健さんの
プラモコラム

その50 バトロイドバルキリーの巻

( 1/72 VF−1バトロイドバルキリー/ ハセガワ/
VF−1A/J/S バルキリー バトロイド形態 /
「超時空要塞マクロス」に登場)


  ハセガワバンダイの商品が、同じ棚に並んでいるぞ!ヤック・デカルチャー!などと、ショックを受ける人が続出したとか、しなかったとか。いや、そんなセリフを知ってる人はショック受けないか。狂喜乱舞はするかも知れないけど。かく言うボクも、ハセガワのキットを予約して買うなんて事は、初めての事ですよ。



 さっそく箱を開けると、ほとんど白1色のパーツ群。グレーのメカフレームも多色成形ランナーも無いあたりが、ガンプラとは違うところですね。説明書は白黒。代わりに膨大な量のデカールが、すごくカラフルです。インレタでもシールでもなくてデカールですね。他にも何やらカラフルなチラシが入ってます。何々、マクロスイラスト付きのクレジットカードに、パソコンのタイピングソフトの広告・・・。こんな所まで、新鮮な驚きが詰まってました。てな感じで、キットの方へ。

 まずは機首(この形態では胴体)から組みました。股関節を左右の機首でサンドして。あれ?合いが良いですね。可動部だから?続いてハッチを。おや?このフィット感は交換式?さらに側面のUHFアンテナを。おお、ここまで頑丈に!このキット、スナップフィット(一部例外)ですよ!しかも、ハメ込みはガンプラほどキツくありません。少し冒険して、いつもなら切って短くしているハメ込みピンを、切らずにそのまま組んでみようと思うのでした。

 です。骨格となる(?)ブロックの中央の空洞に、後から機首を通す構造ですね。接合部は多少の前後スイングが可能。てっきり胴体を左右にヒネれるのだろうと思っていましたが、首基部まで1本につながったブロックは、スライド変形だけで手いっぱいだろうという判断なのかな?あるいは股関節が自由可動なら十分じゃないかという事なのかな。その代わりの上体前後スイングなのです。ガンプラでは見慣れない構造で、ちと抜けやすいんですが、そこがまたユニット構造的で、見所でもあります。塗装後に組めるようにという配慮でもあるらしいです。



 基本ブロックに胸板、ワキの下、肩上のメカ部を張り付けていきます。インテークは別パーツ。胸の赤(一条機)部分は別パーツ。唯一の色分け部分です。塗装への配慮らしいですが、上から見ても、そこだけパーツが2枚重ねに見えないよう、丁寧に組み合わさっています。

 です。変形機構は特に考えず、従来キットと同様、機首から可動軸が生えてます。モモは、MS同様に股関節から下の部分をモモとして扱い、インテークはモモの上に「乗せてるだけ」という、なんとも大胆な構造。インテークが動くので、開脚の自由度は高いです。・・・いや、動くというより、固定されてないですから。脚の前後可動(つまり歩くポーズ)は、背中に干渉して、それほど広くありません。

 インテークは、ファイターのキットよりも大きく、形も変わってます。この形の方が、密閉度の高いシャッターのように見えて、説得力が増すとか?(ハセガワ製だというだけで、何か考証的な裏付けがあるのでは?と思い込んでしまいます。イカンなあ。)グラつきがイヤな人は、中の空間を利用して、ジョイントを自作しても良いかも。

 モモの途中(インテークのすぐ下)には、中にパンタグラフの様なヒネリ可動ギミックが仕込まれていて、ガウォーク状態を思わせる、関節引き出し式自由可動が可能です。ここもガンプラでは見ないであろう、面白い関節です。ただ、C2、C18パーツの軸受けは肉が薄く、割れたという人も多いのではないでしょうか。それからPC(ポリキャップ)1には、軸の長短に区別があるので、注意書きが有ると良かったかも。間違っても組めてしまうんで、軸が外れやすくなってるのに、しばらく気付きませんでした。

 ヒザ関節は、上下2分割した間に、ジャバラを1パーツかませるという、接着ライン処理に配慮した(らしい)構成が面白いですね。ジャバラをかまさずに組めば、ヒザの中心で多少のヒネリ可動が出来るという意図なのかも。やはりハセガワ製というだけで、分割に意味があるのだと思いこんでしまいます。ヒザパッドは別パーツですが、関節部に接着。取付けなければ、かなりの逆ヒザにも出来ます。(大改造してガウォークを作る人、いるだろうなー。)

