健さんの
プラモコラム

その138
 
1/100ガナーザクウォーリアの巻

( 1/100 ガナーザクウォーリア/ バンダイ/
ZGMF−1000/A1 ガナーザクウォーリア
「機動戦士ガンダムSEEDデスティニー」に登場)



 ガンダムではないMSが、放送中に1/100で発売されるのって何年ぶりでしょうね?トールギス3やスモーも、限りなくガンダムに近い味方のエース機でしたし。まぁ今回のザクも上級機種ではある様ですが、やはり量産機の発売は嬉しいですね。(ただし、やっぱり味方なんですけど。)



 なんて考えながら1/100ザクを見てると、「デスティニーって、ザクの国のガンダムの話だったんだなぁ」とか、改めて思うのでした。続編は何作も作られましたし、ガンダム対ガンダムの構図ってのも珍しくなくなってますが、ジオンの様な、前作の敵側を主役陣営にした続編ってのは初の試みじゃないでしょうか。ガンダムが多数登場するからこそ突飛な印象も薄れて、成り立つ企画だと言えるかも。ターンエーでザク(ボルジャーノン)が味方として登場した事のオマージュでもあるのかな?では、そろそろ本題に移りましょう。

 頭部は、HGと同様の縦に重ねるパーツ分割。回転式のモノアイシールドにシールを貼る構成も同じです。首可動用のボールジョイントを閉じ込めるために、頭部の下面が空洞ではなく、フタをしてあるのが一番大きな違いでしょう。下面パーツは動力パイプと一体となっています。HGに比べてヘルメットの正面(ヒサシ)がシャープに尖り、オデコ左右のコブも鋭い形状に変更。首は、今回もダブルボールジョイントで良く動きます。



 ボディは、フード(外側のエリは、こう呼びましょうね)の内側を黒で色分け。胸板から首の後ろまで一体のユニットって事なのかな?色分けだけでなく、首周辺が一段くぼんでいる様子や、エリ(内側のエリ)との位置関係も、HG以上に正確になっています。首周辺が胸板に対しても一段低くなっている事は、今回初めて気付きました。首が浮いた感じにならない事がザクをカッコ良く見せるコツだと思うんですが、やはりその辺を意識してデザインされた構成なのかも。

 胸板パーツは、胸部ダクト奥のメカニック部分まで一体になった設計。角穴の開いたダクトパーツを正面からセットするだけで、ダクト内の色分けが出来上がる仕組みです。肩関節軸は前に引き出す様に可動。HGの方がボール可動出来るので優れてはいますが、手持ち武器だけでなくシールドの重量も支えなくてはならないため、このサイズのキットとしては適切な判断だと思います。

 バックパックには、今回もポリキャップを内蔵。ウィザード取付け穴の周辺には、それらしいディテールが追加されています。スラスターの内側は、大きなテーパーを付けていたHGに対して、今回は縦壁をクッキリと成形。奥にはディテールを追加してあります。



 ウエストはHGと同様に、胸から独立したユニットで、腰の回転軸に通すだけの組立。やはり後部下面が若干切り欠いてあり、前後スイングしやすい形状にしてあります。動力パイプは、今回も腰上面と一体でパーツ化。やはりサイドスカートの保持に利用してあります。

 です。フロントスカートは左右が独立して可動。HGでは動力パイプを軸にして取り付けてある様な可動(実際はフンドシでで保持していますが、そう見えるという意味)でしたが、今回は動力パイプ固定金具の下にアーマーが吊るしてある様な配置で、説得力が高まったと思います。まぁ、サイドスカートは今回も動力パイプを軸に可動するんですけどね。ん?動力パイプに見せかけて、実は響鬼と同様の装備帯だったりして。腰にバクダン下げてますし。

 スカートのスラスターは内側が筒抜けになっていて、スカート側の突起にハメ込む組立て。突起の先端にはノズル内部のディテールが再現してあります。内側がリアルな事に加えて、スカート裏にハメ込み構造を必要としなくなった分、HGよりもスッキリしました。腰後部のハードポイントは、HGと同じ機構でスライドカバーが開きますが、サイズに余裕が生まれたためか、より大きく開く様になっています。



