健さんの
プラモコラム

その67
HGイージスガンダムの巻

( 1/144 HGイージスガンダム/ バンダイ/GAT−X303 イージスガンダム
「機動戦士ガンダムSEED」に登場)


 こんな見事な可変MSを見るのは、何年ぶりでしょうね?って言うか、Z以降のモビルアーマーって、実は飛行形態であって、一年戦争当時のMAらしさは希薄な物が多いです。「スラスターを全て後方に集中して、爆発的な加速を得る」とか言われますけど、使わなくなった手足はデッドウェイトな訳で、燃費の悪い宇宙戦闘機と呼べるかも。ツメで作業や格闘が出来たガザシリーズバウンドドッグなんか、MAらしいですよね。



 そう言った意味では、MSの手足を全て活用して、より巨大なマニピュレーターを形成するイージスは、すごく無駄のない変形をしてると言えるんじゃないでしょうか。MA形態は、キラのストライクを捕獲するというエピソードにも活かされ、(いや、あのシーンのために用意された設定?)ドラマを盛り上げる上で、ちゃんと役立ってますしね。デザイン的にも、(ほぼ)上下対称という、ゾック以来のユニークな物だと思います。

 では、頭部から見ていきましょう。トサカやアンテナは、強度や構成の都合も有ってか、本体色のピンクの部分まで、白や黄色に色分けされてます。オデコのカメラ周辺なんですが、ピンクに塗ってやりましょう。この辺は、別パーツ化が裏目に出て、パーツとパーツのスキマがリアル感を損ねている印象もあります。400円キットの頭部を塗り分けて使おうかな?という人もいるかも。ヘルメットのスソをシャープにしてやると良いでしょう。

 ボディは、変形の都合でこうなったのか、少々胴長の印象。グレーのフレーム部分を開いて、内部構造を見てみると、フンドシを腹部に引き込むスペース確保に苦労したのかなあ?と想像してみたり。フンドシ自体は移動せず、フンドシとフロントアーマーをつなぐアームでも仕込めたら良かったのかな?なにぶん、サイズ的にツライでしょうけど。あるいはフンドシが欠けたような体形でも良かったかも。引き込みのための空洞が大きいと、エネルギー砲「スキュラ」のスペースが減っちゃうし。



 あと、ウエストの幅が狭いのも、胴長の印象を強める原因の一つかも。これは、腰左右のバインダーを支えるアームに、ある程度のサイズが必要だったからかも。スケールが大きくなれば、各部とも、もっと良くなるかも知れません。1/100が楽しみです。

 です。股関節はボールジョイントではなく、Sガンダム風の軸可動。モモの途中でヒネれる構造ですね。これって実は、HGUCで良く見る、肩関節の構造とソックリなんですよね。このイージス、モモのパーツは筒状で、ヒザに向かって軸を通すという、なんとも上腕っぽいモモなのです。あ、イージスのモモは、上半身で言うワキの下に相当し、上腕とは無関係です。念のため。

 足首は、スネとカカトがつながっていて、カカトからツマ先が生えている様な構成。強度的には、これで正解なんでしょうけど、ホントはツマ先がスネとつながっている方が、腕との共通性が高まって良いのかも。案外、ツマ先とカカトはつながっておらず、独立しているという解釈もアリかな?



 は、下半身で言うモモに相当するアームに支えられて、スキュラのすぐ上の辺りにつながっているんですが、ロック構造がしっかりしていて、MS形態でグラつく事は有りません。肩ブロックに肩アーマーが被さる、HGUCでよくある構成ですが、とにかく腕と脚の長さの違いに苦心してる様なので、胴体から肩アーマーが生え、肩アーマーから腕が生えるという、Sガンダム風の構造にして、ワキに間隔を開けると良いと思います。あと、キットではピンクですけど、肩ブロックは下半身で言うヒザ関節付近に相当するので、あえてグレーで塗ってみるのも良いかも。

 です。上腕は毎度の筒状パーツ。腕を上げると、肩アーマーにピッタリ収まります。前腕は、側面に(設定には無い)ハードポイントが有り、シールドの取付けに使います。シールドは左だけですが、左右どちらにもハードポイントが有るのを見ると、「両手にシールドってのもアリかも」なんて思えてきます。アトールみたいに攻防一体のシールド、どんなモンでしょ?MA形態も左右対称になりますよ。「イージス」(防御)の名前にもピッタリ!

 前腕には、足首モドキが付いてますが、ここの可動はポリキャップを仕込むスペースが無くて、関節にABSパーツを使用しています。足首モドキの大きさは、長さ・幅とも足首よりも小さいんですが、MA形態では、目立つ部分なので、もう少し大きくして欲しかったですね。ところでコレ、みなさんは足首と同じ物だと思います?それとも、同じ形の、別の物だと思います?成形の都合で不完全ながら、足裏と同じスベリ止めがモールドされてますよ。

 手首は、ストライクと共通のデザインで、左右とも穴あきゲンコツのみ付属します。さすがに収納は困難なサイズですから、変形の時には取り外します。



 バックパックは、400円キットでは上下とも平たい物だったので、てっきりフィンだと思ってましたが、実はブ厚いユニットだったんですね。設定では影になってて良く分かりませんが、基部は頭部収納ユニットなのかな?アンテナには何らかの折り畳みギミックが有るのかも。キットでは、背中の上側のユニットが、設定よりも後ろ気味の位置に移動し、MA形態では、大きくスキマが開いてます。ここも1/100に期待ですね。

