健さんの
プラモコラム

その142
 
HGグフイグナイテッドの巻

( HG 1/144 グフイグナイテッド/ バンダイ/
ZGMF−X2000 グフイグナイテッド ハイネ専用機
「機動戦士ガンダムSEEDデスティニー」に登場)



 ミゲルに続いて、2人目の西川君キャラの登場です。元々はハイネザクファントムで活躍する予定だったとか聞きました。急にグフに乗る事が決まって、コレクションを出さずにいきなりHGをリリースする事になったのかな?なんて想像してるんですが。何しろ退場した後の発売になってしまいますからね。



 劇中ではグフ特有の装備をひと通り使こなし、「ザクとは違うんだよ!」の名セリフも登場、ついでに追加装備無しで空を飛ぶ活躍ぶりは、グフフライトタイプを意識しての事でしょうか。せっかくだから、散り際にもそれらしいセリフが欲しかったですね。「自分の力で勝ったのではないぞ、レギュラー出演できないオレの多忙なスケジュールのおかげで(略)ついでにラル役VSラル役、バルトフェルドのムラサメとの対決なんかも見たかったなぁ・・・ハイネについて語るとキリがないので、そろそろ本題に入りましょう。

 頭部は、頭蓋の部分でヘルメットを分割。モノアイシールド動力パイプをハサミ込んで縦に重ねるパーツ構成です。一見すると動力パイプが邪魔で接着ラインを消しにくい様に見えますが、動力パイプパーツ(B32)の後頭部パイプ基部の、内側の抜け止め突起を切り取ると、簡単に後ハメ可能になります。クチバシはヘルメットと一体成形ですが、ホホの辺りの境界線(重なり)部分はクッキリと成形されています。



 モノアイ(ピンクの目)はシールで再現。モノアイシールドは残念ながら回転しませんが、これはザクと違って鋭角的な顔つき釣り目風のデザインによるものです。モノアイシールドのパーツは、釣り目のために傾いた形状をしています。パーツの傾斜と取り付け方向がズレているため、ちょっと組み立てにくい印象でした。指先に両面テープを貼って、指1本で持ってやると組み立てやすいと思いますよ。

 ボディです。フードは有りませんが、首を浮いた感じにしないために、首の周辺を一段低くしてあるデザインです。発想自体はザクウォーリアと同じですね。は二重関節で前後に可動。ウエストは胸と一体のため、いつもよりパーツ点数の少ない、シンプルな構成となっています。



 です。フロントスカートは左右一体で可動。抜け止めは付いていませんが、前後左右のパーツに保持されているので、切り離して左右独立可動させても大丈夫です。サイドスカートはザクウォーリア同様、動力パイプをヒンジとして利用。UCグフでは動力パイプがフンドシとバックパックを繋ぎ、スカート分割やウエスト可動の妨げとなっていましたが、今回は可動を考慮したデザインである事が分かります。フンドシ下面には、フタパーツに隠された謎の穴が!この穴も2005年仕様の一つなんでしょうか?!

 です。HGUCグフでは柔らかいラインに変更されてしまったモモですが、今回はエッジが立ってます。しかもエッジのラインをうねる様に変化させ、ただの鋭角的な形状ではなく、筋肉の緊張をイメージした様な、表情豊かなデザインですね。これ、グフモモの傑作だと思います。ヒザは後ハメ可能な二重関節となっています。



 スネは左右2分割。ヒザアーマーの黒い部分は別パーツ化してあります。スネ側面と後部にはスラスターを取付けますが、取付け面は一段引っ込んでいて、ちょっと組み立てにくい感じです。加えて、スラスターが丸い事もあって持ちにくいので、落として紛失しない様に注意しましょう。UCグフのイメージと大きく異なる様に見えるスネですが、スラスターの配置やスソの形状等、各部の特徴は似せてある様ですね。

