健さんの
プラモコラム

その21 HGABライネックの巻

( 1/72 HGABトッドライネック/ バンダイ/
オーラバトラー・ライネック 「聖戦士ダンバイン」に登場)


 名前は、やっぱり「トッドライネック」でした。ビアレスの時も、「トッド」が付いてましたね。MSの名前に「カスタム」が付くみたいな物でしょうか。想像するに、トッド・ギネスをライバルキャラとしてPRしたいのかな?ガンダムのシャアみたいに。対決の図式が明確な方が、新規ユーザーにも分かりやすくて、商売上有利なのかな。
 
 このHGABシリーズ、1/72スケールと言いながら多少大きめなんですが、最近ますます大きくなってるような・・・「ハイパー化」という言葉が脳裏をよぎります。ちょっと設定身長を確認しておきましょう。
 
 単位はメット(m。メートルとほぼ同等)。小さい順に、ゲド6.7m、ダンバイン6.9m、ボチューン7m、ドラムロ7.4m、ダーナ・オシー7.6m、ズワース7.9m、ボゾン8.2m、ライネック8.5m、レプラカーン&ビルバイン8.8m、ビアレス9.1m,ビランビー9.2m、バストール9.4m。OVAでは、サーバイン約9m、ズワウス約13m。
 
 イメージの順番と多少違う気もしますが、(ズワースは設定画のしゃがみポーズで測定?)ほぼ1/60前後で統一されてる様です。改めてダンバインの小ささに驚き!(このライネック、1/48ダンバイン並の大きさです。)


 ではキットの方に目を向けまして、頭部から。触角は、もっと折れ曲がった感じが欲しいものの、なかなか昆虫っぽさが出てます。でも、顔自体は虫よりも鳥をメインモチーフにしてると思うので、猛禽類の様に、目を前寄りに配置(補食動物の特徴)すると良かったかも。(足首の無いデザインも、鳥のツメみたいでしょ?)
 
 ボディは、複雑な分割で、結構難しい組立でした。パーツ分割が特殊というか器用というか。苦言と評価、両方の対象になるかな。ミサイルポッドはハの字に角度が付いてて好印象。設定画では平行にも見えますが、この角度がオーラコンバーターまで綺麗につながって、V2ガンダムの様に自然なラインです。
 
 コクピットは、キャノピー幅がボディ幅より狭くなる様にデザインして欲しかった所。(説明書の正面写真、ウエスト幅いっぱいでしょ?ボディ断面はガンダム並に直角)キャノピー面積が広すぎて、コクピットが不自然に広くなってます。キャノピーの材質は、羽根と同じ軟質樹脂。ニッパーやナイフを当てた時、ヒビが入る心配ナシです。


 ウエストは、腰(ガンプラがフンドシなら、こっちはパンツか?)に深くハマって、まるで回転出来ません。ライネックはデザイン上、仕方ない気もしますが、例えば前作のレプラカーンやビルバイン等では、パンツのライン自体はナナメではあるけれど直線的なので、軸をナナメに(つまりパンツに垂直に)通せば、大きく回転できたと思います。海洋堂のモノシャフトドライブなら、そうなったのでは?各ブロックを水平に積み上げる構成は、ガンプラの固定観念かも。


 胸とウエストの間も可動を狙った様ですが、穴もウエストも四角いので、全く動きません。しかもプラパーツのボールジョイントで接続されてて、よく抜けます。まるでバウ状態。やっぱりHGUCガンダムの回に提案した様に、追加専用ポリキャップ(おかわり君と命名)が欲しいですね。
 
 は、太モモが短く感じますね。スネが設定画より長めに調整されるのは、昔からの傾向(ノウハウ?)ですが、オーラバトラーの場合、モモの上面が、パンツの上面と同じくらい高いデザインになってます。ヒザ位置を下げなくても、太モモを長く見せるには、その辺がポイントかも。HGダンバインは、モモとパンツの上面が、ほぼ同じ高さなのですが、モモとスネの比率は良い感じだと思います。
 
