健さんの
プラモコラム

その59 MG Sガンダムの巻

(1/100 MG Sガンダム / バンダイ/ MSA−0011
Sガンダム モデルグラフィックス誌連載「ガンダムセンチネル」に登場)


 カッコ良くて、デカくて、遊べて、大満足!でも今度ばかりは、ちょっと上級者向けキットかも知れません。2×4ミリという、極小ビスのシビアな組立て。1周余計に回したら、ネジ穴がガバガバになるんだもの。でもね、それでもね(以下略)ま、それだけ神ワザ的な超絶設計って事です。部品注文カードも付いてるんだから、ビビらずに買うのが吉なのです。じゃ、早速見ていきましょう。



 頭部です。折り畳み式のアンテナをギリギリまで頭部に密着させるため、メインカメラごと引き出してクリアランスを確保。変形のシビアさを見せつけてくれます。インコムは着脱可。フェイス左右のインテークは、フィンが別パーツ。後頭部ダクトも別パーツです。クリアパーツはデュアルカメラ(目)だけですが、メインカメラは、可動パーツの端をカメラ面として露出させているので、塗り分けが容易です。

 ボディです。変形はZやZZに似てますが、胸と背中を繋ぐ肩ヒモみたいなユニットは無可動。そのスキマから連結アームを引き出す方式にアレンジしてあります。これで肩ヒモ(?)は、背中に固定して、頑丈な肩関節基部に利用出来る訳です。肩の前後スイングが可能なのも、このアレンジでゴツい関節を仕込むスペースが取れたからかも。内側は頭部収納スペースになっていて、エリごと上下スライドします。

 は、ムキ出しのコアブロックコアファイターに変形可能で、A・Bパーツのコクピットが合体出来ます。この頭でっかちの状態で、3人まとめて脱出出来るという設定。他に、A・Bコクピットが分離出来ない物がオマケで付属。こちらは全コクピット内部が再現され、ハッチ開閉も可能です。合体は、どちらのコアブロックでも可能。車輪の再現が無いのが少々残念です。



 は、フンドシの前半分が空洞になっていて、Bパーツのコクピットが差し込んであるような構成。フンドシ底面も開閉するし、股関節基部はパンタグラフの様に幅が広がるし、リアスカートはアームで移動、さらにウイングが展開。バックパックを支えるアームやコアブロック連結ジョイントも仕込んであるという、ギミックのオンパレード。股関節の展開は今回使わないんですが、2号ロボとの合体に使われる物と予想されます(微妙にウソ)。前面左右のパーツが別になっているのは、増加パーツの取付けのためでしょう。

 モモは、Zプラスと共通か?と思われる部分ですが、今回は新設計。股関節はボールジョイントではなく設定通りの2軸関節。ヒネリはヒザ上のユニットが回転。Zプラスに移植したいと言うコダワリ派も多いでしょうが、太さが多少異なるのはともかく、ヒザ上ユニットのサイズがまるで違うので、Zプラスに可動ギミックを仕込むのと、どっちが適しているか検討してからが良いでしょう。安くないし。

 スネは、前面の装甲が足の甲を覆うように移動するんですね。足首カバーの正面のスキマを、アームが抜けていく感じで変形します。後部ダクトは可動式。ヒザのサーベルラックは可動の上、サーベルの着脱が可能です。そう言えば、全身が変形用フレームの集合体みたいなMSではありますが、毎度のフレームらしいフレームが仕込んであるのは、このスネくらいでしょうかね。有名な内部図解イラストとは違いますが、そこまで要求するのは酷でしょう。



 ヒザは2重関節で、しかも各モードでの所定位置にロックされるようになっています。今思ったんですが、この折れ具合、Z系に似てますね。Zプラスって、モモだけじゃなく、スネや足首までSガンダムと共通のデザインでも面白かったかも知れませんねえ。シルエットをZに似せたければ、EX−Sみたいに増加パーツを付けるとかね。どうでしょう?今度マジメにデザインしてみようかな?(モモが共通なら、すぐに作れるのにー!)

 足首です。カカトのスライドが、足の甲の変形をロックする仕組みになってて面白いですね。移動してきたスネアーマーと、足首のフィット感もGOODです。今見返すと、HGUCの足首は、変形を無視して幅広に作ってあるのが良く分かります。足首関節はかなりキツめなので、ビス締めは程々に。ボクはキツくしすぎたのか、力まかせにポーズをイジってたら、折ってしまいました。いい音しますよー。(涙)

 ところで、足首もZプラスに似てますね。キットの足裏パターンは全く違いますが、Zプラスの足裏設定も見当たらないし、本当は同一なのかも。Zプラスでは足首カバーが足の甲に密着するのが正解らしく(キットでは密着せず)、発想も似てますよね。



