健さんの
プラモコラム

その153
 
HG
 ストライク
     フリーダムガンダム
の巻

( HG ストライクフリーダムガンダム/ バンダイ/
ZGMF−X20A ストライクフリーダムガンダム
「機動戦士ガンダムSEEDデスティニー」に登場)



 かつてのキラの乗機「ストライク」「フリーダム」の名を併せ持つガンダム・・・キラのために、ラクスが祈りを込めて名づけたのかも知れないという説明書の機体解説は、なかなか上手いなぁ、と感心しますね。軍ではなく、個人に託すMSというのは、こんな風に名前が決まるのだろうな、と。劇中では描かれませんが、こういった解説で広がるイメージも、機体の魅力を一層引き立ててくれるもんです。



 でも、組み終わってインフィニットジャスティスと並べながら、ふと思ったんですよ。・・・ラクスは、アスランの機体にはどんな祈りを込めたんだろう?かつての乗機の名を併せ持たせて「イージスセイバージャスティス」とかにしなかったのは・・・またバラバラになったり、自爆したりするとイヤだなぁ、って事なのかも知れませんね。インフィニットジャスティスに込めた意味は「無限の正義」と言うよりむしろ「長持ちジャスティス」かも(笑)?では、本題に参りましょう。

 頭部は、アゴと額のセンサーを色分け。4本のアンテナは一体成形で、黄色で成形されています。内側のアンテナは、もっと起き上がった角度の方が設定に近かったかも知れません。旧フリーダムのキットよりも若干小顔になった様な気がしましたが、比べてみるとサイズに大きな違いは無さそうですね。



 当時からフリーダムのキットは「頭でっかちに見える」と言う意見が有った様ですが(えー、ボクはデザインバランスに鈍感なのか、気になりませんでした・・・)、並べると少し分かった様な気がしました。旧フリーダムのキットは、ヘルメット側面や後頭部が角ばった形に造形されていて、体積が大きく感じられたんじゃないでしょうか?

 設定画の横顔を比べると、ストライクフリーダムは後頭部が丸く、チョンマゲも急角度で下がっていますが、フリーダムのチョンマゲは角ばった後頭部に乗っているため水平で、なかなか下がっていきません。さらにキットの特徴として、側面ダクトも後ろに大きく張り出しています。頭の大きさが気になる方は、2機の違いがあいまいになってしまいますけど、ストライクフリーダムを参考に、ヘルメットを削って丸みを持たせると良いかも。幅詰めばかりが手段では無いかも知れませんよ。(いずれにしても上級者向けの工作ですね・・・)

 ボディは、ウエストを胸パーツでハサミ込む構成。胸部ダクトを内側から仕込んでおく点も含めて、旧フリーダムに似ています。腹部のMGX−2235カリドゥス複装ビーム砲は別パーツ。胸の赤いラインはシールが付属します。このラインとエリが重なっている分、旧フリーダムよりも塗装は難しそうですね。肩関節軸は前後スイングが可能。ポリキャップを使わず、ボディパーツ内側をそのまま軸受けとしてあります。肩関節軸は、僅かですが斜め上に向けてあり、少しでも怒り肩にしようという配慮が伺えます。1/100でも実施して欲しかったアイデアですね。

このキットに飾り台は付いていません(笑)。価格が上がってしまうよりも良いだろうという判断なのでしょうね。

 です。フロントスカートは左右一体で可動。サイドスカート(レールガン)は、ウエストを切り欠いて腰ブロック上に移動用アームを仕込んであり、1/100に似た構成ですが、サイドスカート移動の手順は、1/100が「そのまま後ろに回して押し込む」だったのに対して、HGでは「引き出して後ろに回して押し込む」に変更。ウエスト可動用のピンは1/100よりもさらに前に配置されていますが、ウエストの回転範囲は若干改善しています。あれこれ調整した結果なのかな〜?サイドスカートを後ろに回して押し込まなければ、20度くらいは回転してくれますよ。

 です。モモは1/100に比べて丸みを抑えた造形。股関節周辺は切り欠いてあり、可動範囲を広く取ってあります。スネは、ヒザ付近の紺色の部分を色分け。内蔵式スラスターの開閉は省略してあります。足首カバーは今回も左右分割。分割ラインは端に寄せてあり、目立ちにくくなっています。