 ヒザアーマーは、もっと前に向いてた方が、より鳥脚(逆ヒザ)になって安定したでしょうね。オーラコンバーターを起こしても直立出来る程、ちゃんと立てるんですが、背中を反らせて空を見上げるポーズを取らせたいとか、欲張りな事を考えてしまいますからね。
 
 ヒザのラバー(筋肉)は、異様に四角くなってます。このABSフレーム+ラバーの構造は、ボクはあまり気に入ってません。2重構造のため、どうしてもフレームが細くなりますよね。さらに今回、中のフレームの影響なのか、こんなに角ばってしまっては、保持力も質感もイマイチだと思います。旧1/72シリーズは、生体部分もプラパーツでしたが、後期のキットはリアルな彫刻で、問題無かったと思います。
 
 今のキット仕様は、ABの中でも最軽量級の、ダンバインに合わせて決定された物ですから、大型キットを出す時は、仕様を変えて当然です。ABSの球体関節も今回、抜けやすい問題箇所になってますし、MGの様なビス止めフレームの使用も含め、再考してはどうでしょうか?
 
 足のツメは3本が独立可動。スネのフレームの先端に付いているんですが、結果的には足裏に穴が開いている訳ですし、足裏パーツに指を付け、それを足底にハメ込んでも良かったかな?後ろのツメは、ニクキュウ(?)ごとグリグリ可動すると楽しいだろうと思ってましたが、このスペースと重量では、固定で正解かも。後ツメは、なぜか根本が細くなってて残念。太い方が、力強いと思いますが。
 
 左足には短剣を装備。収まりが悪いので、内側にズレ防止の工夫が欲しかった所。(見えない所だから仕上がりはキレイでなくても良いので、初心者もぜひ工作してみよう)知ってか知らずか、フルスクラッチで両足に装備させる人もあったようですね。オーラバトラーの設定画は、隠れて見えない部分が多くて、注意が必要です。ライネックでは右側面が隠れて、ソードの収納が不明確。レプラカーンは、左手の甲にもツメが有るのか?など。不明確なのを逆手に取ったのか、Bクラブのガレージキットでは、これらの点がプラモと異なります。
 
 です。肩関節は、腕を前に上げる事は出来ますが、横にはさっぱり動きません。ボディ側にはミサイルハッチの開閉ギミックが有るので、可動は腕側だけで解決しなくてはならず、他のABよりも困難だったでしょうね。こんなに動かないのなら、ボールジョイントでない方が外れにくくて良かったかも。Gセイバーの腕の細さを見れば、ポリキャップが仕込めたと思うのですが?
 
 オーラリキッド循環パイプ(軟質樹脂のコード)は、今回は可動の妨げになってませんが(もともと可動範囲が狭いから)、レプラカーンの脚では泣かされた所。ラバーカバーと一体化する事で余計に弾力を持ってしまってます。他の方法は無いでしょうかね。例えばライネックでは、ほとんど肩アーマーに隠れているので、HGUCハイザックの様に、腕の表面を這わせる形にアレンジしても、誰も文句は言わないと思いますが。
 
 ヒジ関節はナイスです。単にLの字に曲がるABS関節ですが、上腕側・前腕側ともヒネれるので、ボールジョイントと同様の効果。特に前腕のヒネリは、腕にハードポイントが有るロボットの場合、効果絶大ですからね。(レプラカーンも可動式。シールドの向きが自在です)この点では、MGダンバインより優れているんですよね。
 
 余談ですが、装備増設の魅力が最も前面に出ている、F90・91の時期の連邦側MSの多くが、ヒジ関節下に分割線を持っています。実機はここで前腕をヒネれるんじゃないかと思います。完成度が高いゆえ、リニューアルの機会も少ないかと思いますが、再現したプラキットが欲しいですね。
 
 手首は、大きなツメの間にあるので、剣を持っても窮屈そう。こういう時こそ、内向きに角度の付いた手にすると良かったかも。(焼け石に水かな?)


