健さんの
プラモコラム

その141
 
HGアビスガンダムの巻

( HG 1/144 アビスガンダム/ バンダイ/
ZGMF−X31S アビスガンダム
「機動戦士ガンダムSEEDデスティニー」に登場)



 偶然なのかどうなのか、クインマンサザクファントムと、両肩にシールドを装備したボリューム満点MSの特集が続いていますね。そして今後は、飾り台モノ(フライングアーマー)、アルマジロ変形(アッシマー)と、ちょっぴり似ている豪華キットが続きます。なんだか、みんなでアビス発売を盛り上げてる感じですね。って言うか・・・引退の見送り?(泣)とにかく5大ガンダムのトリを飾る優良キット、さっそく本題に移りましょう。(誰です?水中モノの前座だなんて言ってるのは?!)



 頭部は、目からアゴまで一体になった赤いパーツにマスクを取り付け、前後分割のヘルメットでハサミ込む構成。アンテナは、ひょっとしたら長過ぎたかも知れませんね。普段はアンテナが長い方がカッコイイんじゃないかと思ってるんですが、アビスの場合は頭頂部カメラとアンテナが、三つ又槍のイメージでデザインされてると思うので。アンテナを短くしてもカッコ良くなるか自信は有りませんが、マラサイの様に軟質樹脂を使ってシャープに成形してあっても良かったかも。なにしろ黄色いパーツはアンテナだけですから。(トサカを長めにしても良かったかな?)

 マスク部分は、キットを見ると男前なんですが、完成見本の写真(特に説明書の表紙)では、ずいぶん馬ヅラに見えますね。写真ではマスク上端から目のフチまでの厚みが目立たず、マスクの上下幅にプラスされて見えてしまってるんじゃないでしょうか?マスクの上端に段差かスジ彫りを設けて、エッジを強調してやると良かったかも。塗装でエッジを目立たせる事が出来れば、印象を変える事が出来るかな?



 ボディは、前後分割のウエストを前後分割の胸パーツでハサミ込む、スタンダードな構成。胸中央のMGX−2235カリドゥス複装ビーム砲と、胸左右のダクトは赤で成形されています。カリドゥスは内側が赤、外側が黄色の指定なんですが、外側はシールで色分けしやすいため、赤で成形するのがベターと判断されたみたいですね。(コレクションシリーズのアビスでは黄色で成形されています。こちらは色数の都合でしょう。)

 です。フンドシは上部の赤い部分をパーツ分けしてあります。ここがインテイクで、フンドシ全体が水流ジェットエンジンになっているんでしょうね、多分。サイドスカートはポリキャップで可動。ここも水流ジェットエンジンでしょうか。横にしか動かない様に見えますが、前後にも大きく可動します。

大陸間航行ブースター(水中モーター?)を切り離し、シールドを展開して、遂にその姿を現すアビス!(ここで、舞い散るウロコのイメージ映像:笑)・・・みたいなシチュエーションで。(注:劇中にそんなシーンは登場しません)

 です。モモはいつも通りの左右分割に加えて、上からカバーを取り付けてあります。フロントスカートの代わりの装甲という事なんでしょうね。モモは丸みを帯びたシルエットで、ナマ足の様な印象。ガイアガンダムと違って、変形の都合と関係なくフロントスカートを廃してあるのは「ヨロイは着てても脚はムキ出し」という、古代ギリシャあたりの戦士のイメージなんでしょうか?(よく見ると、Gガンダムに出てきてもおかしくないデザインですね。)

 ヒザは、後ハメが可能な二重関節。スネヒザアーマーを別パーツ化してあります。後部の水流ジェット(?)のノズル内部は、奥の部分に接着ラインが見えない様、端に寄せてパーツを分割してあります。

 ところでスネのデザインは、ZZの様に、前面の装甲が独立した構成になってるんですね。キットでも、側面と前面の装甲が重なって接している様に造形されています。この辺の表現はコレクションアビスよりも丁寧になっていますね。設定ではスネの幅があまり末広がりになっていないんですが、可動の都合を考えるとクルブシの辺りをふくらませてあるのは、仕方ない事かも知れません。

ボルテッカ〜!!

