健さんの
プラモコラム

その52 MGジオングの巻

( 1/100 MGジオング/ バンダイ/MSN-02 ジオング
「機動戦士ガンダム」に登場)


 ジオングです。すでにHGUCで発売されてはいますが、コイツは特に謎の多い機体という事で、解説目当てにMG化の待たれていた機体ではないでしょうか。例えば「頭部がコクピットなら、シャアが乗り込んだ胸のハッチは何なのか?」とかね。(何しろ図入りで各部名称を説明してるから、触れない訳にはいきません。)

 で、MGスタッフの回答は「ニュータイプでない者に合わせた複座式MSだった」でした。ニュータイプは頭部のみで操作出来たが、試作機なのでボディ側のコクピットで起動や初期設定が必要だった、なんて細かい部分までフォローしてます。なるほど、ブラウブロの様に、複座のMAをニュータイプが一人で操縦した実例もあり、不自然な点のない見事な解説。恐れ入りました。



 「いつもながら、あの機体解説はすごいねえ。」などと職場で話していると、それを聞いてたAさんが一言、「案外、本当に二人乗ってたとか?」・・・他のガンダムは見てないとは言え、「逆シャア」にハマり、三度のメシよりサザビーが好き(一番はチョッパーだけど)という彼女の意見は、聞き流す訳にもいきません。

 すぐさま会議が開かれ、「シャアには影武者がいた(高貴な家柄なので当然)」「シャアは胸に、影武者は頭に乗った」「シャアはジオングの胸で戦死、影武者がシャアになりすました」「アムロが、シャア以上のニュータイプの気配を感じた所を見ると、影武者はシャア以上に覚醒していた」という結論に至りました。ボクはさらに「影武者の本名はクワトロだった」可能性を、明日の会議で指摘したいと考えています。

 てな訳で、Z以降の歴史見解にも一石を投じるこのキット、早速見ていきましょう。(注:職場の同僚が、揃って「影武者・徳川家康」に感化されてるというのは、いかがなものでしょうか?)

 頭部です。ここまでモノアイが広範囲に動くキットは初めてですね。上下回転するユニットの先端に、左右可動するカメラが付いてるという2軸式のギミックです。という訳で、頭の上半分はカラッポです。ボクは、実機の頭にはメカニックがギッシリ詰まっていて、表面のレール上をカメラがスライド移動してるんじゃないかなと想像してますが、このキット、見た目に面白いからOKですよ。メカが詰まってないから、頭の向こうが丸見えなんです。これは何だかエイリアンか飛行機みたいな印象ですね。

 イメージに合わないという人は、モノアイ可動を損なわない様に工夫して、メカを詰め込んでみましょう。「その方が(コクピットが広くなって)シャアも喜ぶ」のであります。コクピット再現は有りませんが、後部ハッチは開閉します。その中は2重ハッチという解釈ですね。後頭部のパーツは外れやすいので、後部ハッチを落として無くさないよう注意しましょう。



 耳のバーニアは可動式。口の砲口は別パーツ。スペースに余裕が有るとは言え、凝った内容ですね。モノアイシールドと頭頂部は、開封前に破損しない様、ランナーに囲いが設けられ、厳重に保護されてます。ツノは「国内用」と表示されてるので、おそらく軟質樹脂の「国外用」が別に有るんでしょうね。こう言うのって、ドムトローペン・サンドブラウンみたいに、ランナーの流れ方だけ切り替える訳にはいかないんでしょうかね。混入防止のために、ひと目で分かる配置ごとの切り替えにしてあるのかなあ?

 ボディです。胸中央にはコクピットを再現。壁面までそれらしく、サイコミュっぽいディテールが入っています。ハッチは首基部(ヨダレかけ)の可動のため、少々ツブれた形になっていて残念。HGUCの方が、開閉しない代わりに、イメージには近いですね。

 ボディ内部は、両肩と背面のメカニックを再現。ただし、両肩の装甲を外すには、先に胸の4つのスラスターを外す必要があります。スラスターがスムーズに抜けるよう、接着して作っておかないと、スラスターの下半分だけ抜けて、上半分は穴の中に残ってしまった・・・という事も有り得ます。(いや、有ったのよ実際。)特にハメ込みピンを切って短くする人は要注意です。

 胸ブロックには、アクションフレーム的な要素も有って、なで肩やいかり肩を、胸全体のシルエットを歪めて強調出来ます。接近戦は全く想定していない機体だと思うので、本当ならウエスト可動さえも不要かと思うのですが、公国のシンボルMSとしては、軟弱な連邦を心理面で威圧する意味でも、ポージングは大切なのであります。腕組みに近いポーズも可能ですよ。