 足首は、クルブシ付近を上から被せる方式で色分け。ポリキャップを仕込む都合でクルブシ付近は太めですが、足底幅はコレクションの物よりもスリムに変更されています。幅が変わっても足裏パターンの共通性は保たれている様で、コレクションの飾り台を拝借する事も可能です。しかし、HGがコレクションの付属品を拝借する日が来るなんて、予想もしてませんでしたね。貸し借りしない状態ならば、コレクションの方がディスプレイ面で充実してる訳ですよ。

 肩アーマーは、上腕を前後からハサミ込む方式。上面の赤い部分はシールで色分けします。側面のスラスターは、上下に並んだ2発が別々の方向を向いているのが面白いですね。1/100では同じ方向を向いていて、設定に忠実なのは1/100の方なんですけど、HGの様な解釈も面白いんじゃないかと思います。



 は、ヒジの上でヒネれる様になっています。前腕にはMX2200ビームシールドを装備。白いアーマー部分は荷重に負けない様、ピン2本と突起でしっかり固定されています。(本物のビームは重くないんですけどね:笑)

 手首は、左右とも穴開きゲンコツ平手が付属します。平手は1/100の物ほど指を伸ばしておらず、半分握った様な状態。ロングライフルをしっかり構える事が出来ますが、真剣白刃取りの再現には向いていないかな?

 ウイングは、枝の様な小羽根の部分が可動しませんが、その他の可動は1/100と同等。それでもハイマットモード(高機動空戦モード)は問題なく再現出来ます。大羽根の可動軸は、軸受けにABSパーツを使用。エフェクトパーツの荷重を考えてか、かなりキツめに調整してあります。力まかせに動かすと、アーム基部の可動軸に負担をかける事になりますから、2枚の大羽根を一度に動かさず、1枚ずつ動かす(前の羽根を押さえながら後の羽根を動かす、といった要領で)と、破損しにくいと思います。

 武装です。2丁のMA−M21KF高エネルギービームライフルは、グレー1色で成形。右用ライフルの後部伸縮ギミックは、スペースの都合で下側のシャフトを省略してあります。左用ライフルの銃身スライドギミックは、伸・縮2種類のパーツを差し替える事で再現。1/100ではワンパーツだった後部のフタは、今回は2パーツ貼り合わせ。90度倒れた時に露出するスコープ部分にも、しっかりモールドが入っています。



 2丁を連結すれば、設定通りにロングライフルに変化。グリップの折り畳みも再現されています。腰に装備する時には、サイドスカート下から露出するジョイントパーツの角穴に接続。開脚に合わせてスイングする事は出来ますが、残念ながら前に向ける事は出来ません。・・・まぁ、実機でも前に向けられないのが正解なのかなぁ。ライフルとレールガン、脇にどちらを装備してても常に発射可能な方が便利だと思うんですけどね。

 ところで、腰に接続するための突起が設定よりも銃身の後ろ寄りに付いてるのが、1/100の時から気になってたんですが・・・突起があまり前にあると、ライフルがワキの下に当たるからなんですね。装着位置から割り出せば、自然とキットの様な位置になってきます。

 MA−M02Gシュペールラケルタビームサーベルは、サイドスカート側面のホルダーから取り外し可能。1/100ではエグれた半球の後ろから差し込んで固定していましたが、今回は角穴と突起で固定されていて、真横から取り出します。ビーム刃はクリアーブルーの物が2本付属。劇中ではピンクなので、塗装してやる必要がありますね。

 MX2200ビームシールドは、展開状態のクリアーパーツが1枚付属。赤いシールド発生器を一旦取り外し、クリアーパーツに重ねて再度取り付ける方式は1/100と同様です。左右どちらの腕にも取り付けられますが、シールド発生器のパーツは、ちょっと取り外しにくいかな?



 MMI−M15Eクスフィアス3レール砲(レールガン)は、砲身にABSパーツを使用。設定通りに展開可能です。スイングの可動軸をサイドスカートユニットからはみ出した位置に配置してあるので、1/100よりも横に大きくハネ上げる事が出来ます。その代わりモモに密着しない配置になっていて腰幅が増し、腕がハの字に開いてしまいます。旧フリーダムも腰幅が広いデザインで腕を真下に下ろせませんでしたが、今回はサイドスカートを後ろに移動した時にパックパックと干渉するのを避けるため、サーベルが側面に付いてますもんね。ますます腰幅が広く、腕への干渉が大きくなっています。

 この辺はハイコンプロが上手くスリムにまとめてあってカッコイイですね。ボクも知人に見せてもらったんですが、腕との干渉がほとんど無い様でした。ただ、単純にハイコンプロと比べてプラモの出来を論じるのは避けたい所です。

