健さんの
プラモコラム

その40 MGグリフォンの巻

(1/35 MGグリフォンアクアタイプ/ バンダイ/シャフトエンタープライズ
 タイプJ9 グリフォン  「機動警察パトレイバー」に登場)


 イングラムのライバル機の登場です。悪役らしい悪役、嬉しくなりますねえ。とか言いながら、飛んで逃げるシーン意外は、あんまり覚えてなかったりして。原作をチラっと確認するつもりで、組む前に読み返してみたんですが、結局、全22巻、読みふけってしまいました。いやー面白い!8割方忘れていたからってのもありますが。



 ストーリー以外の部分でも、缶ジュースのプルタブが外れたり、ポケベルが盛んに使われていたり、逆にケータイ持ってる人がいなかったり、時代の流れを感じますね。特にラストは、特車二課が外部と通信不能にされたりしますが、容易周到な敵は、事前に近くの公衆電話まで破壊してたり。現実世界ではロボットよりも携帯電話の進歩の方が早かったワケですね。(もっとスゴイのは、西ドイツが出てくる事かな?)

 パトレイバーの様なリアル路線の作品ですら予想出来なかった時代の移り変わる速さって、なんだかスゴイなー、と、変な所で感心したりして。でもプラモの進化も負けちゃあいないよ!とか言いつつキットの方へ。

 大型のMGキットの場合、とにかく1枚でもランナーを減らしたいので、内海課長とバドのフィギュアから。内海課長は右手、バドは両手が別パーツ。外れやすいので、接着しておいた方が良いでしょう。黒パーツってのがツライですが、塗装見本を見る限りではナカナカの出来。バドは元々ディテールも少ないし、顔がヘルメットで隠れちゃってますから、飛行タイプが出る時には、ぜひ私服のバドが欲しいですね。

 ちなみに内海課長は、ランナーの配置からすると飛行タイプには付属しないと思われるので、HGUCステイメンのコアファイター並に集客能力が有るという事でしょうか?(笑)彼のファンは、ぜひこのアクアタイプを買ってチョーダイね、という事です。(なんか人質みたいだなー。彼のキャラにピッタリ。)あとは手首を切り出して、アサフレックスのランナーは一丁上がりです。



 次はアクアユニットですね。左右の流体ジェットエンジン(らしい)は、とにかく1つ1つのパーツが大きく、圧倒されます。内部も再現してますが、外装が外れて見える所だけ、しかも内部パーツは組立のフレームにあたる1パーツのみなので、無駄にも感じず、重量もかさみません。吸水口、噴射口の黄色がある分、飛行タイプよりもカラフルですね。ホントに真っ黒な機体です。

 背中中央のユニットは、飛行タイプと共通みたいですね。ここも内部再現です。左右の流体ジェットを支えるジョイントは、関節はビス止め、しかも左右のジョイントは1本のパーツとして、バックパック内部でつながってます。重量物を支えてガタつかない、良い構造だと思います。このジョイントは、飛行タイプの翼のジョイントと共通らしく、おかげで自由に動きます。(2軸式。)

 ところで、背面中央ユニットはディテールの少ないデザインですが、ハメ込みピン等の強度対策を、全て内部メカが受け持つ事で、外装のヒケが最小限となり、ツルンとした美しさが良く保てています。外装の取付けは、中央のピン1本だけです。

 では本体へ。頭部は、顔面をフェイスガードの裏から押し込み、耳と後頭部を取り付ける事で顔面をロックする、パズルみたいな組立が面白いですね。目はクリアーレッド、内部のカメラも、ワンパーツながら十分なディテールが入ってます。

 は、イングラムほど動きませんが、二重関節です。後ろはラバーカバーで覆い、前にはシリンダーを再現してあります。

 ボディです。この機体のハッチは首(エリ)で、シリンダーでせり上がって開く設定になっています。キットでは、L字のパーツが中で回転する事で、直線のパーツが伸びて出た様に見せかける、ナイスなギミックで解決してます。

 コクピット内部は、イングラムよりも見えにくい構造。胸部装甲が外れて、こちらからも覗く事が出来ます。ところが、胸部装甲とボディのかみ合わせは、どこが正位置なのか分かりにくく、「この辺かなー?」と、手探りで取付ける感じです。(ちゃんとハマる部分は、手ごたえで分かります。)胸パーツ自体は、スライド金型で側面からの穴もクッキリの、気合の入ったパーツです。真ん中にパーティングラインが入りますが、ペーパーで簡単に消せます。平らだし。



 は、モモのラバーカバーを閉じ込めるため、脚より後に作ります。車幅灯兼用コーナリングランプ(腰の四隅のランプ)は、クリアオレンジで成形。全然車幅じゃないんですけどね。(しかし律儀な犯罪者だなあ)

 です。モモは可動フレームと外装の二重構造。合成ゴムの関節カバーは、後から付けられます。スネは、内部メカを再現。足首関節を引き出す、スライド機構が仕込んであります。シリンダーがハの字に配置してある所なんか、それらしくて良いんじゃないでしょうか?