各ブロックごとに微妙な移動が出来、シルエットを歪める胸ブロックのギミック。写真右は「いかり肩」、左は「なで肩」。肩アーマーは、関節を引き出す事で前後スイングが可能になる。写真右は、肩を後ろに反らせ、左は前寄りにした状態。


 は、関節を引き出せば前後スイングも可能です。F2ザクにも有る機構ですが、はるかに頑丈です。ヨダレかけは、飛行ポーズを取らせるための前後可動だけでなく、左右にもスイング出来るので、HGUCよりも表情豊かになりました。ヨダレかけとは別に、も前後可動。頭は着脱部で左右回転出来ますが、グリグリ可動は出来ません。ヨダレかけが自在に動く事で、首の不自由さを補っている感じですね。

 ウエスト上面は、軸2本で胸側に頑丈に接続。スカート側には超特大ボールジョイントが仕込んであり、可動します。ここも自由度は、HGUCよりも高いですね。HGUCでは、パーツのガタつき分程度は左右スイング出来ましたが、基本的には前後可動のみでした。まあ、HGUC1体のためにポリキャップを新しく開発するのも大変だと思うので、止むを得んという所か。そうだな?(誰と話してるんだ?)

 ベルト部分は、メガ粒子砲周辺と、中の砲身までも別パーツ。これで、無塗装でも完璧に色分けされました。こことスカートは、動く要素が無いため、ビスで固定します。関節保持じゃない部分にビスが使われると、「重量物なんだなー」と、改めて感じますね。

 スカートは、今回もワンパーツ成形。ランナー無しなので、切り出す作業も不要です。旧1/144では、スカートもランナーに付いてたんだよなあ・・・と、手持ちのキットを開けてビックリ。この巨大MSも、昔はランナー2枚のキットだったんですね。スカート内壁には別パーツを張り付け、厚みを再現してます。内部のパイピングは、HGUCを基本としながらも、立体的に配管された、格段に精密な物になっています。パイプ以外の構造物も、実に立体的。このキットの最大の見せ場ですね。

 バーニアの作り込みも可動も、HGUCより凝った物に変更されてます。メインバーニアは3枚重ねで、6基の噴射口の立体感(中に詰まっている感じ)を強調、グリグリ可動の他に、毎度の股関節に近い構造で、引き出す事が可能です。小さいバーニアは、グリグリ可動の他に、5基並んだ床のパネルごとせり上がり、前後に角度変更します。


HGUC(右)との、スカートバーニアの比較。HGUCではディテールは彫刻だったが、MGではパイピングや内壁、補強フレームを別パーツ化。さらに床板の可動ギミックを追加。


 肩アーマーも、スカート同様に、内壁を別パーツにした2重構造でディテールを再現。腕基部側とカバー側のパーツが入り組んだ噛み合わせ構造は見事で、完成後は、どこが継ぎ目か忘れそうな感じ。前後の肩アーマーをつなぐハメ込みピンも、実機にもある補強構造の様に処理され、全く見苦しくありません。

 肩ブロックは、内部メカを再現。肩関節の軸受けも、ポリキャップが露出しないよう、プラパーツで囲ったデザインです。ただ、装甲を外しても、肩はグレー上腕はグリーンなので、ちょっとチグハグかな。(それともあのグリーンは、1次装甲ってヤツでしょうか?)

 ヒジは、丸モールドの中心からズレた所に軸を設定し、見かけよりも良く曲がります。前腕の接続部分に引き出しギミックを仕込んで干渉を無くした事もあって、HGUCの約2倍、直角まで曲がります。ボクは普段から、丸モールドを意識せずに関節軸を自由に配置すべきだと思ってましたが、その結果、ここまで可動が改善するとは!予想以上の効果でした。

 前腕は、オレンジの成形部分が、イエローに改められたのが印象的。パーツ構成はHGUCに近い物ですが、手首付近で分割されたパーツが、ラッチで「パチッ」と組み上がる手応えが快感ですね。手首関節は、カバーが別パーツで、広範囲にグリグリ動きます。装甲はグレーの部分が着脱可能で、内部メカを再現してます。

