健さんの
プラモコラム

その112
MG フリーダムガンダムの巻

( MG 1/100 フリーダムガンダム/ バンダイ/
ZGMF−X10A フリーダムガンダム
「機動戦士ガンダムSEED」に登場)



「1/100フリーダム?!」
「ちょっと違いますわね。これはマスターグレードモデル、1/100フリーダムです。劇中イメージや作画の暴走(笑)をも取り込み開発された、バンダイの最新のキットだそうですわ。」
「これを何故僕に?」
「今のあなたには必要なキットと思いましたので。HGUCでも、PGでも駄目なのです。だから・・・!この夏のキャンペーンに、希望の賞品に、このCランナータグは不要ですか?」

 てな訳で、待望のフリーダムMG化と、それに合わせたキャンペーンのスタートであります。続編の放映も決定し、ムードを盛り上げるにはベストなタイミングと言えそうですね。やはり一年おきに新作というのは終盤登場の機体がおろそかにされず、視聴者側の気分もマンネリにならず、良いペースだと思いますね。

・・・ところで君、なんなの?」
「元気ハツラツゥ?」
すみません、ちょっと間違えました(笑)。では、気を取り直してキットの方へ・・・。 



 頭部です。目と頭頂部カメラにはクリアーパーツを使用。斜めに分割されたヘルメット内部に、斜めでないクリアーパーツをハメ込む構成は、慣れない作業をやってるような、妙な気分でした。ユニットごとにではなく、パーツごとにベストな成形方向や組み付け方向を決める、丁寧な設計がなされているって事なんでしょうかね。これから組み立てる部分に、どんな分割が待っているのかな?と、ちょっぴり期待してしまいます。

 ヘルメットの分割は、これまでのキットでも斜めでした。ダクトピクウス機関砲が斜め下に向いているためですが、今回は頭頂部カメラの表面や、カメラカバーのフチ、オデコのセンサーも、ハッキリと斜め下に向けてあります。つまり敵を見下ろす配置ですね。ここは前々からフリーダムのデザインのツボじゃないかと思っていたので、丁寧に再現されて嬉しい限りです。(メインカメラと機関砲が同じ方向を向いているのは当然の事ですよね?)「一対多数の戦いをする空戦に特化したMS」なんで、常に敵より上に位置する事を想定して機関砲を配置してあるんじゃないかな?と思うんですよ。バラエーナとクスィフィアスで地上施設やMS群を狙撃、接近する敵はビームサーベルの間合いに入る寸前まで機関砲で応戦、狙撃の手は緩めない・・・とか。(デュアルカメラは対MS戦用?)



 黄色いアンテナは格段にシャープに、うなじカバーは長くなり、より設定に近いヘルメットになりました。顔つきは、ほほガードが目立たず、ノーマルなガンダム顔を塗り分けた様な印象。劇中でもシーンによっては、こんな感じでしたっけ。グレーの成形色は、かなり薄めになっています。

 ボディは、の付け根が前後に可動。肩関節軸が前後と上下に可動する等、MGストライク同様のギミックを内蔵しています。肩関節のビスが不要となった分、組みやすさは向上しました。コクピットハッチの張り出しが強調され、エリ(首ユニット)とコクピットをハッキリと別ユニット化。腹部正面のデザインも、コクピットとは別のユニットに見える様にアレンジされました。 胸部ダクトは大きく、シャープになりました。別パーツを埋めこんである感じも改善され、アップで見ても鑑賞に耐えますね。初陣での放熱シーンで惚れ込んだファンには、たまらない出来栄えです。



 余談ですが、初代ガンダムでお馴染みの放熱描写を、初代ファンには格別の思い入れのある大気圏突入直後に見せたのは、サービス満点でしたね。加熱してて当然なので、説得力も有ります。ストライクよりも軽々と大気圏突入をこなしてみせる姿は別格の性能を予感させ、商品セールスのためにガンダムが多数登場する展開の中で、いかにもガンダムらしい「別格のガンダム」に仕立て上げる事に成功していると思います。

 コクピットは、ハッチの開閉を再現。中にはキラ君が座っています。1/60よりも奥まったシート位置で、「らしさ」はアップした感じ。でもシートだけリフトアップする設定を考えると、1/60の配置の方が正しい訳ですが。ハッチはスライド式に見えますが、実際にはアームで可動。丸見えになるアームを、コンソールパネル風に加工、塗装してやると、面白いんじゃないでしょうか?

