健さんの
プラモコラム

その110
 MGパーフェクトジオング
の巻

( 1/100 MGパーフェクトジオング/ バンダイ/
MSN-02 パーフェクトジオング
「機動戦士ガンダム」バリエーション設定)


 
 このテのキットが発売される度に、「追加パーツだけ売ってくれないかなー」なんて思いますよね。今回は追加部分が足だけに、「花の慶次」なんかを思い出してました。
「親爺、上半身だけでも売ってる以上、脚単品も売り物なんだろうな?」
「そうや、けど高いで」
「いくらだ」
「1本2100円」(税5%:笑)
「買った〜!」

 いや、ホントに売って欲しかったですね。大台突破の高額キットだし。まぁ、そうは言っても同額のPGエヴァと比べて、パッケージの厚みが2倍あったりして、割安感も感じる訳ですけど。では、キットを見ていきましょう。



 頭部はノーマルジオングと共通ですが、耳のバーニアは同形の黄色いパーツが新規に付属。ノーマルとの色の違いを再現してあります。ノーマルでは赤かった部分ですが、従来の赤いパーツは除外されず、余りパーツとなっています。もともとMGの中でも、特に丁寧に色分けされたキットでしたが、その徹底ぶりは今回にも引き継がれているようです。

 ボディです。ここもノーマルジオングから変更の無い部分ですが、意外な事に コクピットは空席シャアのフィギュアは余りパーツ扱いで、新規のフィギュアも付属しません。まぁ、乗せたい人は、余らせずに乗せる事が可能なんですが。説明書のフォトストーリーには、出撃する事なくア・バオア・クー内部に佇むパーフェクトジオングの様子が紹介されてます。出撃しなかった機体には、フィギュアを用意しないのも再現のうち、という事ですね。もっとも、解説ページには「戦火で失われた確証も無い」ような、含みを持たせた一文もあり、妄想をかき立ててくれます。



 ウエストは、ベルトの部分が新規パーツになりました。ノーマルジオングでは、ベルト部分の色は黒でしたが、今回は本体と同じ青で成形。配色の違いを再現すると同時に、サーベルラックの有無を選択できる、新規設計のパーツとなっています。サーベルラックは組立時にハサミ込む構成で、完成後に着脱出来ないのが惜しいですね。

 スカート内部の5つのバーニアは、新規パーツになりました。ノーマルの物とは、スジ彫りの太さの違いで、ずいぶん印象が違って見えますが、基本的に同じ形状だと思います。なぜ新規パーツになったのか、良く分からない部分です。

下方から見るバーニア類は、かなりの迫力。MG付属のコアブロックと並べてみました。ところでコアブロックって、ガンダムの動力部分でしたっけ・・・サイズからジオングの出力を想像すると、恐ろしくなりますね。

 は、上腕のシリンダー風のパーツが新しくなりました。形は同じまま、2本が一体になって組みやすくなったのかなー?と思ったら、ノーマルのシリンダーは円柱形今回はカマボコ形で、ちょっぴり変更してあるんですね。どうやらシリンダーを腕フレームに密着させてスリム化し、上腕カバーが太くならない様にする作戦の様です。てな訳で、今回付属の上腕カバーは、ノーマルジオングにはフィットしません。残念。

 従来のシリンダーパーツは余りパーツになるので、大事に取っておくと良いでしょうね。こういった基本的な形のパーツが8個も揃っていると、スクラッチや改造の時に重宝します。それにしても、使えそうなバーニアパーツを除外したり、余るシリンダーパーツを除外してなかったり、ジオングのランナーは謎が多いですね。ジオング発売の段階では、パーフェクトの発売を考慮はしたものの、設計までは完了してなかったのかなー?

 手首は、手のひらが2種類付属。サーベルを持たせる時には、ノーマルジオングにも付属した、通常の手のひらを外して、サーベル保持用の突起のある手のひらと交換してやります。サーベル保持用の手のひらは左右とも用意されているので、どちらの手にもサーベルを持たせる事が出来ます。

同スケールのガンタンクR44との比較。(って言うか、人質にされてます!)指の保持力もしっかりしているので、安定して持てます。

 ・・・とまぁ、上半身は、こんなところです。脚の追加だけでパーフェクトジオングになるのかと思ってたら、(実機はともかく)キットとしてはかなりの変更点が有るんですね。この他、飾り台が除外されたのも大きな変更です。ではいよいよ本題、を見ていきましょう。

 股関節は、モモの連結ユニットバーニアを兼ねているという解釈。ボールジョイントではありませんが、3軸で自在に可動します。こっちの方が保持力が高いんでしょうか。(多分そうです。)強度も必要という事で、ビスによる組立て。サイズはノーマルジオングの物よりも小さくなっています。股関節軸は新規ですがフンドシ(飾り台の取付け部)はノーマルと共通なので、脚の無い状態ならノーマルに付属する飾り台が使えます。

