健さんの
プラモコラム

その113
HGUC サイコガンダム
の巻

( 1/144 HGUC サイコガンダム / バンダイ/MRX−009 サイコガンダム
「機動戦士Zガンダム」に登場)


 フォウという名前は4番目の強化人間だから・・・彼女のエピソードは、Zガンダム全編の中でも、特に印象深いものでした。数字の名で呼ばれる悲しい少女。しかし、ムラサメ研究所は日本の施設ですよ。日本なら日本語で、ヨン様と呼べば良いではありませんか。「ヨン様専用ガンダム」とPRすれば、間違って何万個か余分に売れそうな気がしますよ。(無茶苦茶。)えー、「冬ソナ」ブームはウチにも押し寄せ、チャンネル権を脅かされている今日この頃でありますが、とりあえずキットを見ていきましょう。



 頭部です。マスクはヘルメットと一体。後頭部に目とアゴをハメておいてから顔面を被せるんですが、顔面を被せる前の状態が、なんとなく1/72メカニックガンダムを思い出させますね。(サイズも近いなぁ。)アンテナはポリ製で、変形時には折り畳みます。マスクはコクピットハッチになっていて開閉式。アゴパーツがヒンジになっています。インナーハッチは閉じた状態で、内部を見る事は出来ませんが、ガンダムタイプではコクピット周辺の再現が定番になってきましたね。ん?良く考えたらアレックスと連続してガンダムタイプですね。(しかも敵役!)

 ボディは、肩から腰までワンパーツという背中の構成が、旧1/144ガンダムを連想させます。うーむ、どこから組んでも過去の名キットを思い出して、改めて作ってみたくなります。さすがは悪魔のマシン、組んでて取り込まれそうになりますね(笑)。ウエストは色分けされていますが、これは背中パーツの表面に貼り付ける構成。各部を別パーツ化しない事で、強度を確保しています。



 ボディ前面も、胸とウエストは一体。グレーのパーツを表面に貼り付けて色分けしてあります。背中とは肩関節軸の上にあるヒンジだけで繋がっているため、ヒンジパーツにはABSを使用、取付にもビスを使っています。肩上のプレート基部も近いし、この辺りはギミックが密集していますね。実機では単純なヒンジではなく、複数のアームか何かで胸板を押し出して移動させてるんじゃないでしょうか。

 胸中央のフェイスカバーは、ポリキャップ使用のアームで可動。ボディの組立後に正面からセットします。は、エリのパーツごとボディの中に沈み込むギミックを採用。肩上のプレートは、2パーツ貼り合せで厚みは十分。ゆるいカーブをつけて、単調な板に感じさせないよう配慮してあります。変形時には垂直に立ててから、ボディの中に半分近く押し下げてやります。この辺は、先に発売されたMSインアクションを参考にしてある様です。



 です。変形時に前後に割れる設定ですが、可動式のサイドスカートが律義に割れるのが良いですね。MS時には、前後のサイドスカートはロックされ、しっかり一体化しています。フロントスカートも可動式。各スカートはスキマ無く密着するので、元デザインの短パンの様なイメージも損なっていません。股間のスラスターは別パーツ化されていて、クッキリ再現してあります。

 ボディ正面、腹部から腰にかけて配置された3連装拡散メガ粒子砲は、バーニアの様な形状で、ボディとは別パーツ化してあります。元設定では3基のサイズが同じ様にも見えるんですが、キットでは腰の砲口だけ、若干小さくなっています。ちょっと残念な気もしますね。

 です。拡散メガ粒子砲装備のためにフンドシの幅が広くなり、左右のモモの間が、かなり離れたスタイルとなっていますね。通常のガンダムタイプよりも異質な印象で、巨大感を感じさせるのに役立っているかも。モモは、変形時に前面の装甲が開く構造。アニメ設定と異なっていますが、変形を説明する構造図では、スライドアームがモモの真ん中辺りまで干渉してますから、開くという解釈も不自然ではないかも知れません。



 スネは、複雑に折れ曲がるフレームを内蔵。もっとも、軸位置を引き出したり長さを調節して、キレイに折れ曲がるために関節が多くなっているだけで、基本的には「く」の字に曲がってスネを前方に押し出し、モモと足首を接近させるシンプルな変形です。スライドアームでは無くなりましたが、軸可動の方が保持力も有りますし、関節と兼用出来るので、ギミックを楽しむ分には優れていると思います。フレームは設定よりも角張った印象ですが、ディテールは可能な範囲で設定に似せてあります。

 スネの装甲は、本来あるディテールに段差を付ける等して、余分な物を足さない範囲でメリハリを付けてあります。スネ正面が別パーツ化され、分割ラインが目立たないのが嬉しいですね。

MGパーフェクトジオング、PGガンダムMK−2との比較。サイズからすると、お買い得な印象ですね。写真右はMSインアクションのサイコガンダムです。(資料提供:kya氏)

