健さんの
プラモコラム

その30 MG ゼータプラスの巻

(1/100 MG ゼータプラス / バンダイ/ MSZ−006A1
ゼータプラス・モデルグラフィックス誌連載「ガンダムセンチネル」に登場)


 なんかZが操るビットMSみたいな奴ですねえ。MSがビットになったら、なんてアイデアも、ZかZZの頃、模型情報のデザイン募集に投稿した事がありましたが、見事に没。しかしTVで実際に見てみると、大型MSが小型MSを操る(ボクの案)よりも、分身(ダミーバルーン?)の様に並んだ同型機のビジュアルの方が、圧倒的にカッコ良く、見ていてシビレましたね。ガンダムXは斬新なアイデアが多く、最後まで見てみたかった作品です。

 平成ガンダムもMG化を期待して良いのか?!ハーミットクラブのキット化を夢見つつ、本題のZプラスです。

 まずはZと比較を、と思ったら、Zプラスの方が大きいんですね。MS大全集ではほぼ同じなのに。他の資料も調べると、Zの全高と頭頂高に関して、混同がある様です。

 MS大全集98 − 頭頂高19.8m
 ガンダムセンチネル − 全高19.85m 頭頂高19.85m
 EBシリーズMS大図鑑グリプス戦争編 −
 全高18.7m 頭頂高19.8m

(あれ?EBの「全高より高い頭頂高」ってのはウソでしょ。数値が逆なんでしょうね。)

 で、Zプラスは、全高22.11m 頭頂高19.86mなんですが、この頭頂高、Zの全高と非常に近いですよね。ボクが想像するに、センチネル本はZの全高だけ載っている資料をもとに作成され、MG版Zのキットは、MS大図鑑をもとに設計されたのではないでしょうか。で、Zプラスの身長設定は、Zに合わせたつもりが、1サイズ大きくなってしまった、と。設定画の印象では、Zの頭頂高と全高は、揃っている方が正解かな?断言できませんが。



 では各部を見ていきます。頭部は、Zよりも、かなり小さくなりました。メインカメラはアンテナ基部なので、クリアーパーツにはなってません。側頭部のオレンジ部分はパーツ分けで再現。徹底してますね。

 ボディは、Zと同じ構造ですが、変形用の可動部分がキツめで、グラつかないので、イジっていても安心して楽しめます。しかも各部がロックされる構造で、Zの反省点がうまく盛り込まれています。腕基部の開閉は、MS・WR(ウェーブライダー)の各位置でカチっと安定するし、胸と腹も、MS状態でかみ合うように、突起が設定されてます。

 コクピットもZに近い形状ですが、ヒンジの露出が少なくなり、実感が高まったと思います。パイロットは、多少スリムになったみたい。そうそう、このパイロットは、アムロだとは一言も言ってません。その辺を上手くはぐらかしつつもニヤリとさせる、説明書のカラーページの構成は見事。買えない人も、「立ち読み」しましょう。

 は、フンドシのロック機構がもう少しカッチリしてれば良かったですね。WR時は、展開したフンドシが背中に連結されて、保持力は完璧。Zでは、よく外れたリアスカートが、しっかり接続されてて安心。Zは、関節の弱さと部品の外れやすさが解決したら、文句無しのキットなんですけどねえ。「地球の重力に部品を引かれたMS」とでも呼びましょうか。

 サイドスカートは、ビームキャノンになってます。連結部を引き出してから動かすので、可動も密着感も十分。サーベルの収納も、ロック機構が楽しい、遊べる部分です。

 モモは、やっぱりヒザがヒネれませんでした。内部メカ再現が、可動の邪魔になってるなんて事は、ありませんよね???(1/144はヒネれるんですが)内部メカにはビス止めが有りますが、ビスのミゾが欠けて、分解出来なくなるかと、ヒヤヒヤしました。あれだけキツく締めるのだから、もう少し固い材質の物は無いでしょうかね。ミゾをマイナスドライバー対応にしてあると、もっと嬉しいですが。

 ところで今回、グリップの太いドライバーを使ってみて、正解でした。すごく楽です。イングラム3種、平行して作ろうという人がいたら、精密ドライバーは使わない方が賢明です。手が痛くなります。万一そうなってしまった場合は、念のため作業を一時中断し、床を転がり回って右手を押さえ、「なぜ邪魔をする、マサトー!」と叫んでみましょう。楽しいですよ。(え?ボクだけ?)



 ヒザ関節にはメッシュパイプを使用。切り口が巧みに隠され、良い感じ。組立工程8番ですが、G24部品の上側からメッシュを入れると、通り易いでしょう。H1パーツ(芯)は、後から通します。

 スネは、各パーツの噛み合わせがピッタリ決まって、組んでて楽しい所です。スネ内側のチャフ/フレアディスペンサーなどは、執念の色分けです。パネルラインとも思えない部分で分割してます。逆に、この部分に色分けの無いバリエーション機が出る時は、一体パーツが欲しいなー、なんて思うのはゼイタク?ノズル内部も見栄えがして、良いですね。

 足首は、Zの様に閉じる可動は有りませんが、カカトがスライドして、変形のクリアランスを確保します。土踏まずの内側が丸見えだったZと比べると、足裏までカッコ良くて、実に死角の無いキットです。接地性も十分。