 です。フロントスカートは左右独立して可動。裏側にはディテールが追加されています。リアスカートも可動式。やはりディテールの追加が有ります。動かして上手く位置を調整してやると、ウエストの回転や前後スイングが、より大きく動かせますよ。腰後部のライフルマウント穴の内側にはABS製パーツ(スカート裏パーツの一部)を配置。フンドシ下のフタパーツを外すと、飾り台接続用の穴が露出します。MGストライクと同じ規格なので、飾り台を交換してやるのも面白いですよ。


MGストライクの飾り台は、支柱の角度が変えられるのが魅力ですね。ケーブル設備をまるごと外して支柱を低くしてやり、突進する様なポーズを取らせてみました。

 です。モモの装甲は前後分割。ストライクの様なスライド機構は有りません。この辺は連合とザフトの違いを意識して、あえて仕組みを変えてあるのかも。代りに、ヒザ関節を曲げるとヒザアーマーがせり上がり、さらに先端の黒いパーツが押し出されるという、面白いギミックが仕込まれています。ヒザアーマーが動いて出来たスキマからは、アーマー移動用のシリンダーが動いて見える演出(実際はワンパーツなので動きませんが)も有り、楽しませてくれます。スネ後部は、スラスターフィンが可動。内部フレームも再現されています。

 足首は二重関節で、メカパーツの後ろ(アキレス腱辺り)に足首カバーが接続してあります。ちょっとポリキャップが見えてしまっていますが、後ろ側までメカパーツを再現し、開脚時に左右スイングして接地性を妨げない、上手い方法ですね。足首カバーは、クルブシ付近の下半分を別パーツにする、新たな分割方式。リング状の全周がワンパーツになるのでハメ込みピンが要らない(外観を損ねない)、上手い方法だと思います。この足首カバー、過去のキットを合わせると前後・左右・上下の3パターンに分割された事になります。同じ物を割るにも色んな方法が有って、面白いですね。



 足首は、MGストライク同様にツマ先が可動。軸を通すのではなく、ハメ合わせるという構成も一緒です。ここはビス止め等、もっと保持力のある方式にして欲しかった所ですが、幸い、MGストライクよりも頑丈な様です。あまり心配は要らないかも。足首のパーツ分割は、頭部と同様、ハメ込みピンが斜めに配置された、面白い物になっています。カカトのラインに合わせてピンを傾け、カカトをンパーツ化してあるんですね。分割が細かいのがMGだと考えがちですが、ワンパーツ化するほど内部スペースが増え、フレームやギミックが仕込みやすくなるんですよね。前半分も、土踏まずの角度に合わせた斜めのハメ合わせです。

 肩アーマーは、基部を腕の取付け軸に通すタイプで、上に跳ね上げる事が可能。上腕のコブを避ける事が出来るので、腕が真横まで上がる様になりました。(HGや1/60でも可能でしたが、あちらは腕をハサミ込む方式。)初代ガンダムの様な肩アーマーに、長い上部カバーが乗っているという分割解釈で、上部に分割ラインが通らない構成になっています。側面のスラスターは上部カバーよりも先に、本来の肩アーマーに取り付ける構成で、ハサミ込みを避けつつ、スラスターの奥行きに説得力を与える解釈を打ち出しています。良く考えてますね。

なんでこのポーズなんだよ?