 さらに、手のひら側にも手首が90度折れる関節が仕込まれてます。南斗水鳥拳ファンの人は、速攻買いですね。は親指の1関節を除いて、全関節が可動。関節と言うか、内部フレームに節ごとのカバーを取り付ける方式です。つまり指までフレーム入りってコトですね。手間ですけど、この方式を使えば、折れ曲がる動力パイプも作れそうな感じ。指先の穴からフレームが見えるので、砲口まで色分けされてる事になります。手の甲はちょっと大きめで、ここはHGUCの方が、より自然なシルエットに思えます。

 飾り台は、支柱の角度が5段階に調整可能。軸の保持力では限界があるとの判断からか、台の床下に大がかりなロック機構を仕込んでいます。支柱を引っ張る、床下のアームの先のツメを、どこのロックに引っかけるかで角度を固定します。飾り台を置く面(机など)を利用した、グラグラのアームなので、持ち歩く時や、机に密着しない不安定な置き方、机からはみ出した置き方では、ロックが外れて、支柱の角度が「ガクン!」と変わり、転倒する恐れがあります。注意しましょう。アームが浮き上がらない対策が欲しかったですね。



 今回はさらに、オールレンジ攻撃を再現する、分離射出した前腕を置く飾り台も用意されてます。こちらも角度調節が可能。しかし、こう言う物は、クリアーパーツで再現してあると、ムードをより損なわずに済んだかも。クリアーパーツが割れやすいとかの判断も有ったのかな?でも、ガシャポンならば絶対クリアーにしますよね。

 ところで、腕用の支柱は、単に腕を置くだけでなく、形状に合わせてハメてあるので、持ち上げてもすぐには外れない程度にはフィットしてます。支柱を付けたままポーズを取らせ、「シュピーゲルブレード!!」などと叫ぶと、年甲斐もなくエキサイトしてくるのであります。こうして、来月もMGシュピーゲルを買ってしまうんですねえ。うまい戦略だなあ。(バカ)

 前腕射出状態のケーブルは、リード線の両端にプラパーツの接続部分を取り付ける構成。しかし、リード線をサンドするL1、L9パーツと、それを囲うL2パーツのキツさよりも、腕のポリキャップの方がキツいため、腕からケーブルを抜く時に、パーツが腕の中に残って、バラけたL1、L9パーツを紛失するというハプニングが発生。これは接着するのが良いんだか悪いんだか、迷う所ですね。あまり良い構成ではなかったかも。あまりキツくない様、接続部分をすり合わせしましょう。

 組立時間は、4時間でした。そのうち1時間は、指を作ってた様な・・・。一見HGUCとあまり差がない様に見えますが、MGらしいディテールが要所要所に冴え渡る、ナイスな出来映えだと思います。バーニアを正面にして飾りたいくらいですね。あと、ベルト横に、無視しようかな?程度の接着ラインが残る以外は、全くのパテ不要というパーツ構成は見事。板ハメの多用で装甲の着脱もスムーズです。丁寧な部類に入る、好キットではないでしょうか。


頭部と左半身のフレームを露出した状態。となりは、サイズ比較用の同スケール「MGガンダムVER1.5」。


 気になるパーフェクトジオングの発売は、やっぱり意識してるみたいです。大小バーニア、腕用の飾り台、股関節どころかスカートの中のパーツは、ほとんど除外可能な配置ですね。なぜか飾り台といっしょのベルトパーツは、ついでに除外?脚部パーツのランナーに同じ物が用意されるのか、35センチの巨体を支えるには、ベルトの中まで変更が必要なのか?案外ウエスト回転のために、スキの大きいベルトに変更するのかな?要注目ですね。
 



おまけ

 あまりコンビニに行かないし、行っても決まった店ばかりなので知らなかったんですが、先日、セブンイレブンの食玩コーナーを見てビックリ。なんと、WAVEのTケースを売ってるじゃありませんか!こんなもん、どこの模型屋でも必ず置いているって物でも無い、かなりマイナーなサポートグッズだと思っていましたが・・・。食玩恐るべし、コンビニ侮り難し、ですね。

 模型の事しか考えてないボクみたいな人種ならともかく(いや、ボクでも買った事ないのに)、陳列ケースを一般人が買ってるなんて。飾るとか、並べるとか、保存する事に、気を配る人が結構いるって事なんでしょうね。何だか嬉しいですね。

 WAVEさん、これを機会に、Tケースのパッケージを、もう少しカラフルにしてみてはどうでしょう?女性に勧めるには、ちと寂しいと思うんですが。


2002.8.3 健 竹史

MG ジオング
MG ガンダム キャスバル専用機
MG シャア専用ザク
MG シャア専用ズゴック
MG シャア専用ゲルググ( ゲームカラー)
MG シャア専用リックドム

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