健さんの
プラモコラム

その140
 
1/400クインマンサの巻

( 1/400 クインマンサ/ バンダイ/
NZ−000 クイン・マンサ「機動戦士ガンダムZZ」に登場)



 1/400ミーティアから1年数ヶ月、再びガンダムコレクションに大物の登場です。しかもよりガンコレらしい新機軸「塗装済組立キット」として。ゴールデンウィークに実家で組んで来たんですが、母が昔「プラモデルに、最初から色が付いていたらいいのにね」と言っていたのを思い出して、見せてやりました。母上侮り難し!直接のユーザーからだけでなく、親御さんの意見やアイデアを集めるのも大事なのかなー?なんて、改めて思いましたね。こんな商品形態が、これから増えていくのかも?では、キットに目を通していきましょう。



 まずは組む前に、ランナー状態でカラフルなパーツを見て楽しみます。組んだら二度と楽しめないので、二週間くらいは眺めておくと良いでしょう。(前の原稿が書き進まずに組むのが遅くなったとか、決してそんな事ではないんですよ:汗)各ランナーは元々大きな1枚のランナーだったと思われますが、分業して効率良く塗装するために、数パーツごとの小さいランナーに切って分割してあります。黄色と赤は全て塗装による再現で、意外にも多色成形ランナーはありません。せっかくの塗装面を傷つけない様に、一部のパーツはアンダーゲートを採用しています。



参考までに、一部のパーツをランナー状態で紹介します。もちろん、塗装されていないランナーも有ります。

 続いて組んだ状態を。頭部塩化ビニールのワンパーツ。アンテナと一体のオデコパーツを取り付ければ完成です。オデコも塩ビ製ですが、ハメ込みピンはしっかり太めに作ってあるので、ヨレる事もなくスムーズにハメ込む事が出来ます。はボールジョイントで、ボール径はSEEDのコレクションシリーズとほぼ同じ。HGシリーズにも(キツさが異なりますが)フィットします。首だけで単独飛行が出来るという設定なので、飾り台を作っても良いかも〜。(カッコイイとも思えませんが:笑)

 ボディです。首から肩までの関節はABSのワンパーツで、1/144Vガンダムのフレーム構造を連想させます。可動と関係ないフレームのメイン部分は、スライド金型を使った塩ビ製の一体パーツ。素材の使い分けが上手いですね。小スケールながら、装甲やユニットの重なりが丁寧に再現されていて、密度感は十分に表現出来ていると思います。

 肩からバインダーへ繋がるケーブルは首の外装と一体の塩ビパーツで、組み立てやすくなっています。ワキの下のケーブルは胸の装甲に固定し、背中の装甲に差し込みます。外れ難さと組み立て易さのバランスが、上手く取れてる感じですね。細めのラジオペンチが有ると、組み立てが簡単になりますよ。



 背中のファンネルコンテナは上下2パーツを貼り合せ、2基のメガ粒子砲を取り付ける構成。メガ粒子砲はスライド金型でワンパーツ成形してあります。コンテナ上面にネオジオンマークがタンポ印刷してあるのが、いかにもガンコレといった感じですね。全塗装したい人のために、デカールが付属しても良かったかも知れません。裏面は特にディテールが密集している部分なので、スミ入れしてやると見栄えが良くなるでしょう。

 です。ウエストはボールジョイントで可動。フンドシはABS製で、左右分割のパンツ(?)でハサミ込んでやる構成です。フンドシ下には飾り台取付け用の穴が設けてあり、宙に浮いた状態でのディスプレイが可能。股関節周辺の白い部分は、完成後はあまり目立たなくなるんですが、しっかり塗り分けてあります。

 ファンネルコンテナリアスカートは可動式ですが、倒した時にこの2つが密着する様に設計してあるのが、なかなか芸コマ。展開状態ではかさばるデザインに見えますが、待機状態がコンパクトに収まる事で説得力が増していると思います。



 は、モモとスネに1本モノのフレームが内蔵されています。ヒザは二重可動ではなく、モモフレームとスネフレームを単純に組み合わせた関節。ヒザメカは塩ビ製で、複雑な形状はスライド金型を使ってワンパーツ成形してあり、モモの後ろからハメ込みます。この発想が、HGオーラバトラーの頃に有ったらなぁ・・・塩ビの外装パーツに左右の押さえの役目を持たせる事で、簡素で頑丈な関節を実現出来てる感じなんですよ。試しにもう1アイテム、サーバインあたりをこの仕組みでキット化してくれませんかねぇ。

 モモは左右分割で、ヒザアーマーをハサミ込んでの組み立てとなっています。前面のスジ彫りはパーツの分割ラインになっていて、つまり組立前はパーツの端になってる訳なんですが、こんな所までスミ入れしてあります。股関節のメカ部分は、筒状の軸受けに塩ビの球体パーツを被せる事で、自然な形と十分な保持力を実現しています。

