健さんの
プラモコラム

その49 HG オージの巻

( 1/144HGHM オージ/ バンダイ/ A級ヘビーメタル オージ /
「重戦機エルガイム」に登場)


 17年も経ってから、オージ(劇中ではオリジナルオージェ)がキット化されるなんて、思ってもみませんでしたね。エルガイムは、やたらとマニア心をくすぐる設定で、メカ好き、プラモ好きが夢中になった作品です。ロボットアニメ最盛期の、一番の話題作の、無敵のラスボスを組んでいると、心は、あの熱い時代に帰っていくのであります・・・そこに、手元をのぞきこんだヨメさんが一言。「なーんだ、スモーかと思ったのに。」(泣)



 では、涙をぬぐって(うううーっ)、から見ていきましょうか。頭頂部をカップみたいにワンパーツで成形、ファティマルーム(?)やマスク等をハメていくという、けっこう丁寧な分割。マスクには目玉までモールドされ、鼻ヅラはオージェのキットよりも格段にシャープになりました。喉?や頚動脈?も、なかなかリアル。首パーツに、ビッシリと配線のモールド。首パーツの上と下がボールジョイントになった2重関節なので、エラそうな態度も決まります。

 は、直線的ながらも歪んだようなデザインが、良く再現されてると思います。設定よりも大げさに前に突き出していて、モーターヘッド風の味付けってカンジですね。中央の赤い部分は別パーツなので、紋章も面直に彫刻され、シャープに仕上がってます。

 肩関節は前後可動しますが、オージェの時のような半球のジョイントが再現してあると嬉しかったですね。胸内部には、ウエストとのジョイントが仕込んでありますが、そのジョイントの中に首の軸受けを仕込むという、ナイスなアイデアが盛り込まれています。縦に平たい胸の中で、どちらの関節も理想の配置になるように、工夫してあるんですね。狭いからと言って、この辺を妥協してたら、顔を上からのぞき込んだ時に、胸の奥までコードが伸びているという、独特のチラリズムは台無しになってたと思います。エライ!

 ところが、そのすぐ下、ウエスト側の軸受けは、ポリキャップの下を押さえていない、無用心な設計。胸パーツを押し込んだ時、ポリキャップが安定していないと破損する恐れがあります。組立工程10(腹部)で、ポリキャップBの周りを、エポキシパテで補強してやると良いでしょう。(ポリキャップDに影響しないよう注意。)ポリキャップBの下を、プラパーツが支えてやる構造にしてあれば頑丈だったワケです。

 腹部は、ディテールの凝ってる方が後ろです。間違えないように組み付けましょう。この後ろ側のラインは、スーツアクターが着ぐるみを着込むためのファスナーではないかと思われます。(うそ)



 は、オージェがバイファム風のパンツの様なデザインだったのに対し、フンドシ風のデザインになっているみたいですね。後半登場のHMは、プラモ化された初期HMの可動具合を確認して、よりキチンと動くように、意識してデザインされてるとの事で、ここもその一つかも。(分かりやすいのは、ヒザ後ろのパイピングに合わせた装甲形状など。)

 超巨大なサイドスカートは、モモに固定されておらず、キチンと可動します。当たり前の様に見えても、オージェの時は固定だったんですよね。モモ内部に、股関節用とアーマー接続用の、2つのポリキャップを仕込まなくちゃいけないので、仕切り板を設けたり、けっこう大仕掛けになるんですよね。ところでこのサイドスカート、ガッチャマンみたいに投げると強力かも。

 モモは、ヒザアーマーが別パーツ。しかもヒザの後ろのアーマーは、割れる様に動いて、ヒザの可動範囲を拡大します。これはアレンジではなく、そのつもりでデザインされている様に見えますね。ヒザメカ部は2重関節。動力パイプがビニールチューブではなく、プラパーツなのが嬉しいですね。キレイなカーブで、質感を高めます。



 スネは、ランダムスレートの展開を再現。引き出してから回転させますが、ポリキャップで保持してあり、頑丈です。正面のヒザアーマー下は、動力パイプですね。裏側の余肉を削って、ちゃんとしたパイプ状にしてやると良いと思います。ヒザ左右のプレートは、背面設定画で見ると、四角いのにフチは五角形という、面白い形をしています。キットでは、正面画に合わせて単純な四角形ですが、改造するとちょっとしたアクセントになるかも。

 足首は、HGエルガイムよりも自由度の高い可動をします。ツマ先だけを左右スイングしたり、全体を上からツブすように(ツマ先基部を沈めて)ベタ足風に歪めたり出来ます。攻撃の瞬間の踏み込み等に応用すれば、ポーズの幅が広がるでしょう。小さいポリキャップなので強度を心配したんですが、キツめに作ってあるようで、保持力は十分です。

 腕部です。肩は、外側にガンプラ風の分割ラインを設ける事で、ちょっとHMらしくなくなってる感じですね。この位置にモールドが有る(しかも本当は凹)デザインってのはメーカー泣かせなのかも知れませんが、パーツの合わせ目を前か後ろにズラすとか、パーツを2重構成にすれば再現出来たかも。そこまで求めるのは酷かな?