着脱可能な脚ユニットは、これだけでも並のMS以上のサイズがあります。

 モモは、股関節バーニアに差し込んでから90度ヒネって取り付けます。内部フレームの前後にある四角いディテールロック機構になっていて、ここを上下に動かす事で、ロックされたり、解除されたりします。このディテールの表面だけをスライドさせると、モモの外装の取り付け穴が露出。シリンダー可動等とはまた違った、ギミックの多いフレームとなっています。

 ヒザ関節は、モモとスネにハサミ込む構成。ヒザの後ろの装甲はヒザメカパーツに取り付けてあって、下側の関節を曲げるとスネ内部に引き込まれます。ゴツい脚なのに90度以上曲がるし、保持力も充分。片足立ちも可能です。ここのポリキャップは、回り止めの突起が単純な板ではなく、十文字になっています。ヒザを曲げた時に破損しないように、強度を高めてあるんでしょうか。

駆け足のポーズ。関節強度は片足立ちにも耐えられるほど、しっかりしています。

 スネも内部のフレームを再現。フレームは単純な左右貼り合せですが、サイズがサイズなだけに、しっかり補強が入っていますね。中に仕込んである足首取付け用のポリキャップは、ポリキャップなのか補強材なのか分からないような外観。足首関節の軸径は15ミリもあります。さすが大物キット、実機の開発も、さぞ大変だったんじゃないかと想像させてくれます。スネ後部には3連の推進ユニットを再現。MGゲルググ以来おなじみのユニットですが、とんでもなくデカイです。

 スネの装甲は、肩アーマー等と同様、内側のパネルを別パーツで再現。スソの厚みを変化させたりして、外装とのスキマにも何か詰まっていそうな印象を与えます。内側パネルパーツが一部露出する形で、外装のスリット内部にもディテールが表現されています。スカート側面にも同じ表現が使われており、従来パーツと新規パーツとの間でも、統一感を感じさせてくれます。



 足首は、外観こそHGUCでも良く見られる単純な積み重ね構造ですが、とんでもなくゴツい関節が仕込んであります。ここもやはり3軸で可動。ボールジョイントと同等の動きが可能ですが、前後可動と左右可動の軸位置を分けて配置出来るので、ひょっとしたら普段よりも広く可動する事が可能になってるかも。

 オールレンジ攻撃を再現するワイヤーは、今回も付属。分離した腕を乗せる飾り台は、除外されるどころか、支柱を追加して高い位置で飾れる様になりました。支柱に支柱を継ぎ足す事も可能なので、3本連結して、さらに高い位置で飾る事も可能です。ノーマルジオングから腕を借りてきて、たくさん腕を飛ばして「オラオラオラ〜」なんて遊びもオツなモンですよ。(成形色が変更されているので、ミックスして遊ぶのはツラいんですけどね。)

 武装は、プラモ狂四朗に登場した実剣が付属。やや黒っぽいメッキが施された刃を、2分割の柄でサンドする構成です。ウエスト組立時にホルダー(選択式)を取付けておけば、腰に納めておく事も可能です。

同スケールの、MGガンダムver1.5、ガンタンクR44、MGサザビーとの比較。サザビーとの価格差2000円で、この身長差!

 さらにオプションパーツとして、上腕とモモのカバーが用意されています。どちらも2分割で、完成後の着脱も自在です。ヒジやヒザの可動が若干制限されるので、大胆なポーズで飾る時には、外してやると良いでしょう。片側だけ取り付けるってのもアリです。(設定画では、左手左足に取り付け。)

 組立時間は、3時間半でした。ノーマルジオングを組んだ時よりも早く組みあがって、自分でも驚きました。たった40分で両脚が組みあがった事と、指の組立てを効率良く行えたのが良かった様です。指は外装を被せる都合で、ゲート部分に切り残しが無いよう、デザインナイフで整えてやる必要がありますが、パーツごとにではなく、指フレームを組んでから行えば、かなり時間が短縮できます。お試しあれ。

PGガンダムMK−2との比較。パーフェクトジオングの方が、安くて大きいとは・・・。

 ところで今回、「MSV」として発売されるのか、「プラモ狂四郎シリーズ」として発売されるのかで、気をもんだ人も多いんじゃないでしょうか?結局は「ジオン製MS」としてMSV扱いとなり、書き下ろしマンガサッキー竹田のフィギュアが付属する事は無かったんですが・・・まだまだ、あきらめるのは早いかも知れませんよ。

