健さんの
プラモコラム

その15 MGケンプファーの巻

( 1/100 MG ケンプファー/ バンダイ/ MS-18E ケンプファー
OVA「機動戦士ガンダム0080ポケットの中の戦争」に登場)


機動「闘士の登場です。最近のMGって、使い回せないMSを連発して、がんばってますね。(しかも高額な機種)MG百式の発売でガンダムチームも勢揃いです。(あ、百式改が出たりして)
 
 4000円のキットも珍しく無くなりましたが、ふと同機種を1/144で比べてみると、ずいぶん価格にバラつきが有りますね。GP02は1000円。スーパーガンダムは計1200(1700)円。ZZは600(1500)円。そしてケンプファーは800円。それにしても満足度と価格が比例してませんね。
 
 という訳で、MGの価格は、従来キットの価格からは予想が困難で、今後も「出てみてビックリ」という事になるのでしょうかね。では、キットを見ていきましょう。



 箱を開けて感じるのは、小さなランナーが、たくさん入っている事。武器は2個ずつ装備するから、同一ランナー2枚。チェーンマインも、同じパーツが多いから、同一ランナー2枚。脚部メカ、足首、腕なども、左右共通パーツが多いし、おまけに手だけのランナーまで有ったりして、計18枚!という多さです。
 
 まず腕から組立。フレームはグフと同じランナーです。やると思ってました。ヒジは2重関節で、そのうち片方はポリ可動、もう片方はビス止めで、2箇所のキツさが異なるという新触感。肩は大きな球体で、その上に被さった肩アーマーがグリグリと自由可動する構造は、1/144には無かった楽しさが有りますね。ボディとの接続は事実上のダブルボールジョイントで、このフレーム、グフの時以上にマッチしてます。
 
 手首カバーが無いという不満の声が(当サークル内に)有りましたが、元デザインがすでに手首カバー状ですからねえ。(肩、股ともリング形の関節カバーで、統一感のある良いデザインだと思います。)また、ショットガンを持たせるためにも、手首にはしっかり動いてもらわないと。この構成は正解ではないでしょうかね。


 ボディは、コクピットハッチ開閉の密着感が見事。アームが伸びて動いたように見える構成もGOOD。軸がモロ見えなのが、もったいないですね。あと、他の機体よりも大きなハッチですし、パッキンの様な表現が有ると良かったかも。
 
 ウエストはターンエー並に(つまり全周)回転。ポケ戦MSは良く回ります。さらにメッシュパイプの柔らかさもあって、大きく反りも可能。突撃ポーズに対応してます。
 
 はフンドシのみのシンプルな構成。リング部が別パーツだと嬉しかったのですが、モールドの中央を避けて分割している所は、さすが良心的。
 
 背面は、バーニアがグリグリ可動。パイプ基部も良い感じだし、カバーが密着してないのもナイス。メカ好きの心をくすぐる部分であると同時に、「最低限の装甲しか持たない」という雰囲気が良く表現されていると思います。それにしても1/144では、この見せ場をボディ前後分割で済ませており、実にもったいない。欲しいですねえ、HGUC
 
 モモカバーは、モモに後ハメ出来れば良かったでしょうか。各2基のスラスターも、モモではなく、カバー側に付いている方が自然だと思いますが(パテ埋めも容易ですし)。ビームサーベルは、残念ながら半分しか収納出来ません(取り出して、つぎ足す)。本物は、うまくナナメに収納されているのでしょう。そんなスペースを確保するよりも、ロケットエンジンの伸縮ギミックの方が楽しいです。ナイス!
 
 ところで、モモからサーベルを取り出して、パーツを継ぎ足していたら、オージ(重戦機エルガイムに登場)を思いだしました。巨大カマでアレックスに反撃するケンちゃんもイカスなあ。(話ブチこわしだよ)
 
 です。ヒザフレームはグフと共通。ビス止めの2重関節です。ヒザとモモにスキマがあり、ここで多少ヒネれるのがポイントです。モモだけで足をハの字に開こうとすると、スラスターがどんどん内側に向きますからね。ヒザでヒネって、ふんばりボーズにするワケです。
 
 スネは、なかなか良い曲線が出ていると思いますが、内部フレームについて一言。「大推力」で「一撃離脱」などと解説するからには、プロペラントタンクが詰まっている方が、それらしいと思うのですが。逆に、フレームは細くするとか。まあ、一年戦争のMSに、フルバーニアン並の装備があるとは言いませんが、どんなもんでしょう?
 
