健さんの
プラモコラム

その64
1/100エールストライクガンダムの巻

( 1/100エールストライク ガンダム/ バンダイ/ GAT−X105 エールストライクガンダム
「機動戦士ガンダムSEED」に登場)


 MGを名乗らない1/100って、ターンエー以来でしょうか?「MGを名乗るには内部フレームが絶対必要」とは思いませんが、「最終回まで通してみて、しっかり考証してから発売された物こそMG」みたいな姿勢は、譲って欲しくないですね。早くもホビージャパン誌上で新MG化を模索する企画が始まってますが、10ヶ月がかりの企画になるのかな?(放送終了後の反応まで取り込むには、それ以上の時間が必要かも)では、キットを見ていきましょう。



 頭部は、顔の色分けが再現されました。パーツ分割はMGのスタンダードと同じですが、目とカメラはクリアーではなく、黄色で成形。頭頂部カメラは、設定では青なので塗装の必要が有りますが、分割されているので、作業は楽です。アンテナはHGよりも細かく分割され、白と黄色の色分けが実現しました。後頭部のカメラは、もう少しフチが薄かったら、実感が増したでしょうね。

 ボディは、エリや首、コクピット両横のプレートまで別パーツになって、HGよりもさらに忠実に色分けされました。ウエストは、赤いパーツを芯にして、白いパーツで囲います。胸の奥にはダクトインテークの様なディテールが施されました。(設定では塗り潰し。)肩関節には、前後スイング機構が仕込んであります。HGガンダムで見られた、肩を前にすぼめるギミックですね。両手持ちで、ライフルを正面に構える事が可能です。

 は、フロントスカートが左右独立して可動。サイドスカートは、可動する上に、コンバットナイフ「アーマーシュナイダー」の取り出しが可能です。サイドスカートは、開閉ポケットになっている都合で裏面も再現してありますが、特にディテールは入っていません。フロントスカートとリアスカートは、裏面に別パーツの無い、1枚構成になっています。この辺も、MGよりHGに近い構成と言えますね。

 です。内部フレーム無しという事で、ほとんどHGと同じ印象です。モモは2分割。スネはグレーのフレームを白の装甲で覆う、と言った具合です。もっとも、HGのパーツ分割が、1/100並なのだ、とも言えますね。脚に限りませんが、アニメ設定には無いディテールが追加されています。細かくて短いミゾ状のディテールなんですが、全身に適度に配置されていて、統一感が有りますね。

 足首は、HGと全く同じ構成。足首関節も、HGと同じ構造の2重関節です。ただ、関節メカ部のディテールは、格段に凝った物になりました。前面には無可動ながらシリンダーの表現が入り、側面のディテールも説得力ある物に感じます。気にし過ぎかも知れませんが、センサーとシリンダーの距離が、ものすごく近いので、センサーユニットに奥行きが無いように思います。もっとセンサーが出っ張ると、それらしいカモ。

 肩アーマーは、グレーのフレームが基本に有って、その表面に白いアーマーを貼りつけてあるような構成です。つまり、白い肩ユニット本体からグレーのフックが出ているのではなく、グレーの部分の方がメインという感じです。追加ユニットの接続部分として、なかなかそれらしい構造だなあ、と思います。センチネルの主張を反映したのかな?

 です。肩ブロックから伸びた軸を、筒状の上腕に通してヒジ関節に接続する、HGUCでおなじみの構成。つまり、ヒジは2重関節にはなっていません。前腕は、グレーのフレーム(内部メカじゃないですよ)に装甲を被せてあります。元の設定が分割ラインを意識したデザインになっているので、特にアレンジしなくても、しっくり来ます。装甲の合わせ目に、平行四辺形のスキマが有りますが、ここからグレーの中身がチラッと見える様になってます。



 ヒジは、ポリキャップを仕込んだ穴が開いてます。HGではフックの窪みを使ってシールドを保持してましたが、今回はピンと穴で接続します。外観的には、HGの方が好きなんですけど、サイズが大きくなると、保持力は大事な問題ですからね。