 スネは、前面の外装をスライド金型でワンパーツ成形。ヒザ上面に分割ラインが通らないし、ハメ込みピンが減る分、内部のスペースも広く使えます。この成形方法なら、ガ・ゾウムのスネアーマーなんかもカッコ良い物が出来るんじゃないかな?後部と左右のスラスターは、奥にディテールを追加して密度感を高めてあります。外側スラスターの偏向板は、実機では可動するんでしょうね。アーマー類のフチを薄く削ってリアルに見せる工作は良く行われますが、特にこの偏向板はディテールの細かいスラスターのすぐ横にあるので、ディテールアップ効果が高いと思います。

 足首は、足裏・足の甲・関節メカ部を縦に重ねる構成。と言ってしまうと普段と変わらない様に思えますが、関節メカ部がワンパーツ成形で、幅のキツさを利用してボールジョイントの軸受けを兼ねているのがミソですね。狭くてポリキャップが入らない代わりに、パーツの小ささを利用してます。足裏は丁寧に塗り分け、ツメの内側のディテールも、パーツ分割を利用して再現する等なかなか芸コマ。側面のディテールが甘くなっているので、こだわる人は手を加えてやると良いでしょう。



 肩ブロックは、バインダーを支えるアームがそのまま肩関節軸につながっています。上腕は肩関節軸につながっておらず、前後分割の肩ブロックで保持される仕組み。腕よりもバインダーの方をしっかり支えないといけないという、荷重の問題を意識した設計と言えそうです。完成した後は、腕と肩がつながって見えますし、バインダーのアームも根元で動きそうなんですけどね。良く考えてあると思います。

 です。上腕はワンパーツ成形で、横にしか上がらない仕組みです。ヒジはボールジョイントで接続。軸関節を仕込むスペースが無いほど、腕が細いんですよね。ボール可動の場合ヒジを大きく曲げる事は出来ませんが、前腕をヒネれるメリットが有りますから、細やかな表情が付けられて面白いと思います。腕のメガ粒子砲は手首の軸受けと一体で成形。塗装で色分けしてあるのでパーツを一体化する事が出来、組み立てやすくなってる部分の一例ですね。

 手首は塩ビ製で、左右とも平手・握り手・サーベルと一体の手が付属します。通常のガンプラよりもリアルで良いかも?Vガンダムの武器セットや1/144エンドレスワルツシリーズにはポリ製のリアルな手首が付属してましたけど、塩ビはポリよりも塗装・加工が容易です。今後、塩ビを部分的に使ったプラモが、もっと一般的になっていっても良いかも知れません。

 バインダーは、ワンパーツ成形の本体に、半球形のメガ粒子偏向器・先端のスラスター・内部メカを組みつける構成。裏面やダクトのスキマは黒で塗ってあり、巨大感を感じさせるのに一役買っています。説明書の完成見本は装甲裏が黒で塗装されていませんが、開発段階で、より凝った仕様に改められたのかも?(ぜひ製品版と印象を比べて下さい。)尖った部分には安全突起が付いています。削り落としても良いですが、翼端灯に見えなくもないですね(笑)。



 飾り台は、コーナーをカットした三角形っぽいベースと、支柱の組み合わせです。黒で成形してあって裏面に機体名とシリーズナンバーが入っている、ガンコレの約束をキチンと守っているんですねぇ〜。裏面を一週する様に6箇所の丸い跡があるんですが、これは型の中で成形する時に・・・って、鑑定団の中島誠之助先生が茶碗の裏側を解説されてるのを、ちょっとマネしてみたりして(笑)。立たせて飾る人は、支柱を外せば箱に収納しやすくなります。ABS製なので着脱もスムーズですし。・・・箱も大事になさって下さい。(もういいって。)

 武装は、ビームサーベルが付属します。バインダーの内側に装備されていますが、狭くて着脱しにくい感じ。手に持ったシーンを再現する場合でも、バインダー内のサーベルは付けたままにしておくのが楽で良いかも知れません。見えにくいので、そんなに気にならないと思います。切り取ったゲート跡(グリップの下端)が無塗装になってしまって目立つので、黄色で塗ってやると見栄えが良くなります。

 手に装備させる場合は、サーベルとビーム刃まで一体になった手首に交換してやります。これはクリアで成形しておいてから手首とグリップを塗装した塩ビパーツで、握った指の感じもなかなかリアル。特に、ワンパーツなのにクッキリしている親指の先なんかは、塩ビパーツならではという感じですね。

 武器ではありませんが、腕のメガ粒子砲発射の瞬間(発射されたビーム)を再現したエフェクト(演出効果)パーツも付属します。元々ガンダムコレクションは躍動感のあるポーズで造形されたシリーズですから、可動モデルになっても「一瞬を切り取った」演出もアリでしょう。こんなサービスは大歓迎です。