 足首は、インパルス等と同様の機構でツマ先を折り畳む事が可能。今回はツマ先が変形するガンダムが多く、足首部分に同時開発されたシリーズの共通性が表れている・・・のかな?前作のストライク・デュエル・バスターの足首ほどの共通性は有りませんけどね。汎用性の高いインパルスの足裏は接地圧を意識してか少々幅広で、カオス・セイバー・アビスの足裏は、空気(水)抵抗に配慮したのか、若干狭く(3機ほぼ共通)なっています。

 肩アーマーは、上腕の前後からハサミ込むスタンダードな構成。でもワキの下(ボディに接する面)にも壁を設けているのは久々じゃないでしょうか?この面に穴を開けて肩関節軸を通し、肩アーマーがシールドの重さに負けて垂れ下がらない様にしてあるんですね。これで肩アーマーの向きを調節出来なくなった代わりに、肩関節軸を斜め上に向けてあるので、ほど良い感じの怒り肩になっています。

 です。上腕・前腕とも円筒形のデザインですが、ここもモモと同様、ムキ出しの腕をイメージしてあるんでしょうか?水中でビームランスを使うためにも、水の抵抗が少なくて良さそうです。上腕はヒジの上でヒネる事が可能。前腕はニ分割でハードポイントも無く、ものすごくあっさりしています。改造の素体や流用パーツにピッタリ?!



 手首は、左右とも穴開きゲンコツが付属します。ビームランスを斜めに持てる様なゲンコツが、オマケに付いてたら嬉しかったかも。何しろランス以外の装備を持ってませんから、せめて構え方にバリエーションが欲しかったと思う訳です。

 バックパックは左右ニ分割で、スペーサーをかまして背中から少し浮いた位置に配置されています。M107バラエーナ改2連装ビーム砲は、青いパーツを白いパーツでハサミ込んで色分け。ここは簡単に後ハメ加工出来ると思います。砲口後部のグレーのパーツも別パーツになっています。

 バラエーナ改の回転軸はバックパック側に設けてあり、砲身の中にABSの軸受けが仕込んであります。バックパックはMA時の顔の様にも見えますが、シールで色分けする黒いラインはカメラになってるんでしょうか?バラエーナ改の回転軸基部が太く、黒いラインに大きく重なっていますが、設定では軸の前半分だけが重なっています。もし黒いラインがカメラだと解釈するなら、バラエーナ改との位置関係は、もう少しズラして重ならない様にしてあると良かったでしょうね。改造したい人は、軸を移動せずにラインの位置を前に変更し、小顔にしてやるのもテですよ。

 両肩のシールドはボリューム満点で、ものすごい迫力。MS形態の設定画と比べるとオーバーな印象を受けますが、MA形態のボリューム感に合わせると、この位のサイズは必要な様です。機首部分が若干縦長に感じるのも、設定画とアニメイメージの頭身の違いの影響が有るでしょうし、もアニメの方が長めに描かれる傾向がありますからね。



 シールドと肩を接続するアームは、基部がABS、シールド側がポリキャップで可動します。回転出来るのは肩側のみ。シールド側でも回転出来ればさらに変化のある動きが楽しめるんでしょうけど、変形時の位置合わせが難しくなるので妥当な判断だろうと思います。形状的には前後左右とも対称だろうと思うんですが、左側にはMA時に位置合わせに使うジョイントが仕込まれています。

 シールド先端のM68連装砲は、それぞれワンパーツで成形。スライド金型を使って、砲口にはちゃんと穴が開いています。

 シールド表面にはMMI−TT101Mk9高速誘導魚雷(の発射管)が有ります。キットでは裏面に何も無いのが丸見えですが、設定ではさりげなく装甲の厚みを変化させ、設置スペースを確保しています。線を増やさず解決してあり、アニメーターに優しいデザインなのです(笑)。こだわる人は少ないと思いますが、固定ポーズで一斉射撃を再現したい人は、手を加えてやっても良いでしょう。何しろ発射管のクボミが、そのまま裏面にコブとして出てますからね。見栄えが違ってくると思いますよ。