 足首は、パーツを縦に重ねるおなじみの構成。足首関節はザクウォーリア等と同じ多重関節です。大きく踏ん張ったポーズの時には、関節を引き出してやると接地性が良くなりますよ。ジンザクウォーリアと違って足首アーマーが付いていないデザインなので、足の甲(の奥)がスカスカした様に感じてしまうかも知れません。ディオラマ等に固定して飾る人は、可動部が隠れる程度まで足の甲を作り足してやると良いと思います。(机の上に置いて見下ろす分には問題ありません。可動を損ねない様、無改造ストレート組みをオススメします。)



 肩アーマーは、肩ブロックを前後からハサミ込む構成。設定画を見た時には「側面がオープンになった肩アーマーなんて、イマイチ重厚さに欠けるかな?」と思ったんですが、腕が真横まで上がる様に配慮されたデザインなんですね。思えば歴代グフ肩アーマーの干渉をいかに軽減するかで苦労してきた訳ですが、今回はグフらしい大胆なポーズを難なく再現出来ます。過去のキットのウィークポイントを、デザイン段階から意識していたという事でしょう。

 です。筒状の上腕に関節カバー式のヒジと、腕自体の可動は従来と同じですが、肩関節には画期的な新ギミックが採用されています。ザクウォーリアに採用されたボール式肩関節と、UCザク等に使われているL字形の引き出し式関節をミックスしただけなんですが、これによって前に引き出した後で、さらに上下にヒネる事が可能になっています。パーツ点数はポリキャップを含めて2点と従来通り。ここまでシンプルだからこそ、HGに内蔵出来たんですね。



 前腕は、両腕の甲にM181SEドラウプニル4連装ビームガンを装備。前腕アーマーに前から差し込み、アーマーを前腕に固定するとビームガンが固定されて抜けなくなる仕組みが良いですね。前腕の内側には収納状態のスレイヤーウィップを取付けます。交換式の小さなパーツなので無くさないようにしましょう。こういった交換パーツは、100円ショップのチャック付収納袋に、キットごとに名前を書いて保管しておくと良いですよ。

 手首は、左右の穴開きゲンコツの他、スレイヤーウィップ用の右手が付属します。手の甲の端がカットしてあって真四角ではないんですが、スレイヤーウィップを自然に構えられる角度で造形されています。ビームソードを持たせる時にも使うと良いですよ。「突き」のポーズが自然に決まります。

ファーストガンダムの名場面を逆手に取って、こんなシーンが有っても良かったかな?なんて思います。この直後、フリーダムの行動を阻止しようと飛び立ったグフに、逆上したガイアが背後から襲いかかる!・・・なんて流れの方が、ボクとしては盛り上がったかなー?なんて思うんですが。

ところでハイネは本当に戦死してしまったんでしょうか?説明書では「享年21歳」と書いてありますが、ご好評につき当時19歳だった事にして・・・ま、そんな事しなくても3人目の西川君キャラを用意した方が盛り上がるかな。(笑)

 バックパックは、ウイング展開式のフライトユニットになっています。主翼と垂直翼の可動を一直線上で行うため、軸には金属シャフトを使用。昔は「ハンマーで叩いて取り付けます」なんて説明が有ったもんですが、今回はシャフト取付け用の冶具が付属します。まぁ使わなくても簡単に組めてしまいましたが、今後シンチュウ線を扱う時にも役立つと思うので、捨てずに取っておくと良いでしょう。

 主翼は、2パーツ貼り合わせで厚みを再現。後ろに行くほど厚みが増して、後部にはノズルが付いています。ウイング兼スラスターユニットという感じですね。畳んだ状態から展開出来るだけでなく、コレクションシリーズ用の球体ポリキャップで基部がグリグリ可動します。飛ぶ方向によって向きを変えても良いでしょう。垂直翼は、定位置で固定できる様ロック機構が付いています。テールスラスターはポリキャップで可動。取付け部のピンの先端が白いと目立つので、黒で塗ってやると良いと思います。



