健さんの
プラモコラム

その37
  ゲルググマリーネ シーマカスタム
の巻

( 1/144 HGUCゲルググマリーネ シーマカスタム / バンダイ/ MS−14FS
指揮官用ゲルググマリーネ「機動戦士ガンダム0083スターダストメモリー」に登場)


 「シーマ様のモビルスーツ」です。賢明な読者はお気づきの通り、今回も、採り上げる予定のなかったバリエーションキットなんですが、(しかも、トローペンより発売は先だった物を、今さらなんですケド)多少の追加情報と、量産機との相違点だけ、軽くご紹介。



 まずは頭部から。羽根飾り(隊長機用アンテナ)と、バルカン砲が追加となっているため、顔面パーツが新規に付属しています。後頭部とクチバシは、量産機と共通です。
 
 よく見ると、シーマ機の追加ランナーは多色成形ランナーですね。量産機と共通のAランナーも多色成形なので、このキットは多色成形ランナーが2枚も入っている、なかなかの豪華キットですね。
 
 ボディは、胸板と、腹部のコクピットハッチのデザインが大きく異なる他、背中にはプロペラントタンクが増設されているので、取り付け穴の追加が必要です。てな訳で新規パーツの多い部分となっています。量産機のパーツも付属します。他の箇所も含め、けっこう余るので、ジャンクパーツとして取っておきましょう。
 
 スカートは、前面中央にバーニアを増設、後部両脇のバーニアをニ連式の物に強化してあります。後部バーニアは2つの丸バーニアがつながってしまっており、ちょっとイヤーンな感じですね。
 
 腰部両脇のバーニアのような物は、サーベルホルダーだそうです。これは「その11・ゲルググマリーネ(量産機)の巻」では、バーニアと記述してました。若さゆえの過ちであります。ご容赦を。しかし最近発行されている資料集には、サーベルホルダーの説明は無く、知らない人は、かなり多かったと予想されます。

 それでも量産機の作例記事を読み返すと、ちゃんとサーベルホルダーと知っていて作り込んだライターの方もおられました。エライ!

 案外、バンダイ社内でもこの事は知られておらず、その作例から設定を改めて知った・・・なんて事も、有ったのかも知れません。量産機の説明書では全く触れられていなかった、サーベルホルダーの解説文が、シーマ機の説明書では、なぜか追加されています。大体、サーベルのサイズとは違うモールドになっちゃってるし。



 今回、この事に気づいたのは、OVA発売当時の特集本が手に入ったからです。ノイエジールの巻でも大活躍したコミックボンボンの別冊ですね。やはり全集物は、ガンダムワールドの膨大な情報を網羅するのは困難なんでしょうか?各作品ごとの資料本を、出来るだけリアルタイムで入手しておいた方が良いと言えるかも知れませんね。
 
 は、後ろ側の装甲が新規パーツ。追加のバーニアは、やっぱりスネ内部のバーニアと重複してる印象ですね。まあ、4連バーニアだと思えば、構造的にも成立するのかなあ?スカート後方のバーニアも、スカート内部の3連バーニアと構造的にブツかってる気がするし。

 肩アーマーは、側面のスラスターが新規パーツです。量産機のスラスターが余りますが、これは嬉しい。ほとんどボーナスパーツですね。ここは設定では量産機との違いは無いようです。シーマ機の物の方が設定通り、量産機の物はアレンジ(内部にフィンを追加)された物です。MGゲルググの様に、機体の違いの表現なのか、設定と同じパーツが欲しいというユーザー意見が有ったのか、その辺は不明ですが。

 は、マウントラッチが両腕に付いていますが、これは誤り。指揮官用のマリーネの場合、左腕のみ、なのだそうです。この情報もボンボン別冊から。最近の資料本には、この文章は収録されてませんが、ライフルを構えた対比図には、ラッチのない右腕が描かれていますね。

 バックパックです。3連バーニアも、なかなか良い感じ。出来れば、下の1個がもう少し大きければ、3個のサイズが揃って良かったのでは?ほとんど同じなのに、少しだけ違う部品って、効果も無いのに開発費を無駄にアップさせてしまいますよね。多分。戦争末期のジオンが、そんな無駄をするでしょうか?
 