 それにしても、組立シーンが有ったMSが2体、フレームがムキ出しのMSが1体。今年に入って、MGはフレーム強化キャンペーンみたいですね。


 足首は良く動くし、ツマ先も可動します。シリンダーも仕込んでありますが、シリンダーの先端が足首内部に、時々引っかかるのが難点。I−6・I−7パーツ内側の段になっている部分に、三角プラ棒でも接着しとけば良いでしょう。あと、全身のバーニアがカラフルに色分けされているのに、足裏のバーニアだけは一体成形で残念。全身で一番大きいバーニアだし、建造シーンや滑走シーンで足裏の注目度は高いMSなんですけどねえ。
 
 頭部です。軸とレンズの2パーツのみという、MG史上最小の可動モノアイがかわいらしいですね。このサイズで動くなら、各種1/144サイズにも応用できそうですね。アゴの下に装甲が無いのも、「最低限の装甲」という雰囲気で良。さすがにツノまでは動きません。
 
 が上に大きく可動しますが、その時、勢い余って首が外れやすいので要注意。やはり、いつでもボールジョイントにする必要は無いと思います。初期ポリキャップの様な、軸&軸受けの方が、首を引き伸ばして、より大きく動かせたかも。あと、首の下がスカスカで寂しいです。胸元のあたり全体が、せり上がっても良かったかと。(言うのは簡単ですけどね。)
 
 バーニアは、黒パーツに黄色パーツをハメて、内側の色まで再現。「バーニアのゲートが太くて処理が大変」という意見もありますが、多分、パーツ精度を出すためじゃないかと思うので(キレイな円が出ないと、内側パーツが密着しないし)、根気良く仕上げましょう。
 
 武装は、形状も良いですが、ラッチの保持がしっかりしてて良い感じ。ショットガンはストック部分の着脱まで可能です。シュツルムファウストは発射状態も再現できます。ビームサーベルの刃は、日本刀の様な、カーブした物が付属します。ジャイアント・バズは、リックドム2と共用するには小さいかも。1/144と比べてみようと思ったんですが、昔買ったケンプファーが発見できず残念。1/144リックドム2のバズと比べると、4割弱しか大きくなってない様です。確かに、MGドムには小さいみたい。
 
 チェーンマインも、今回は裏側まで作ってあって、ひと安心なんですが、組立が要注意。説明書通りに15ミリ間隔で組んだつもりが、リード線の長さが足りなくなってしまいました。これではケッペキ先生(東山紀之)に
 
 「あなたは間違っています。チェーンマインは12個ではありません。正しくは13個です。」
 
 などと指摘されそうです。でもリード線のハメ込みは意外とキツく、分解してもビニール表面がビロビロになるかも。「ボクの夏目漱石が()泣いています。」(涙)
 
 で、チェーンマイン組立用治具(ジグ)が付属してたら便利だったでしょうね。治具にハメ込む事で、機雷と機雷の間が一定になるよう組める、ゲージパーツです。例えば、タミヤMMの小火器セットのランナーには、3点の穴が開いていて、機関銃の三脚を、きれいな形に接着できる、ガイドとして利用できます。


 て言うか、パッケージ写真は、どう見ても15ミリ間隔じゃありませんね。(謀ったな、シャア!)ちなみに、リード線は2本をつないで組立てます。おそらく、最初から1本だと長くなり、子供が首に巻いて遊ぶ等、危険が予想されるからでしょう。HG−LMエヴァのケーブルも同様、2本連結式です。大事ですよね。こういうの。
 
 ところで、フレーム、サーベルに続いて手首まで(HGUCでは武器も)専用ランナー化されて、今後のキットに流用可能となると、ジオン軍の「統合整備計画」みたいなムードになってきましたね。そんな事を考えながら組んでいると、キットと実機がダブってワクワクします。(妄想)組立時間は4時間程度。数日で本物を作ったサイクロプス隊は、モデラーの鏡っスよ。



 
おまけ

 HGガンダムが絶版になるとの事。発売当時の興奮(と、多少の期待外れ)は、昨日の事の様におぼえています。「やっぱスゴイ技術なわけ?」と聞く友人に、「そりゃ、型に多少の狂いが有っても、色分けが狂うハズだから、特殊で、しかも精度も要るんじゃないの?」なんて話したものです。10年間フル生産した訳でもないと思うのに、もう寿命とは。精密な物は傷みも早いのですね。本当にお疲れさま。


 今は「色分け」よりも「パーツ分け」が主流で、こっちの方が好きです。塗装派にとっては「色分け」してあっても、あくまでワンパーツですから。でも消えるのは惜しい。語り継ぎたいものです。って言うか、これが特殊だって事は一般人や子供に、もっと知って欲しいですね。日本は工業国なんだから、プラ製品の作り方くらい学校で教えて欲しいな、と。


 ところで今回の件で注目を集めているうちに、200円の「いろプラ」(1/250)を再販しませんか?セット売りでも良いです。いい機会だと思いますけど、どうでしょう?

2001.2.24  健 竹史

MG ケンプファー
MG ガンダムNT1

HGUC ガンダム NT-1
HGUC ガンキャノン量産型
HGUC ジムコマンド(宇宙仕様)
HGUC ゲルググJ
HGUC リックドムII

W.H.ケンプファー他 国際貿易―理論と実証 上
シドニー・ゴールドコースト・ケアンズ 2005年版
 ワールドガイド―太平洋


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