 あちらはメイン素材がABSのためポリキャップの様な可動専門のパーツを省きやすく、塗装工程が許されているので色分け目的のパーツ割りも不要です。小型のため荷重の心配も少なく、ムクにもしやすいでしょう。接着剤で組み立ててある部分もある様で、ハメ込みピンを省けるメリットは大きいですもんね。こうして節約できた内部スペースを、全てギミックに利用出来る訳で・・・これ、本来はオモチャに無くてプラモに有ったメリットが大半なんですけど・・・。時代は変わりましたねぇ。

 EQFU−3Xスーパードラグーン機動兵装ウイングは、スライド金型を使ってドラグーンをワンパーツ成形。今回は切り欠きを使ったハメ込みではなく、厚み部分に切られたスリットのキツさでハメ込みます。塗装した後は、塗膜が剥がれるんじゃないかと心配ですが。ウイングにはスリットと噛み合う余剰部分が設けられていて、ドラグーンを外した後も細い印象になりません。この余剰部分にはエフェクトパーツの取り付け穴も用意されています。



 ドラグーンの射出シーンを再現するエフェクトパーツは、V字形をしたクリアーブルーのパーツです。根元をウイングに取り付け、先端にドラグーンを差し込む事で、2基同時に射出している様子を表現します。アサフレックス製なのか、お湯につけて温めれば曲げる事も可能。(って事は、ビームサーベルもカーブさせられるんですね。)2個付属してますから、4基のドラグーンを飛ばせます。

表裏が不揃いになりますが、2つのエフェクトパーツを片側だけに取り付ける事も可能です。エフェクトパーツは、無塗装でも厚みの変化や透け具合で、若干グラデーションがかかった様に見えてキレイです。

 せっかくなので8基全部射出してる様子を再現出来る様に、4個付属させて欲しかった所ですね。キット2体分使えば可能なので、友達に借りて試してみるのも良いと思います。・・・が!このテの武器は「一斉に」ではなく「次々に」射出するのがカッコイイんですよね。ほら、MGアッガイのミサイルの様に。エフェクトパーツの長さが均一では時間差が表現されていないため、臨場感がイマイチかも知れません。そう思って見ると、未射出の4基を残したキットの状態も、これから射出されそうな緊張感があって一層カッコ良く見えてきませんか?



 このキットに飾り台は付いていませんが、フンドシ下のフタパーツを取り外せばHG SEEDシリーズ用の飾り台に接続出来ます。ドラグーン射出シーンの再現にピッタリですが、もう一つ、ミーティアとの合体シーンを再現するのに丁度良い高さなんですよ。ストライクフリーダムの、と言うよりミーティアのプレイバリューが、新たに一つ加わった感じです。HGUCデンドロビウムも、合体寸前のポーズでステイメンを飾れる支柱なんかが付いてると良かったかも知れませんね。



 組立時間は1時間20分でした。1/100と作り比べた感想ですが、レールガンを後ろに移動させたモードを、HGの方がより重視しているのかな?なんて思いました。1/100では後ろに移動した場合、レールガンがほとんど動かず、脚の動きを制限しますが、HGではレールガンが大きく可動し、空中シーンでも大きく脚を動かしたポージングが可能です。レールガンを側面に回した時の腰幅が広いのも、ポージングを優先した、承知の上での設計かも知れませんね。

レールガンを後ろに回してロックせずにおけば、この位まで腰をヒネる事が可能です。

 ライフルを腰に装備した姿がスッキリしてカッコイイので、最近ではこちらを通常モードと考える様になりました。レールガンを含めた腰幅が広くても、あれが射撃時のみのポジションだと思えば気になりませんし。そして、レールガンがどちらの配置の時でも脚の可動を妨げないHGは、(付属はしてないものの)飾り台との相性が良好ですし、飾り台が初回版のみに付属した1/100は、空中シーンの再現よりも腰幅を抑える事を優先し、立ち姿の美しさを求めたのかも。



 ついでに、この移動ギミックの疑問点も一つ。ライフルを手に持ってる時の方が、サーベルを取りやすい配置になってるのが、ちょっと非効率的かな?と思います。(腰の後ろに装備してる機体は、いくらでも前例がありますけどね。)サーベルはウイング上端あたりに収納されてるとか、ビームシールドがサーベルを兼ねるなんて設定でも良かったかも。そんなバリエーション機を作ってみたい。そんな風に考えていた時期が俺にも(略)・・・いや、今でも思ってるんですけど。