 足首は、足の甲が左右分割。中央に分割ラインが出てしまいますが、特大のポリキャップをハサミ込んで、しっかり固定してあります。足裏はスベリ止めの凹凸も無く、ディテールはスジ彫りのみ。設定通りではありますが、大きいのにアッサリしてて、何だか妙な感じですね。このサイズになると、もはや凹凸を付けても効果が無いのか、走り回る訳でもないから関係ないのか・・・アッサリしてる事が、逆に妄想をかき立ててくれます。足首カバーはコの字部分がワンパーツで、クルブシ部分が別パーツの、3パーツ構成です。

同スケールのHGUCデンドロとの比較。乗っているのか攻撃しようとしてるのか、微妙ですね。(笑)

 は、メカメカしい関節が丸見えで良い感じ。白いメカパーツはABS製で、各関節にはポリキャップも内蔵しています。肩アーマーは、肩メカパーツをハサミ込む組立で、上にハネ上げる事が可能です。肩上のプレートも上に動かせるので、腕は真横まで上がります。肩アーマーのスキマからメカニックが見えるし、プレート裏にもシリンダーが有りますし、腕を動かすだけでも、ちょっとした見せ場が生まれますね。

 です。上腕には三角の突起が付いていて、変形時には引き出してやります。放映当時は、スキマを埋める程度の意味かと思ってましたが、1/300キットの解説によると、ウェポンベイなんだそうです。劇中で使われるのを見た記憶は有りませんが、MA時に前を覆うカバーは、ひょっとしたらウェポンベイの正面が開閉するのかな?それらしいスジ彫りがありますよね。

この時代のMSには、やはりサブフライトシステムが欲しいなぁ・・・と言う事で、同スケールのミーティアに乗せてみました。かなり狭いです。これでは飛べないかも。

 そのカバーですが、前腕と肩アーマーから起き上がり、一直線に連結します。キットではツメでロックする仕組みになっていて、意外と頑丈に保持されます。仕組みはMSインアクションと同じですが、より確実にロックされる様になりました。

 手首は、親指が付け根で可動、他の指は付け根と第二関節が可動します。指の保持力はしっかりしているので、いろんな物を持たせて遊べます。こんなMSに限って手持ち武器が無いんですけどね。各指の先端には、スライド金型を使って穴を開けてあります。変形時には手首基部を90度ヒネるのに加えて、関節を引き出してからゲンコツをボディ内部に収納します。割れたボディのスキマが、手首より若干後ろに来てしまうんですが、引き出して移動させる事で位置を合わせやすくなるんですね。手首を取り外していたMSインアクションよりも、一段進歩した印象です。



 背中には、ヘッドカバーが折り畳まれています。左右のスラスターユニットにポリキャップが仕込んであり、スムーズに可動。変形時にはアンテナの干渉を避けるため、先端を一度開いて、頭に被せた後で閉じる様にアレンジしてあります。スラスターのノズルは、ボールジョイントでグリグリ可動。基部にワンパーツ使って、それらしいディテールも入っています。

 シールドは、並のMSの身長以上のサイズがあります。2つに分割できる仕組みですが、連結部のジョイントは、MA時に腕と接続するためのジョイントを兼ねています。ウイングは裏面に回りこんでいて、MA時にはヒンジで展開。本当は、展開する前に左右のモモにマウントする設定なので、ヒンジではなく引出し式が正しいんでしょうけど、模型としてはこっちの方が堅実なギミックですね。MSインアクションでも採用されたアレンジです。

手を使ってシールドをモモにマウントする様子を再現。この後で変形が始まります。キットではシールド裏のウイングを展開しなくてはいけないので、この状態から変形する事は出来ませんが。

 シールドを装備する時には、クランク状のジョイントパーツを使います。腕側面のカバーを外して、ハードポインを露出させて接続。シールド側はボールジョイントになっています。このジョイントパーツは2個付属し、MA時にシールドとモモを接続するのにも使います。実際は腕との連結だけで、シールドを十分支える事が出来るんですが、MSインアクションでガタつきが有ったために追加されたのだと思います。手を使ってモモにシールドをマウントする、変形開始時のポーズも再現出来ますね。これ、今回のメモリアルアクションに推薦しちゃいます。

 MA形態(モビルフォートレス形態)への変形です。胸を少し前に引っ張って肩のヒンジをスライドさせ、ボディを開いてやります。そのままでは開いたボディがブラブラしますが、内部に収納してある支持バー(背骨の様なパーツ)を起こしてフンドシ前部をロックします。頭部は、アンテナを畳んでボディに埋まる様に押し下げます。肩のプレートを立てて、半分までボディに押し込みます。頭部より先に変形させると若干ヘルメットに干渉するので、順番に注意!ヘッドカバーとフェイスカバーで頭部を隠してやります。

ボディは意外と大きく開くんですね。試しに同スケールのVガンダムを入れてみました。「腹にモビルスーツが隠してある、くらい言って下さい!」なんだかロボットマンみたいです。マジメな話、これだけ開くので、変形途中は中が丸見えになります。変形に支障のない範囲で、メカニックを詰め込んでやれば見せ場になりそうですね。

