健さんの
プラモコラム

その127
 
HG カオスガンダムの巻

( HG カオスガンダム/ バンダイ/
ZGMF−X24S カオスガンダム
「ガンダムSEEDデスティニー」に登場)



 モビルアーマー(MA)という言葉が宇宙戦闘機を指すようになって、すでに50分の1世紀が過ぎてしまった訳ですが、ついに可変MSの時代が戻って参りました。SEED世界の2作目だからなのか、Zの映画化を意識したのか、可変MSが続々登場ってのは、やっぱり楽しいですね。ムラサメの設定画なんか見てると、後半主役機はムラサメの上位機種で、ホントにZっぽい物になるのかな?とか、Zを超えるアイデアが用意されてるのかな?とか、ついついヒートアップを期待してしまいます。では、キットに目を通していきましょう。



 頭部です。マスクは目まで一体のパーツで、アゴだけ色分けされています。アンテナは、途中で折れ曲がっていて立体的なデザイン。ところがキットでは、単純なV字アンテナの場合よりも平面的な印象が際立ってしまっている感じがします。アンテナの折れ方が二次元的で、奥行きを感じさせない形になっているんですね。若干後ろ向きに角度が付いていたら、もっと見栄えが良かっただろうと思います。

 一旦カットして、角度を付けて接着してやれば良いのでしょうが、変形時に触る(頭ごと取り外す)部分ですから、上手く改造出来たとしても強度の心配が残ります。代わりの案として、オデコのアンテナ取付け部を、パテで盛り上げるか削り込むかして傾斜を付け、無改造のアンテナパーツを斜めに付けてやっても良いでしょう。これだけでも結構印象が変わりますよ。(ついでに上級者は、ヒサシをクッキリさせると良いかも。)



 ボディは、ウエストを胸パーツで前後からハサミ込む、スタンダードな構成。胸のダクトコクピットハッチは色分けされていますが、正面中央の黄色い部分は塗装してやる必要が有ります。エリ前の赤いラインはシールで対応しています。肩関節軸の前後可動は有りませんが、その分ボディ内部に余裕があるため、機動兵装ポッド基部のハメ込みが深く、しっかりしています。コレクションカオスよりも安定して遊べると言えるでしょう。

 です。フロントスカートは左右一体で可動。サイドスカートはサーベルホルダーになっています。2枚貼り合わせの構成なんですが、サーベルの保持には左右からのテンションが必要です。あとでバラしたい人も、ここだけはハメ込みピンを短く切らない方が良いかも知れません。(ボクはピンを切ったので、サーベルが落ちやすくなりました。接着しようかなぁ。)スペースに余裕が有れば、U字形のホルダー部分だけワンパーツで作って欲しかったですね。フンドシは、下面からスラスターパーツをセット。この辺がメカっぽいとカッコイイですね。



 です。今回もヒザが逆に曲がる変形が有るためか、モモの前後が紛らわしいデザインになっています。向きを良く確かめて組み立てましょう。ヒザは後ハメ可能な二重関節。スネは、前面が開いてヒザアーマーが起き上がり、クローに変形します。クローの可動部にポリキャップは仕込んでありませんが、スペースの都合で仕方ない所ですね。今のところヘタリは有りません。MS形態の位置には、小さいツメ状のストッパーで固定されます。

 足首は、全面一体の足裏パーツにクルブシとクツ、足の甲を取り付ける構成。ツマ先のツメは最後に取付けます。HGプロヴィデンスの流れを汲むパーツ分割で、組みやすくて色分けも丁寧、好感が持てますね。

 肩アーマーは、肩ブロックを前後からハサミ込むスタンダードな分割。シンプルなだけに、内側が良く見えます。ハメ込みピンがここまで見えるキットは久しぶりかな?(笑)

 です。上腕は側面のコブの下で分割、ここでヒネる事が可能です。ヒジアーマーが無いデザインのため、ヒジを曲げるとポリキャップが見えてしまいます。例によって上腕から出たピンの先端が目立つので、グレーに塗っておくと目立ちにくくなって良いでしょう。



 前腕の側面にはハードポイントが有りますが、ここは単純な穴で、ポリキャップは仕込んでありません。シールド以外の装備も無いし、何も付けない右腕の奥にポリキャップが見えなくて良いかも知れませんね。右腕の穴の奥に、コトブキヤの丸モールドなんか貼り付けてやっても面白いかも。手首周辺の色違いの部分は別パーツ化されています。ここに左右分割の接着ラインが出ないのは有りがたいですね。色分けと無関係な時にも、このパーツ構成でお願いしたいくらいです。