 ところでスネの装甲は、左、右、後ろの3分割なんですが、実機ではどうなんでしょうね?腕や肩はワンパーツなんで、それと同様、スネも正面をパテ埋めして、1枚の装甲とする方が良かったんじゃないかな?と思うんですが。

もちろんキットでも、組んだ後にパテ埋め出来るんですが、内部メカを左右からサンドイッチするため、それでは分解出来なくなるのです。左右の装甲板を接着・パテ埋めした後で、スネ正面からハメ込む事が出来たら、説得力が増したのでは?ヒザ裏にメカパーツ(ゴム製)を詰めてあるのを見ても、一体っぽいムードですよね。

 足首です。足裏パターンが違うだけで、左右共通の構造です。パテ埋め不要でスイスイ作れます。ツマ先は可動。足裏はゴム製です。背中が重たいので、スベリ止めになって良いんじゃないでしょうか。(これ、塗装したらスベリ止め効果が無くなるんでしょうね。)

 は、装甲が関節を保護しているので、ラバーカバーは無しです。1/60ではラバーカバーが見えるくらいにスキマを開けていましたが、引き締まって良くなったんじゃないでしょうか。可動はボールジョイントです。肩アーマーの組み立ては、ラインごとに分割してあって、パチパチかみ合うのが楽しいですね。

 ところでグリフォンって、肩の球体が低い位置にあって、いかり肩のメカばかり見慣れていると、奇妙なシルエットにも思えますね。上下スライドでも出来れば良かったかな?

 それから、デザインの都合で、あまり腕が横に上がりません。全く上がらなかった1/60に比べれば、ずいぶん改善はしていますが。いっそ、球体部分は肩アーマーではなく、上腕なのだという解釈で、ガンキャノンの肩関節カバーみたいな構造にしても面白かったかも知れません。肩アーマーは、上のとんがりスラスターだけという案です。可動は格段に良くなると思いますけど。

 ところが肩には、原作にあった腕の切り離しギミックが再現されていて、かなり頑張っていると思うので、あまり無理は言えないかも知れません。むしろ1/60向けのギミックなのかも。PGなら両立するかな。(1/24?)この切り離しギミック、説明書に写真は有りますが言葉の解説がありません。パッケージでは触れているんですけどね。パッケージ横まで見ない人、多いんじゃないかな?

 前腕は、内側2枚、甲が1枚の3パーツ構成。内部フレームにもディテールが入ってますが、ここのラバーカバーは後付けではないので、ディテールは隠れてしまいます。

 手首は、両平手、両ゲンコツ、右手サムズアップ(親指を立てた、グリフォンの決めポーズ)が付属。内海課長もサムズアップのポーズなので、二人並べて「テキスト開いて、よく出来ました!」(ふ、古い・・・)が出来ます。実はこの手首、1/60と大きさがかなり近いんですよ。流用すれば、1/60でもポーズが広がるワケです。取付軸が共通ではないので、加工が必要ですけど。



 武装は特にありません。原作には拳銃(未使用)が出て来るので、HGLMエヴァから流用しても良いですね。デザインは違いますが、改造可能な範囲ですよ。サイズもピッタリ。イングラムの手にも合います。(我ながら、売上に貢献する、いい情報だなあ。)

 各部のラバーカバーですが、横シワのウエスト、ナナメシワの股関節は良いとして、手足の縦シワ質感がイマイチだと思います。ダブついた印象にならずに、スピード感が出るのかも知れませんが、手足を曲げた時に、縦シワのモールドが入ったカバーに、横シワが加わるという、なんとも怪しい現象が起きるのです。タテにもヨコにも同時にシワが寄るなんて、有り得ませんよね。

 デカール(インレタ)は、三角マーク以外は「好きな所に貼って下さい」なんですけど、形式番号やコードネームどころか、シャフトの社名まで付属してます。こんなの貼って暴れたら、ケーサツに逮捕されてしまいますね。でも事件解決後、連邦軍に接収されたシャフト(は?)が、結局軍事用に量産する事になっただとか、そんな「IF」の世界を想像しても面白いでしょう。

 組立時間は、2時間半でした。大きくて少なめのパーツで、スイスイ組めます。顔が映り込むほどのツヤにも注目ですね。ランナーはすでに対応してあるフライトユニットが、早く発売されないかと楽しみです。このツヤで、展開すると60センチ近い幅になるウイングが出たら、さぞ見ごたえがあるでしょうね。キュベレイを軽く超えるサイズです。

 ところでコイツ、黒づくめ、とがり耳、とがり指、ライバル役と、マスターガンダムにそっくりですね。これで羽根が付いてりゃ見分けが付かない程です。いっそバックパックのジョイントが、マスターのウイングシールドと共通だったりすると面白かったのになあ。ではまた。
 
 



おまけ

 そう言えば、同スケールのソフビキットよりも高くなっちゃったんだよなあ・・・などと思いつつ、海洋堂のグリフォンのパッケージを見ていると、英語のスペルがMGと違うではありませんか!

 MGは「GRIFFON」、ソフビは「GRIFFIN」、どちらも正しいんですが、劇中で名称が出てくる場面がありまして、シャフト社では「GRIFFON」と表記しているようですね。



 ついでに1/60キットについても少々。サイズは少し大きめのようです。ウエストの軸受けがプラなので、WAVEの新Pキャップ(5ミリ)の軸を削って交換すると良いでしょう。腕、手首にはHGUC等の余りのポリキャップがフィットします。プロポーションは良いのですが、脚がハの字に開いてないのが少々不自然。内部フレームを改造してナナメにするか、下半身だけでも固定ポーズにすると、グっと良くなると思います。800円はお得ですよ。


2002.4.8 健 竹史


  

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