 スネは左右分割。中身はスカスカで、ヒザのスキマから空洞が見えます。昔のロボットプラモは、どれもこんな感じだったんですよね。ヒザ下のクリアーパーツは、ナビゲーションランプだそうです。ベントラルフィンは、抜けはしませんが、角度が決まらないので、接着した方が良いでしょう。スナップフィットと言っても、ハメ込み部が外観を損ねない範囲での、補助的なものという事でしょうか。

 足首は、ツマ先が1パーツ、カカトが1パーツという構成。前後対称ではなく、ツマ先の方が長くなってます。開閉も可能。「前後対称、開閉軸はその中心」だった、これまでのキットよりも、形も動きも人間っぽいと思います。ただ、コの字形のツマ先パーツを押し広げてポリキャップを仕込む構造は、保持力の面ではイマイチだったかも。

 スネとの接続(つまり足首関節)はアキレス腱辺りにあって、重心から見て後ろ寄りです。前にコケやすいのは、これが原因でしょうか?構成は良いので、強度さえ有ればなあ、という惜しい部分ですね。発売予定は不明ですが、スーパーパックを背負うには、ビス締め関節でも良かったくらい。

 アーマードバルキリーになった場合は強度に加えて、足首が小さくて目立たないのでは?という心配も出て来そうです。ファイター状態でのベストバランスを優先した結果でしょうか。スネ前後幅を広く、肩幅を狭くするなど、多少の変更はしてあるんですけどね。足裏(内部)のノズルも、ファイターのキットとは形が変わっています。

 です。肩カバー、上腕、前腕とも前後2分割の構成。ワンパーツのヒジ関節カバーを通して、塗装後に組む事が出来ます。肩カバーを胴体に接続する軸には、別パーツのリングをハメてあります。チラリとしか見えない可動軸まで、それらしいディテールを入れてあるんですね。

 前腕の先(袖口)には、クリアパーツをハメ込んで、その中にはカメラかライトらしき物が仕込んであります。マニピュレーターのすぐ横に、こういう物が配置してあると、説得力が出ますね。これ、アニメ設定にも有るモノなんですが、これまでの、ほとんどのキットでは省略されてるみたいです。可変バルキリー(大・小とも)では、デカールで再現してるのかと思ったら、手描きだったりして。1/72(現バンダイ)スーパーファイターでは、段差が付けてありますが、とても似てないし。今回の再現は、快挙じゃないでしょうか?

 手首は、左右握り手、左平手、ガンポッドを構える右手、ガンポッドを支える左手が付属します。ガンプラなら、「握ってない手は全て平手」という感じですが、使ってる状態と、使ってない状態を区別したのは立派(実は当然)です。ロボットは顔の表情が変化しないので、指のしぐさはポージングの要です。

 あまりきな声では言えませんが(ドキドキ)、剣を持っても離しても、敵をパンチで殴っても同じ握り手で済ましてるってのは、指の彫刻がシャープになっただけの話で、昔の穴あきゲンコツと、やってる事は同じなのであります。もっとも、簡単な手首を付けて買い易さを維持し、キャストの手首セットを別売するというのもベターな選択ではあります。(模型誌を欠かさず読んでなきゃ、地方の人には伝わらないってのがツライですが。)

 ところで握り手は、親指を曲げておらず、殴るポーズには向きません。スラリとしたプロポーションと相まって、とてもケンカが弱そうですね。ハセガワから無骨なバトロイドが発売されても妙な気がしますが、本来は、巨人とタイマン勝負するために開発したんですよね。つまり、こっちの方がメインの形態。弱そうだけど。



 背中です。変形で内側になる面までキチンと再現。パーツ数はケチらず、見せ場となっています。ファイター形態での、コクピット後部のふくらみ(ドーサルスパインと言うらしいデス)は、バックパックの密着感を高めるよう、背中にメリ込む配置になっています。モデルグラフィックス誌01年4月号のバトロイド作例でも、同じ解釈をしてあります。(モモのインテイクも、同じ構造だったりします。)

 主翼はファイターと同じで、背中の塗装後に、後ハメ出来る構造です。やっぱり短めに変更してある主翼ですが、「ファイターの長い主翼と互換性があるのでは?!」と思ってしまいます。希望者だけでも2個イチ出来れば嬉しいですからね。でも、取付部のサイズどころか、肩幅(つまり翼の幅も)が違うので、ダメでした。