 です。モモは股関節周辺のメカニックをモールドで再現。パネルラインから考えると、ここまでメカが露出してるのはサービス過剰かも?モモ全体の形状は、HGではジン等に近いイメージでしたが、今回はジオン系MSのラインに近づいた感じ。動力パイプを通す穴はHGよりもスキマが小さくなり、より気密性が高そうな外観になっています。

 ヒザは後ハメ可能な二重関節で、ほぼ180度曲げる事が可能。動力パイプの抜け止めが外れるくらいに曲がるので、パイプのヒネリや引っ掛かりに注意して曲げ伸ばししてやりましょう。スネは、後部スラスター足首アーマーが可動式。ヒザ関節の内側には仕切り板が付いていて、関節内部に動力パイプが入り込むトラブルを防いでくれます。これを参考に追加工してやれば、HGも、よりスムーズにポージングが楽しめる様になるでしょう。

 足首は、パーツを縦に積み重ねるおなじみの構成。今回初めて気付いたんですが、足裏のツマ先側に付いてるスラスターは、斜めに内蔵されているという設定なんですね。見落とさずにキッチリ再現してあります。足首関節は、ガンダムタイプと同様のメカニックな表現。やはり二重関節になっています。



 肩アーマーは、左右とも上腕を前後からハサミ込む構成。右肩のスパイクは、HGの物よりも先端が尖っている上に、折れ曲がり方が急な感じです。左肩シールドのシャープなスパイクと釣り合いを取ってあるのかな?左肩アーマーは、球の部分を別パーツ化する事で、前後のプレートを一段大きめに成形する事が可能になりました。(HGでは前後のプレートよりも中央の方が一段出っ張っています。)設定ではラインにしか見えませんが、段差を付けるなら今回の方がそれらしい形だと思います。

 です。上腕はヒジ関節の上でヒネる事が可能。この分割ラインは設定画にも描かれており、キットではスジ彫りでクッキリと表現されています。スラスターの内側にはディテールを追加。前腕は、分割ラインを端に寄せて目立たなくしてあったHGに対して、今回は中心で分割。一見するとサービスが低下した様に見えますが、ヒジ関節の奥が見えない様に仕切りが入れてあり、金型のパーティングラインを変化させるのが難しくなったのか、あるいはサイズが大きくなった分、縦壁の無い距離が伸びるとパーツ強度が心配だったのか・・・詳しくないので何とも分かりませんが、HGと条件が違ってきてるので、マイナスに評価すべきでないかも知れません。

 手首は左右とも、他の1/100SEEDシリーズ同様のリアル穴開きゲンコツが付属します。見映えは良いんですが、これまでのガンダム達と比べて武装が多彩で、持ち替えさせて遊ぶ事が多いので、指部分を簡単に取り外せないのがちょっぴり不満。平手も欲しい所ですが、残念ながら付属せず。複数機のザクを並べる人も多いと思うので、ポーズのバリエーションという意味でも付属させて欲しかったですね。左手だけなら1/100イージスから借りてきても良いでしょう。(若干フィット感が違いますが、色も近いですし。)ミーア機が発売されるなら、両手とも平手パーツの追加を希望します。



 シールドは、2枚貼り合わせの本体にピンクの表面装甲を貼り、スパイクを取り付ける構成。スパイクが一体だったHGと異なり、テーパーの都合を気にせず設計出来るため、長く尖ったスパイクになりました。貼り合わせによって裏面のフチの肉抜きも無くなりましたが、かなりランナー面積を食ってます。これを左右に装備してるザクファントムって、ずいぶん贅沢な機体かも。表面装甲のフチには段差を設けてあり、積層構造を連想させてくれます。