 手首は、左右とも穴開きゲンコツが付属します。

 バックパックは、モビルアーマー(MA)形態時の機首になる部分。背中に密着したエンジンとアームで接続されていて、ボディに密着する様に移動します。設定では肩幅いっぱいに描かれている機首ですが、機動兵装ポッド基部との兼ね合いを考えると妥当なサイズでしょうか。リアスカートも、腰ではなくてエンジン部に固定されています。

 武装です。MA−BAR721高エネルギービームライフルは、左右2分割の構成。1色で成形されていますが、設定ではカラフルに色指定されています。丁寧に塗ってやれば目を引くポイントになりそうですね。キットの直線的な形状も魅力的ですが、設定ではマズル上のカバー等、もう少し丸みのあるラインに見える箇所があります。銃身側面のダクト(冷却装置?)も、もうちょっと強調してあると良かったかも。

ツメを利用して立たせると、こんなポーズも取れます。飾り台なしでも、なんとなく宙に浮いてる感じ。両足ともツマ先だけで立たせても自立しますよ。(ちょっと妙なポーズですけどね。)

 MMI−RG30巡航機動防盾は、裏面まで詰まったデザインを表裏貼り合わせ式で再現。デスティニーシリーズはシールド裏が充実していますね。グリップは倒した状態でモールドで表現されています。表面にはピクウス76ミリ機関砲を装備。って事は、シールド後部に付いてるのは機関砲の排気ダクトで、裏面2箇所の出っ張りは弾薬ケースってトコでしょうか?想像ですけれど。巡航機動防盾なんて言うから、最初はシールドだけで飛べるのか?なんて思いましたけど。

 EQFU−5X機動兵装ポッドは、レール状の切り欠きでMS本体への着脱が可能。内蔵火器の展開も可能です。AGM141ファイヤーフライ誘導ミサイルは、ヒンジの可動は有りませんが、フタを開いた状態に付け替える事で使用状態を再現出来ます。MA−81Rビーム突撃砲は、後部のノズルを押す事で、砲身が押し出される仕組みになっています。ポッドを射出状態でディスプレイ出来る飾り台が欲しい所ですが、残念ながら付属していません。ポッドのレールを利用すれば、外観を損ねないで飾り台を自作する事も出来るでしょうね。



 MA−M941ヴァジュラビームサーベルは、別パーツのビーム刃使用状態のサーベルも付属せず。従来キットのビーム刃を流用出来る様に穴は開けてありますが、そろそろ刃のパーツを標準で付属させても良い頃じゃないですかね?「他のキットを買ってね」のつもりが、MSインアクションを買われてしまった・・・なんて心配もしてる訳でして。(自社の別事業部と競合するってのは、他社と競うよりも大変だと思うので、サービス合戦を強く希望!)

 例えば、「その118 ドレッドノートガンダムの巻」でも提案しましたけど、多色成形機の色数の制約があるなら、クリアーピンクでなくてもいいですから、白でも赤でも構わないからビーム刃のパーツを付けてみてはどうかと思うんですね。ビーム刃用のマーカーなんかが有れば(ガンダム蛍光ピンク?)、ある程度の満足は得られると思うんですが、どうでしょう?



 MGX−2235Bカリドゥス改複相ビーム砲は、MA時のオデコ(?)が開いて発射されるメイン武装。キットではオデコパーツを取り外して発射状態を再現します。なかなか外れないと思っていたんですが、思わぬ時にポロッと外れる事もある様です。パーツを紛失しない様に注意しましょう。・・・もしかして発射時には、機首の中で「お顔とお顔がくっつくぞ♪」てな事になってます?

 MA−MX434ビームクロウは、先に紹介した様に展開が可能です。(しかし脚の一部なのに開発ナンバーが与えられているとは・・・)ただし、ツメから発生するビームは再現されていません。キックのポーズで展開したりとか、イレギュラーな使い方で遊んでみるのも面白いですよ。



 MA形態への変形は、頭部を外して(設定では後ろに向ける)を前方へスライド、上半身を前傾させて、足のビームクロウを展開します。MS時のをそのまま利用しているのが良いですね。一見ビグロの様に見えますが、実はガウォークガザCの方がコンセプトが近いのかも知れません。

 足が展開してクローになるのはガブスレイにも似てるなぁ、と思って、足だけ変形した中間形態にもしてみましたが、足が伸びた様にしか見えず、ガブスレイと言うよりもエルガイムMK−2みたいな印象ですね。こう見せないために、ガブスレイは外装を取り払ってクローの細さを強調してたのかな?(Zの映画が公開されたら、再キット化して欲しいですね。・・・って言うか、HGエルガイムMK−2も!)

