健さんの
プラモコラム

その45 MGイングラム1号機
  リアクティブアーマーの巻

(1/35 MGイングラム1号機リアクティブアーマー装備/ バンダイ/ 篠原重工AV98イングラム
 「機動警察パトレイバー2・ザ・ムービー」に登場)


 自衛隊は北海道に敵が上陸するのを阻止する訓練をしてるけど、降下部隊が東京に降りたら、30分で日本は降伏です。」と、社会の先生がボヤいてたのは、15年以上前の事。湾岸戦争では、見えない戦闘機が軍事施設だけを集中破壊。地上戦は必ずしも必要ない事を見せつけました。ところが政治屋さん達は、「施設の建設や、艦隊の集結が始まったら、攻撃が予測される事態とみなすべき」なんて、のんきな事言ってますよー。それは半世紀前の常識。そんな認識で、先手を打って防衛したつもりなの??

 ボクは、今後、日本は軍事攻撃を受けないのでは?とさえ思います。上陸作戦ってのは、「領土が欲しい」時だけ行うもの。資源も無いし、狭いし、土地は要らないでしょ。繁栄させたまま、密輸等で金を巻き上げた方が、敵国にとって得なのでは?没落させたければテロで十分だし、むしろ姿を見せない方が、反撃されないし、金もかからないのです。テロと戦争の境界が薄れゆく中、政治家に指揮が取れるのか?って言うか、有事を有事だと気付けるのか?なんて、ちょっと心配。(長い前置きだなー)



 てな事を考えて見返すと、「P2」は、今、ますます恐ろしい映画ですね。レイバー無しでも成立しちゃいそうな映画なんですけど、結局、プラモも買っちゃいました。3機とも欲しいけど、もう少し安くなってくれないかなぁ?では、変更点を中心に、ご紹介です。

 頭部は、ノーマルのキットと同じです。他の2機の発売が待てない!という方、あるいは万一、発売されなかった場合でも改造したいという方は、2号機は装甲強化、3号機はECM(電子戦装備)強化のため、けっこう変更されている部分なので、覚悟が必要かも。特に2号機は、後頭部にヘルダイバーの装甲を溶接してるとは、知りませんでした。

 コクピット内も、変更ありません。防弾ガラスは、一応取り付けるように指示されていますが、劇中では、あまりハッキリ描かれていた印象がありません。ただ、見えにくいだけで、外されてはいないようなので、倒すなり、引っ込めるなりしても、付けておくのが正解みたいです。(3号機の大破状態の設定画には、防弾ガラスが描かれています。)防弾チョッキのようなボディアーマーのデザインと言い、ほとんど人間のつもりのデザインですね。乗り物っぽい要素が目立たないようにしてあるのかな?

 大破した設定画には、エリのアンテナも描かれてますね。キットでは、ボディパーツは使用せず、コクピットを直接ボディカバーで被います。そのため、内エリのパーツは、上から見える部分だけの新規パーツで、アンテナの取り付け穴は有りません。アンテナパーツも除外されているので、こだわるなら自作ですね。外エリに隠れる程度の、小さい物に交換されているのかな?

 ハッチの開閉アーム(D16,17)は、取り付ける指示になっていますが、開閉ギミックが有るわけでもなく、取り付けなくても良いでしょう。ヤスリがけして、丁寧に塗装したパーツが隠れて見えなくなった時って、ちょっぴりショックなんですよね。(笑)

 今回最大の変更点、ボディアーマーです。エリ、右肩、左肩、前、後ろの5パーツ構成。シワもそれらしいし、金具やベルトもクッキリして、なかなか良い感じです。ただ、肩アーマーだけは、上から成形してある都合上、前後のディテールがペッタンコです。ここは、前後分割式の1/60キットの方がリアルですね。ワンパーツでパテ埋め不要だと、作るのは楽ですが、ディテールを損なうくらいなら、2パーツの方が良いですよね。肩の上なんて、なだらかで、ペーパーがけも簡単だし。



 エリや肩のフチは、プラパーツっぽい角張った断面形状になっているので、ちょっとヤスって、丸めてやると良いでしょう。

 の構成は、ノーマル機と同じですが、ナンバープレート(マーキングシール。今回ドライデカールは無しです)のナンバーを貼るよう指示してあります。ここはちょっと気になる部分ですね。ポスターにも、一部の設定画にも、車両ナンバー「都99 と02−21」が描き込まれていますが、一度引退して篠原重工に移された時点で、ナンバープレートは外されています。登録を抹消せずに、プレートだけ外しておくというような事が、実際にあるんでしょうかね?劇中では、ナンバーが付いていないようですが、細部を省略してるだけなのか?本当に付けてないのか?作り手の解釈しだいなのかも。

 は、ヒザから下はノーマル機と共通です。リボルバーカノン(拳銃)も、同じ物を収納しますが、前回、ノーマル機のレポートでは気付かなかったのですが、リボルバーカノンのパーツ構成、シリンダー(弾が入っている部分)の取り付けは、銃の左ではなく、右からだと、もっと良かったと思います。理由は、脚に収納する時、銃の右側を押すために、シリンダーがポロッと外れやすい(押されて抜ける)からです。リボルバーカノンは、接着して組立てた方が、そういうトラブルが無くて良いかも知れません。

 モモは、可動フレームとゴムカバーという構成。可動フレームは、モモの装甲(防弾能力のない、カウリング?)を取り付けないという事で、わざわざ取り付けピンの無い、新設計のものを用意してます。ゴムはブカブカなんだから、多少の出っ張りがあっても、形はくずれないと思いますけどね。(その予算を削って、フィギュアや小物をたくさん付けて欲しかったなあ。)