 シールドを支えるアームはABS製。HG同様、途中関節の曲がらないL字のアームですが、確かにシールドの重量を考えると正解かも。ヒネれるので十分に動きますしね。(もしかして、実機も無可動?)右肩のアーム基部(球状の軸受け)は単独パーツになり、肩アーマー内に設置された別ユニットである事がハッキリ伝わる外観になりました。内側にボールジョイントが閉じ込めてあり、キツさでアームを保持しています。

 武装です。MMI−M633ビーム突撃銃は、フォアグリップ可動、マガジン着脱部が90度倒れる機構など、HGと同等のプレイバリュー。センサー(?)が別パーツ化されて再現度が上がった他、曲面や面取りを盛り込んで、HGよりも実感は高まっていると思います。ただ、HGでは再現されている後部の丸モールドが省略されているので、市販パーツを貼ってやると良いでしょう。

 腰部にマウントするためのジョイントは、HGでは横長の配置でしたが今回は縦長。設定としては今回の方が正確な様ですが、これは腰側のラッチカバーを十分にスライドさせるために、ある程度のスペースが必要だったための措置でしょうから、HGは間違いと言うよりアレンジと見た方が良いでしょう。マガジンは2パーツ貼り合せで、裏面もキッチリ再現。ただし予備マガジンはワンパーツで、裏面は肉抜きされています。

 MA−M8ビームトマホークは、クリアーのビーム刃が着脱可能。後部の刃も可動式になったので、収納状態も再現出来ます。HGの物は片手で握るとピッタリのグリップでしたが、今回は両手持ちが出来るほど長めのグリップに変されました。片手で持つと、ちょっとグラつく感じです。手首がリアルな代わりに、穴開きゲンコツの様な「囲ってある安定感」も有りませんからね。

HGルナマリア専用ザクウォーリア(左)との比較。HGは安定して握れる代わりに片手でしか持てません。1/100は両手で持つ事で安定します。

 手榴弾(ハンドグレネード)はHGと同様のワンパーツ成形ですが、両端の白いラインを再現するシールが付属します。着脱用の穴は設定よりも大きくなり、グレネードの中が空洞になってしまっていますが、成形の都合で肉厚を決める以上、仕方のない所ですね。着脱穴に対応してサイドスカート側の突起も大型化。こちらも設定とは異なりますが、厚肉になるのを避けるためにH字形の突起としてあります。

 今回はHGの時と異なり、1/100キット化第1弾でいきなりガナーザクウィザードが付属します。M1500オルトロス高エネルギー長射程ビーム砲は、折りたたみ用のヒンジ部分がABS製、本体は通常のプラ製となっています。フォアグリップが展開する他、右手用のグリップが横にスイングでき、持たせた時の窮屈さを緩和するのに役立っています。(本物は動かないと思いますが。)

 スコープ砲口は別パーツ化されました。色分けが充実しただけでなく、この部分に接着ラインが現れないのは嬉しいですね。砲口内部下部前面ダクト(インテイク?)内部にディテールが入ってたり、スコープが上面のクボミにピッタリ収まってる等、形状的にも充実しました。スコープ後部の上面は、HGよりも丸みのある形で造形。主な形状の境い目にはスジ彫りを施してあり、各部のユニット構造が強調されています。つまりパーツ点数は少ないまま、細かくパーツ分割してある様なクッキリ感が出てる感じですね。



 オルトロスを保持するアームはABS製で、HG同様に途中2箇所でも可動します。両端の可動はABSの球体関節。シールド基部もそうですが、重さに負けず、しっかり保持してくれます。アームの途中には突起が追加されていて、背負った状態ではバックパック側面のスリットにハメ込んでやります。サイズが大きくなった分だけ、グラつき対策も考えてあるんですね。アーム基部は可動の自由度を考慮して、今回も設定より下方に配置してあります。

 バックパック(ウィザード本体)は、HGとほぼ同様のパーツ構成ですが、若干のディテール追加がありました。見える部分だけでなく、背中左右の穴にセットする突起の先端が、コネクターの様な表現になっていたりと、なかなか芸コマ。背中の穴の内側ディテールが、ウィザード側のコネクターと全然噛み合わないデザインになってるんですが、背中の方はスライド式のシャッターが閉じていると考えても良いでしょう。

