健さんの
プラモコラム

その18 MGステイメンの巻

( 1/100 MG GP03S/ バンダイ/ RX−78GP03S ステイメン
「機動戦士ガンダム0083スターダストメモリー」に登場)


なんか後光がさしてますよ、このキット。我々は10年間待って良かったであります。オーキスは入ってないけれど、コアファイターなんて嬉しいオマケ付き。(1/144でも欲しいなあ)
 
 氏の代表作の一つを見て、カトキメカって何だろう?なんて考えるのですが、良く言われる「工業製品的」という評価、ボクは工業製品を良く知りませんから、「そう言われれば、そうかな」なんて感じです。ボクが感じるのは、「優れたオモチャ」という感想。V2ガンダムに「Vの字」を大胆に入れる分かり易さ。バーチャロンの背中も、そうですね。
 
 説得力は手段であって、一番の持ち味は「楽しめるコンセプト」なのでしょう。このステイメンを中心とする「ガンダム試作3号機」も、まず「驚くほど大きい」こと自体が目標で、その「無駄に大きい図体」に見事に説得力を持たせている点がカッコイイ。・・・と、ボクは思っています。
 
 (実際、武器をたくさん持たなくても、マガジンをたくさん持てば、機体は小さくて済むでしょう。でも、それじゃワクワクしませんよね。この大きさが必要だと感じさせるのが彼のワザ。)


 では、キット各部に見とれていきましょう。頭部から。アンテナがシャープで、顔も文句なし。首が、もっと上を向けるように、関節に工夫が有るとよかったかな。オーキスとの合体のためにも。バンダイが出さなくても、ボークス造形村なら、やってくれると思うんで、念のため。ところで、眉間の隠れたデザインのため、無塗装でも視線に表情が有ります。シブいよー。
 
 ボディです。構成はGP01(フルバーニアン含む)と同じで、アニメ通りの全天周モニターと、不採用となったコアブロックを交換して遊べるオマケ機能付き。バンダイさんエライ!と思ってたのは昨日まで。構成が同じなら、1号機と3号機のパーツをミックスする「スクランブル合体」は出来るかな?と思ったんですが、そこまでは考えてなかったみたい。実機も同規格だと思うのに。バンダイさん惜しい!


 それでも、ステイメンの腹に、フルバーニアンの上半身は、なんとか接続できます。密着しませんが。腹巻き自体を付け替えれば良いかと試したら、ステイメンの腹巻きGP01の下半身ならOK。逆の組み合わせは、ダメでした。ポリキャップは共通なんですが、底面が干渉するんですね。
 
 コアブロック上半身の合体は、まるで交換不可能でした。ピンの位置が違うので。もしPG版が発売されたら、ぜひ組み替えて遊びたいですね。
 
 コクピットは、MGと言えどもパイロットが座っているだけのキットが多い中、コンソールもしっかり再現ランドセルは、サーベルラックが起き上がったり、バーニア基部が丸見えのデザインだったりするので、中がスカスカで寂しいですね。隠れてしまう脚部より、見える部分にメカパーツを詰めた方が、効果的と思います。
 
 です。リアスカートまで可動するのはGP01と同様。おかげで脚が後ろに良く動き、合体形態も超OK。テールバインダーの基部(腰側フレーム)が、ウエストの回転を妨げているのが残念。形状も設定と違います。ウエストの回転は、ステイメンのデザインのツボだと密かに考えていたので、少々残念です。
 
 と言うのは、なぜオーキスが背中でなく、腰(バインダー)に接続するのか?という事です。これは、合体時にも上半身が制約なく可動でき、演技の自由度を上げるためだと考えられます。(ザクレロ戦でのガンダムと同じ構成)なんとMSインアクションでは、デンドロビウムが企画(まだ参考出品)されているとの事。ステイメンが閉じこめられた様な、窮屈な可動にならないよう、お願いしたいです。
 
 テールバインダーは、残念ながら、このサイズでもシリンダーギミック等は再現されませんでしたが、まあ問題ないでしょう。可動が自由で、シルエットも美しい!
 
 です。股関節はキツキツで、すごい固さ。フレームを含めて、左右の脚は基本的に左右共通の構成です。ヒザのポリキャップ(PC−R)は、なかなか良い構造ですね。軸位置が中心からズレていて、ヒザが、1方向により良く曲がります。足首は、なんと3重関節。そうまでしてツマ先をピンと伸ばしたいのか?その時、丸見えになる足裏バーニアを別パーツにして、なぜ足裏の完成度を上げているのか?・・・これも合体形態対応なのかな。前側には可動シリンダーも仕込んであります。
 
 ところでスネにたくさん開いている穴ですが、これは一体何なのか?バーニアだろうと考えている人も多いようですが、キットではその辺が明らかになっていません。「せっかく開けた穴を、わざわざ埋めてしまっている」という評価もあるようです。(内部メカの突起が穴に密着して、中が見えない構造です)
 
 ボクは以前から、この穴はオーキスと接続するコネクターか何かだろうと思っていたので、「バーニアが無いじゃん!」なんて驚きはしませんでしたが、この辺は解説書でも触れられていません。て言うか、脚部の解説が、一切無いじゃん!ページ数は、これ以上増やせなかったんでしょうか?
 