 オーラコンバーターはデカイですね。いくら広くてもガンプラみたいにディテールを追加しないのが、このシリーズの良い所。(その点ダンバインは例外的なキットですね)コンバーター内部のフィンも再現。縦に通った板パーツを、電撃ホビーマガジンでは削り落としていましたが、ボクはさほど気にならないと感じました。黒く塗っても良いし、逆に縦板を活かしたディテールを詰め込むのもアリかな。(むしろ何らかの構造物が入ってる方が自然では?)何より、内側の接着面を隠してくれてますよね。 
 
 コンバーターの可動は、模型のジョイントと割り切って、大胆かつ効果的なアレンジが加えられています。なまじ生体関節を再現していたら、ここまで自在な可動は無かったかも。横にヒネったりも出来ます。
 
 コンバーターには剣(オーラソード)が収納出来ますが、ちとデザインに無理が有ったか、剣が短いですね。太さ(刃の幅)がスゴい事もあって、オモチャの剣の様な印象。もっとも、剣は他のAB並で、ライネックが大きいだけですが。
 
 羽根も大きいですよ。広くて優しい印象のシルエット。しかも取付位置が背中でなく、肩なので、羽根を広げた大きさは圧巻。副翼も大きいし。
 
 組立時間は1時間40分位だったかな。説明書の写真が、実物よりも妙にカッコ良いと感じます。単色の機体なので、いろプラでもカラフルに見えないためでしょうか。これは、ぜひ塗装したいキットですね。
 
 大きさの統一性はともかく、これでTV版ABの全てが自称1/72でプラキット化されました。ガサラキに次ぐ快挙!であります。模型誌上で「シリーズ中断か?」と、ヒヤヒヤする場面もありましたが、サイズを変えたからには全種リニューアルして欲しいですよね。(幸いサーバインが検討され始めてる様子。)
 
 実は、ユーザーがメーカーに意見して、次の参考にして欲しいと思うならば、HGABくらいのペースが丁度良いんじゃないでしょうかね。ガンプラの場合、キットが出ると知らされる頃には開発が終了してますからね。待つ楽しみも良いですが、HGABは、提案する余地が残されている恵まれたシリーズだと思います。意見のある方は、一緒に盛り立てていきましょう!
 
 ・・・PS。最悪でも、EXモデルで継続してね。(ちょと弱気)



おまけ

 HGUCガンダムのランナーを見ていて、一部のパーツが、成形切り替え(別製品に一部を残して流用)しやすい様になっているのが気になっていたんですが、どうやらGアーマーを出す時の準備の様ですね。切り替えで除外されるパーツは、胸、腹、フンドシ、コアファイター、バズーカです。出ると決まった訳じゃありませんが、考慮されてるだけでも嬉しいです。しかし・・・また大きなコアファイターが付属するって事?それとも可変?要注目ですね。


2001.6.16 健 竹史


聖戦士ダンバイン DVDメモリアルボックス1
聖戦士ダンバイン DVDメモリアルボックス2
重戦機エルガイム メモリアルボックス1
重戦機エルガイム メモリアルボックス2

聖戦士ダンバイン大全
聖戦士ダンバインノスタルジア
―Do you remember the tale of Byston Well?


ダンバイン3Dマニュアル1 Dセレクション
ダンバイン3Dマニュアル2 Dセレクション
聖戦士ダンバイン データコレクション

ロードオブバイストンウェル VOL..1 ダンバイン
リアルポージングロボット 聖戦士ダンバイン 1 ダンバイン
リアルポージングロボット 聖戦士ダンバイン 2 レプラカーン


ガイア・ギア オリジナル・サウンドトラック Vol.1
ガイア・ギア オリジナル・サウンドトラック Vol.2

HGUC Gアーマー

[HOME]

inserted by FC2 system