイマイチですが、Gボマーは良い感じです。スマートガンのサポートユニットが欠けていても、合体を想定せずに出撃したと思えば、これもアリかも。スマートガンを、下面でなく上面に装備すれば、飾り台にも固定出来ますよ。(スマートガンを保持出来るのは、秒単位ですが。/笑)



 組立時間は、7時間でした。あれ?なんでSガンダムよりも早くなってるんだろ?慣れでしょうか。追加パーツは本体ほど複雑ではないので、スイスイ組めるとは思いますが。あと、これも慣れなのか、あるいは慎重に組み立てたからか、ビス止めでミスをしなかったのが、ロスタイムを出さない事につながったのかも。

 今後の展開ですが、この飾り台はBst型どころか、ディープストライカーも支えられるのでは?というくらい頑丈で、ちょっぴり期待してしまいます。もし支柱の高さが足りなければ、新規の先端パーツを用意して、延長しても良いかも。気になるのは、Gクルーザーには車輪の取付け穴は有るのに、車輪が付属していない事です。機首、腰、プロペラントタンク、脚と、フタは取り外せるんですけどね。まさかビームキャノンみたいに、「車輪が欲しい人は次のバリエーションキットも買ってね」とか。その名も「Sガンダムディープストライカーウェポンシステムとか言うフルセットだったりして・・・。ああ、買ってしまいそう。(落ち着くんだ!)

 サイドジャケットのフィンが一枚足りない件とかも、やはりGクルーザー状態での干渉を考慮してた様子ですし、今後何が出る事になっても、設計だけは完了してるのではないかと、ドキドキしてる今日この頃なのです。今回は、そのままでは合体出来なかったけど、コアブースターも忘れないでね!



おまけ

 先日、プラモ売り場で大学生風のカップルを見かけました。彼氏が彼女にアニメ作品の話を説明しながら、色んなガンプラを眺めてたんですが、そのうち1/100百式(旧キット)を手に取りました。「コレ好きなんだよねー。HGUCってシリーズで百式が出たら、買うのになぁ。」・・・え?出てるよ?目の前に有るじゃん!でも彼は、それに気付きません。黒いパッケージに、百式の絵が入ってないからです。

 一般人が広告でラインナップを把握してるとは思えず、模型誌を買わない一般人にPRしてユーザーを増やしたければ、分かりやすいパッケージにするのが一番。初期HGUCには、今からでもイラストを追加すべきですね。(力説!)で、ボクはどうしたかと言うと、充実した模型ライフよりも、二人だけの時間を大事にしてあげようと思いまして、・・・教えてあげませんでした。(笑)末永くお幸せにー!


2003.4.13 健 竹史

MG Sガンダム
MG Ex−Sガンダム
MG FAZZ

MG ゼータプラス テストカラー
MG 1/100 ゼータプラスC1
HGUC ゼクアイン

GFF EX-Sガンダム
GFF EX-Sガンダム タスクフォースアルファ
GFF ディープストライカー

HCM-Pro百式
HGUC 百式
HGUC 百式+メガバズーカランチャー
GFF 百式&フルアーマー百式改

ガンダム・センチネル
ガンダム・センチネル―ALICEの懴悔

アナハイム・ジャーナル

[HOME]

inserted by FC2 system