   2005.10.22  健 竹史


 おまけ

 コレクションシリーズのストライクフリーダムも、軽く紹介しておきましょう。頭部はヘルメットを前後分割、顔は別パーツになっています。額のセンサーは、ちゃんとヒサシに埋没した形で分割。中央の赤い部分はシールで色分けに対応しています。



 ボディは、胸を紺、腹部を青で成形。ウエストは建て前上固定式ですが、回り止めの突起を切り取れば左右回転(しかも360度!)が可能になります。この辺はデスティニーガンダムと同じですね。



 腰は、レールガンの移動を差し替え式で再現。プレイバリュー的にはHGに劣りますが、可動ギミックを内蔵していないために腰とサイドスカートが密着してスキが無く、腰幅がスリムです。サイドスカートの位置も、ウエストと無関係なため設定通り、腰の横(HGよりも低め)で、腕を降ろした時の干渉が軽減しており、立ち姿が自然になっています。今回も「素立ちで飾るならコレクション」なのです。

HG(左)とコレクション(右)の比較。コレクションはウイングの先端をシャープにしてやると良さそうですね。長さが気にならない人は、カットするだけでも良いかも。肩はダブルボールジョイントで上下するので、極端な怒り肩にする事も出来ます。
どちらも、1/100で気になった「なで肩」の印象は無く、エリ内側と肩の関係も良好です。

 脚です。スネはふくらはぎ後部のエッジ部分に丁寧にスジ彫りを入れ、開閉式スラスターを表現。ここは必要以上に細か過ぎると判断されたのか、HGでは省略されています。HGよりも精密感があって、ボクは好きですね。足首は、コレクションでは初めて足裏モールドが再現されました。(まぁ、バクゥは置いといて・・・。)これは足裏のスラスター穴を利用した、簡易的な飾り台を利用するための例外的な仕様だと思いますが、やはり嬉しい事ですよね。クルブシの辺りはポリキャップを閉じ込めなくて良い分、HGよりもスリムになっていて、引き締まった印象です。



 肩アーマーはワンパーツ成形で、上面にパーティングラインが出ないのが有り難いですね。その代わり、腕前後のプレートは段差による表現となっています。(別パーツらしさが強調されて、悪くないと感じる人もおられるかも?)腕はゲンコツまで含めた2分割で、デスティニーの様な手首可動・交換ギミックは有りません。ダブルボールジョイントを利用して怒り肩にしてやると、力強くて良い感じです。

 バックパックです。前側のウイングはアームと一体。アーム基部が球体ポリキャップで可動します。後ろ側のウイングは、アームの先端に仕込んだ球体ポリキャップで可動。ハイマットモードの再現も可能ですが、閉じた状態で前後のウイングの角度を変えたポーズがボクのお気に入りです。軸可動の1/100やHGでは不可能な、広がりのあるポーズはカッコイイですよ。お試しを。

前後のウイングを平行でなく、ハの字に広げた状態。写真では分かりづらいかも知れませんが・・・。ポーズに制約がある一方で、球体関節独特の可動を見せてくれるのがこのシリーズの魅力の一つだと思います。

 武装は、高エネルギービームライフルが2丁付属します。連結は出来ませんが、サイドスカートを後ろに差し替えて、ライフルを腰にマウントする事は可能です。レールガンの展開は省略、ドラグーンの着脱も出来ません。ビームサーベルは、手には持てないものの、ホルダーごと回転が可能。定位置で回転を止める、ストッパーが仕込まれています。



 飾り台は、三角形の踏み台と言った方が正しいでしょうか。この上に立たせればツマ先がピンと伸びて、全然宙に浮いてないのに、浮いてる様に見えるという画期的なオマケパーツです。でもねぇ、天下のバンダイさんがこんな事するなんて・・・まるでどこかのインチキ模型サイトみたいじゃないですか(笑)。いやいや、模型は浮いてなくても、イマジネーションをかき立ててくれれば、それで良いのです。



 組立時間は20分でした。モモやスネのラインは丸みを帯び、腕は細く、肩アーマーに面取りが施してある等、HGよりも優しい造形になっていますね。足首が幅広なのが目に付きますが、全体の雰囲気は良い感じだと思います。この機体の、特にデザイン面に惹かれている方には、ぜひ組んでみて欲しいキットです。

2005.10.22 健 竹史


1/144 ストライクフリーダムガンダム
HG ストライクフリーダムガンダム
1/100 ストライクフリーダムガンダム
1/60 ストライクフリーダムガンダム ライトニングエディション
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