健さんの
プラモコラム

その35 HGメカニクス ノイエジールの巻

( 1/550HGメカニクス ノイエジール/ バンダイ/
AMX−002 ノイエジール
「機動戦士ガンダム0083スターダストメモリー」に登場)


  HGメカニクスも第2弾、ようやくジオンの魂が形になりました。うれしい事に、ジオンのマークも形になってま す。このエンブレム付きの飾り台、マークの部分を型取り複製して、ガンプラや日用品、さらには車などにペタペタ と貼り付けたい衝動に駆られますね。

 ところで、ノイエジールはニュータイプ用のMAでは無いという事ですが、アクシズがこの機体を建造した当時、 ハマーンはまだニュータイプ能力が発現してなかったんでしょうか?エルメスよりも細身の機体には、サイコミュは 搭載出来なかったんでしょうか?あるいは敗走したジオン残党が、サイコミュを開発出来る程の、大掛かりな生産設 備を整えるには、長い時間が必要だったんでしょうか?研究資料も持ち出せなかったかもなあ、などと、色々事情を 想像すると、デラーズ達の苦しい戦いに胸が熱くなるのであります。あくまで想像だけど。

 まずはオマケのステイメンから作ります。今回はシールド&ライフル装備の飛行ポーズです。首のシリンダーまで 再現(してある様に見える・・・けど、ほとんど視力検査)という作りこみ。腕とシールドの接続が、設定と違うの はご愛嬌。ハメ込み穴の都合で成形方向が制限されるので。すごく不満なのは、HGデンドロビウム付属のステイメ ンと、肩の軸径が合わないって事です。ライフルで戦闘中のデンドロビウムの姿を再現出来たハズなのに、台無しで す。この辺は、気を配って統一して欲しい所ですね。

 ザクF2型は、まるで「立ちポーズと兼用してくれ」とでも言いたげな直立姿勢。フンドシと一体化している飾り 台の支柱を切り離し、真チュウ線で台と着脱可能にしても良いかも。あるいは、新規フンドシを追加して、ザメルの オマケに使い回す予定なのでは?!そうだと嬉しいですね。

 では、いよいよノイ君へ。まずは下半身とサイドスカートを作り、それをボディではさみ込み、そこから出ている 肩のピンを上腕ではさみ込みまして、お次は肩を肩アーマーではさみ込んだら、頭と前腕を接続して出来上がり。お おーっ!カッコイイー!!・・・って、ちょっと待てオイ!はさみ込みばっかりで、後ハメ式になってないではない ですか!

 よく見れば、可動部はABSフレームばかりで、ポリパーツは全く使ってありません。デンドロ君もそうでしたね え。シールが付属しない事も含めて、HGメカニクスの仕様として、決めてあるんですかね?ヴァルヴァロの時は、 ポリキャップも目玉シールも採用して欲しいですね。今回は、模型誌の後ハメ加工の記事が重宝すると思います。工 作自体は、割と簡単に済むと思います。

 では頭部から。上下2パーツのシンプルな構成ながら、なかなか良い感じ。エラと言うか、ヘルメット?側面が、 もっと急に広がると、設定に近いかも。

 ボディは、上・下半身とも良い形だと思います。下半身側面は、パーティングラインの一部が、パネル分割線にな っています。ここはキット状態ではラインが入っていないので、成形後に彫ってやる必要があります。

 ブーストバインダー(サイドスカート)は、HGエルガイムのバインダーの様な、中央が盛り上がったカーブが独 特。バンダイ社内で流行の形状でしょうか?裏面は、ミサイルランチャーの穴の中に、ミサイルの表現が欲しかった ところです。

 フロントスカートは、腹部メガ粒子砲が別パーツ。その周りは、プラ材のボテッとした厚さが無くて、本当の装甲 厚みたいで好印象です。ここを参考にエリ等を薄く削ってやると、より男前になるでしょう。動力パイプは、いつも カーブの部分のスジ彫りが泣き所ですが、カーブの形自体は、良い感じではないでしょうか。

 リアスカートは、脚も無いんだから、可動する必要も無かったんじゃないかな?と思います。まだ固定で、後ハメ の方が嬉しかったりして。背面に並んだ丸は、メガ粒子砲や、Iフィールドジェネレーターだそうです。開いた状態 に改造しても良いかも。こんな所まで差し替え再現を要求するのは酷でしょう。でも、後ハメならば、スカートごと 差し替え式に改造するのも、簡単だったのになー。あと、なぜか丸ディテール周辺のスジ彫りが、設定と違います。

 背中は、ガーベラテトラのシュツルムブースターを思わせる形状ですが、アンテナは、正しくは中央ではなく、上 に付くのが正解です。余談ですが、良く考えたらガーベラは劇中でブースターを装備してなかったんでしたっけ?デ ンドロビウム付属の物で戦闘シーンを再現するには、加工が必要ですね。

 肩アーマーは、形状的に細かな違いは色々ありますが、とりあえず取り付け位置が、もう少し後ろだったら良かっ たかも知れません。コクピットハッチ(胸中央)が、両横の装甲板に隠れない程度の位置が、それらしいと思うので すが。(実際は、コクピットを少しでもガードした方が良いかな?)それと、肩アーマーの背面のスソは、リアスカ ートとほぼ密着する位置関係が正しいようです。これは防御面でスキが無いのに加え、スキマからボディがチラチラ 見えない方が、作画も彩色も簡単だからでしょうね。