比較用にHGUCグフも紹介しておきましょう。HGUCシリーズの中でも初期の部類に入り、劇中イメージの再現よりも、「どうアレンジするか」に比重が置かれていた頃のキットです。胸板の構成やエッジの尖っていないモモなどは、HGグフカスタムと並べて違和感のない様にデザインされた物なのかな?動かないのに分割したデザインで処理されているスカートなんかもそうですね。

シールド・ヒートサーベル・ヒートロッド(形状は2種類)・ザクマシンガンと、武装も豊富で800円はお買い得。ただ、ヒートサーベルは2本付けて欲しかったですね。シールドに収納してる時に発光してるのは危ないですから。

 武装です。MMI−558テンペストビームソードは、使用状態収納状態の物が1本ずつ付属。収納状態の物は、設定通りシールド裏に収めておく事が可能です。使用状態の物はクリアー成形のビーム刃をセット出来ますが、例によってクリアーパーツが若干長めのため、弓なりにカーブしてしまいます。

 そこで、試しにツバの上にあるビーム発生器の取付穴の、端の方をちょっと切り欠いてやりました。これでビーム刃がカーブせずに取付けられる様になりましたが、品質のバラつきが無いとも言えませんから、試される方は実際に取付けてみた後で、少しずつ切り欠いていくと良いでしょう。また、今回は収納状態の剣が別に付属するのでさほど気にならないと思って切り欠いてみた訳ですが、使用・収納状態が兼用の場合(シグーディープアームズ等)には、外観を損ねない、別の方法で解決したいですね。

 MA−M757スレイヤーウィップは、前腕から収納状態のパーツを取り外し、クリア成形された使用状態のパーツと交換してやります。これはビーム兵器ではありませんが、高周波による超振動を発している時の発光(え?光るの?!演出効果なのかも知れませんね)をイメージした物です。



HGグフカスタムは、HGUCシリーズ開始のきっかけにもなった傑作キットです。左右分割が当然だった頭部や足首を、縦に積み重ねるパーツ構成で接着ラインを解消、この頃か少し前からキツめに調整され始めていた関節も、左手の重武装を軽々持ち上げてヘタらない保持力を見せつけたこのキットで完成の域に達した(あるいはユーザーが強く意識した)様な気がします。

また、活躍シーンに恵まれた事も良かったんでしょうね。「第08MS小隊」第10話発売直後の大騒ぎ(ボクは「10話だけでも見ろ!」なんて言われました)は、今も良く覚えています。

ヒジに関節カバーが無いなど、まだ規格が未完成な点もありますが、ガンプラの歴史を語る上で欠かせないキットです。バリエーションキットの「グフフライトタイプ」もオススメ。共通部分と機能特化部分を明確にしたデザイン(実はプラモ的にも都合が良い訳で)は、SEED−MSVにも受け継がれています。

 使用状態スレイヤーウィップは2種類付属。まっすぐ伸びた物と「し」の字に曲がった物が付属するのは1/100グフ以来の伝統であります。(1/144でも昔、ドライヤーで温めて伸ばした記憶があります。やってみたい方は、ドライヤーの取扱いには十分注意の事。)スレイヤーウィップは両手に装備していますが、対応する手首が右手しか用意されていない事と、ハメ込み用の突起の位置の都合から、左側を使用状態にするのは難しそうですね。

 シールドは、シールド本体・スパイク2本・裏面の4パーツ構成。グリップは裏面パーツと一体成形されていて、起こす事は出来ません。腕へのマウントは、手の甲アーマーのハードポイントを利用します。シールド裏はソードホルダーになっていて、収納状態のテンペストを収めておく事が出来ます。シールドはオレンジで成形されていますが、指定色はホワイトとブラウン。多色成形ランナー内に収まらなかったら、装備品から犠牲になるのがザフトの掟です(泣)。

