健さんの
プラモコラム

その65
1/60ストライクガンダムの巻

( 1/60ストライク ガンダム/ バンダイ/ GAT−X105 ストライクガンダム
「機動戦士ガンダムSEED」に登場)


 大きい事は良い事だ!安いも良い事だ!1/60は、もうPG価格でしか手に入らないと思ってましたけど、復活しましたね!HG−EX(ハイグレードエクストラ)の価格帯。このテのビッグサイズモデルって、子供にとって宝物になり得る、夢のあるアイテムだと思うんですが、PGの出現によって、値段的にも組立て難度的にも、子供には手の出し辛い物になっていると思います。この値段なら、サンタさんも任務了解してくれそうです。バンダイはやっぱり、夢を売る企業でなくっちゃね。



 はZZ等と同じ、MG4000円サイズ。「1/60ビッグスケール・リアルディテール」の文字が良いですねえ。その昔、「百獣王ゴライオン」のパッケージに「超精密」って書いてあったような記憶が有るんですけど、そんなノリで、購入意欲をかきたててくれます。「ストライクガンダム」の文字も、MG等の場合よりも大きめ。ガンプラのパッケージって、やたら英文だらけになる傾向が有るんですけど、これなら子供にも分かりやすく、頼まれ買いのサンタさんも、見つけやすいんじゃないですかね。

 を開けて、まず目につくのは、フルカラーで大判の説明書。表紙は「片観音表紙」って言うんですか?電撃ホビーマガジンが2001年頃にやってた、開くと2ページ分ある表紙です。MGの説明書で、ページ数が多くなった時にも、巻末で時々やってますね。今回はそこに、パーツの探し方、切り出し方がマンガで説明されてます。組立て難度を初心者に合わせるだけでなく、「プラモを見るのも初めて」という人にも優しい説明書ですね。このマンガのキャラ、店員らしきお姉さんをバンちゃん、プラモ初心者の男の子をダイなどと、勝手に命名してしまいましょう。

 片観音表紙の裏側には、パーツリストが載っています。実は、このページをいつでも見れるようにするために、片観音表紙になってるんですよね。ページの上端に「このページは常に開いておくと便利です」と書いてあるように、表紙を開いておけば、どこの組立てをしている時でも、説明書の本来の幅からはみ出しているパーツリストを参照出来る訳です。徹底した心配りですね。


パーツリストがいつでも見れる、親切で便利な説明書。どの部分の説明ページなのかも分かりやすく、少しでも迷いそうな部分には言葉で説明が入ります。
パーツリストも組立図も、全て実際のパーツと同じ色で印刷。タテ30センチ近い大判で、全16ページ。ほとんどの説明にフリガナが打ってあります。
この説明書だけでも、ジオン十字グッドデザイン賞モノ!


 では、キット本体に目を移して、頭部から見ていきましょう。目とメインカメラはクリアーパーツ。目の下とアゴの赤パーツをベースに、マスクをハメでヘルメットで囲い・・・と言う、MGのスタンダードに近い構成です。このサイズになると、アンテナの先端にも安全突起も不要みたいで、そのまま組んだだけでも設定通りにシャープです。その代わり、アンテナ裏には肉抜きが必要になってますけどね。ここはディテールにも見える肉抜きパターンとしてあります。

 耳の奥にはダクト風のディテールが入り、顔正面のシルエットと相まって、仮面ライダー王蛇をホーフツとさせます。思わず「イライラするぜ♪」なんてツブヤいてみたりして。この他にも、機体各所に、1/60なりのディテールが追加されてます。

 は、胸ブロックから伸びたに、エリと一体になった首の皮(?)が被さる構成。軸を切って加工して、胴体側にも可動ギミックを仕込めば、首を2重関節に改造するのも案外簡単そうですよ。今のままでも、十分に上下可動する首ですが、どこまで動かせるか、試してみるのも良いかも。



 ボディは、コクピット内部を再現。ハッチの左右にプレートが有るので指が入りにくく、ちょっと開閉しづらいですね。青いハッチは下に引っ張れば開きますが、赤いハッチは、かなり奥まった位置になります。何かで引っ掛けて開くと良いかも。毎度の事ですが、内部のフィギュアは、かなり小さめです。胸のダクト(?)は、1/100とは違ったディテールです。1/100は開状態、1/60は閉状態と、シャッター構造になっているのだと勝手に想像してみたりして。

