健さんの
プラモコラム

その１３２
　 ミニプラ変形合体
　　　　　　インパルスガンダムの巻

（ ミニプラ変形合体インパルスガンダム/ バンダイ/
ＺＧＭＦ−Ｘ５６Ｓ　インパルスガンダム
「ガンダムＳＥＥＤデスティニー」に登場）

　ちょっと遅くなりましたが、話題のミニプラ「変形合体インパルスガンダム」を採り上げておきたいと思います。コンビニ等で買える食玩で、「チェストフライヤー」と「レッグフライヤー＆コアスプレンダー」の分売方式。中には、おなじみのラムネ菓子が入ってるんですが、これが美味しいんですよ。たくさん入っていたらもっと嬉しいんですけどね。積んどく派の人も、ラムネ菓子だけは賞味期限内に食べておきましょう。



　（・・・え？これってお菓子のレビューじゃないの？）

　おまけ

　おまけコーナーらしく、付属のプラキットにも軽く触れておきましょう（笑）。頭部は前後２分割にアンテナという構成。ヘルメットの分割ラインを斜めに傾けていないため、側面のディテールは通常のガンプラの方がキレイです。アンテナは後ろに向かって大きく傾けてあって面白いですね。横から見た印象がカッコイイ代わりに、正面から見ると太く見えて一長一短といった感じ。首はボールジョイントで可動します。



　ボディは、赤いウエストパーツを胸と背中でサンドする組立。ボディ内部は空洞で、特に合体部分は再現されていません。肩関節は各種ガンプラのインパルスの様な引き出し式ではなく、いきなり上に起こす変形。かなりオーバーな怒り肩も再現できるので、ポーズ付けにも利用できます。クランク形の肩関節軸は、ＭＳ状態と分離状態の微妙な肩位置をワンパーツで調節できる上手いギミックではありますが、どっちの軸で回転させるかの力加減が微妙で、不慣れな子供には、ちょっと扱いづらいかも知れません。



　肩アーマーは、コレクションインパルスと同じ方式でワンパーツ成形。やはり同じ所（スラスターの反対側）に肉抜きが有ります。

　腕は、ヒジ関節の上でヒネれる構成。上腕は筒状ではなく、ＨＧＵＣ以前に主流だったハサミ込み方式です。前腕のハードポイントはモールドでの表現のみで、シールド装備用の穴にはなっていません。手首はワンパーツ成形の穴開きゲンコツで、ボールジョイントで可動します。



　腰です。ウエストは左右に回転可能、フロントスカートは左右一体で可動します。サイドスカートは前後からハサミ込む組立て。通常のガンプラに近い可動を目指しながらも、パーツ点数を最小限に抑える意図でしょうね。フォールディングレイザーを畳まずに収納出来そうな、長いサイドスカートとなっています。（収納ギミックは無いんですけどね。）

　脚です。ヒザ関節はモモ側もスネ側もハサミ込み式。後ハメ出来ないのが残念・・・なんて、食玩を見て思う日がやって来るとは、考えてみればゼータクな話かも。（ウチの模型サークルには、ホントに塗装してるメンバーもいますよ。）ヒザは１２０度くらい曲がるし股関節はボールジョイントだし、実に良く動く脚なんですが、スカートが大きく動かないのが残念ですね。

　足首は関節メカ部の再現が無く、可動軸がムキ出しではありますが、３軸可動で良く動きます。ツマ先を閉じるギミックは、足の甲パーツとクツパーツで軸をハサミ込んでいるため、保持力がイマイチ。足裏パターンの再現は無く、カカトの内側は空洞になっています。

　コアスプレンダーは、ＨＧＵＣ並のサイズにも関わらず変形を実現！・・・と思ったら、１／１００に近いボリュームが有ります。ボディ内側の再現が無く、ＨＧ等に比べて内部の収納容積が大きいためですね。尾翼の収納は省略、機首の下面を肉抜きしてある等、パーツ数もディテールも抑えてあります。

　ＭＳへの合体プロセスは設定通りですが、肩関節を引き出さず、そのまま上に起こす点と、クランク状の肩関節軸をヒネってズラす様な位置調整を行う点が特徴的。コアスプレンダーとレッグフライヤーの接続には、やはりカナードをジョイントとして利用。コアスプレンダーとチェストフライヤーの接続には、特にジョイントは無く、収納幅のキツさだけで保持しています。つまりＨＧ等と違って、コアスプレンダー無しでは合体は出来ず、しかもカナードだけで上半身を支えている・・・と。（まぁ全身ＡＢＳだし、強度は大丈夫でしょう。）　

　武装です。ビームライフルは手に持たせる他、腰後部にマウントする事も可能。対象年齢・・・と言うより、メインターゲット層を意識してか、マズルやセンサーは強度が落ちない様、デザイン的に細い部分も若干太めに造形してあります。