 主翼の開閉は、ポリ製のラチェットで全開、中間、閉状態の位置で固定出来ます。左右の連動はありません。ところで背中パーツ(B4)は、このキットの中で最も破損しやすいパーツだと思います。ボディの組立が終わる前に主翼を開くと、その勢いで、B4パーツの端を、手応えも感じないほど軽く破損します。注意しましょう。(ファイターには無い部分なのになあ・・・ブツブツ。)



ハセガワ独自の解釈による、バックパックの構造。左右の尾翼が途中で折れ曲がり、中央にスキマを作る事で、UHFアンテナ(?)との干渉が無くなる。これによって、バックパックと背中の密着が可能となる。・・・ところで、変形によってアンテナが隠れてしまったら、通信はどうなるんでしょうね?(トムキャットでは、敵味方の識別も、ここでやってるみたい。)


 バックパックは、尾翼の畳み方がハセガワ独自の解釈で、ファイター発売の時から話題になった部分です。アニメの様に2枚重ねにならず、途中で折り返す関節を追加した理由は、尾翼と尾翼のスキマに、ドーサルスパイン上の突起(F−14トムキャットと同じなら、UHFアンテナ)を収納し、干渉を防ぐためでした。ここは、ちょっと感動しましたね。可変バルキリーではどうなってたんだろう?と見てみると、突起は省略されてました。(笑)

 頭部は、A、J、Sの3種が付属。J・S型は左右のバルカンの軸が、頭の中でかみ合う様になってますが、ポリの保持力を考えると軽く連動するハズもなく、別々に動く構造の方が良かったと思います。首は頭側とボディ側とも可動するので、大きく上下を向けます。頭側は、A型だけボールジョイントを使っておらず、表情が制限されます。一般兵は上官の言う事に首をかしげてはいけないという、ハセガワ独自の判断でしょうか?(違うって。)

 頭部は、完成後も組替えが可能です。カメラ部はクリアー成形。透けて見えるハメ込みピンをオフセットしてあるので、内部のセンサーの様にも思えて、気になりません。J型のゴーグルは、顔面と密着させないデザインで、ちょっと面白いと感じました。

 ガンポッドは、右手に持たせる他、ジョイントを取り付けて、腕に固定する事も可能です。銃口の内部(3連)や排きょう口も開いてます。(多いんですよ、開いてないキット。)ベルトの取付は、自分で穴を開けないといけませんが、ちょっとつらい作業ですね。針では穴が閉じるので、パンチみたいな物が有れば良いのかな?FAZZのエネルギーパイプの様に、キツさで抜け止めさせる構造が楽だったろうと思います。

 コクピットカバーは、スカル(ドクロ)マークが彫刻された物と、通常の物の選択式。今回は、オメガ型は使ってません。(ファイターのキャノピーは、特殊な金型で成形した物でした。)内側のキャノピーには密着してないってコトかな。



 組立時間は、2時間弱でした。スジ彫りは多いんですが、形状がツルンとしてる印象。でもこれは無塗装の状態の印象だからで、パッケージ写真を見ると、塗装とデカールでガンプラ以上の見応えが出そうです。構造的には、各部で強度不足を感じます。例えばモモのインテイクは、股関節の着脱の際に強く握る部分ですが、内部に補強が無いのが心配ですね。裏打ちした方が安心かも。

 ただ、外観と強度は両立しにくい部分もあると思います。逆に、このバトロイドを組んでみれば、バンダイが外観を犠牲にしてでも、強度や安全性を守っている熱心さが感じられるかも。どちらが良いかは、メーカーのポリシーとしか言えません。ハセガワも回数を重ねれば、このクオリティのままで、もっと強度や保持力を上げられると思いますし。てなワケで、ガウォークこそ腕の見せどころ。出して下さいねー。



おまけ




 比較用にバンダイの1/72バトロイドも組んでみました。ハセガワ製が出た今、さぞ見劣りするだろうと思ったのですが、意外や意外、そのカッコ良さを再認識しました。確かに変形しそうには無いし、やたらデコボコしてて空カ的には大問題な感じですが、コイツには、ケンカに勝てそうな力強さが有りますね。腕がもう少し細くて、ゲンコツにもう少しデリカシーが欲しいですけど。

 イマイから発売された当初よりも、機首がカッコ良くなり、マイナスモールドも追加されてます。今後、再販されにくいかも知れませんが、機会が有れば手にとってみてはどうでしょうか?ハセガワがリファイン風なら、こっちはアニメイメージ風、かなあ。

2002 7.24 健 竹史

  

1/5000マクロス 要塞艦
マクロスプラス 1/60 完全変形版 YF-19
マクロスプラス 1/60 完全変形版 VF-0A



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