2枚一体で可動するウイングが作り出す不均一なシルエットの面白さは、フリーダムの魅力の一つだと思いますが、MGでは均等に展開されたウイングの美しさも楽しめる様になりました。広げ方の角度を変えても、ご覧の通り均等に出来ます。

 は、簡易的なフレームが仕込んであり、筒状の上腕パーツに通す構成。ヒジは二重関節で、180度曲がります。ヒジアーマーの間にはポリキャプが仕込んであり、設定と異なる方向にもシールドを装備する事が可能です。前腕はスライド金型で筒状に一体成形。側面のカバーは両腕合計4箇所が全て別パーツ。外装と内部フレームのロックを兼ねています。

 手首は、左右とも可動式の物が付属。ディテールは違いますが、MGストライクと同等の物となっています。

従来の1/100キット(右)との比較。1年経って、ちょっと身長が伸びてます?ウイングは地面にギリギリ届かない所まで延長され、さらに迫力が増しています。並べると1/100の方が頭が大きい印象ですが、むしろMGではウエストが延長され、人間っぽいスタイルにアレンジされている事の方が、影響が大きいのかも知れません。実際の頭のサイズの違いだけでなく、ボディとの対比で小顔に見えるのではないかな?という事です。

 バックパックは、面構成をアレンジして、スラスターを後ろ寄りの配置にしてあります。設定通りの配置だと、腰にライフルをマウントした時に、ライフルに向かって噴射する様になってしまうんですが、今回のアレンジで上手く解決しました。単純にバックパックを後ろに延長しては間延びしたと思うんですが、ボディの青と紺の部分の段差で距離を稼いだり、背中を斜めにする等して、むしろコンパクトに見える軽快なバックパックにまとめてあります。



 ウイングは、基部で設定通りの2軸可動を行う他、従来キットでは固定だった中央の小ウイングを可動式にした事で、ウイング側での角度変更を実現。より自由な可動が楽しめます。さらに大ウイングに固定されていた小ウイングも可動する様になり、軸位置を意識せずに作画された、均等なウイング展開も再現可能になりました。大ウイングは、色分けのラインをギザギザに変化させる事で、ギザ部分をツメとして利用。ハメ込みに依らないパーツ接合で、ウイングの厚みをギリギリまで抑えてあります。

 武装です。MA−M20ルプスビームライフルは、MGストライクの物とサイズや形を揃えてあります。それでも一部は異なっていますが、全体が統一されている事で、「コピーしたものの、ここはザフトが改良したんだな」と納得出来ますね。カバーに隠れる部分には、内部メカを再現してあります。ところでこのカバー、まさか本当にスラスター噴射の直撃を受け止めるための物だったりして・・・(そんなハズは無い)



 MA−M01ラケルタビームサーベルは、サイドスカート上に固定可能。先端の形状をアレンジして、ジョイントパーツ無しでの連結を実現しています。(もっとも、形がすごく目を引くので、気になる人は多いと思いますが。)もちろん、クリアーのビーム刃が2本付属します。

 M100バラエーナプラズマ収束ビーム砲は、根元付近で折れ曲がり、ウイングを展開したまま発射体勢を取る、いわゆる「ハイマットフルバースト」モードが再現出来る様になりました。(設定を無視して絵を描いた人も偉いですが、そんなモードに名前を付けた人も偉いです。)設定と違うとは言え、射撃時に飛行能力が著しく低下するのも困りますから、ボクは自然で良いと思っています。何よりカッコイイですし。ビーム砲は前後どちらにも可動するので、レールガンで前を、ビーム砲で後ろを狙う事も(キラ君次第で)可能です。曲がらないハズの部分が曲がる事の照れ隠しなのか(笑)、ディテールが多めに追加されていますね。



 MM1−M15クスィフィアスレール砲(レールガン)は、1/60並の色分け。厚みを抑えてスカート状態での厚ぼったさを解消、後部を大型化して末広がりのシルエットにアレンジ、断面を六角形にするなどして変化を持たせてあります。基部を2軸で可動させ、発射形態でハの字に開く事が出来る様になりましたが、発射形態でなくても、サーベルが平行にならず、堅苦しさが消えてソフトに見えて良いですね。

