健さんの
プラモコラム

その56 HGUC ガルマ専用ザクの巻

(1/144 HGUC ガルマ専用ザク / バンダイ/ MS−06FS
ガルマ専用ザク 「機動戦士ガンダム」バリエーション設定)


 「ガルマ出でよー!」・・・おっと、レインボーマンと間違えました。(若い人には分かんないってば。)いや、どちらかと言うと、ガンダムのガルマ様の方を先に知ったんですけどね。レインボーマンはリアルタイムで見てたけど、幼なすぎて怪人の名前までは覚えてませんでした。ガルマも色々ですね。



 という訳で、早くもシャア専用ザクのバリエーションキットが登場です。ほとんど同じ外観なんでピンと来ませんでしたけど、実はコレ、HGUC初のMSVなんですよね。初出は、当時50円だったバンダイのPR小冊子「模型情報」1983年7月号。この頃は、毎号1体のペースで、背表紙にカスタムモビルスーツが紹介されてました。キットでは開発番号が「MS−06FS」となっていますが、模型情報では「MS−06F−S」となっていました。後に増えたMS達の番号の形式に合わせて、少し手直しされたのかも。

 何しろ、これまでの資料は、イラスト1枚と3行の解説文だけだったので、説明書や再現ディオラマがどうなるのか、キットの発売を楽しみに待ってました。劇中では「坊や」の印象が強かったガルマ様ですが、政治面での活躍やドップのパイロットの腕を高く評価した内容になっていて、この説明書を読んでガルマの好感度が上がった気がしますね。では、変更点を中心に見ていきましょう。

 頭部は、30mm機関砲4門が追加されてます。シャアザクのパーツ分割から、頭の上半分だけが新規パーツになる事は分かっていましたが、アンテナ無しの量産ザクが自然に連想できるので、まさかガルマ機が来るとは思いませんでしたね。予想が当たった人は、腕の分割でピンと来た人という訳です。



 頭部の機関砲は、上からの成形ですが、なかなかキレイに仕上がっていると思います。ピンバイスで開口しなくても、サイズがサイズなので、そのままで十分精密な印象です。

 ブレードアンテナ(羽根飾り)は、元のイラストでは、先端が後方に伸びたタイプなんですが、キットではHGUCシャアザクと同じシルエットの物になっています。(基部に段差があるのは、機関砲を装備した影響だそうです。)MGザクには「TVタイプ」「リアルタイプ」と称して、2通りのアンテナが付属してて選べるんですけどね。尖らせないのは安全のためかとも思ったんですが、ゲルググマリーネのアンテナも尖ってるので、アニメのイメージに統一する意図なのかも知れません。

 は、前腕の内側部分の成形色が変更になりました。ドムトローペン(サンドブラウン)の時のような、プラスチックが流れる経路を切り替えるのではなく、腕パーツをAランナーとBランナー、両方に用意した型構造ですね。Bランナーの端には、シャア用の頭部パーツ、シャア用の腕パーツ、ガルマ用の頭部パーツが配置されてますが、そのスキマに量産ザクの頭部パーツが用意されているハズ。うまい配置ですね。

 本体の変更点は、以上です。他の部分については、その51「シャア専用ザクの巻」を参照して下さい。

 武装ですが、ザクマシンガン、ザクバズーカはシャア専用と同じ物が付属。ヒートホークは、専用の大型の物が付属します。ドズル用とも異なるデザインですが、元のイラストに描かれている訳でもなく、どこから出てきたのか不明です。ゲームオリジナルなのかなあ?今回の新規デザインなのかなあ?