HGUCグフ(左)と「第08MS小隊」のグフカスタム(右)との比較。いずれも強さと散り際が印象的だった「漢」の機体。イグナイテッドは、若干コンパクトです。

 今回の目玉、飾り台です。いや、物がグフだけに「土台」と呼びましょうか(笑)?角度の異なる2種類の支柱と、支柱の延長パーツが付属し、好みの高さ、好みの角度で飾れるスグレモノです。まぁ好みの角度と言っても、垂直方向と、かなり横になった角度(20度くらいかな?)の2種類しか選べませんが。もし延長パーツに角度が付けてあれば、前後逆にセットする等して、もっと色んな角度が作り出せたかも知れませんね。



 ちなみにランナーには「グフ」とは一言も書いてなく、「ベース1」という名前が付いています。今後のキットにも使える様に配慮してあるんですね。20度くらいの支柱の方はMA等に適した角度にも思えますし(バビ発売希望!)。また、支柱の取付け穴が前後2箇所用意されたベースは、今のところは「好みで前後どちらでも支柱を取付けられます」といった使い道しかありませんが、例えば分離したバウの様な、関連のある2機を同時にディスプレイする事も可能でしょう。



前傾した支柱の使い道としては、上の様な突撃ポーズや横っ飛びの再現が考えられるでしょう。早く「飾り台の付いた」対戦相手を発売して欲しいものですね。

 組立時間は1時間10分でした。優れた肩関節、設定画の色にとらわれない発光イメージの表現、プレイバリューの高い飾り台と、見どころ満載のキットでしたね。しかも一回限りの目新しさではなく、今後に活かせそうな内容が多い気がします。今回の仕様が好評ならば、今後のキットにも反映されて「2005年仕様」になっていくんじゃないですかね。思えばHGUCシリーズのスタートにつながったのも、グフカスタムの成功でしたっけ。始まりはいつもグフ、「これまでとは違うのだよ!」なのです。


 おまけ

 1/100でもようやく登場した緑ザク(商品名ガナーザクウォーリア+ブレイズウィザード&ガナーウィザード)を軽く紹介しておきましょう。内容的には、ルナマリア機としてすでに発売されているザクウォーリアの成形色を一般機カラーに変更し、2種類のウィザードをセットした物です。ガナー装備はディアッカの愛機、ブレイズ装備はアスランがユニウスセブンの破砕作業に向かった時に搭乗しましたね。もっとも、画面に登場していない多くのザフト兵が、作戦によってウィザードを交換して出撃しているハズなのですが。





 オマケのキャラクタープレートも、アスランディアッカが付属する豪華仕様・・・なんですが、あくまで既存のランナーの範囲内でのセット構成のため、2枚のキャラクタープレートに対して飾り台は1個のみ。同時に飾れないのが残念ですね。

 どうでもいい事ですが、ルナマリア機が2300円、今回のセットが3000円、差額が700円である事から、ブレイズウィザードは700円とみて良いのかな?キャラクタープレートをタダと見るかどうかで違ってきますが、一応サービスだと考えて、

ザクウォーリア  1800円
ザクファントム  1900円
ガナーウィザード  500円
ブレイズウィザード 700円

くらいの配分なのかな?と予想してみました。まぁザク本体を単品売りするなら2000円以下にはならないでしょうけど、そこはセットでお得なバリュー価格って事で。





 いずれイザーク機も発売されると思いますが、ユニウスセブン落下事件での再会シーンを再現するためにも、2000円でウィザード無しの一般機を発売して欲しいと思うんですが、どうでしょうか?

2005.5.31 健 竹史

HG グフ イグナイテッド
HGUC グフ
1/144 MS-07B3 グフカスタム
1/144 グフ フライトTYPE
MG グフ(ゲームカラー)
MG グフカスタムMS-07B-3
EXTENDED MIA グフ
MIA グフカスタム
機動戦士ガンダム 第08MS小隊 Vol.04

RAY OF LIGHT DEFROCK 2005/西川貴教
T.M.Revolution写真集「SEVENTH HEAVEN」
西川貴教のとなりの芝生
T.M.R大事典
T.M.Revolution ・coordinate
T.M.Revolution ・vertical infinity

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
/ピアノソナタ第17番「テンペスト」

テンペスト(DVD)
ちょーテンペスト  コバルト文庫

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