 です。このサイズになると、股間のグレーの部分と白い装甲部分にスキが表現出来てたりして、特にデザインをアレンジしてなくても、PGの様な「パーツの重なり」が味わえます。フンドシ左右のダクト(?)は、スジ彫りではなく、何枚ものフィンの重なりとして表現。フンドシ上の青いパーツは、1/100では台形、1/60では先の丸まった三角となっています。しかも、厚み方向にすぼまっているかどうかという差が有りますね。設定では、どちらが正しいのか微妙ですが、ボクは1/100の方が好みですね。



 スカートです。やはりフロントスカートは左右独立で可動。グレーの部分は、くり抜いて、裏からメカパーツを仕込んであります。裏全体を塞いであれば、もっと実感が出たと思うんですけどね。下端がダクトになってるなら、基部には配管が有って、本体の熱を逃がすためにフンドシに繋がってるのが自然でしょう。構造まで再現しない方針のキットとは言っても、せっかくフタするなら、全部塞いでも良かったと思うのになあ。

 サイドスカートは開閉式でナイフのポケットを再現。ポケット自体は1/100の方が良く開くんですが、少しでも大きなナイフを仕込もうと、バランスを調整したのかな?ポケット内部にもディテールが入ってます。リアスカートは無可動の1枚構成ですが、裏側にはディテールが彫刻してあります。PG風に作るなら、腰のダクト(スラスターかな?)にはメカパーツが欲しいですね。

 このダクトの中にもフィンの表現が追加されてますが、機体各部のフィンの表現(開き具合)が、それぞれ違うのが面白いですね。各部の状態に合わせて、開閉してるのかな?と思ったり。

 は、HGから一貫してヒザ、足首とも2重関節だったため、各サイズともパーツ構成がほとんど同じになっていますが、スネ前面は別パーツ化されて、パテ埋め不要になってます。足首アーマーは中央に分割ラインが来ますが、デザイン的に処理されてます。

 ところで、1/100でも追加されていたスリット状のディテールは、今回も健在です。スネではハッキリと、内部メカを露出させるスリットになってますね。で、ディテールから想像すると、水平なスリットはセンサー類、斜めのスリットは放熱用といった意味分けがされている様に思います。と言うのも、1/100では斜めだったフロントスカートのスリットが1箇所、今回は水平に変更されてるんですよね。PGでなくても、リアリティに気を配っているという事でしょうかね。

 足首関節は、1/100のデザインをベースに、さらに凝ったディテールになりました。足裏は、なぜか赤でなくグレーです。設定の色指定がどうなってるか知りませんし、好みで赤く塗っても良いと思いますが、「足裏は外装ではなく、フレームに属するのでは?」という主張かも知れませんね。ほら、足裏って、車で言えばタイヤでしょ?いちいち外す部分じゃないんですよ。

 もっとも、グレーの所はフレームっていう約束は、あまり好きじゃないんですけどね。Sガンダムの足の甲とか、伝わりやすくするためにグレーにしてあるだけだと想像します。この配色が、もし本当に主張として盛り込まれた物なら、表現やイメージが固まりきっていないSEEDでやるのは、器としてベストかも。

 は、やはりグレーの基部を白の装甲で覆う構成。パーツの合わせ目はデザイン的に処理されてますが、1/100よりも、さらに徹底しています。肩内部のフチにはディテールが彫刻されてます。前後に通された補強板は1/100にも有りましたが、奥のプラモっぽい部分が見えにくい形状に変更されてます。発売は同時期でも、開発は同時じゃなかったのかな?1/100より良くなってる部分、多い気がしますけど。

 です。さすがに上腕はワンパーツじゃなくなりましたが、筒に軸を通す様な組立ては他のスケールと共通。つまり今回も、ヒジは2重関節じゃありません。ヒジメカ部には、無可動ながらシリンダーのモールドが加わりました。

 シールドマウント部は、完全に穴がメインでフックがオマケといった感じ。1/100では袖の部分に補強リブが有ったんですが、今回は無し。と言うより、1/100はムクと判断して、肉抜きをしてたのかな?