 上腕は毎度の筒方式。前腕は、スライド金型成形のアキュート可動部を中心に、モールドが犠牲にならない分割で丁寧に再現。もちろんアキュート部も可動します。余談ですが、アキュートと言うのは、ここで折れ曲がる腕の事ではなくて、前腕を包む装甲先端の事です。オージはあまり尖ってませんが、エルガイム等では、アキュートの先端で殴るために、腕を畳んでよけている、という事です。だから正しくは、「アキュートが動く」とは言いません。動いてるのは腕。面倒っちい言い回しですが、念のため。

 手首は、左右平手、左右握り手、右カマ持ち手(カマの一部と一体)が付属します。手の甲のデザインって、HMごとに違うみたいですね。コトブキヤ泣かせだなあ。(発売しないって。)

 最大の見せ場、左ラウンドバインダーです。オージェのバインダーも、いじって楽しいモノでしたが、あと1関節ヒネれたらいいのになあ・・・というモノでしたが、今回は自在に動いて、ストレスなく遊べます。当時の特集本では「オージェとオージでは、バインダーのヒダの数が違う」という指摘がありますが、これは絵が確認しづらい向きで描いてある事からの誤認だと思います。どちらも6枚。オージェに改造する人は、そのまま使って良いでしょう。



 内部のハンドランチャー(スロウランサー?)は、アサフレックスの底板に一体成形されていて、カーブさせて閉じこむというアイデア設計。スカスカ感も無く、配置もキレイで、しかも簡単と良い事づくめ。しかも、模型誌で指摘されるまで気づきませんでしたが、このパーツを裏返しに仕込めば、ランサー発射後の、空になったバインダーも再現出来る親切ぶり。(絶賛!)アサフレックスも、弾性を活かした使われ方をするようになってきましたね。

 右ラウンドバインダーは、なんでもバスターランチャー接続用の機構なのだとか。スロウランサーを仕込んだ1枚が移動または排除され、バインダー上面のエグレから通して装備するのだろうと想像します。となると、前後の銀色パーツをつなぐアーチ部は、もっとバスターランチャー(かなり大型?)の砲身にフィットするような、半円のカーブが正解だったかな?

 この、右肩の銀パーツは、内側にカマ(サイズ)の柄が収納してあるので、サイズを持たせる時には、外しておくのが正しいみたいです。

 武装は、カマ(サイズ)のみ付属。23センチのボリュームは圧巻です。セイバーと解説してあるんですが、刃を畳んだ設定画もあるので、ビーム刃ではないと思います。どの資料を読んでも、「腰に装備」とか書いてあるんですが、柄はハッキリと、右ラウンドバインダー内に描いてあるし、ビデオでは刃(柄の前半分)を、左ラウンドバインダーから取り出しているように見えます。腰には、別にセイバーが付いてますしね。

 本当は、多種多様なセイバー・ランサー類を、いろいろ持たせてみたいんですけどねえ。特にオージェは、ランサー使いのイメージが強くて。

 そう言えば、オージェと言うと、何か大事な事を忘れているような・・・そうそう、このオージの左バインダー、アトールとは互換性が有るんでしょうか?


無改造でアトールへ組付け可能なバインダー。
右肩(写真左)がオージのバインダー
左肩(写真右)がオージェのバインダー



 オージの肩にはポリキャップが仕込んであるので、オージェやアトールの、プラ製の特大軸受けには合わないだろうなあ・・・ああ、やっぱり合わないか。と、誰もが諦めかけていた、その時!(誰もって誰よ?)あーら不思議。肩とバインダーをつなぐ、B16、17パーツを使わなければ、ピッタリとハマるじゃありませんか!

 ボリューム的にも、オージェのバインダーよりもしっくり来ますし、内部まで作りこんであるし、これはもう、違う部分を改造して、こっちを流用した方が、よりカッコイイアトールVが作れそうですよ。それにしても、偶然フィットするとも思えず、互換性への配慮が有ったハズ。しかもワンパーツかまして、ポリキャップを使った現在のスタンダードにも合わせるとは。ますます絶賛ですね。

 ところで身長ですが、設定通りの大きさよりも、1センチ程度大きいみたいですね。ただ、20メートルという数値は、実はエルガイムよりも低いもので、長身のマーク2と戦わせると、全然手強そうに見えない恐れがあります。ラスボスらしく、イメージ優先のアレンジは正解だったと思いますね。



左から、
エルガイムMK−2  23.4m
(22.3mという資料も有)
オージ            20m
エルガイムMK−1  20.7m
設定では、この中でオージが最も小さい
(MK−2はハイコンプリートモデル、他はHG)


 オージェ(やオージ)は、初期の物と思われる解説には「他より大型」とあるんですが、劇中のHMは20メートル以上の機体が多数登場し、むしろ小型の部類になってしまいました。過去の聖戦時のHMや、未登場のHMよりも大型なのだと解釈しても良いでしょう。あるいは、小柄な事も含めて女性的なのだと見ましょうか?そこは想像をふくらませて、自由に遊べば良いと思います。(オージは男性的ですけど)

 組立時間は2時間弱でした。熱意とアイデアが見事に揃っている、なかなかの優良キットだと思いますね。この調子で、カルバリーやガイラムも出して欲しいもんです。HGエルガイムシリーズはハズレが無いどころか、どれも平均点を大きく上回っている感じ。原作を知らない人も、メカの魅力だけでも楽しめるシリーズだと思いますよ。(そう言えば、対象年齢15歳以上ですけど、15歳の人、生まれてなかったんだ・・・)



おまけ

 友人がゾイドブロックスにハマってます。可動にこだわってきたゾイドも、近年では無可動、ついには組換えと、どんどん新しい遊びに挑戦してるようですね。元ネタが動物というのも良くて、時代を超えて愛されるモチ−フゆえ古くなりません。(チョコエッグと同じね。)

 思えば、可動フレームに装甲を被せるという方式は、ガンプラを10年以上も先取りしてるワケです。パーツの形がそのまま装甲の形という構成もそうですね。フィギュアのサイズが正確というのは、ガンプラは未だ到達していない至高の領域でありますし。(それ言っちゃダメだよ!)

 アニメが終了しても勢いは止まらず、この魅力は本物だな!と、ますます強く感じています。


2002 7.6 健 竹史


 

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