 バックパックは、Gアタッカーに変形する時、アームで移動する部分です。その左右に、これまたアームで移動するスラスターユニットを配置。EX−S時の重量を支えるにはABSとビスが不可欠といった印象です。強度や保持力のノウハウが蓄積されてないと発売出来ないアイテムだなあ、と再認識。背中へのロックは、多少の慣れが必要かも。固いし、何より見えない部分なので、最初は手探りでの変形になります。「どこだ?ここか?ここなのか?」(意味不明)などとツブやきながら、気長にやりましょう。勢い余ってAパーツを分解してしまう事もあり、慣れても気が抜けません。(笑)

 テールスタビライザーは、先端の伸縮を再現。この辺を知ってしまうと、短縮状態で一体成形されてるHGUCに手を加えたくなってきますね。「だからEXモデルのGアタッカーとパーツ兼用は出来ないのか」と納得しつつも、伸縮(または差替)ギミック付きで、やっぱり兼用して欲しいよな、などと、改めて思うのでした。話をMGに戻して、機首になった時の底面にナゾのフタが有るので、Gクルーザーには車輪が付属すると思われます。

 背部バーニアはグリグリ可動。ポリキャップ無しですが強度は十分です。ビームキャノンは、パーツ分割をHGUCよりも徹底して、黒い部分を色分けしてあります。

 です。前後のプレートが回転する変形を再現。腕をカバーすると同時に、インテイクを前に、スラスターを後ろに配置する目的の変形みたいです。後ろのメカ部には、ディテールに偽装(笑)したジョイントが仕込んであり、Gアタッカー時にバックパックと連結、位置関係を正しくロックします。ウイングユニットは基部が何重にも可動、主翼はスライドと回転が可能で、ギミック好きにはたまらなく楽しい部分です。早くGクルーザーになりたい!(ベム風に)



 は、胸ブロックではなく肩ブロックに接続され、肩から独立して前後に可動。もちろん肩ブロック自体も前後回転するので、表情がとても豊かです。ヒジは2重関節ですが、前腕の内側がメリ込む事もあって、下側の関節だけでも上腕に密着するほど曲がります。さらに手首基部もスイング出来、スマートガンを構えるポーズも楽々。HGHCよりも、さらに引き締まった射撃ポーズだと思います。

 腕は、今度こそZプラスと共通だろう!と言いたくなるくらい似ている部分ですが、やっぱり新設計。MGのZプラスにSガンダムの腕を付けたら、ちゃんと変形も出来たので、これは試しても良いかも知れません。ただし肩カバーを付けるには、多少の加工が必要です。(楽なのはZプラスの肩ブロックにSの上腕を接続する方法。ポリキャップの移植で済みます。)あと、前腕のハードポイントが埋まってるのがツライですけどね。

 手首は、可動指タイプのみ付属。ここくらいはZプラスの図面を使いまわせば楽なのに・・・と思ったら、手甲カバーの側面の形が違うんですね。いや、設定でも、絵ごとに形が違うんで、どっちでも良いんですけどね。

 サイドジャケットには、本当は腕と共通と思われる、スライド式のハードポイントが仕込んであります。後でプロペラントタンクを増設する準備だと思いますが、今のところはZプラスのシールド等を取付け可能です。意味無いですけど。ところで、ジャケット側面のフィンが、HGUCでは2枚なんですけど、今回は1枚んですよ。どうしたんでしょうね?タンクの着脱を容易にするため?Gクルーザー時の干渉?バージョン違い?MG用画稿も機体解説のイラストも、1枚で統一されてるので、単なる間違いではなさそうです。

 武装は、ビームスマートガンが付属。HGUCよりも細かい分割になった上に、先端の配線まで再現。スコープにはクリアパーツが使ってありますが、ハメ込むパーツの裏に穴があり、簡単に分解出来るように配慮されてます。グリップは変形に対応して、折り畳み式。サポートユニットとの接続は2箇所ともボールジョイントです。上面には謎のフタが有り、番組後半でのディスクレドーム開発エピソードが今から楽しみですね。(番組ないって)



 スマートガンのサポートユニットは、右側が伸縮。HGUCでは左側が伸縮してましたが、こちらは折れ曲がるのが正解。変形に関る部分ですが、HGUCは無変形という事で、持ちやすさ優先でアレンジされたのでしょう。(右は伸縮出来るサイズじゃなかったし)左側は、フタを開くとグリップがせり出してくる親切ギミック付きです。

 合体ですが、コアファイターが双胴という事を利用して、空洞に背骨を通したアイデアが秀逸。Aパーツ側のジョイントはボディ内部の奥まった部分から引き出さないといけないので、ツマヨウジか何かを使うと良いでしょうね。

 今度は分離形態。Gアタッカーは、ボディ内部に頭を収納、胸板が背中と密着するのはZZと同じですが、テールスタビライザーが下面に回り込み、スキマを塞ぐという、弱点の無い外観がナイス。密着した時の手応えはクセになりそう。アンテナを引っ掛けないように気を付けましょう。



 Gボマーは、コアファイターが外れた部分に、バックパックを支えていた支柱リアスカートが倒れて密着し、これまたスキの無いデザイン。スカートは左右に展開して翼になり、さらに垂直尾翼が立ち上がります。スマートガンは右サポートユニットに連結されたまま下面に移動、フンドシ下にロックされます。