FGガンダムのサーベルで、ガンダムマーカー塗装の実験をしてみました。
上(左手)は根元と先端からリアルタッチピンクを塗って、ぼかしペンで中央まで塗り広げてやったもの。
下はリアルタッチピンク1で全体を塗っておいてから、ガンダム蛍光ピンクを根元と先端に塗り、ぼかしペンで中央まで塗り広げてやったもの。
ベースに薄いピンクを塗ってつや消しクリアーでコートしておけば、もうちょっとキレイなグラデーションになったのかな?とも思いますが、あくまでマーカーオンリーの実験という事で。つや消しクリアーを吹く代わりに、400番のペーパーをかけてあります。
それから、足首を展開して、クローで立たせています。

 組立時間は1時間20分でした。前作後半MSの重武装に見慣れたせいか、手にとってみるとそれほど奇抜な印象は無く、背中の機首やポッドよりもロングスカートに新鮮さを感じたりして。ディン等の前例は有りますけど、ガンダム顔と組み合わせると軍用コートの様にも見えてきますね。次の機体は、さらに難易度の高そうなガイアですが、カオスがこの出来なら、期待してもいいかも?仲間の機体と早く並べてやりたいもんです。


おまけ

 先に発売されたコレクションシリーズカオスガンダムも、軽く採り上げておきましょう。頭部はアゴが色分けされていませんが、ほぼHGと同じ仕様。エリの内側が一段くぼんでいて、HGよりもメカっぽい感じですね。設定に近いのはHGの方じゃないかと思うんですが、せっかくなので形状を活かして塗り分けてやれば良いでしょう。



 ボディは、胸部ダクトを色分け。フンドシ下は、シリーズ共通規格のポリパーツを下からセットするため、スラスターが1つ省略されています。肩のダブルボールジョイントは、HGより優れた可動だと言えますが、ボディ内部にスペースを必要とする事を再認識。ボールを仕込む都合で、背中に取り付ける機動兵装ポッド基部のハメ込み深さが十分に取れず、外れやすくなっています。ここは接着しておく事をオススメします。

 足首はツマ先のツメを色分け。裏面には、例によって足裏パターンを意識した補強が入っています。サイドスカートはビームサーベルと一体で成形。裏側は肉抜きされていて、腰ではなくモモの側面に接続されています。

 は、肩アーマーと一体化した2分割の構成。この様な一体化が好きではない、という人もおられるでしょうが、実は肩アーマー内に接着ラインもハメ込みピンも存在せず、立ちポーズで飾る分にはHGよりもカッコ良かったりします。ヒジ周辺がすぼまって細く造形されているのも、無可動ならでは。HGはポリキャップを仕込む都合で、いくら設定の形を再現したくても、関節をポリキャップより細くする事は出来ないんですよね。そのため、ヒジやヒザのシルエットはHGよりも設定に忠実な様に思えます。



 バックパックは、MAの機首の裏側が肉抜きされているのがツライ所ですが、ここも足裏同様、元のディテールを意識した補強が入っています。肉抜きを埋めたい人には親切な設計と言えるんじゃないでしょうか。MAの後頭部(?)には、申し訳程度にバーニアが表現してあります。ここは削ってしまって、本来の位置(エンジンユニット)に市販のバーニアパーツを貼り付けてやると良いでしょう。ここは似てる・似てないよりも、心配りを鑑賞する部分なのです。多分。

 武装は、高エネルギービームライフル巡航機動防盾が付属。ライフルは小さめですが、巡航機動防盾はHGと同等のサイズです。取付けピンの径が統一してあれば、両腕にシールドを持たせたりしてみるんですが、HGとは若干ピン径を変えてある様です。機動兵装ポッドは、展開は出来ませんが着脱可能です。やはり着脱部のレール幅を若干変えてあり、HGと共用できなくなっていますね。混ざらないための親切設計・・・なのかなぁ?ボクは揃えて欲しいですけどね。

 組立時間は15分でした。今シリーズのMSは変形する物が多いので、HGとコレクションの両方を買って、MSとMAを並べて飾るなんてのも面白そうですね。ほら、トランスフォーマーのカタログなんかに有る様な、変形前と変形後を並べてあるアレです。可動を仕込もうとか肉抜きを埋めようとか、そんな本格的ないじり方をしなくても、チョチョイと作ってHGに添えるだけでディスプレイが楽しくなりますよ。やっぱり、安い事はイイ事なのです。

2004.12.17  健 竹史

1/144 カオスガンダム
HG カオスガンダム
1/100 カオスガンダム
MIA カオスガンダム

カオス(DVD)
カオスウルトラマン
カオスだもんね! (12)
CHAOS―釈由美子写真集

[HOME]

inserted by FC2 system