　シールドは、収納状態と展開状態の２枚が付属。形は悪くないと思うんですが、サイズが不揃いなのが残念な所。腕の太さにピッタリはまる、コの字形のジョイントを使って装備します。ジョイントが目立ってしまいますが、折れる可能性のあるピンを避けているのは、やはり若年層ユーザーへの配慮として評価したいですね。

　ＨＧには無いフォールディングレイザー対装甲ナイフが付属するのが嬉しいポイントですが、刃は薄いとか厚いとか言うレベルではなく、先が斜めになった角柱です（笑）。グリップのサイズは１／１４４の手首にもフィット。流用目的で余分に購入しても良いかも知れません。（と、思っていたんですが・・・この話題はまた後で。）

　傾斜のキツい胸、小さいダクト、小さめの足首と、ややクセのあるプロポーションをしてはいますが、合計６００円（＋税）という低価格で合体を楽しめる、意義のあるキットだと思います。やたら良く動く肩や良く曲がるヒザも魅力的。合体目当てで買ってもらった子供たちがポージングの楽しさに目覚めてくれれば、いずれは共にガンプラを楽しむ頼もしい同志になってくれるかも？！

　そういう点から見ても、通常のプラモに迫る意欲作でありながら食玩のあるべき姿は守り通していて好感が持てます。上半身にロックの無い合体機構も、大人の目で見れば外れやすくて頼りないんですが、合体の位置合わせが容易なのでスムーズに遊べますし、キツくて分離出来ないといったトラブルも有りませんよね。

　それから、ヒザ関節を変形させた時にモモとスネが密着する設計は、このキット最大の見どころと言えるかも。この点では、どのスケールのインパルスよりも設定に忠実です。可動箇所も確かに充実していますが、あくまで商品名通り「変形合体」の方に力を入れているんですね。ＨＧインパルス等と並べれば、材質や商品形態の違いだけでなく、コンセプトの違いも楽しめると思いますよ。

　背中から判断する限りでは各種シルエットと絡めた商品展開も予定されていない様子。今だけの商品となる可能性が高いと思うので、興味のある方は早めに入手されておく事をオススメします。

　おまけのおまけ

　ＧＦＬＥＸ（ジーフレックス）ｐｈａｓｅ−２のフォースインパルスガンダムを買ってみました。元々のデザインが細身なので小さく感じますが、ハイコンプロより若干小さい程度。１／２００から１／２２０という所でしょうか。

　彩色済みではありますが、前から見える部分を集中して塗装してあります。ヒジ・ヒザ・スラスターはともかく、カカトを塗っていない点に注目！「だから悪い」と言いたいのではありません。限られた生産工程をどこに割り振るかという創意工夫の跡ですから。許されるコストの範囲でギリギリまで品質を追求した物には、むしろ敬意すら覚えます。高くていいから〜なんて言うのは簡単なんですよ。多分。（本当の手抜きなら、カカトを塗って水色を省略してあるでしょうね。）



　首・ウエスト・肩・上腕ヒネリ・ヒジ・手首が可動。つまり上半身が、ほぼプラモと同様に可動します。肩は横に上げるのが苦手な、旧コレクションシリーズの様なボールジョイントですが、代わりに肩の基部が上に動きます。あと一歩でチェストフライヤーに変形出来そうなんですけどね。脚は、モモの付け根をヒネって、ツマ先をハの字に開く事が可能です。武装は、ビームライフル、展開状態のシールド、フォースシルエット、使用状態のビームサーベル１本が付属します。



　フォースシルエットは、コアスプレンダー（バックパック）の上から差し込む方式にアレンジ。これによって背中の両端に穴を開けなくて済むので、内部スペースが確保でき、肩基部可動の実現にも貢献していると思われます。手首は穴開きゲンコツではなく、半握りの状態で成形。武器は弾力を利用して握らせます。（左手の指は大きく開いていませんが、弾力で広がります。）

　フォールディングレイザー対装甲ナイフが２本付属しているのが嬉しいですね。実は店頭で見て、ナイフのサイズが大きめに感じたから買ってみた訳ですが。思った通り、１／１４４やＨＧのインパルスにピッタリのサイズでした。

　軟質樹脂なので、容赦なく薄く成形されていて雰囲気も満点です。箱の外から中身が分かるのでダブる心配もありませんから、ナイフ目当てに買ってみるのも良いでしょう。って言うか、本体に比べて異様に精密なんですが、プラモユーザーを狙っているんじゃないですかね。もう１箱買って刃を丁寧にカットすれば、収納状態も再現出来そうですよ。

2005.2.9 　健　竹史

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