 手首は、指が可動式。全関節じゃありませんけどね。手のひらに穴が開いていて、ライフルを持たせる時には、ジョイントを穴に差し込んで保持させます。大型キットではお馴染みの構造ですね。



 背中は、グレーの囲い以外はパーツ分割されてないんですが、突起やスラスターの周りをスジ彫りされていて、まるで別パーツの様なシャープな造形。スラスター内部にもディテールが追加されてます。エールストライカー合体用の穴は開閉式のフタで隠され、普段は見えません。設定には穴は描かれてないので、実機もこうなっているのかも。フタを開けると、穴の周囲はメカ的にデザインされてます。

 武装です。ビームライフルはフォアグリップが可動。スコープはクリアーパーツです。手首に接続するジョイントは、必要な時だけ引き出すタイプ。左右どちらの手にも対応します。シールドは、腕に対しての取付面を選べる構造で、グリップ取付け位置が選択式と、プレイバリューは1/100と同等です。裏面のディテールは、一段と細かくなってます。スケールが災いしたのか、マイナスモールドの裏側がスカスカなのが残念ですね。

 注目したいのは、のぞき窓。HGや1/100では、赤パーツの厚みが、のぞき窓の部分に出てしまっています。1/60ではこの辺に気を配り、赤パーツは、シールド表面に貼られた、平面的な装甲だというニュアンスが強調されました。このパーツ分割は、単なる色分け以上の、説得力を持っていると思います。


1/60(上)と1/100(下)の、シールドの比較。
のぞき窓の内側にご注目。1/60では、窓の内側が全て白いパーツで構成されているため、白い部分がシールド本体という印象を与えます。
赤パーツと白パーツで、角穴のサイズを微妙に変えてあり、赤パーツの厚み(薄さ)のすぐ下に、白パーツが面として存在する表現となっています。


 コンバットナイフ「アーマーシュナイダー」は2本付属。折り畳みと、ポケットへの収納が可能です。ちょっと小さく感じますが、ナイフが小さいんじゃなくて、手が大きいのかも知れませんね。人間とロボットでは、プロポーションが違いますから。

 組立時間は、1時間50分でした。HGや1/100の時と、あまり変わらない短時間で組み上がります。つまりパーツ構成も、あまり差が無い訳ですが、その程度の作業に16ページも費やしてる説明書は、初心者にも自信を持って薦められる丁寧さです。左右の組み間違いを起しにくいパーツになってるのに、それでも迷わないように指示書きされてます。良く考えたら、パーツは紛失しにくいし、マーカーでの塗り分けも大きい方が簡単だろうし。ビッグサイズこそ初心者向きという企画意図は、実に的を射ていますね。



 ヘビーユーザーにとっても、PGより1万円安く、10時間(素組みだけで!)早く作れるなら、今回の様な仕様のキットを歓迎する人は多いんじゃないでしょうか?ファンの憧れであるPGは今後も続くでしょうけど、1/60でジオンMSがズラリと揃う可能性、この価格なら出てきそうですよね。何よりPGの重量では、追加装備なんか背負ったらコケそうですが、コイツはハイキックだって出来ますからね。(ストライクは350グラム、MK−2は650グラム。どちらもライフル&シールド装備状態)

 今後の展開ですが、エール、ランチャー、ソードユニットは、ぜひ別売りして欲しいもんですね。もしダメなら、300円キットのアイデアを拝借して、完全無可動、前後2パーツ800円ストライクを同梱してはどうでしょうか。え?ダメ?良いアイデアだと思うんだけどなあ。



おまけ

 少年マガジン特別編集「ガンプラをつくろー!」を買ってみました。SEEDの設定から各種ガンプラの紹介、キットの作り方に、マーキングシールのオマケ付き。そしてお目当ての「ガンプラ開発物語・究極のガンプラを創れ!を収録!マガジン掲載時にも購入、何度読み返したか分からないくらい好きなマンガです。

 PGというブランド名はエヴァの時に決まっていたハズだとか、内部構造を再検討する前からパーツ数が変わっていないとか、そんな細かい部分はあえて簡略化して、とにかく読者に伝わりやすいストーリーにまとめてあります。これを読んだ子供達が、物作りはドラマチックな事なんだと、そう感じてくれると嬉しいですね。なにしろ子供に馴染みのある題材だし、推薦図書に指定しても良いんじゃないかなー?とか、ちょっとマジで思ったりもします。税別876円はチト高いですけど、ガンプラ好きなら、ぜひ手元に置きましょう!

2003.1.4 健 竹史

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