 ヒートホークの携帯には、シャアザクの時と同じホルダーを使って、腰に取り付ける事が出来ます。ところでノーマルのヒートホークは、ランナーの流れを切り替えて、今回は除外されています。量産ザクには、ちゃんと付けてくれるんですよね!?基本装備だもんね!?(ちょっと心配)


他キットの武器との比較。
上から、マゼラアタック付属マゼラトップ砲、
ガルマ専用ザク付属マゼラトップ砲、
シャア専用ザク付属ヒートホーク、
ガルマ専用ザク付属ヒートホーク。


 今回の目玉、マゼラトップ砲です。最近の手持ち武器では恒例の、砲口が別パーツでキレイに仕上がる構成です。マゼラアタックに付属する物と比べると、より大きく、凝った形状になりました。ザクの旧キットは、手首が穴あきゲンコツだったので、マゼラアタック付属のマゼラトップ砲のグリップは、ただの棒という感じになってしまっていたんですが、HGUCでは手首を一度分解して持たせるため、より凝った形状のグリップになりました。

 それから、マゼラアタック付属の物では、砲身が1本しか無かったために、ザクに装備させるにはマゼラアタックを分解する必要がありました。今回は、兼用する相手もいませんから、砲身の着脱は出来なくなっています。

 ところで、あまりMSで出撃しなかったと言われるガルマが、激戦のイメージの強いランバ・ラル隊と同じ装備を持ってる所を想像しづらかったんですが、マゼラトップ砲はザクマシンガンより射程が長い気がしますから、最前列で戦わなかったから、持つ事が多かったのだと解釈しても良し、国民向けのPR映像のために派手な武器を撃った事があったと解釈しても良し。と、意外と似合ってるのかも知れないと思うようになりました。

 1つ気になったのが、マゼラトップ砲のパーツが配置されたランナーの部分に、「ガルマ専用」と書いてある事ですね。量産ザクには、マゼラトップ砲は付属しないよ、という事なんでしょうねえ。残念。

 シールは、モノアイの他にも、ヒジの丸モールドの色分け用シールが入っています。マーキング類は付属しませんが、当時を知るファンは、イラスト通りのラインやマークを再現しても良いでしょう。こう言う「リアル風」の仕上げをあえて採りあげていないのは、やはりMSVとアニメの差を無くして、同じ世界観に統一したシリーズにしようというコンセプトによる物なのかな。


宣伝効果のために建造されたなら、PR映像やポスターの中こそガルマザクの活躍の場だったと言えるかも。
親友でもあるシャアと並んだ構図なら、戦意高揚効果は抜群かな?
写真や映像の中のガルマザクの活躍を想像してみるのも、面白い楽しみ方かも知れませんね。


 組立時間は、シャアザクと同程度(当然か)、1時間10分でした。ちょっと早くなったのは慣れたからでしょうかね。今後の展開としては、ランナーの余白から想像して、量産ザクが、新装備付きで発売されそうな予感です。

 これはきっと、脚部ミサイルポッドに違いない!とか思うんですが、スネに穴を開けずにミサイルポッドが付属するのも久しぶりですから、マインレイヤーの可能性も、ちょっとだけ有ったりして。(欲しいですよね、マインレイヤー。1200円くらいでどうでしょう?)

 良く見れば、手足はシャアザクボディは量産ザクのカラーに近いですね。3つ集めてガルマザクを真ん中に立たせれば、2段変身の途中みたいな図になりそう。価格も安いので、ザクバリエーションはこまめに買って、ズラリと並べて楽しむのが吉だと思います。こういうのが売れれば、「もっとMSVを出してみようかな?」というムードにもなっていくと思うので、みんな買おうね。




おまけ

 先日、NHKの「ひるどき日本列島」を見ていたら、敬老の日に合わせたのか、100歳のおばあさんを訪ね、折り紙の作品の数々を紹介していました。折り紙を始めて10年だそうで、という事は、90歳から始めた趣味という事になります。

 しかも、折り鶴が連なった作品とか、鶴の上に鶴が重なった作品の折り方を自分で考案されたりと、とんでもなくクリエイティブ。自分も、あのくらいの歳まで、がんばって模型を続けたいなあ、と、久々に刺激を受けました。

2002.9.27 健 竹史

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