 は、肩でグリグリ可動、ヒジで回転が可能です。リード線で腕の分離を再現する方を重視して、ヒジは曲がらな い設計になってます。ヒジには角度を付けてあるので、大きな問題はありません。実機のヒジは二重関節と思われ、 肩アーマー内に腕を畳んで収納する事が可能です。キットでは無理なので、前腕を外して、上腕を上に回して収納し てみましょう。けっこう印象が変わって、面白いですよ。(キュベレイと同じ飛行ポーズですね。)

 前腕は、手首が回転。リード線を使って、オールレンジ攻撃を再現できます。おおよその形は出来ていると思いま すが、腕の内側は単にくびれているだけでなく、手首の辺りで丸くふくらんでいるのがミソだと思います。あと、腕 の甲と内側は、スジ彫りか段差で、明確に分けた方が、それらしいでしょう。

 説明書でプロペラントタンクとされている2本の尻尾は、資料によっては「冷却材タンク」とされています。「コ ミックボンボンスペシャル84・MS WARS」参照。

 サブアームは無可動で、肩アーマー内のジョイントに着脱可能です。先端はビームサーベルになっていますが、ビ ーム刃は1本のみ付属します。アーム先端(クロー)は、スライド金型で成形。小さいながらもワンパーツ化するこ とで、十分な強度を実現しています。

 飾り台は、機体底面のメインノズルに接続します。台と支柱は、ハメ込みがあまりキツくないので、接着すると良 いでしょう。

 最後に身長ですが、今回は設定に忠実な様です。「今回」というのは、HGデンドロビウムが3割ほど大きく作っ てあった件が、気になっていたもので。おかげで、ノイエジールがかなり小さく感じられると思います。

 組み立て時間は1時間強。ステイメンは7分、ザクは3分程度でした。各部について、細かい指摘をしましたが、 プロポーション全体では中々良いシルエットですし、他と全く違う形の機体なので、コレクションにはぜひ加えたい キットだと思います。

 ところが比較用に組んでみたSDノイエジールの出来があんまり良いもんで、ついつい比較してしまいます。最 初は、「ポリキャップが使ってある分、HGよりも豪華じゃん?!」という軽い気持ちで手に取ったんですが、HG よりも、はるかに特徴をつかんでおり、あなどれないキットです。

 頭部側面の張り出し具合、ブーストバインダー裏のミサイル再現、エリの装甲厚、リアスカートのスジ彫り、前腕 内側のカーブ、肩アーマーとコクピットハッチの位置関係と、HGの欠点をことごとくクリアしてます。肩アーマー の曲面も表情豊かだし、肩上の突起がくっきりしている等、設定にも近いです。背面では、可動のために多少のスキ マは有るものの、肩アーマーとリアスカートは、かなり密着させています。

 肩上アーマーよりも肩横アーマーの幅が大きいなど、HGだけ眺めていても気づかなかった、新たな特徴の発見も ありました。そして、ポリキャップの使用と、それによる後ハメ構造で、塗装も容易です。副腕の取り付け位置は、 HGの方が正しいんですが、組み立てと着脱をシンプルにするための判断だと思います。寸詰りなので、腕の自由度 を奪わない配慮も必要ですし。(そう、ヒジも可動なのです)腕と肩アーマーの取り付け軸が別々なのも、新鮮でし た。これも腕の自由度UPに貢献してるかも。

 そして、HGが全く見落としているリアスカート内の、インナースカートとでも言うべきパーツをキチンと再現し ています。その2「SDデンドロの巻」で、「デフォルメとは元デザインをとらえた上で再構築する作業」と、元デ ザインを尊重して欲しいという趣旨の発言をしましたが、今回は恐れ入りました。「冷却材タンクの肉抜きがどーの こーの」という意見も、2個イチすれば解決できるよう、配慮されてます。ちと出費がかさみますが、余ったパーツ で、SFマイオリジナルを作りましょう。すごく魅力的なパーツばかりです。

 冷却材タンクと言えば、SDの説明書では、キチンとそう呼んでいるんですよね。完成度の差は、リサーチの差か な?って言うか、開発ナンバーも、SDではAMA−X2、HGではAMX−002と統一されておらず(ただし、 どちらも正解)、自社製品くらいは目を通しておいた方が良いでしょ?と言いたくなりますね。(時期も2ヶ月しか 違わず、同時進行だったのかも知れませんけど)

 面白いのは、HGでは設定通り副腕がサーベルになっているのに対し、SDでは劇中で使用された通り、腕がサー ベルになっている点です。腕は本来メガ粒子砲であり、サーベルに転用できるか疑問なのですが、アニメスタッフの ミスか、カッコイイから変更したのか、とにかくそう言うシーンが有るのです。

 今回は、意外な形でSDのスゴさを思い知る形になりました。スクラッチや改造をされる方は、設定画や雑誌作例 ばかりでなく、SDのキットを研究してみると、特徴をつかむヒントになるかも知れませんよ。SDの組み立て時間 は、40分くらいでした。

 



おまけ

 年末にキャンペーン賞品「ガンダムイボルブ」を入手しまして、実家のパソコンで見る事が出来ました。すると、 隣で一緒に見ていたが一言、「ねえ、ガンダムは、どうやってガンダムになるの?」ボクは、「コアブロックシス テムまで知っているのか?誰に聞いたか知らんが、母さんもスゴイなあ」とか一瞬思ったんですが、違いました。

 母は、ガンダムを変身ヒーローだと思っていたのです!!!さすがに技術屋の父は、ロボットだと分かっていまし たが。アニメ未体験世代恐るべし!カトキさん、いくら関節にシリンダーやパイプを通しても、母には通じないッス よ・・・。  
                                  
2002 1.30 健 竹史

HGメカニクス 1/550 ノイエ・ジール
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