 手首は、指関節のスキマにディテールが入って、なかなかメカニカル。器用そうなのに冷たい感じも有るような、「ロボットの手」といった印象ですね。HGUCのジオンMSほどは擬人化してない、と言うか。左右のゲンコツとライフル装備用の右手が付属します。ゲンコツは握り具合が斜めなので、サーベルを斜めにも持てます。止むを得ずグラつきますけどね。

 背中です。メインスラスターは青いボディパーツと一体。グレーの囲いは後ハメになってます。左右の穴の奥にはシャープな丸モールドが有って、目立つように塗れば、ちょっとしたアクセントになりそうです。合体用の穴にはポリキャップを内蔵。かなり奥行きのある穴ですが、単純な四角にせず、合体用のガイドか何かにも見えるミゾが付いた、凝った形状にしてあります。ちょっと感心しましたね。



 エールストライカーは、ほぼHGと同じパーツ構成ですが、やはり要所要所が凝った形状に変更されています。前面のインテークの様な部分が、別パーツ化されて色分けされました。上面の小さな突起(整流板?)が、赤いノズルユニット上まで延長され、設定通りに噛み合う配置になりました。ノズル上中央に伸びたプレートは、偏向板なのかなあ?設定でも分割ラインが入って別物になってるんですが、ここは段差で表現してあります。

 噴射口の奥にはモールドが追加されました。白い尻尾の様な部分の側面には、設定通りのスキマ(?)を表現。下部に2つ有る三角モールドも、それらしい形と位置になりました。赤いフィンには安全突起が無く、厚みと言うか何と言うか、V字の断面にしてあって、いかにもSFアニメのバーニアという感じになりました。設定ではムクですが、埋めるのは簡単なんだし、嬉しいアレンジですね。

 とまあ、エールストライカーは改善点だらけです。そして何より嬉しいのは、合体時の位置関係。両肩に乗ったインテークが、HGでは顔を圧迫する様な、窮屈な印象(旅行用エアまくら?)だったのに対して、今回は耳の横辺りまでしか伸びておらず、圧迫感が無いので軽快な印象が増したと思います。HGを作る人も、1/100を参考に改造して、寸法を詰めてみてはどうでしょうか?




上が1/100、下がHGのエールストライカー装備状態。1/100ではインテークが前に伸びすぎず、フェイス周辺に圧迫感を与えていません。


 武装です。ビームライフルは設定よりもちょっと薄めの印象。フォアグリップは、もちろん可動。肩の可動が充実してて、楽に左手が届くためか、フォアグリップは設定通り、短めです。これでもHGよりも、より正面向きに構える事が可能とは!可動ギミックが良くなると、ライフルの設計まで、制約が少なくなるんですね。

 ビームサーベルは、エールストライカーから抜いて、クリアーのビーム刃を接続可能です。通常のランドセルよりも、やや後ろ寄りに装備されているためか、サーベルを抜くポーズが可能です。肩の可動ギミックの性能のおかげでもあるかな?ヒジを横向きに調整するのがコツです。それからランナーの配置を見ると、ソードストライクランチャーストライクが発売された場合も、サーベルは除外されずに付属するのでは?と予想されます。

 シールドは、HGと同じく、腕のどの面に装備するかを選べる、ピンが2箇所に付いているジョイントです。表面は赤、白、黄色の3色を設定通りに色分け。裏面は、グリップの位置が差替え式で変更可能。3箇所から選んでセット出来ます。HGでは畳んだ状態で固定されてたので、これは嬉しいなあ!とか思ったら、今度は畳めないで、起こした状態のまんま。畳んだパーツも付属してたら、もっと良かったんでしょうけど。

 アーマーシュナイダーは、展開は無理ですが、収納状態と使用状態の両方が2個ずつ付属。もうちょっとサイズが大きければ迫力あるんですけどね。使用状態のものは、まあ良いとして、収納状態の物は、明らかに長さを詰めて、小さく作ってあります。ポケットに収納するのに、かなり苦労したんでしょうね。MGなんかが発売される事が有れば、フタだけで解決しようとせず、アーマー裏面まで一体にしたポケットと解釈してはどうでしょうか?



サイドアーマーの断面図です。

キットでは、ナイフをフタの裏側に固定する方式となっていますが、サイドアーマーの裏側まで一体化したポケット構造にすれば、より大きなナイフが収納出来るのではないでしょうか?