 シールドは、厚みを抑えてシャープな造形。裏面はディテールと言うか、構造物っぽい演出(フレームのスキマから表面装甲が見えるとか)が面白いですね。のぞき穴の付いたサイドプレートは、左右どちらにも付けられるという新解釈で、肩との干渉を解決。シールドの位置自体、ギリギリ肩に当たらない位置に設定してあります。グリップの取付け位置は調整可能、倒した状態でセットする事も可能です。

 飾り台は、展開したウイングをイメージした形状。支柱は可動せず、滞空状態を再現するための物です。単品キットではありますが、この飾り台のおかげで、ほとんど「情景模型・舞い降りる剣」と化しています。フンドシ下のフタパーツは、ベースの裏面に収納可能です。

赤服のこのオレがなぜぇ〜   うわらば!

 組立時間は3時間20分でした。とても良く動くので、派手な装備を派手に構えて、思いっきり楽しめますね。キラ用とザフト用のデカールが付属していて、奪取前の(あるいは奪取されなかったら・・・という空想の)状態で完成させる事も可能です。機体解説はザフトがフリーダム開発に至った経緯を詳しく紹介しており、ほとんどザラ議長閣下の伝記と化しています。読み終わる頃には、「本来の活躍も見たかったなぁ」なんて、ザフト仕様のデカールを貼りたくなる事請け合い!って言うか、これだけ煽ったのなら、ザラ議長のフィギュア、付けて下さいよー。


おまけ

 ツクダから発売されてた「風の谷のナウシカ」シリーズが、イロプラ&スナップフィット化されて発売!という訳で、まずは「カイに乗るナウシカ」を買ってみました。金型を改修したとは聞いていましたが、これ、ほとんど新規に作ったんでしょうか?頭とヒザのハメ込み穴を、スライド金型で成形とか、カイのクチバシと舌を別パーツ化したり、逆に胴体と脚を一体化したり。羽毛の表現は細かく、左右のバッグや衣装の装飾はクッキリと。ナウシカの表情は、格段に自然になってます。面積が小さくて不安定だった飾り台は、デコパージュ風の大きな物に変更。目は水転写デカールが付属します。これ、予備も含めて3体分付いてるのが嬉しいですね。ツクダ版を3つも買ってるので、余りを貼ってやろうかな。


 金型の変更具合を確かめるつもりで買ってみたんですが、一番フィギュア色が強いためか、変更され過ぎて、良く分かりませんでした。メーヴェなんかだと、もっと分かりやすいかな?他の3つも買わなくてはなりませんね。それから、一番バンダイらしさを感じさせるのは説明書でしょうか。完成写真や設定、解説が充実して、作品を知らなくても作れそうですし、興味も湧きます。「模型製作は資料集めから」という厳しい意見も有りましょうが、「パパ作って」と言われる度に原作の研究なんて、不可能ですもんね。



新旧ランナーの比較。上がバンダイ製、下がツクダ製の物です。まるで別物・・・。

 バンダイらしさと言えば、ランナーに謎の切替えが有ったりすれば、「カイに乗るユパ様」が期待出来て、今頃大騒ぎになってたかも。いや、ホントにこのシリーズで、新作キットが欲しいですね。「もののけ姫」とか「耳をすませば」とか、ぜひ出して下さい!

2004.7.26 健 竹史

1/144 フリーダムガンダム
HG フリーダムガンダム
1/100 フリーダムガンダム
MG フリーダムガンダム
1/60 フリーダムガンダム
MIA フリーダムガンダム

カイに乗るナウシカ
王蟲とナウシカ
メーヴェとナウシカ
風の谷のガンシップ
1/72紅の豚 サボイアS.21 試作戦闘飛行艇
1/72紅の豚 サボイアS.21F 後期型
1/72紅の豚 カーチスR3C-0 非公然水上戦闘機

風の谷のナウシカ
天空の城ラピュタ
紅の豚
もののけ姫
千と千尋の神隠し (通常版)
宮崎駿とジブリ美術館

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