 イラストを見ると、穴の中にディテールが入っているので、これは決して穴を黒く塗りつぶすために埋めてあるのではなく、実機にもフタがしてあるのでしょう。これは多分コネクターで(あるいはセンサーかバーニアかも)、必要な時だけシャッターが開くのでは?もしシャッターならば、スライドして開きそうな、レール状のディテールでも入っていれば、分かりやすかったでしょう。今後は、解説してない部分の無い様にお願いしたいです。
 
 お楽しみの!です。形状はなかなか良いと思いますが、肩がもっと上まで可動して欲しい所。肩ブロックのミゾを、もっと切り欠いても外観上問題ないと思います。ヒジは良く曲がりますね。GP01も良く動きましたが、関節の保持力は格段に強くなってます。比べると、ヒジのメカ部が太くなってます。
 
 手首はカッコイイ平手と、火器用可動指、サーベル用可動指が付属。ランナー名はマニピュレーター3となっています。(このランナーには手首以外のパーツも入ってますが、今後のキットに使い回しやすいように区分けしてあります)4本指一体の可動と、親指がボールジョイント。ハメ込み方向が窮屈で、組立にはちょっと力が必要でしたが、頑丈な良い手首です。


 フォールディングサポートアームも保持力十分。なんと、展開状態でバズーカさえも、ある程度持ち上げていられます。ポリパーツなんて入らないサイズですから、ABS製なんですけど、ここまで強いとは!しかも、ツメ(ヒジの突起)を微妙に動かすまでは、ロックがかかって開かないという、巧妙な設計が素晴らしい。ツメでシールドをつかんで保持するため、シールドの重量でダラリと開くと困るのです。
 
 シールドは前腕のマウントラッチにも接続されていますが、これは腕の外装ではなく、その奥にあるフォールディングサポートアームに連結されています。なんと、あの細い副腕のフレームのスキマに、極小ポリキャップが仕込んであるのです。
 
 ヒジだけでは無く、副腕のフタ(前腕の甲)も大きなツメになっていて、ここもバズーカが保持できる強度です。ギミック的には文句無しではないでしょうか。さすがにヒジのツメは、首振り方向には動きません。強いて言えば、腕とツメの幅の比率が設定と違います。ただ、ツメの幅は先に述べたロック機構に使われており、他の機構でロックするよりも外観に影響が少ない、優れたアイデアだと思います。
 
 それにしても、遠くも近くもカバーする可動の自由なアームは、見事なデザインですね。コンテナから武器が出てくる方向との相性も絶妙で、システマチックだなあ。
 
 武装は、収納可能なサーベル、フォールディングシールド(折り畳み可能・ライフルのマガジンが着脱可能)、ビームライフル、フォールディングバズーカが付属。ライフル、バズーカは残念ながら各1個しか入ってません。武器セットとして別売を希望する人も多いでしょうね。ボクなんかは模型誌の有料読者サービスでも良いと思いますが、クリアパーツ、ABSパーツ、ポリパーツが別ランナーなので難しいでしょうかね。
 
 まあ、ライフルはディテール精度に多少の差は有りますがGP01と共通ですから、持ってる人は2丁ライフルも再現可能です。しかし非常に残念な事に、マガジンのデザインを変えちゃってるんですよね。側面のディテールを再現せずに、ワンパーツ構成としてしまっています。せめてライフルとの接続穴が共通なら流用出来るんですが、ここも変わっています。GP01の設計の時に、ステイメンの事まで考えていなかった、とも言えますが、もともとの原因は、GP01とステイメンでは、シールド裏のマガジンの付き方が逆になっている事でしょうね。
 
 流用困難なら、なおさらディテールは省略して欲しく無かったです。数が多い(シールド裏に予備を4個携帯)からって、パーツをケチっちゃダメですよ。PGがもし出るなら、規格統一の徹底こそ見せ場になるでしょう。
 
 バズーカは、ずいぶん大型だったんですね。(ドム用以上の長さ!)折り畳み可能ですが、勝手に折れない様に、ロック機構が付いています。


 コアファイターは、バルキリーの子分みたいですね。GP01よりも単純な軸回転で変形します。主翼の可動は、軸が無く、曲がったレールでスライドするという特殊なモノ。おかげで少々キツいです。
 
 ところで機体解説にはコアファイター搭載案を「Pスペック」と称して紹介しています。確かに、おしべ(ステイメン)から出てくるなら、コアファイターは花粉(ポレン)と言えますね。余計な事に、めしべもP(ピスティル)であると書いてあります。ステイメンと対になる(ヤクトミラージュのRとLみたい?)ガンダムGP03P「ピスティル」なんていうアイデアを密かに狙っていたボクとしては、先を越されて少々ショックなのです。
 
 組立時間は4時間少々でした。眺めて良し、遊んで良しのお買い得キットだと思いますよ。



おまけ

 巨大さのため、発売困難と思われるMGデンドロビウム(オーキス)ですが、バイオハザードのフィギュアの様な方式はどうでしょう?あのシリーズにはボーナスパーツが入っていて、全部集めると、巨大な敵キャラが完成するのです。あれに倣って、今後3年間で発売されるガンプラに、オーキスのパーツを少しずつ付属させる、とかね。(7割は冗談で言ってますが、嬉しい事にホビージャパン6月号に似たような読者意見が!)


 しかし現在最高額である、PGゼータの2万円までで収まるなら、1/144は出して欲しいですね。海外では、開くとプレイセット(武器庫?)になる様な手頃なオーキスが発売されるのかな?ミデアやガウは出るみたい)

2001.4.29 健 竹史

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