 さて今後の展開は?と、ここが一番気になる所。脚部パーツが除外可能な配列になっているので、Bst型は期待出来そうです。EX−Sの発売は、Gクルーザーの変形に対応した様な謎のジョイントの存在や、後で「おまけ」の中で触れる予定の話題から、やっぱり期待出来そうです。左サポートユニットが、S用バックパックと同じブロックに配置されているので、これは今後付属しない可能性が高いです。

 スマートガンの連射装備仕様は、銃身側面の板パーツを交換する事で再現するのかも。ランナーの切り替えは設置されてない様ですが、まだ期待出来ます。新規の冷却装置パーツで本来の銃身を包めば、なんともMGらしい構成じゃないですか。楽しみに待ちましょう。

 では、冷静に待てという方が無理なので、パーツは揃ってませんけど、Gクルーザーへの変形を試してみましょうか。脚は分かりやすいので、何とかなりました。リアスカートは、ウイング状態から、さらにアームで左右へ展開。分かりにくかったのがボディで、Gフォートレス(ZZ)とは逆に、背中が外れて胸へと密着。しかもコアファイターとの連結も外れかかって、前へ倒れ込んでいるようです。

 まるで上半身と下半身が、コクピットだけで連結されているような、今にも折れそうな変形。なるほど、だからコクピットが分離出来ない、妙なコアブロックが付属してるんですね。Gクルーザーにする時は、こっちを使って補強させる訳ですよ。見れば、カナード(小さな副翼)の代りに、謎のジョイントがせり出して来るじゃありませんか。Aパーツの内側に、それにフィットしそうな穴もあり、Aパーツは設定よりも、かなり斜めに位置すると判断しました。


Gクルーザー合体用と予想される、コクピット非分離式コアファイター(上)と通常のコアファイター(下)の比較。矢印で示した部分は、カナードの代わりに引き出されるジョイント。


 そして、テールスタビライザーを移動して機首にし、腕パーツはGアタッカーと同様に折り畳み。サイドジャケットは、プロペラントタンクを運んで、前に倒れこむ様です。バックパックは、サイズだけでなく連結アームごと交換されてるハズ。幅は密着し、MSの顔を隠すように、機体上面をカバーしますが、ここはパーツが無いので、頭の中で補完します。これで多分、完成です。

 それにしても、デカイです。コアファイターのジョイントだけでなく、胸部増加パーツバックパック保持用のアームが、しっかり支えてくれると信じてましょう。振り回して遊びたいし。


Gクルーザーの変形状態(想像)。頭の向きから、開いているのは背中側だと伝わるでしょうか?コアブロックのジョイントは、胸(ワキの下)の内側に連結。写真下側の肩カバーは、軸が破損したのを利用して開放し、腕の変形を見やすくしたもの。キットを正しく組み立てた場合、写真の状態にはならないので注意。


 組立時間は、7時間半でした。時間はかかりますが、見所となるギミックは通常の3倍(当社比)は盛り込まれていると思うので、人に作ってもらうとかではなく、自分で中まで味わい尽くさないとソンってもんです。しかし先に触れた、短いビスの組立てがシビアで、簡単に失敗しそうです。ボクは肩の変形部分を1箇所と、リアスカートの取付けを片方、締めすぎて破損しました。

 知人も失敗したのですが、彼は普段からのモデラーでも無いのに荒業を思い付き、余った長いビスや、以前買ったキットのビスをペンチで切断、5〜6ミリの長さのビスに改造して、締め直したそうです。突き抜けそうでヒヤヒヤしたと言ってましたけどね。さらにスゴイのは、ヒザブロックの締め付け。ビスが短くて届かないんですが、これは使うビスの長さ指定を間違ってるのでは?

 EX−S発売までに、あと1ミリ長いビスに入れ替えるとか、何か改善が有ると良いかも知れませんね。何しろ、誰もが欲しくなるような、すごいキットには違いない訳ですから。



おまけ

 おまけ・・・いや、ここからが本題かも。発売前から一部で話題になっていた、腰部ビームカノンが付属しないのでは?という予想が、見事に大当たりだった件です。おまけパーツを付けるから、バリエーション機も買ってね、と言うのは、とても楽しみで良いと思うんですが、今回はシルエットを構成する、重要なパーツですから、ちと、やり過ぎじゃないかと思いましたね。おまけと言うより、欠損。ボクなんかは、HGUCのSガンダムでさえ、展示スペースの都合からスマートガンを外しています。武器無し立ちポーズで飾りたいってのも、アリだと思うんですが、どうでしょう。

 ビームカノンが無い事から、逆にEX−S発売への期待が高まる・・・と言うより、発売してくれなきゃ困るよ、と思った人も多いのでは?今塗装するなら、EX−S発売まで塗料を残しておかなくちゃ。面倒だから、それまで塗るの待とうかな。とか。

 ところで、チラっと頭に浮かんだんですが、EX−Sにスマートガンを付属させないってのはアリでしょうか?ランナー構成から、それも可能な様ですが、まさか!?!?


2002.11.3 健 竹史

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