 大容量エネルギータンクは、上下の白い部分を色分け。(HGでも底面はパーツ分割されていましたが、色分けはされていませんでした。)底面のディテールは、設定では単純なマイナスモールドですが、スキマや高低差を盛り込んだ多重円にアレンジ。円筒部分には縦のパネル分割線を追加し、オルトロスに負けないディテール密度になっています。

 エネルギーケーブルにはメッシュパイプを使用。内側にはリード線を通してあり、カーブを調節する事も可能です。バックパック側はハサミ込み式ですが、オルトロス側は組立後の着脱が可能。ケーブルの先に端子が付いた構成になっていて、オルトロス側の接続穴周辺もリアルさが増しています。

 組立時間は1時間25分でした。今後の展開ですが、ランナー構成を見る限りではザクファントムの発売も想定してる様で・・・え?もうファントム発売なの?!・・・えー、このコラムは本当は速攻で書き上げているのですが、一部の地域では一週遅れでお届けしております(嘘)。

 MGは主役級が中心ですし、量産機が発売されてもオールドファン好みの機体である事が多いですから、1/100で量産機を買ったのはこのキットが初めてという方もおられるかも知れませんね。ぜひヒットして、1/100での量産機発売が恒例になってくれれば嬉しいですね。MGも欲しいな、と思うんですが、ウィザードに関してはMGと兼用でも良い気がします。タンク底面の形状なんか、「密度UP」と言うより「アレンジ」ですもんね。コレクションシリーズとHGの様な互換性が、1/100でも実現するのか?!今後に注目したいと思っています。


 おまけ

 1/100キットの発売ペースではなかなか数が増えないキャラクタープレート、ズラリと並べたい人にはもどかしいですよね。「フィギュアじゃなくなったんだから、キット1つに3枚(3キャラ)くらい入れてくれれば良いのになぁ・・・ブツブツ」とか思ってたんですが、ふと目に止まったのがHGシリーズのパッケージ。箱側面のキャラクターイラストはもしかして、1/35スケールくらいじゃありませんか?!



 試しに切り取ってキャラクタープレートのスタンドにセットしてみると、紙の厚みもちょうど良い感じ。って言うか、HGフォースとHGソードではシンの服装を変えてあったりして(制服とパイロットスーツ)、ダブりを避けてるのは、こうやって切って使う事を、最初から想定してるとか・・・まさかね?だってほら、他のキャラに比べてディアッカ君のイラスト、ちょっとボリューム不足な感じですし。ちょっと背丈が高めの彼を、身長差を考えずに縮小してあるって事は、並べて使うつもりが無いという何よりの証拠で・・・まさか、降格されたから扱いが小さいの?!(笑)

 このキャラクターイラスト、前作の頃から箱の横に付いてますから、切り取って保存しておくのも良いでしょうね。圧倒的にスタンドの数が不足していますが、気分でイラストを差し替えても良いし、探せば代用品も有るでしょう。ついでに手持ちのファーストガンダムのキットを調べてみると、1/144ガンダムのパッケージにあるアムロのイラストは1/20程度、ガデム艦長やラル大尉、ララァ、デミトリー、バタシャム、カラハ等、ジオン側パイロットは1/24程度の物が多い様です。



 オススメなのは1/20ガンダムキャラコレボックス。パッケージイラストの全身像は、キャラの身長差も守ってあり、中身のキットとほぼ同サイズ。つまり1/20って事です。買ってはみたものの塗装に自信がなくてクリアーのまま飾ってます、という人は、パッケージイラストをスタンドに立ててみるのも良いかも知れません。

 うーん、ホントは今でもフィギュアが欲しいんですが、うまくメーカーに(自分の方から)丸め込まれてる気がするなぁ・・・。

2005.4.21 健 竹史

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