 オマケに、同スケールのフルアーマーZZが付属します。こちらは通常のガンダムコレクションと同じ塩化ビニール製のフィギュアで、ツマ先を伸ばして宙に浮いたポーズとなっています。1/400ミーティアの時に「せっかく支柱付きのスタンドが有るのだから、付属ガンダムの足首も宙に浮いたポーズにした方が・・・」と思ったものですが、今回それが実現した訳ですね。右腕にはダブルビームライフルを装備(マウント)しています。右肩関節は可動出来るので、射撃ポーズも再現出来ますよ。

 ところで、ZZのビームサーベル、グリップの長さがクインマンサの物よりちょっと小さいだけですね。たぶん刃渡り長さも大差無いと思います。ZZの怪物ぶりを再認識・・・。腕に覚えのある人は、改造してチャンバラシーンを再現しても良いかも知れません。



 説明書は、一色刷りの組立説明書とフルカラーの機体解説書の2枚組み。ミーティアの時と同じですね。今回もカラーの解説書を切り取ると、ガンコレ共通のリーフレットが出来上がるんですが、「本製品にハサミは付属しておりません」って、ひと言添えてあるのが律儀ですね(笑)。ふと思ったんですが、このリーフレットをファイルできるアルバムが有ったら良いんじゃないですかね?当たりが出たらもらえるとかでも良いし。ボクが知らないだけで、もう有るのかな?

 組立時間は1時間10分でした。39.2メートルという設定に対してやや大きめに作られていると聞いていたんですが、アンテナも含まない頭頂高で測れば約10センチ。スケール的には正しいサイズだろうと思います。造形も満足出来る出来栄えですから、このままサイズアップしてHGUCも発売して欲しい所です。ミーティアサイコガンダムを参考に予想すると、6000円から8000円くらいかな?



 もちろん、同じコンセプトのガンコレも充実していってくれると嬉しいですね。若干高額な印象もありますが、ムクのパーツを使わざるを得ないビミョーなスケールに、今回の様な塩ビを多用したキットというのは適しています。塩ビを使うなら、今後も塗装済みの商品仕様にするのが適切でしょうね。塗装費用の分だけ高額になってしまいますが、多色成形なしでカラフルな商品を提供出来るというのは、ある意味画期的ではないかと感じました。案外、マイナーアイテムに適した仕様かも知れませんよ。

10センチサイズという事で、実は1/144Vガンダム程度の身長しかない訳ですが・・・小さくてもここまで出来る!という事を実感させてくれます。曲面構成のセンスも良いですよね。今回のノウハウはザンスカールのMSにも活かせるんじゃないでしょうか?

 とは言ったものの、ラインナップに加えて欲しい大型の機体ってのが、もともと少ないですからね・・・そうそう、ちょうどこれから登場するデストロイガンダムとか。あ、ウォドムも忘れちゃいけません。塩ビ向きのアイテムだと思うので、ぜひ前向きにご検討を!そして、小スケールモデルでのパーツ分割や可動ギミックのノウハウは、F91VガンダムHGUC化する時の参考になりそうな気がします。こちらも期待したいですね。


 おまけ

 最近、トイにはなかなか手が出せずにいたんですが、入手出来るうちにと思って「SDフレクション・ザコソルジャー」を買ってみました。ザクをベースにしながらも、ヘルメット形に改められた頭部デザイン、スパイクを外して弱そうな印象に変更された肩アーマーなど、なかなか面白い奴だと思っていたんですよ。



 首が左右回転、肩が2軸で可動、上腕ヒネリ、ヒジ可動、手首回転、股関節は2軸で可動、足首はボールジョイントで可動します。ヒートホークとザコマシンガンが付属、PVCの手首はなかなかリアルで、ちゃんと握ってる様に見えますね。(うーむ、今回は軟質手首特集ですね。クインマンサも含めて。)シールドの向きも変えられます。



 面白いのは、ザコソルジャー最大の特徴である「ボディーアーマーが外れる」ギミックを再現してある事。ただの着脱式ではなく、頭を押すと瞬時に脱落する仕組みになっています。この「ポロリ」が何とも楽しく、かわいらしいんですよ。MG等の功績で、内部フレームの概念がある程度メジャーになってきた事から生まれたギミック(&劇中の演出)だろうと思うんですが、MG以上に意味のある内部再現ですよね。細いフレームがまた、弱そうで良いのです。



 量産キャラを魅力的に使ってみせた点は、SDガンダムフォースの大きな功績だろうと思います。何しろ名前が「ザコ」ですもんね(笑)。ザコである事を「ウリ」にしています。ホントはSEEDの様な、戦争否定を大きく扱った作品でこそザコを大事に描いて欲しいなぁ・・・。なんて思ったりして。MSVさえもエース機に偏りがちな昨今ですか、作品世界に広がりを持たせるのは、いつの時代もやはりザコなのです。(力説!)

2005.5.10 健 竹史

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