 モモも含めて、ゴムのパーツは全て新設計。首も、腹もです。どれも形は良いですが、ホコリが付きやすい素材みたいで、ちょっと気を使います。伸縮性を優先したのかな?ゲート跡が、くっきり出てるのが残念です。

 も、可動フレームにゴムカバーという構成。実機では、腕の装甲を付けた上に被せる事になってます。(モモは違うのかも。)このカバー、「ステルスシート」という設定です。リボルバーカノン収納ベイさえ無ければ、スネまでカバーで被って出動したかも知れませんね。

 肩プロテクターを使わないため、肩関節フレームは新規パーツです。前腕も、装甲を付けないので、内部フレームの構成が大きく変更されました。配線や伸縮ギミックも無い、新設計のパーツです。

 腕のゴムカバーは、「気をつけ」の状態での外観を優先してるので、腕があまり横に上げられません。上げすぎてワキの下からゴムが抜けてしまった場合に、押し込みやすくするために、リングパーツ(E5)を取付けないというのも良いかも知れません。あのリングは通常の関節カバー用のもので、肩まで被うステルスシートには、使われてませんし。ちなみに、1/60では、腕の可動を優先して、ワキの下のゴムの長さに余裕を付けたためと思われる、形くずれがありますから、外観を優先した今回の判断は、妥当だったと思います。

 手首は、左右平手、左右握り手、拳銃持ち用の右手、、スタンスティック(電磁警棒)と一体の右手が付属。手にはグローブをはめているという設定なので、可動指にはなっていません。よく見たら、平手の指先には、スベリ止めの表現がありますよ。



 背中は、ダクトや熱交換器の上面中央が、ボディアーマーから露出している様子までパーツ分けで再現。ダクト下にはフックの様な物が付いてるハズなんですが、ここはボディアーマーの密着感を損ねるという判断なのか、成形方向の都合から不自然になると判断したのか、キットではフックを無くしています。まあ、1/60では、ブカブカのアーマーをフックで留めてる表現に(気持ちだけ?)なっていますが、MGのフィット感の方がカッコ良いので、これはアレンジだとみても良いでしょう。つまり、フックは外してから着せたという事で。

 どうしても設定通りにしたい人は、フックのパーツ(A15)は、余りパーツとして付属しているので、接着してからパテで覆うと良いと思います。

 シールドは、ノーマル機と共通の内側パーツに、新規リアクティブアーマーパーツを重ねたものです。けっこう良い質感ですね。出来の良いベルトのモールドを見た後では、1/60のモールドは、縫合手術の糸みたいにも見えますね。シールドの接続は、腕部ステルスシートの穴を通して、内部フレームにセットします。つまり、フレームにもゴムパーツにも、左右の区別があるので、注意して組み立てます。

 スタンスティックは、手と一体の物が付属する代わりに、単品状態のパーツは除外されてしまいました。残念。どうせ余りパーツだらけなんだから、付属させても良いのになあ。・・・とかボヤきながら、パーツリストの配列を見ていると、B1ランナーの配置、変わってません?そこまでして、スタンスティックを除外するなんて。余ってうれいパーツは、そのままにしましょうよー。



 フィギュアは、座りポーズの泉野明と、立ちポーズの篠原遊馬、立ちポーズのシバシゲオが付属。前回と違って、泉巡査はゴーグル装備のヘッドギアです。あと、今回が冬服(事件は2月)になるから、ノーマル機の時に、夏服のフィギュアにしといたんでしょうか。って言うか、台風時期の「P1」を意識したのかな。整備班長の立体化も嬉しいですが、松井刑事や柘植、荒川も欲しいですね。

 組立て時間は、2時間50分くらいでした。胴、モモ、腕の組立てがシンプルな分、ずいぶん早く組みあがります。500円キット1個分くらい、余りパーツが出ますが、どれもいい形してるので、ジャンクパーツとして取っておきましょう。

 今後の展開ですが、篠原重工八王子工場で実験機になってた時の状態なんかが有ると、マニアとしては大変嬉しいんですけど、まあ、発売されないでしょうね。(笑)でも、もし今後何らかのバリエーション展開があるなら、選択式で、もっと伸びた状態の首シリンダーパーツが付いてくると、嬉しいです。前かがみに対応した首可動は魅力ですが、軍隊っぽいイングラムは、やはり背筋をピンと伸ばすと、たいへんシブイのです。あ、2、3号機にだけでも、ぜひパーツを追加して欲しいですね。



おまけ

 ついでに、1/60イングラムにも、軽く触れておきましょう。バリエーションセット(1500円)は、3機種×2装備の中から選んで作れる、余剰パーツが豪快な(1体分くらい?)キット。何しろ頭が5個入ってます。肩幅の広い、人間と違うシルエット(警視庁タイプ)はMGには無い魅力(設定通り)ですね。足首カバーはガンダム系から移植するか、自作しましょう。他は、パーツ分割の少なさから省略はあるものの、大間違いは無いと思います。1号機の顔は丸すぎ(優しい?)ですが、2、3号機は割と良い顔かも。



 関節が弱いので、いっそ手足のステルスシート部を固定で自作するのも面白いでしょうね。ボディアーマーは悪くない出来ですから。あと、憧れのレイバー指揮車が付属、説明書の裏がP2ポスターってのも良いですね。とか言いながらも、このサイズでHGが欲しいなー。ってのが、正直な気持ちですね。出してくれー!

2002.6.6 健 竹史


  

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