 と言うのも、今回除外されると思っていた腕用スタンドが除外されなかったりとか、スカート内部のバーニア類が、底板ごと除外可能になっているのに大きな変更が無いとか、すでに設けられているランナーの切り替えが、ほとんど活用されてないんですよね。



 で、狂四郎のコミックを(手元にある範囲で)読み返してみると、分離攻撃を行うのは上腕ではなく手首だったり、下半身に使われているのはドムの脚パーツだったりします。ひょっとすると、ドム足タイプの「足つきジオング」が発売される可能性が、残されてるんじゃないでしょうか?プラパーツはTランナーまで、新規ポリキャップがZランナーで、U・V・W・X・Yランナーが抜けているので、ますます期待してしまいます。

 脚パーツはPGドムなり1/60ドムと兼用にして、新設計のドムが発売されると、ますます嬉しいんですけどね。設定身長を守っただけとは言え、少々長めの印象のある今回の脚ユニット。正面からは目が慣れてきた気もしますが、後ろ姿は今見ても、やや脚が長く思えます。このキットに1/60ドムの足を装着した場合、サッキーたちが製作した1/144ジオング+1/100ドムの場合よりも、足が大きくなると予想されます(スケール比から計算して、推定16%増)。「パーフェクト」「足つき」の印象が、ほぼ同じになるためにも、今回の脚の長さは、この位でちょうど良いのかも知れませんね。

MGパーフェクトガンダムと並べて、例のイラスト(1/144パーフェクトガンダムのメカニカルファイルに収録)を再現してみました。ジオングって、ホントに大きいですね。黒い布の上に寝かせただけですが、どんなもんでしょう?

 もう一つ余談ですが、脚の着脱機構を見た友人が、「多段式ロケットみたいなMSだね」なんて言ってました。これ、なかなか面白い発想じゃないでしょうか。せっかく追加した脚ですが、ジオングを打ち上げる途中で切り捨てるアイデアです。無理がありそうなら、さらにスカートも切り捨てるとか、地上からではなく、月面都市やコロニーからの長距離航行の話にしちゃうとか、逆にますます飛躍させて木星圏を離脱する話にしちゃうとか、なにか外伝を1本、デッチ上げられそうな気がします。

 終戦時に極秘に運び出された機体が、後年、別の目的に使われる話とか、地上でも建造されてた歩行試験用の機体が宇宙へ上がる話とか・・・ガンダムエースあたりで、やってくれないかなぁ。友人は、「打ち上げ時にはフェアリングで被って関節を固定した方がいいかな?」なんて言ってましたが、実は上腕とモモのカバーこそが、そのフェアリングだったとか・・・ほら、可動が制限されてるし(笑)。



 おまけ

 MGと比較したくなって、1/250のパーフェクトジオングも組んでみました。もう20年も前のキットですが、プロポーションはなかなか良い感じ。顔つきは男前だし、腕の伸縮が無い分、ヒジが可動するようになったし、ハの字肩になってるしと、旧1/144で不満だった点が改善されて嬉しかったもんです。(その割には、ずっと積んであったので今回初めて組んでみたんですが:笑)MGと比べると、スカートの上下幅が寸詰まりの印象ですが、十分カッコイイと思います。



 上腕カバーとモモカバーは、選択して取り付け。両面テープで着脱式にする事も可能です。上腕カバーを取り付けると、上腕が肩ブロックよりも太くなってしまい、ちょっと不恰好。MGでも同様に上腕の方が太くなってしまうんですが、肩ブロックの形に変化を持たせる事で、四角いブロックが連続している様な短調さを避けています。



 肩が少しなで肩の印象がありますが、幸いMGよりも腕が長めに感じるので、上級者は肩の取り付け位置を上げて、怒り肩にしてやると良いかも。手首が後ハメ可能(つまり着脱も可能)なのは、プラモ狂四朗を意識しているのかな?



 スカート内のバーニア(このキットでは3連)は固定式ながら、放射状に角度を付けてあって、見栄えは良いです。スカート内にディテールが施されてる点なんかは、HGUCやMGにも影響を与えてるかも知れませんね。ディテールが左右非対称なのも、なんだか意欲的で面白い感じです。股関節は、やや特殊な構成で組みにくく感じるかも知れませんが、上半身が完成した後で、文字通り「脚を付け足す」組立て手順は、実機の建造を連想させて思わずニヤリ。ノーマルジオングに組めないのは残念ですが、足裏のバーニアを切り出して流用すれば、それらしい形にはなってくれるかも。また、脚が付いても14センチ程度という手軽なサイズなので、MGでは重量的に難しい、浮遊ポーズでの展示にも向いていると思いますよ。

2004.7.3 健 竹史

  

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