HG(上)とコレクション(下)の、ビームランスの比較。・・・と言うよりも、ジョイントの位置に注目。良く考えられた設定です。

 手持ちの武装は、MX−RQB516ビームランスが付属。これも目標に到達するまではMA形態の下面に固定して携行します。固定武装で勝負するのは水中MSの伝統なのであります。ビーム刃は着脱式で、クリアー成形された物が付属。MA時に使う固定用ジョイントは、手に持つ時には移動して、実刃を支える留め具になりすましています(笑)。良く考えてありますよね。

 MAへの変形です。シールド内側のパーツ(MA−X223E 3連装ビーム砲)を取り外し、シールドを閉じて頭と腕をガード。バラエーナ改を前に向け、ツマ先を閉じて、機体下面(フンドシ前部)にビームランスをマウントすれば完成です。簡単な変形ですが(簡単なほど兵器として優れてます)、武装と推進装置(ヒザから下)以外は全て流線型のシールド内に収納、抵抗の少なさはアッシマー以上でしょうか?実に合理的です。ビームランスのトゲが額に近すぎて、ちょっとコワイですけどね。



 今回は、MA形態でディスプレイ出来る飾り台も付属しています。支柱のてっぺんがビームランスとフンドシの形状に合わせた形になっていて、上から置く様にセット。取り付け穴を使わないのでモデルの外観を損ないません。

 欲を言えば、取り外した3連装ビーム砲のパーツを飾り台に固定出来たら良かったかも。ついでに、MS時にはシールド内のスキマに収納出来るよう、分解式の飾り台だったら良かったのに。あー、いっそ3連装ビーム砲が変形して飾り台になれば良かったのか(無茶苦茶)。設定では3連装ビーム砲は押し込まれる様に引っ込み、腕の収納スペースが確保される様です。



 ところでバックパック(MAの頭)は、キットでは固定されていますが、戦車の砲塔の様に旋回しても良いんじゃないでしょうか?って言うか、そのつもりでデザインしてあるのかも知れません。フラットなMA形態を見ていると、ほぼ全身を水面下に隠し、頭だけを水上に出して、敵艦の横をかすめては次々とバラエーナ改を命中させていく、そんな戦法も可能だろうと思います。

 組立時間は1時間5分でした。ボリュームが有りながらも本体はスマートで軽快感があり、槍1本での接近戦からシールドを展開しての一斉射撃、さらに変形と、いろんなイメージ・いろんなシチュエーションが楽しめるキットです。出番が少ないまま退場してしまったのが残念ですが・・・いやいや、海底に消えたかと思ってたら、ポセイドン様に助けられ、今度は海闘士として再登場!なんて事が・・・ないか。でもアウル君、鱗衣姿も似合いそうですけど?(笑)

MA形態を下から見ると、こんな感じです。ビームランスのトゲが額に刺さってる様にも見え、大魔神を連想してしまいます。

 ところでこのキット、バックパックの真ん中にナゾのオリジナルディテールが追加されてるんですが、これは通信装置潜望鏡でしょうか?前作では宇宙で無音航行(?)やったりしたスタッフですから、派手な水中戦以外にも、潜水艦っぽく息を潜めて戦う様なシーンも盛り込んであると良かったかも知れませんね。


 おまけ

 発売からずいぶん経ってしまいましたが、コレクションシリーズのアビスガンダムも紹介しておきましょう。頭部は、頭頂部カメラが別パーツ化されていないため、成形方向の都合で側面ディテールが省略されていますが、大きくイメージを損ねる物ではないと思います。ボディは、肩からスカートまでが一体になった前後パーツの間にウエストパーツをハサミ込む構成。カリドゥス複装ビーム砲は黄色で成形されていて、塗装派にとってはHGよりも塗りやすいと思います。



 フンドシ上部のインテークは、内側にディテールが入っている分、HGよりも凝った印象になっています。実際はテーパーの制約で影になる部分をごまかす目的のアレンジなんだろうと思いますが、フンドシ上部の後ろ半分だけをインテークとする造形です。フンドシの前部はビームランスのマウント機構が仕込んであるハズなので、辻褄は合ってますね。って言うか、こっちの方がカッコイイと思います。