底のある構造となる事で、上側のツメも不要になるなら、図よりも、さらに大きなナイフも収納出来ると思います。

(図の右にあるのは、収納出来るナイフの長さを比較したものです。)


 それからファンには嬉しいキラ君の1/20フィギュアが付いてます。MS以上に、キラ君こそ、番組終了後に、イメージが完全に確立してから出して欲しかった気がしますね。発売時期から考えて、劇中の印象を盛り込む余裕は少なかったと思うんですよ。それこそ設定画だけから造形されたのかも。でもまあ、付属しただけでも嬉しいんで、素直に喜んでますけど。装飾の少ないツルンとした制服なんで、ブーツ上やベルト上のタルミとか、ダブつきを、もっと大げさに盛り込んでも良かったかも。(ダブってもアレなので、MGの時には女性陣のフィギュアを!)

 組立時間は、1時間50分でした。HGがそのまま大きくなった様な組立て易さながら、色分けの徹底とディテールの追求で、かなり満足度の高いキットに仕上がってると思います。MG仕様で無いからなのか、MGのフォーマットが確立してからデザインされたからなのか、なんだかスッキリして見える様な気がします。MGになったからと言って、どれだけ変わるのかな?ヒジの2重関節化、アーマー裏の充実、コクピットの再現、背部スラスターの充実、くらいかなあ?どれも大した問題では無いような。リーズナブルな1/100、もっと発売されても良いような気もしますね。



 今後の展開ですが、「ストライクガンダム」というランナーと「エールストライクガンダム」というランナーが有る事から、ソードやランチャーの発売は、かなり期待出来ると思います。それよりも、エールストライカーのパーツばかりのランナーに、謎の切替えが有るんですよ。除外じゃなくて、追加パーツっぽい切替えが。これは何でしょうね?

 例えばエールストライカーが強化される予定が有るとか、MGが出た時にも、エールストライカーだけは使い回すとか。ふと思い付いたのは、エールストライカーをコアブースター化出来ないか?という事です。これまでの逆で、エールストライカーを先に登場させておいて、前半分にヒコーキを追加する様なパワーアップ案です。実はデザインどころか、金型も完成してるんじゃないかなー?と。

 いずれにせよ、現在進行形のキャラというのは、「この穴に2号ロボが合体するんだ!」みたいな、先読みの楽しみが有りますから、早く買わなきゃソンってもんです。番組終了までは、推理のヒントとしてランナーも保存しておく、とかね。



おまけ

 組立説明書の話題は「その61 HGUCスーパーガンダムの巻」でも採り上げましたが、最近もう1つ、サービスが向上した点が有ります。部品注文の扱いで、組立説明書を注文出来るようになったんですね。ボクは20年以上前に、1/100ガンダム(700円のヤツ)の説明書に墨汁をこぼしてしまい、最後のページが読めない位に汚してしまった事が有りました。で、バンダイに注文してみたんですが、その時の返事は「説明書の注文には応じておりません」という物でした。ようやくユーザーの声が届いたかな?エライ!待ってました!

 思えば部品注文の欄って、少しずつ変わって来てるんですよね。1個10円だったパーツ代が40円になり、理由の欄から「不良」「不足」が消えて「こわした」「なくした」だけになり、送金方法が切手から為替になり、電話番号を書く欄が追加され・・・と。今後は、どう変わっていくのかなあ?・・・って言うか、サービス体制を見直さなくて良いように、記入漏れや不備の無いように利用したいですね。(いつもお世話になってる身です、ハイ。)


2002.12.26 健 竹史

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※この下にネタバレ情報あり。
知りたくない方は
ご注意ください。

































 この原稿を執筆中に、エールストライカーのコアブースター化のアイデアを掲示板で話題にしたところ、すでにその様な予定が有るらしい、との情報を寄せて頂きました。
 なんと誌面でも公開されている戦闘機「スカイグラスパー」の機体後面は、ストライクガンダムの背中と同一規格じゃないですか!

しかし設定の色から判断すると、キットのエールストライカーのランナーに追加されるのがコイツなのか?は、ちょっと疑問です。リアルタイムの醍醐味、どんな展開が待っているのか、どんなキットが出て来るのか、楽しみにしたいと思います。情報、ありがとうございました!

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