 は、ウェポンベイを引き出して(2段階に伸びます)、肩と前腕のカバーを連結、手首をボディ内部へ収納します。脚は、モモのカバーを開いておいてから、アキレス腱のあたりでフレームの連結を解除。フレームを折り曲げてスネを前方に押し出しておいて、カカトのフレームをモモ(ヒザの後ろ)に差し込んで固定します。2分割してウイングを展開させたシールドを、腕の下にセット。これだけでも十分な保持力が有りますが、ジョイントパーツを使ってモモにも固定させる場合は、モモ側面のカバーを外して、取付け穴を露出させる必要が有ります。カバーを無くさない様に注意しましょう。

同スケールのHGUCガンダムMK−2との比較。巨大ではありますが・・・もっと巨大でもいいかなぁ・・・

 組立時間は2時間半でした。MSインアクションの打ち出した数々のアイデアを継承しつつ、さらに確実性を高めた可変ギミックの傑作キットだと思います。それでいて価格も安くなってるし、可動も格段に良くなっていますね。



 PG並の身長が有っても軽量なので、関節がヘタれる事なく安心してポーズが付けられます。欲を言えば、浮遊状態で飾れるスタンドが欲しかったかな。ヨン様のフィギュアが付いていない点で、MSインアクションに決定的に負けている・・・と考えるかどうかは、好みの問題ってトコでしょうか。(まさか、フィギュア付のMGの予定が有るとか?!)

今回の人質はミヒャエル・ヴィットマンさん。同スケールのワールドタンクミュージアムのティーガー戦車です。凶器は電撃ホビーマガジン04年9月号付録、極小変形メガトロン様。ロボットモードの身長を測ると7メートル強で、アニメから想像すると、近いスケールだと思われます。しかしティーガーが57トンで、サイコガンダムが388.6トンって・・・ちょっと軽すぎでしょうか。

 ところで、腹と腰がヒンジで繋がっているためウエストが回転出来ないのは当然・・・と思っていたんですが、実際にキットを手にしてみると、スカスカのボディに、いくらでもギミックを詰め込める気がしてきますね。ひょっとしたら、ウエスト回転は可能なんじゃないでしょうか?ウエストの中心に普段の様な回転軸を仕込み、肩のヒンジで、ボディ前面の外装だけ動くようにするのです。外装が真っ二つになるからと言って、内部メカまで真っ二つにする必要は有りませんし。で、腹と腰はヒンジで繋げず、腰だけがアームで移動した後で、改めて腹とロックしてやれば良いんじゃないでしょうか?無理かなぁ?サイコガンダムMK−2が発売されるなら、ぜひ検討してみて欲しい所です。


 おまけ

 HG百式+メガバズーカランチャーを組んでみました。前々から欲しかった武器ですが、標的も充実してきた所で(おいおい!)、待望のキット化です。百式はメッキ無しの仕様に変更されましたが、多色成形ランナーが2枚も入った、ちょっとした豪華キットですね。従来の百式に付属していたビームライフル、ビームサーベル、クレイバズーカは、今回も付属しています。



 ランチャーは、設定通りの展開が可能。砲身の伸縮部分にはポリキャップを使ってあり、パーツ形状もガタつきを抑える配慮が見られます。ショルダーレストは伸縮時に塗膜が剥がれにくい様なレール構造が嬉しいですね。下部のセンサーにはクリアーパーツを使用。ここも若干伸縮します。動力ケーブルは軟質樹脂製で、伸縮時には自然にカーブしてくれます。

より劇中イメージに近い、メッキ仕様の百式に構えさせてみたところ。ところでメガバズーカランチャーの威力って、どのくらいなんでしょうね?サイコガンダムのメガ粒子砲よりもはるかに大きいので、ちょっと怖くなってしまいます。

 グリップカバーはポリキャップ使用でスムーズに展開。スラスターは別パーツ化されていますが、後ハメ式だと、もっと良かったかも。グリップは、手首を分解せずに握らせる事が可能な、親切な設計になっています。フットレストは長短2パーツ付属。可動や伸縮は組み替えで再現します。完全変形では無くなりましたが、保持力が高くて確実にディスプレイ出来るので、良い判断じゃないでしょうか。



 飾り台は、開発施設内のアームに支えられてのテスト風景といった趣き。これなら宙に浮いてなくても不自然じゃありませんね。アーム移動用のレールの表現等ディテールも素晴らしいんですが、床をわずかに斜めにしたり、真四角を避けたベース形状など、単調さを感じさせない配慮も良いです。

 ところで百式は、メッキ仕様の物と比べてアンテナが抜けにくく、バインダー基部のボールジョイントの可動が、なめらかでない印象を受けましたが、気のせいかな?案外メッキ表面はツルツルして、ハメ込みキツさや可動に、ちょっぴり影響が有るのかも知れませんね。 組立時間は、メガバズーカランチャーが30分、百式が1時間15分でした。

 (HGUCメタスと組み合わせる事も可能です。その167を参照下さい。)

2004.8.12  健 竹史

HGUC サイコガンダム
1/400 クインマンサ

1/144 Vガンダム
HGUC 百式
HGUC 百式+メガバズーカランチャー
MG 百式
HCM-Pro10百式
GUNDAM FIX FIGURATION 百式&フルアーマー百式改

MIA 百式+メガバズーカランチャー
可動戦士 百式

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