 背中のプロペラントタンク(上)は、量産機と同じパーツです。量産機の時には短く感じたパーツですですが、指揮官機にとっては、丁度良い長さでしたね。やっぱり量産機発売の時点で、指揮官機の設計まで済んでるんじゃないのかなー?
 
 プロペラントタンク(下)は、バックパックではなく背中に接続しています。廻り止めの突起が付いているので、しっかり位置が決まりますが、その分、着脱がしづらくなっています。ピンの長さかキツさを調節しておいた方が良いかも。これはバックパックにも言える事で、周辺に小さなバーニアが配置され、つかみどころが有りません。軽い力で着脱できるよう、ピンを短めにしておくと、持ち歩きに便利です。バックパックを外さずに模型コンテストに持ち込むのって、キツそうでしょ?アンテナ折れるし。

 ボクもサークルの定例会に持って行く時、アンテナを折ってしまいました。ところでこのアンテナ指揮官機では後方に、量産機では上に伸びていますが、これは指揮官機が編隊の先頭に位置するためでしょうか?指揮官は後方に向けて電波を飛ばし、一般兵はそれを受信しやすいレイアウト。(こじつけ?)ついでに、先頭の指揮官機は、急ブレーキをかけやすいように、腹にバーニアが追加されているのであります。(ますます怪しい)

 シールドは、腕側のラッチだけでなく、シールド側の接続ジョイントにもポリキャップが使われており、ボールジョイントで多少の可動が出来ます。厚みがあって、すごい迫力です。内部にチャフ(電波かく乱用に散布する、金属片)を仕込んでいるためでしょうか。

 ビームライフルは、表面のパイプをアサフレックスで再現してあり、弾力を活かしてスムーズに組みあがります。このようなパーツには、アサフレックスは最適だと思います。ピボットの可動や、冷却材タンクの着脱は省略してありますが、なかなか良い感じのライフルではないでしょうか?



 武装は、ビームサーベルと90mmマシンガンは、今回も付属します。スパイクシールドは、残念ながら付属しません。量産機に、両手持ちさせたかったのにー。

 最後に、もう一つ見つけてしまいました。後頭部は量産機と共通パーツなんですけど、頭部バルカン砲は、指揮官機だけの装備です。バルカン後方のダクトが、量産機にも有るってのは、おかしな話ですね。設定でも、ダクトは有りません。今からでも、パテ埋めですね。
 
 組んだ印象としては、指揮官機の方が、なんだかカッコイイですね。重複部分が多いので、バリエーションキットのレポートはサボってしまいがちなんですが、プラモデルとしての面白みは、案外、バリエーションキットの方がたくさんあると言えるかも知れません。「金型を使いまわす」事による制約や、事前の配慮、妥協、こだわり、見落とし等々。ランナーの中には、謎やドラマが、いっぱい詰まっているのであります。



おまけ

 ホビージャパン4月号「ホビー派宣言!!」に、読者の方の意見が掲載されていました。幾つかの問題提起がされていましたが、その中に、「小規模小売店が人気商品を仕入れるのは容易ではない」との指摘がありました。模型専門店は小規模な場合が多く、不人気商品との抱き合わせなど、呑めるハズもなく、こんな不利な条件で経営を圧迫しては、閉店が増えるのも当然です。
 
 これで模型人口が減れば、メーカーも問屋もユーザーも損をする訳で、ぜひ改善して欲しいところです。
 
 もちろん、現在もそうだとは言い切れないのですが、10年ほど前に立ち寄った模型店の店主のグチを思い出しました。「抱き合わせでないと卸してもらえなかったからね。あのガンプラブームだって、店は全然儲からなかったんだよ。」・・・あの大ブームですら、実態はこうだったとは。知ってました?

 

 2002.3.11  健 竹史

HGUC ゲルググマリーネ
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