 は、モモ上部のカバーの幅が、HGに比べて広いのが特徴。設定画を見る限り、どちらが正解とも受け取れますし、HGの幅が狭いのは上から被せた時の固定の都合なのかも知れないと思うんですが・・・ボク的にはHGの方がカッコイイかな?と思います。



 足首はワンパーツ成形で、やはり足裏パターンを模した補強が入っています。足首メカ部には、HGには有ったシリンダーの表現が施されておらず、「コレクションインパルスにも有ったんだから付ければいいのに・・・」と思ったんですが、設定を見ると描かれていないんですね。つまりHGのシリンダー表現はオリジナルだし、インパルスの場合は設定に有ったから再現してあると。水圧や水流の中で最高性能を出し切るには、メカニック部分にカバーが必要だろうという区別がなされたデザインなのかも知れません。



 は、ヒジ関節が細いため前腕のふくらみが一層たくましく見え、可動のためのスキマが無い事が機密性が高い様な印象を与えます。動かない代わりに見栄えが良いのは毎度の事ですが、水中戦&肉体美のアビスには、いつも以上にプラスに働いてるかも知れません。肩アーマーも、シールド基部の可動を簡素化した分、半球がHGよりもキレイな形になり、より設定に近い外観に仕上がっています。強奪されたので忘れがちですが、ザクのシールドシステムから発展した物なんでしょうね、きっと。

 シールドは前後貼り合せ式で、別パーツ化されてはいませんが3連装ビーム砲もキチンと再現。HGに比べてずいぶん小さいシールドですが、他のガンダムと並べて均等のバランスに見えるのは、こちらのキットの方でしょうね。(HGだと、アビスが親分みたいです。)ただし、MA形態ではボリューム不足で、脚が目立ってしまいます。ディテールの違いを見ると、シールド中央のスジ彫りが斜めになっているコレクションはMS設定画準拠、スジ彫りが水平になっているHGはMA準拠。ボリューム感の違いも、設定画の印象の違いを反映した物と言えるでしょう。

バックパックを砲塔に見立てて旋回させると、こんな感じ。2本あるハメ込みピンのうち、1本だけを使って再現してみました。(キットは回転しません。)それから、飾り台はHGから拝借した物で、このキットに飾り台は付属しません。

 バックパックはワンパーツ成形のため、中心線のエッジがキレイですね。成形方向も上下からになるため、スラスター(?)のモールドもHGよりシャープです。バラエーナ改の可動軸が、コブになった様な付き方をしていて妙な印象を受けるかも知れませんが、位置関係はHGとほとんど同じです。黒いラインのモールドが埋まってしまわない様に配慮した造形なんでしょうね。MAへの変形をあきらめて立ち姿を重視したい人は、この可動軸を斜め下に移植してやると良いでしょう。根元が途切れているので、切り離し工作はHGよりも楽だろうと思います。

 武装です。背中のバラエーナ改はずいぶん薄い印象ですが、HGは軸受けを仕込む都合で厚くなり過ぎてる感じもします。幅増し工作を行いたいという人は、HGではなく設定画と見比べると良いと思います。ビームランスは、ビーム刃の着脱が可能。ビーム刃はHGよりも若干小さめですが、ランス自体はHGと同等のサイズとなっています。ランスの下端は、手に通しやすいよう程々の太さにとどめてあります。マウント用のジョイントは可動せず、MA状態に合わせた位置で一体成形されています。

トランスフォーマーシリーズの「スカージ」。アビスのプラモを見てると、もっとなめらかな曲面でデザインされた、ウイングの大きなスカージを見てみたいなぁ〜、なんて思ってしまうのです。(写真のスカージは、窓際に飾っていたので日光で変色してしまっています。残念!)

 MAへの変形は、腕を取り外してシールドを肩関節軸に直接取り付けてやります。頭部を取り外す指示がありますが、外さなくても変形は可能です。うっかりアンテナを折らないための用心でしょう。飾り台は付属しませんが、HGの飾り台がそのまま使えます。やはりここは2つとも買って、MSとMAを並べて飾ると良いでしょう。それに、複数並んでいるとトランスフォーマーのスカージ(とスウィープス軍団)みたいでイイんですよ(笑)。組立時間は15分程度でした。

2005.5.18 健 竹史

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