 腰のバインダーは、かなり厚みが有るんですね。400円キットではワンパーツのため、裏側が省略されてましたが、今回は貼り合わせで満足いく仕上がりと思います。側面にはハードポイントが有り、MA形態ではライフルとシールドをマウントするんですが、設定通りの角穴です。丸穴でないだけで、ずいぶんカッコイイ印象になるもんですね。ピン側は丸いんですけどね。

 武装です。ビームライフルは400円キットに比べて、多少長く、厚くなりました。グリップを折り畳むと、代わりにピンが立ち上がり、バインダーへの固定が可能になります。シールドは、ピンで腕に接続しますが、設定画を見ると、MS形態でもバインダーに固定しておく事が有るようです。腕への装備時は、かなり下寄りに持ちます。防御だけでなく、「突き」攻撃にも使えそう。先端のニードルが別パーツで、ますます、そう感じさせます。

 説明書を読むと、この他にもビームサーベルを持っているハズなんですが、今回は付属せず。デュエルの物を持たせて良いのかな?(あまり詳しくないもんで・・・)

 お待ちかねの、MA形態への変形です。ライフルとシールドをバインダーに固定、手首を外しておきます。腕を上げて、前腕と肩カバーを一直線にします。「こんな所にもロック機構が!」と感心したアナタは、前腕の向きを間違ってますので、ヒネって修正して下さい(笑)。そして、前腕に密着していた足首モドキを展開します。



 バックパックを頭部ごと後ろに倒し、背中のスキマに頭部を倒し込みます。尻尾を伸ばし、バインダーを後方に向けます。肩を支えるアームを伸ばし、胸板を跳ね上げます。脚を開いて、フロントアーマーを下に下げます。胸板は左右のブロックを回転させ、フロントアーマーは全体を回転させ、この2つが上下対称になるよう配置します。

 あとは、前に回した手足をヒネって、4本のクローに見立てます。閉じれば高速移動形態、開けば攻撃形態です。微調整はありますが、大体こんなカンジですね。ボディ各部に効いたロックが、イジっていて実に楽しいですね。高速移動形態で、4本のツメを揃えるのは至難の技。パッケージ写真は、仮止めして撮影してるんでしょうか?見事に揃ってて、超電磁スピンもOKってカンジですね。蛇足ですが、攻撃形態から頭を展開して4本足で立たせると、タコガンダムみたいですよ。一応、射撃も可能。



 組立時間は1時間50分でした。関節可動を活かした変形という事もあり、無変形のMSに負けない可動が楽しめます。ウエストはヒネれませんが、モモがヒネれるという下半身の自由さが有りますからね。変形については、アーマー裏が露呈しない、スキの無い元デザインが大変優れていると思います。

 初代ガンダムの焼き直しと見せかけて、後の作品の考証を一年戦争当時にフィードバックした様な雰囲気の「SEED」。イージスの変形も、シンプルながらもムーバブルフレームによる変形を連想させます。再構築とでも言いますか、これも一つの「全肯定」の形なのかなあ?





おまけ

 とにかく背中の肉抜きが激しい400円イージス。裏側が完全に省略されてるし、これだけ楽しめるHGが出た今となっては、もう採り上げる必要も無いかな・・・。と思ってましたが、今回比較してみると、けっこう面白いキットでした。



 発売当初は設定画よりも異様にブ厚くて、妙に感じていたフロントアーマーですが、変形パターンを理解出来た今改めて見ると、胸ブロックと、ほぼ同形である事に気付きます。また、肩カバーを倒して腕を変形させると、スネの長さとピッタリ一致します。まあ、幅まで一致させると前腕がブサイクだし、そこまではやってませんけどね。

 この400円キット、無変形のためHGよりも胴が短く、脚が長いんですが、そのスネと腕の長さが一致してるとは!腕が異様に長い訳でもなく、HGと同程度なんですけどね。足首モドキは前腕にメリ込んではいますが、長さは足首と一致。足先のツメと腕のツメは長さが不揃いですが、ここは「足首はワンパーツ」というフォーマットの制約を受けて、仕方なく足のツメが短く(低く)なっただけなのかも。

 つまり、無変形だと言うのに、かなり変形に忠実なんですよ。HGだって、MA時の手足の長さが不揃いだって言うのに。なかなか丁寧な設計じゃないでしょうか。ボディ正面は、変形の影響が無い分、HGよりも設定に近いですしね。チラリと見えるスキュラ、バインダーを支えるアームの細かさ、脇腹の形状等。肩とスネのスラスターは、中に可動ギミックが無い分、深く彫刻してありますし。

 背部ユニットが薄いヒレになってるのも価格の制約から逆算した結果でしょう。「ゲルググがあと2週間早く完成していれば」みたいな調子で、「イージスがあと100円高ければ」と思ってみたりして。案外、HGを越える出来だったかも知れませんよ。

 あえて昔風に作った怪獣ソブビが有るように、500円イージスをイメージして作るのも面白いかも。(コンテストの審査員は分かってくれないかな?)400円キットとHGをミックスしてベストプロポーションを目指すとか、HGのディテールアップの資料にするとか、いっそHGのパーツで400円キットをディテールアップするとか(!)。ぜひ並べて比べて欲しいキットです。(長いオマケだなあ)


2003.1.15 健 竹史

1/144 イージスガンダム
HG イージスガンダム
1/100 イージスガンダム
ADVANCED MIA イージスガンダム

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