 は、Sガンダムと共通かと思ったら、特に配慮したパーツ構成にはなってない様です。でも、Zプラスのバリエーションには、配慮してる様子。前腕のシールド用ラッチは、シールド側のジョイントを受けるポリパーツが、腕の中でスライドしてロックされる構造。関節強度も強いので、重たいスマートガンも保持出来そう。早く持たせてみたいですね。

 肩アーマーは、変形用のギミックで、側面が全開出来るので、腕が良く上がります。前後左右で、微妙にディテールが違うので、要注意。

 手首は、可動式の物のみ付属。指の関節がキツいので、逆に指パーツを破損しないか、ちょっと心配です。

 ウイングバインダーは、1/144の様なプロペラントタンク用の穴は開いてません。C1型がMG化される時には、新規パーツのバインダーが付属するのでしょう。バインダーのバリエーションも有るようですし、毎回新しくなる部分かも。変形時に前方に回り込む、バインダー保持用のアームですが、展開式でもないのに、Zのアームとディテールを合わせています。気を配ってますね。

 テールスタビライザーは、なぜか内側からポリパーツ(武器マウント用)が見える構造になってます。ディテール扱いなのかな?ここもZの反省から、根元がグラつかない様、ロック構造になってます。流用したくなる、いいシルエットしてますねえ。

 武器はライフルとサーベルが付属します。ライフルはWRモードで上面にマウント可能な他、MSの背中にも取付可能。ジョイントはMG百式と共通で、互換性があります。Zプラスのデザインは、ウイングバインダーの配置等を百式に似せてあり、百式がZプロジェクトから生まれたMSであるという設定を、うまくフォローして、説得力を与えていると思います。エネルギーパックも共通の形状。うれしいですね。

 サーベルの刃は、青い物が付属。機体ごとの、色の違いは何なんでしょうね?炎と同じ、温度の差なら、これは高出力タイプかな?
 
 シールドです。ちょっとハメ合わせがキツい感じでした。機首の両脇のシーカーは、ピンを削り落として、接着した方が、スキマが出来なくて良いかも。腕へのジョイントは回転できます。仮にもシールドなんだから、トンファーとして使える強度は有るでしょう。(精密機器が入ってるけど?)



 変形機構は、細部を除いてZと同一ですが、関節の頑丈さと、要所に設置されたロック構造で、ガタつきの無いWR形態を楽しめます。先に挙げた背中とフンドシの他に、胸ブロックとウイングバインダーもジョイントされます。シールドの固定は、コクピット・胸内部に加え、エリにも固定。これだけガッチリ固定されてると、手に持って振り回して遊びたいですね。「飛んでけピュー!」と叫ぶと、より楽しめますよ。今度こそ本当です。(オオカミ少年)

 そう言えばこの機体、はづきちゃんカラーですね。積極的なバリエーション展開で、5色くらい並ぶと、壮観でしょう。今後に期待、です。そうそう、ももちゃんカラーは、MGアッシマーでもOKですよ。(出してー!)

 ところで、ランディングギアを差し替えて、着陸状態も再現出来ますが、機首の車輪ドアは、つかむ所も無く、取り外しにくいですね。そこで裏ワザを1つ。シールドの、コクピット接続用の穴から、棒で突き出すのです。位置もちょうど真裏で、0.8ミリのシンチュウ線が通ります。変形用の治具として、常備すると良いでしょう。

 今後は今回の様に、裏に穴を開けておくなど、設計の段階から組み替えの作業性に配慮して欲しいと思います。また、各モデラーも、妙な突起で外観を損ねずに組み替えできるので、他の作品にも応用されると良いでしょう。デザインの一部に見える様な穴だと、なお良いですね。

 組立時間は4時間20分でした。GM系と同じ値段で、こんな充実したキットが手に入るなんて、夢のようです。安心して遊ぶには、頑丈さが大事だな、と感じると共に、MG版Zの優秀さも、改めて感じましたね。ガタつきの解消されたZ−Ver.2が、ますます欲しくなりました。

 その時には、ウエストの可動が実現したらうれしいな、と思うのですが、難しいですかね。リアスカートを背中側に接続して動かさず(これは今でもやってる)、2ヶ所で支えているウエストのパンタグラフ式の可動を上だけにして(ガタつきは、胸と接続してしまうとか、歯車を入れるとかで解決)、固定式スカートの中で、フンドシだけがスイング可動出来ないかなー、なんて考えるんですが。ちょっとシビアでしょうか?プロの方、だれか試作品を作ってちょうだいませませ。



おまけ

 筑波大学の白川英樹さんのノーベル賞受賞で初めて知った「電気を通すプラスチック」、聞いた瞬間ワクワクしましたね。実は、受賞が最近だっただけで、とっくの昔に発見されてたのだとか。


 ところで、その通電プラを、普通のプラの中にシステムインジェクションで組み込んでやったら、配線済みの電池ボックスが出来ませんかね?色分けだけが能じゃない事は、異材成形で可動フレームを作って実証済み。通電プラの事は詳しくないので、扱いが難しかったり、高価だったりするかも知れませんが、ハイテク素材や特殊技術は、子供達にこそ見せてやりたいと思うのですが、プラモやTOYへの応用、いかがでしょうか?


2001.11.9 健 竹史

MG ゼータプラス テストカラー
MG ゼータプラスC1
GFF Zplus レッド
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